北海道知事が財政支援を表明
その他あれこれ - 2017年12月16日 (土)
北海道知事がついにJR北海道に対し、財政支援を表明しました。昨日のヤフーニュースでもトップで取り上げられていましたね。
北海道知事といえばこれまで、「自助努力」と称してJR北海道を強くけん制していました。10月下旬に行われた会談でも溝は埋まらず、並行線をたどったままでした。
ここでおさらいですが、「自助努力」とは、
自分で努力に励み、困難の解決や成長を独力で進めていくこと。
ネット上で意味を調べることができます。ですが、北海道知事の発言する「自助努力」にはもう1つの意味が込められており、
「簡単に不採算路線の廃止をしない」
このような意味が加えられています。自助努力しようものであれば、不採算路線の整理が一番の近道ですが、これを封じられているという矛盾がここまで問題を長引かせてしまった1つの要因であることは間違いありません。
ですが、12月6日付でJR北海道のプレスリリースより、『平成29年12月6日再生推進会議有志による声明文に関する当社の受け止めについて』という資料が発表されました。
JR北海道再生推進会議有志から北海道民、北海道知事、道内市町村長、国土交通大臣、JR北海道代表取締役社長宛てに「声明」文書です。経営難に陥っていながらも不採算路線の整理などが一向に進んでおらず、2020年度末には資金ショートし、北海道全線で列車の運行ができなくなる試算も出ていました。そのような中で発表された当該資料は、もはや一刻も猶予も許されない、いわゆる警告文書として捉えることができます。
実は、JR北海道再生推進会議には北海道知事もメンバーとして加えられていますが、当日の報告会には欠席し、函館で開催された政治資金パーティーへ出席したという情報を得ました。文書は知事本人ではなく、まず道幹部の人間が受け取り、推進会議関係者からは知事の指導力不足や姿勢に不満の声が出たようです。
おそらくこの状況で危機感をもった知事は早速行動に移し、自助努力と称して消極的だったJR北海道の支援に対し、一転して財政支援に乗り出す方針を固めたというのが一連の流れではないでしょうか。一応表向きは、知事が財政支援を明言し、公費負担の姿勢を出すことで不採算路線の整理について状況が進展しないJRと沿線自治体の協議を進展させるねらいがあるようです。警告文書にも北海道知事の行動や判断力そのものを推すような内容は一切なく、知事としてのリーダーシップの欠如が露呈した形になります。
注目される支援内容ですが、資金をそのまま支援という形で回すのではなく、
・鉄道の安全運行に向けた老朽化した設備の更新
・利便性や快適性を高める車両の保有・貸し付け
などが主に支援策の一例として挙げられているようです。車両の保有・貸し付けについては、前例のある第三セクター「北海道高速鉄道開発」の事例を参考にして具体的な支援策を詰めていきます。車両の保有・貸し付けが検討されている理由としては、車両の製造費用や維持費をJR北海道に貸し付けた際の費用(レンタル料)で後々回収することができるからです。
ちなみに、「北海道高速鉄道開発」は、道とJR、沿線自治体が出資している第三セクターです。
ここで注目すべきは、車両の保有・貸し付け策です。これは、「宗谷」・「サロベツ」で使用されるキハ261系0番台が先行事例として挙げられます。第三セクターが車両を保有し、JRの運行管理下で使用される唯一の例です。

しかしキハ261系0番台の場合、車両の設計段階から宗谷本線で使用する特急車両に特化した仕様としたため、専用設備が仇となり、その後登場した他区分番台との車両と混用することができない状態を生み出しました。元々輸送密度の低い宗谷本線用の車両することでコストも大きくかけることができず、結果的に車両製造数そのものが削減されました。
結果、車両などを検査する際に必要な予備の車両までを考慮した車両数を確保するには至らず、運行開始当初から車両不足に悩まされているのが実態です。それに痺れを切らしたJR北海道は、同社が保有する形で札幌方先頭車を含む2両1ユニットを追加製造し、車両繰りは多少緩和されたことでしょう。
ですが、近年は特に冬期における車両不足に悩まされています。原因は、走行中にエゾシカなどの野生動物との接触、あるいは回避のため急ブレーキをかける際に車輪に傷ができてしまい、それを修繕するために列車の運休を余儀なくされます。元々の車両数が少ない以上、予備車両の確保も難しい状況であり、代走としてノースレインボーエクスプレスやキハ183系一般車が登板し、代走運転が多くなっています。
今年3月のダイヤ改正では、車体の老朽化を理由に宗谷本線の特急列車は3往復中2往復が旭川~稚内間の運行に縮小され、1日に使用する編成数を4編成(キハ261系×2編成、キハ183系×2編成)から2編成(キハ261系×2編成)に少なくしました。その代わり2編成に集約した分、1編成あたりの充当列車数が増えたことで稚内駅では折り返し時間を十分確保することができず、キハ183系代走時は一部列車で大幅な遅れが発生しています。
特に、上りの特急「宗谷」は1時間遅れということもしばしばあり、利用客に対するサービス低下、信用度の低下などが懸念される事態です。
このような事態を招くことから、JR以外の企業などがJRに対して車両の保有・貸し付けを行う運行体系は、管理者は反対という立場です。しかしながら、保有・貸し付けを行う車両が特急車両であればキハ261系1000番台、今後道内のローカル線で幅広く展開されるであろうH100形気動車であれば、一定の条件を加味すれば、道からの支援策は受け入れることが可能だと思います。
一定の条件とは、
・既存の車両と仕様を同一とし、共通で使用できること
・将来的な輸送の変動期において、車両の転属等をJR北海道の判断で容易に可能にしておくこと
要は、北海道が保有する車両だからといって地域別の輸送を担うために特別な仕様とするのではなく、既存の車両とともに共通で使用できることが車両の保有・貸し付けの支援を行ううえでの絶対条件です。これら条件がなければ、いくら車両を貸し付けたとしても数年後には同じことの繰り返しになるだけです。
とりあえず、北海道知事が支援に対して前向きな姿勢をみせたことは、ちょっとだけ評価できます。ですが、実際に支援を開始してからが本当の一歩前進です。事実、警告文書が出されてから行動に移していては遅いです。こんな数日間ですんなり決まったのであれば、この1年は何だったのでしょう??ただ時間を浪費しただけです。北海道知事にはもっと真剣に取り組んでいただきたいです。
期限となる2020年度末まで間に合うかどうかわかりませんが、まずはアクションを起こすことが大事です。そのためには、早急なリーダーシップ、行動力が求められます。
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北海道知事といえばこれまで、「自助努力」と称してJR北海道を強くけん制していました。10月下旬に行われた会談でも溝は埋まらず、並行線をたどったままでした。
ここでおさらいですが、「自助努力」とは、
自分で努力に励み、困難の解決や成長を独力で進めていくこと。
ネット上で意味を調べることができます。ですが、北海道知事の発言する「自助努力」にはもう1つの意味が込められており、
「簡単に不採算路線の廃止をしない」
このような意味が加えられています。自助努力しようものであれば、不採算路線の整理が一番の近道ですが、これを封じられているという矛盾がここまで問題を長引かせてしまった1つの要因であることは間違いありません。
ですが、12月6日付でJR北海道のプレスリリースより、『平成29年12月6日再生推進会議有志による声明文に関する当社の受け止めについて』という資料が発表されました。
JR北海道再生推進会議有志から北海道民、北海道知事、道内市町村長、国土交通大臣、JR北海道代表取締役社長宛てに「声明」文書です。経営難に陥っていながらも不採算路線の整理などが一向に進んでおらず、2020年度末には資金ショートし、北海道全線で列車の運行ができなくなる試算も出ていました。そのような中で発表された当該資料は、もはや一刻も猶予も許されない、いわゆる警告文書として捉えることができます。
実は、JR北海道再生推進会議には北海道知事もメンバーとして加えられていますが、当日の報告会には欠席し、函館で開催された政治資金パーティーへ出席したという情報を得ました。文書は知事本人ではなく、まず道幹部の人間が受け取り、推進会議関係者からは知事の指導力不足や姿勢に不満の声が出たようです。
おそらくこの状況で危機感をもった知事は早速行動に移し、自助努力と称して消極的だったJR北海道の支援に対し、一転して財政支援に乗り出す方針を固めたというのが一連の流れではないでしょうか。一応表向きは、知事が財政支援を明言し、公費負担の姿勢を出すことで不採算路線の整理について状況が進展しないJRと沿線自治体の協議を進展させるねらいがあるようです。警告文書にも北海道知事の行動や判断力そのものを推すような内容は一切なく、知事としてのリーダーシップの欠如が露呈した形になります。
注目される支援内容ですが、資金をそのまま支援という形で回すのではなく、
・鉄道の安全運行に向けた老朽化した設備の更新
・利便性や快適性を高める車両の保有・貸し付け
などが主に支援策の一例として挙げられているようです。車両の保有・貸し付けについては、前例のある第三セクター「北海道高速鉄道開発」の事例を参考にして具体的な支援策を詰めていきます。車両の保有・貸し付けが検討されている理由としては、車両の製造費用や維持費をJR北海道に貸し付けた際の費用(レンタル料)で後々回収することができるからです。
ちなみに、「北海道高速鉄道開発」は、道とJR、沿線自治体が出資している第三セクターです。
ここで注目すべきは、車両の保有・貸し付け策です。これは、「宗谷」・「サロベツ」で使用されるキハ261系0番台が先行事例として挙げられます。第三セクターが車両を保有し、JRの運行管理下で使用される唯一の例です。

しかしキハ261系0番台の場合、車両の設計段階から宗谷本線で使用する特急車両に特化した仕様としたため、専用設備が仇となり、その後登場した他区分番台との車両と混用することができない状態を生み出しました。元々輸送密度の低い宗谷本線用の車両することでコストも大きくかけることができず、結果的に車両製造数そのものが削減されました。
結果、車両などを検査する際に必要な予備の車両までを考慮した車両数を確保するには至らず、運行開始当初から車両不足に悩まされているのが実態です。それに痺れを切らしたJR北海道は、同社が保有する形で札幌方先頭車を含む2両1ユニットを追加製造し、車両繰りは多少緩和されたことでしょう。
ですが、近年は特に冬期における車両不足に悩まされています。原因は、走行中にエゾシカなどの野生動物との接触、あるいは回避のため急ブレーキをかける際に車輪に傷ができてしまい、それを修繕するために列車の運休を余儀なくされます。元々の車両数が少ない以上、予備車両の確保も難しい状況であり、代走としてノースレインボーエクスプレスやキハ183系一般車が登板し、代走運転が多くなっています。
今年3月のダイヤ改正では、車体の老朽化を理由に宗谷本線の特急列車は3往復中2往復が旭川~稚内間の運行に縮小され、1日に使用する編成数を4編成(キハ261系×2編成、キハ183系×2編成)から2編成(キハ261系×2編成)に少なくしました。その代わり2編成に集約した分、1編成あたりの充当列車数が増えたことで稚内駅では折り返し時間を十分確保することができず、キハ183系代走時は一部列車で大幅な遅れが発生しています。
特に、上りの特急「宗谷」は1時間遅れということもしばしばあり、利用客に対するサービス低下、信用度の低下などが懸念される事態です。
このような事態を招くことから、JR以外の企業などがJRに対して車両の保有・貸し付けを行う運行体系は、管理者は反対という立場です。しかしながら、保有・貸し付けを行う車両が特急車両であればキハ261系1000番台、今後道内のローカル線で幅広く展開されるであろうH100形気動車であれば、一定の条件を加味すれば、道からの支援策は受け入れることが可能だと思います。
一定の条件とは、
・既存の車両と仕様を同一とし、共通で使用できること
・将来的な輸送の変動期において、車両の転属等をJR北海道の判断で容易に可能にしておくこと
要は、北海道が保有する車両だからといって地域別の輸送を担うために特別な仕様とするのではなく、既存の車両とともに共通で使用できることが車両の保有・貸し付けの支援を行ううえでの絶対条件です。これら条件がなければ、いくら車両を貸し付けたとしても数年後には同じことの繰り返しになるだけです。
とりあえず、北海道知事が支援に対して前向きな姿勢をみせたことは、ちょっとだけ評価できます。ですが、実際に支援を開始してからが本当の一歩前進です。事実、警告文書が出されてから行動に移していては遅いです。こんな数日間ですんなり決まったのであれば、この1年は何だったのでしょう??ただ時間を浪費しただけです。北海道知事にはもっと真剣に取り組んでいただきたいです。
期限となる2020年度末まで間に合うかどうかわかりませんが、まずはアクションを起こすことが大事です。そのためには、早急なリーダーシップ、行動力が求められます。
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