キハ183系現役最古参車両「キハ182-3」
キハ183系 - 2018年01月26日 (金)
キハ183系0番台は今年度末をもって全ての車両が廃車となります。
キハ183系旭山動物園号を含めると、0番台は残り19両です。この中で製造年月日の一番古い車両を今回紹介します。

それが「キハ182-3」です。1981年8月21日付で製造されています。現役で活躍するキハ183系としては製造年月日が最も古い車両です。「キハ183-1」や「キハ182-1」、「キハ182-2」と同じ製造年月日です。


ほかにも、キハ183系旭山動物園号の先頭車である「キハ183-3」や「キハ183-4」が改番されず、車番が一桁台の車両として生き残っていますが、こちらの2両は製造年月日が1981年9月18日となっており、僅差で最古参車両とはなっていません。
「キハ182-3」は、現役最古参車両であると同時に、キハ183系の量産車においても、一番古い時期に製造されている車両と思われ、当該車両が残っていることはほぼ奇跡に近いです。製造年月日が新しい車両が次々と廃車されていき、中には、マイナーチェンジ版の500番台、550番台(キサロハ182形550番台など)にも一部で廃車が発生しています。
使用を開始してしまえば、1両単位で運用や車両の状態、走行距離を伴う検査周期によってそれぞれ異なってきますが、そのような中で、こうした車両が残っていることは凄いことです。

せっかくなので、搭載機関についても少し紹介したいと思います。
まず、エンジンスペックなどの詳細は以下のとおりです。

DML30HSI機関について、登場時は440PSですが、110km/h運転対応に伴い、500PSへ出力が上げられています。
苗穂工場一般公開時のデータ(2017年)では、登場時の出力が記載されていました。
(2017年1月27日修正・追記)
キハ182形0番台の搭載機関は、DML30HSI(440PS/1,600rpm)です。後日紹介する機会があれば紹介したいと思いますが、乾燥重量は最新のキハ261系のエンジンと比べて2倍以上の重量です。排気量も2倍以上となっています。過給機(ターボ)は装着されています。ちなみに、最新のキハ261系のエンジンも直噴式で過給機が装着されています。このあたりも、後者は排気量を小さくしながらも出力向上を図るという、自動車業界でも昨今おなじみの小排気量+ターボという組み合わせです。
このエンジンは、キハ181系に搭載されていたDML30HS系機関(500PS/1,600rpm)の出力をパワーダウンしたものです。
パワーダウンを実施した理由ですが、おそらく、キハ181系で問題となっていたオーバーヒート対策だと思われます。キハ181系に搭載されていたDML30HS系機関は、熱効率に劣り(燃料消費量が多く高発熱)、重量過大などのさまざまな問題がありました。
ここから少しキハ181系の話題も入りますが、熱効率に劣るのであれば、冷却系において万全の対策をしなければなりません。キハ181系の中間車については、山岳路線での使用も考慮し、走行用機関のパワーダウン、車両製造コストの削減を目的に冷却ファンの採用は見送られ、自然通風式を採用しました。映像や写真などで確認したことがあると思いますが、巨大な自然通風式ラジエーターを屋根上ほぼ全体に搭載しています。
しかし、この冷却方法は先行採用した気動車でも冷却能力の不足が解決しておらず、問題が解決しないままキハ181系に採用されたことで夏場を中心に冷却系を伴うトラブルが続発し、これに伴う機関の故障が相次ぎました。記憶にある限りでは、特急「つばさ」で使用していた際、途中の板谷峠でオーバーヒートが続発し、自力登板をすることができず、結局電気機関車による補機運用を余儀なくされました。
大出力機関を搭載し、自力登板を目的として投入されましたが、肝心な熱対策が十分実施されておらず、性能を十分に発揮することができませんでした。晩年の特急「はまかぜ」などでも熱対策で最大ノッチに介入した際の制限時間が設けられていたはずですよ。
このように、先駆けとなったキハ181系の反省点を踏まえ、搭載するエンジンからパワーダウンされたり、キハ40形気動車と同じエンジンを採用したりするなど、速達化よりも車両の保守面を考慮し、負荷増大をさせずに安定して稼働させる方向へシフトしました。大出力を誇るキハ183系などと称されますが、0番台が登場したころは必ずしもそうではありませんでした。
以前紹介したキハ183形0番台もDMF15HSA(220PS/1,600rpm)機関を搭載しています。現在も旭山車の「キハ183-3」や「キハ183-4」に搭載されています。この機関はキハ40形気動車と同じエンジンです。後に最高運転速度を110km/hに向上させたことに合わせ、機関定格出力が220psから250psに向上しています。普通列車用の気動車と同じ機関を採用するあたり、当時としては、特急気動車の製造に相当苦労していた様子が伺えます。
これらも徐々に年数が経過していくにつれ、使用状況に合わせて出力増強改造や500番台以降の車両を投入・編成に組み込むことで出力不足を解消していきました。
このDML30HSI機関を搭載している車両も残り11両となりました。同機関は、ここ最近では2015年と2017年の苗穂工場一般公開の際に展示されています。今年度限りでキハ183系0番台を全て廃車にする予定なので、次回以降の一般公開の際に間近で確認することが難しくなるかもしれません。
まとまりのない記事になってしまいましたが、キハ183系の量産車第一弾の車両がほぼオリジナルの状態で現在も引き続き稼働しています。もし確認した際は記録するなりしてチェックしてみてください。
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キハ183系旭山動物園号を含めると、0番台は残り19両です。この中で製造年月日の一番古い車両を今回紹介します。

それが「キハ182-3」です。1981年8月21日付で製造されています。現役で活躍するキハ183系としては製造年月日が最も古い車両です。「キハ183-1」や「キハ182-1」、「キハ182-2」と同じ製造年月日です。


ほかにも、キハ183系旭山動物園号の先頭車である「キハ183-3」や「キハ183-4」が改番されず、車番が一桁台の車両として生き残っていますが、こちらの2両は製造年月日が1981年9月18日となっており、僅差で最古参車両とはなっていません。
「キハ182-3」は、現役最古参車両であると同時に、キハ183系の量産車においても、一番古い時期に製造されている車両と思われ、当該車両が残っていることはほぼ奇跡に近いです。製造年月日が新しい車両が次々と廃車されていき、中には、マイナーチェンジ版の500番台、550番台(キサロハ182形550番台など)にも一部で廃車が発生しています。
使用を開始してしまえば、1両単位で運用や車両の状態、走行距離を伴う検査周期によってそれぞれ異なってきますが、そのような中で、こうした車両が残っていることは凄いことです。

せっかくなので、搭載機関についても少し紹介したいと思います。
まず、エンジンスペックなどの詳細は以下のとおりです。

エンジンスペック | |
エンジン形式 | DML30HSI |
排気量 | 30,000cc |
定格出力(馬力) | 500PS/1,600rpm |
乾燥重量 | 4,000kg |
変速機形式 | DW9A(直結1段) |
搭載車両 | キハ182形0番台 |
DML30HSI機関について、登場時は440PSですが、110km/h運転対応に伴い、500PSへ出力が上げられています。
苗穂工場一般公開時のデータ(2017年)では、登場時の出力が記載されていました。
(2017年1月27日修正・追記)
キハ182形0番台の搭載機関は、DML30HSI(440PS/1,600rpm)です。後日紹介する機会があれば紹介したいと思いますが、乾燥重量は最新のキハ261系のエンジンと比べて2倍以上の重量です。排気量も2倍以上となっています。過給機(ターボ)は装着されています。ちなみに、最新のキハ261系のエンジンも直噴式で過給機が装着されています。このあたりも、後者は排気量を小さくしながらも出力向上を図るという、自動車業界でも昨今おなじみの小排気量+ターボという組み合わせです。
このエンジンは、キハ181系に搭載されていたDML30HS系機関(500PS/1,600rpm)の出力をパワーダウンしたものです。
パワーダウンを実施した理由ですが、おそらく、キハ181系で問題となっていたオーバーヒート対策だと思われます。キハ181系に搭載されていたDML30HS系機関は、熱効率に劣り(燃料消費量が多く高発熱)、重量過大などのさまざまな問題がありました。
ここから少しキハ181系の話題も入りますが、熱効率に劣るのであれば、冷却系において万全の対策をしなければなりません。キハ181系の中間車については、山岳路線での使用も考慮し、走行用機関のパワーダウン、車両製造コストの削減を目的に冷却ファンの採用は見送られ、自然通風式を採用しました。映像や写真などで確認したことがあると思いますが、巨大な自然通風式ラジエーターを屋根上ほぼ全体に搭載しています。
しかし、この冷却方法は先行採用した気動車でも冷却能力の不足が解決しておらず、問題が解決しないままキハ181系に採用されたことで夏場を中心に冷却系を伴うトラブルが続発し、これに伴う機関の故障が相次ぎました。記憶にある限りでは、特急「つばさ」で使用していた際、途中の板谷峠でオーバーヒートが続発し、自力登板をすることができず、結局電気機関車による補機運用を余儀なくされました。
大出力機関を搭載し、自力登板を目的として投入されましたが、肝心な熱対策が十分実施されておらず、性能を十分に発揮することができませんでした。晩年の特急「はまかぜ」などでも熱対策で最大ノッチに介入した際の制限時間が設けられていたはずですよ。
このように、先駆けとなったキハ181系の反省点を踏まえ、搭載するエンジンからパワーダウンされたり、キハ40形気動車と同じエンジンを採用したりするなど、速達化よりも車両の保守面を考慮し、負荷増大をさせずに安定して稼働させる方向へシフトしました。大出力を誇るキハ183系などと称されますが、0番台が登場したころは必ずしもそうではありませんでした。
以前紹介したキハ183形0番台もDMF15HSA(220PS/1,600rpm)機関を搭載しています。現在も旭山車の「キハ183-3」や「キハ183-4」に搭載されています。この機関はキハ40形気動車と同じエンジンです。後に最高運転速度を110km/hに向上させたことに合わせ、機関定格出力が220psから250psに向上しています。普通列車用の気動車と同じ機関を採用するあたり、当時としては、特急気動車の製造に相当苦労していた様子が伺えます。
これらも徐々に年数が経過していくにつれ、使用状況に合わせて出力増強改造や500番台以降の車両を投入・編成に組み込むことで出力不足を解消していきました。
このDML30HSI機関を搭載している車両も残り11両となりました。同機関は、ここ最近では2015年と2017年の苗穂工場一般公開の際に展示されています。今年度限りでキハ183系0番台を全て廃車にする予定なので、次回以降の一般公開の際に間近で確認することが難しくなるかもしれません。
まとまりのない記事になってしまいましたが、キハ183系の量産車第一弾の車両がほぼオリジナルの状態で現在も引き続き稼働しています。もし確認した際は記録するなりしてチェックしてみてください。
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