北海道の気動車の出力と自重の関係(1tあたりの出力計算)
気動車 - 2018年02月08日 (木)
今回は北海道における気動車の出力と自重の関係から自重1tあたりどれだけの出力を出せるか(換算)を探ります。
鉄道の世界ではあまりこうした動力性能的な比較はしないですが、管理者は鉄道のほかにも車が趣味であり、トヨタの大型車、大型トラック(日野・プロフィア)、スポーツカーが好きなこともあり、鉄道も自動車と同じ乗り物である以上、自動車と同じように動力性能を比較できるデータがないのか探っていました。
鉄道の場合、エンジン出力は公表されることは多々ありますが、肝心の自重などのデータはあまりありません。特に古い車両になると尚更です。このあたりのデータ収集に苦労しました。
自動車の場合、エンジン出力が大きい自動車ほど速いという法則はあまり成り立ちません。直線加速のみやゼロヨンなどの競技であれば、エンジン出力が大きいほど有利になります。しかし、サーキットで走らせる場合、パワーだけでなく、その自動車のトータルのバランスも重要になってきます。そのバランスとは、駆動方式別の最適な前後重量配分、空力、重心、車体及び各部の剛性、エンジン出力、ギア比など、出せばまだまだたくさん出てきますが、これらのバランスを最適化することで出力が大きい=速いという方程式が必ずしも成り立つわけではありません。
まずはパワーと重量の関係だけですが、この考え方を鉄道車両にも応用してみたくなったというのが理由の1つです。
例えば、キハ201系気動車がどうして「化け物」と呼ばれているのか、エンジン出力が大きいキハ261系よりも発車時に足取りが軽いのかなど、今回のデータはこうした疑問点に対する1つの基準、参考になり得るものです。
今回は所定の編成を参考に(一部除く)1つずつ見ていきたいと思います。
ちなみに、計算の中に車両の自重が含まれます。自重のデータについて、キハ183系については「鉄道ピクトリアル2017年9月号」、それ以外の気動車については「DCダイヤ情報21」のものを使用しています。
【キハ281系】
営業運転開始当初から「スーパー北斗」として札幌~函館間を結んでいます。営業運転開始当初は同区間を最速2時間59分、後に新札幌駅を停車駅に加えて3時間ジャストになりました。現在は3時間27分(2号)で結んでいます。
7両編成で計算してみると、約17.0PS/tでした。

【キハ283系】
キハ281系の後継車として製造され、札幌~釧路間の速達化に貢献しました。全盛期は同区間を最速3時間32分で結び、減速運転直前は3時間35分でした。現在は最高運転速度が110km/hに抑えられ、3時間58分(12号)で結んでいます。
こちらは札幌車の所定の7両編成で計算してみると、約16.8PS/tでした。
数値上ではキハ281系を下回る結果になりました。

【キハ261系0番台】
輸送密度の低い宗谷本線の高速化のために投入された車両です。機関出力を向上させ、それまでの振り子式に替わり、車体傾斜装置を搭載しています。全盛期は札幌~稚内間を最速4時間56分で結びました。現在は車体傾斜装置の仕様取り止め、最高運転速度を120km/hとしたことで、札幌~稚内間を5時間10分で結んでいます。昨年3月から「サロベツ」の運行も担い、旭川~稚内間の列車としても使用されています。
所定の4両編成で計算してみると、約18.9PS/tでした。
エンジン出力が大きいこともあり、キハ281系やキハ283系を上回ります。

【キハ261系1000番台】
宗谷本線の高速化で一定の成果を収め、老朽化したキハ183系を置き換えるために登場しました。営業運転開始当初は札幌~帯広間に投入され、同区間を最速2時間25分で結びました。同区間においては、キハ283系並みの性能をもつ気動車です。
次世代高性能特急気動車であるキハ285系の開発が中止されたことから、2015年度からも引き続き増備されています。2016年3月から「スーパー北斗」でも運行を開始し、最大10両編成も確認されます。
同車については、「スーパーとかち」と「スーパー北斗」の2種類を算出しました。
「スーパーとかち」は5両編成で計算してみると、約20.9PS/tでした。
「スーパー北斗」は最大となる10両編成で計算してみると、約21.0PS/tでした。
なぜ極端な編成数で算出したかというと、高出力の気動車の場合、増結することで1tあたりに加えられるパワー(PS)が増える傾向にあります。逆に、低出力で自重もそこそこあるキハ40形気動車の場合は1両編成から2両編成に変えて計算してもさほど数値は変わりませんでした。


【キハ183系・北斗】
かつてはキハ281系による「スーパー北斗」に引けをとらない速達性がありましたが、2013年に出火事故を起こし、約1年にわたって同型のエンジンが使用休止となり、「北斗」は所定の編成を組むことができなくなりました。2014年8月から営業運転を再開し、機関換装を含めた重要機器取替工事を経て現在に至ります。
北海道新幹線開業後は所定編成を5両編成から7両編成に増強しています。3月のダイヤ改正でキハ261系1000番台による「スーパー北斗」に置き換えられ、営業運転を終了します。
今回は機関換装前と機関換装後の編成を算出してみました。機関換装後の所定の編成が7両編成なので、機関換装前も7両編成として比べてみます。
機関換装前を計算してみると、約14.1PS/tでした。
機関換装後を計算してみると、約11.0PS/tでした。
機関換装後は、キハ182形7550番台が改番前の2550番台よりもエンジン出力が下がることから、この出力不足を補うために先頭車の出力を向上させています。それでも、速達化で黄金期だった頃よりも1tあたりの出力換算比は機関換装前に軍配が上がるようです。

【キハ183系・オホーツク・大雪】
3月ダイヤ改正後も引き続きキハ183系で活躍します。網走方面の「オホーツク」・「大雪」はキハ183系の中でも初期タイプの車両が使用されていることが特徴です。初期車は最高運転速度引き上げや、かつて寝台車の連結に際し、出力増強改造を実施した先頭車も含まれています。
「オホーツク」・「大雪」の編成については、MARS端末で登録されている編成を参考に、遠軽方を貫通型先頭車、札幌・網走方をスラントノーズ車、2号車を500番台とした4両編成としました。
計算してみると、約10.3PS/tとなりました。

【キハ201系】
札幌圏から函館本線の山線への直通運転を想定し、且つ札幌圏の過密ダイヤに対応すべく、電車と同等の性能で走行できる気動車です。以前は学園都市線でも使用していましたが、同線の一部区間が電化されたことにより、現在は札幌~倶知安・蘭越間の快速「ニセコライナー」と日中の函館本線の普通列車、区間快速「いしかりライナー」で使用されます。1両あたりの製造費用はおよそ4億円で新幹線車両に引けをとらない高額な車両です。731系電車との協調運転を実施としており、現在も全国で唯一実施されている珍しい例です。
3両編成で計算してみると、約22.9PS/tでした。
キハ261系などよりも数値的に上回ります。同車に比べて出力差はそこまでないものの、1両あたりの自重が軽いため、数値的に特急気動車を上回る結果になりました。キハ261系よりも加速が速く見える1つの参考データになります。

【キハ40形気動車】
北海道のほぼ全域にわたって活躍するローカル線用の一般型気動車です。北海道では、在籍車両の中に高出力化されたもの、急行仕様に改造されたものも多々あり、番台区分ごとにそれぞれ特徴を有しています。
キハ40形気動車について、番台区分ごとの自重データは得られませんでした。そこで、DMF15HSA機関を搭載した500番台のデータを参考に算出しました。
計算してみると、約5.9PS/tでした。
これまでの気動車の中で一番悪い数値です。DMF15HSA機関を搭載している車両は北海道にも存在し、実際に乗車してみると出力不足のようなかったるさがあります。ちなみに2両編成で計算しても数値はあまり変わりませんでした。

※写真は参考のもの
【キハ143形】
かつては学園都市線で活躍していましたが、同線の一部区間が電化されたことにより、ワンマン化改造を経て室蘭本線へと活躍の場を移し、苫小牧運転所(札トマ)に配置されるようになりました。置き換え直後は711系の3両編成からキハ143形の2両編成に変更されたことで通勤・通学時間帯の混雑が問題視されたようです。早朝と深夜には札幌圏にも顔を出します。
2両編成で計算してみると、約12.5PS/tでした。
「北斗」の機関換装後の数値を上回っています。自重が気動車の割に軽いという点が数値の伸びに影響しています。しかし、運転台が低く、客車からの改造ということで踏切事故の際などの衝撃時の対応はどのようになっているのでしょうか。運転士のケガ防止のためにもこのあたりは気になるところです。

【キハ54形500番台】
キハ54形のうち、500番台は北海道に配置されました。国鉄分割民営化に先立ち、経営難が予想される三島会社の経営基盤を確保することを目的に投入されました。これに伴い、北海道のローカル線向けの気動車では、耐候性に優れるステンレス製の車体が採用されていることにも注目です。一部機器に在来車やバスの廃車発生品を用いています。
1両で計算してみると、約12.9PS/tでした。高出力化によってキハ40形気動車よりも倍以上の数値です。
ちなみに、北海道では冬期にキハ40形気動車では出力不足に伴い、通常1両編成で運行する列車を2両編成で運行する場合があります。こうした条件が発生したとして、キハ40形気動車にキハ54形気動車を連結したとします。
この場合で計算してみると、約9.5PS/tとなりました。
積雪時は夏場と異なり、線路に積もった雪を押す力も必要となるため、通常時よりも多くのパワーを必要とします。1両編成から2両編成に増結する(ただし、出力が大きい車両)ことで、1tあたりの出力換算比が大きくなり、出力不足を避けられやすいという一つのデータが得られたと思います。

【キハ150形】
主に函館本線、富良野線、室蘭本線で活躍します。室蘭本線で活躍する車両は主に100番台で冷房装置を搭載していません。外見上の違いは客室窓が小窓化されており、開閉可能としています。
1両で計算してみると、約13.5PS/tでした。
1両単位の出力はキハ54形500番台に軍配が上がりますが、4.3t(0番台)軽く、これが数値にも影響した形となります。客車から改造されたキハ143形よりも自重が軽くて驚きました。

このように、形式別に比較してみました。あくまで数値的なものですが、
キハ201系の発車時はなぜ速いのか?
キハ183系「北斗」が極端に遅くなったのはなぜか?
こうした疑問点の1つの判断材料になります。あとは変速機の多段化でギア比を低く設定できることで加速力向上が図られるので、キハ281系がキハ283系を数値的に上回っていたとしても後者の方が走行性能的には有利ではないかと思います。
北海道の気動車では、数値的にキハ201系が一番優れていることになります。エンジン本体の出力はキハ261系が一番優れていますが、自重などで必ずしも出力の大きい気動車が走行性能で有利ということはないです。
こうして調べてみると、気動車は奥が深いですね。
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鉄道の世界ではあまりこうした動力性能的な比較はしないですが、管理者は鉄道のほかにも車が趣味であり、トヨタの大型車、大型トラック(日野・プロフィア)、スポーツカーが好きなこともあり、鉄道も自動車と同じ乗り物である以上、自動車と同じように動力性能を比較できるデータがないのか探っていました。
鉄道の場合、エンジン出力は公表されることは多々ありますが、肝心の自重などのデータはあまりありません。特に古い車両になると尚更です。このあたりのデータ収集に苦労しました。
自動車の場合、エンジン出力が大きい自動車ほど速いという法則はあまり成り立ちません。直線加速のみやゼロヨンなどの競技であれば、エンジン出力が大きいほど有利になります。しかし、サーキットで走らせる場合、パワーだけでなく、その自動車のトータルのバランスも重要になってきます。そのバランスとは、駆動方式別の最適な前後重量配分、空力、重心、車体及び各部の剛性、エンジン出力、ギア比など、出せばまだまだたくさん出てきますが、これらのバランスを最適化することで出力が大きい=速いという方程式が必ずしも成り立つわけではありません。
まずはパワーと重量の関係だけですが、この考え方を鉄道車両にも応用してみたくなったというのが理由の1つです。
例えば、キハ201系気動車がどうして「化け物」と呼ばれているのか、エンジン出力が大きいキハ261系よりも発車時に足取りが軽いのかなど、今回のデータはこうした疑問点に対する1つの基準、参考になり得るものです。
今回は所定の編成を参考に(一部除く)1つずつ見ていきたいと思います。
ちなみに、計算の中に車両の自重が含まれます。自重のデータについて、キハ183系については「鉄道ピクトリアル2017年9月号」、それ以外の気動車については「DCダイヤ情報21」のものを使用しています。
【キハ281系】
営業運転開始当初から「スーパー北斗」として札幌~函館間を結んでいます。営業運転開始当初は同区間を最速2時間59分、後に新札幌駅を停車駅に加えて3時間ジャストになりました。現在は3時間27分(2号)で結んでいます。
7両編成で計算してみると、約17.0PS/tでした。

【キハ283系】
キハ281系の後継車として製造され、札幌~釧路間の速達化に貢献しました。全盛期は同区間を最速3時間32分で結び、減速運転直前は3時間35分でした。現在は最高運転速度が110km/hに抑えられ、3時間58分(12号)で結んでいます。
こちらは札幌車の所定の7両編成で計算してみると、約16.8PS/tでした。
数値上ではキハ281系を下回る結果になりました。

【キハ261系0番台】
輸送密度の低い宗谷本線の高速化のために投入された車両です。機関出力を向上させ、それまでの振り子式に替わり、車体傾斜装置を搭載しています。全盛期は札幌~稚内間を最速4時間56分で結びました。現在は車体傾斜装置の仕様取り止め、最高運転速度を120km/hとしたことで、札幌~稚内間を5時間10分で結んでいます。昨年3月から「サロベツ」の運行も担い、旭川~稚内間の列車としても使用されています。
所定の4両編成で計算してみると、約18.9PS/tでした。
エンジン出力が大きいこともあり、キハ281系やキハ283系を上回ります。

【キハ261系1000番台】
宗谷本線の高速化で一定の成果を収め、老朽化したキハ183系を置き換えるために登場しました。営業運転開始当初は札幌~帯広間に投入され、同区間を最速2時間25分で結びました。同区間においては、キハ283系並みの性能をもつ気動車です。
次世代高性能特急気動車であるキハ285系の開発が中止されたことから、2015年度からも引き続き増備されています。2016年3月から「スーパー北斗」でも運行を開始し、最大10両編成も確認されます。
同車については、「スーパーとかち」と「スーパー北斗」の2種類を算出しました。
「スーパーとかち」は5両編成で計算してみると、約20.9PS/tでした。
「スーパー北斗」は最大となる10両編成で計算してみると、約21.0PS/tでした。
なぜ極端な編成数で算出したかというと、高出力の気動車の場合、増結することで1tあたりに加えられるパワー(PS)が増える傾向にあります。逆に、低出力で自重もそこそこあるキハ40形気動車の場合は1両編成から2両編成に変えて計算してもさほど数値は変わりませんでした。


【キハ183系・北斗】
かつてはキハ281系による「スーパー北斗」に引けをとらない速達性がありましたが、2013年に出火事故を起こし、約1年にわたって同型のエンジンが使用休止となり、「北斗」は所定の編成を組むことができなくなりました。2014年8月から営業運転を再開し、機関換装を含めた重要機器取替工事を経て現在に至ります。
北海道新幹線開業後は所定編成を5両編成から7両編成に増強しています。3月のダイヤ改正でキハ261系1000番台による「スーパー北斗」に置き換えられ、営業運転を終了します。
今回は機関換装前と機関換装後の編成を算出してみました。機関換装後の所定の編成が7両編成なので、機関換装前も7両編成として比べてみます。
機関換装前を計算してみると、約14.1PS/tでした。
機関換装後を計算してみると、約11.0PS/tでした。
機関換装後は、キハ182形7550番台が改番前の2550番台よりもエンジン出力が下がることから、この出力不足を補うために先頭車の出力を向上させています。それでも、速達化で黄金期だった頃よりも1tあたりの出力換算比は機関換装前に軍配が上がるようです。

【キハ183系・オホーツク・大雪】
3月ダイヤ改正後も引き続きキハ183系で活躍します。網走方面の「オホーツク」・「大雪」はキハ183系の中でも初期タイプの車両が使用されていることが特徴です。初期車は最高運転速度引き上げや、かつて寝台車の連結に際し、出力増強改造を実施した先頭車も含まれています。
「オホーツク」・「大雪」の編成については、MARS端末で登録されている編成を参考に、遠軽方を貫通型先頭車、札幌・網走方をスラントノーズ車、2号車を500番台とした4両編成としました。
計算してみると、約10.3PS/tとなりました。

【キハ201系】
札幌圏から函館本線の山線への直通運転を想定し、且つ札幌圏の過密ダイヤに対応すべく、電車と同等の性能で走行できる気動車です。以前は学園都市線でも使用していましたが、同線の一部区間が電化されたことにより、現在は札幌~倶知安・蘭越間の快速「ニセコライナー」と日中の函館本線の普通列車、区間快速「いしかりライナー」で使用されます。1両あたりの製造費用はおよそ4億円で新幹線車両に引けをとらない高額な車両です。731系電車との協調運転を実施としており、現在も全国で唯一実施されている珍しい例です。
3両編成で計算してみると、約22.9PS/tでした。
キハ261系などよりも数値的に上回ります。同車に比べて出力差はそこまでないものの、1両あたりの自重が軽いため、数値的に特急気動車を上回る結果になりました。キハ261系よりも加速が速く見える1つの参考データになります。

【キハ40形気動車】
北海道のほぼ全域にわたって活躍するローカル線用の一般型気動車です。北海道では、在籍車両の中に高出力化されたもの、急行仕様に改造されたものも多々あり、番台区分ごとにそれぞれ特徴を有しています。
キハ40形気動車について、番台区分ごとの自重データは得られませんでした。そこで、DMF15HSA機関を搭載した500番台のデータを参考に算出しました。
計算してみると、約5.9PS/tでした。
これまでの気動車の中で一番悪い数値です。DMF15HSA機関を搭載している車両は北海道にも存在し、実際に乗車してみると出力不足のようなかったるさがあります。ちなみに2両編成で計算しても数値はあまり変わりませんでした。

※写真は参考のもの
【キハ143形】
かつては学園都市線で活躍していましたが、同線の一部区間が電化されたことにより、ワンマン化改造を経て室蘭本線へと活躍の場を移し、苫小牧運転所(札トマ)に配置されるようになりました。置き換え直後は711系の3両編成からキハ143形の2両編成に変更されたことで通勤・通学時間帯の混雑が問題視されたようです。早朝と深夜には札幌圏にも顔を出します。
2両編成で計算してみると、約12.5PS/tでした。
「北斗」の機関換装後の数値を上回っています。自重が気動車の割に軽いという点が数値の伸びに影響しています。しかし、運転台が低く、客車からの改造ということで踏切事故の際などの衝撃時の対応はどのようになっているのでしょうか。運転士のケガ防止のためにもこのあたりは気になるところです。

【キハ54形500番台】
キハ54形のうち、500番台は北海道に配置されました。国鉄分割民営化に先立ち、経営難が予想される三島会社の経営基盤を確保することを目的に投入されました。これに伴い、北海道のローカル線向けの気動車では、耐候性に優れるステンレス製の車体が採用されていることにも注目です。一部機器に在来車やバスの廃車発生品を用いています。
1両で計算してみると、約12.9PS/tでした。高出力化によってキハ40形気動車よりも倍以上の数値です。
ちなみに、北海道では冬期にキハ40形気動車では出力不足に伴い、通常1両編成で運行する列車を2両編成で運行する場合があります。こうした条件が発生したとして、キハ40形気動車にキハ54形気動車を連結したとします。
この場合で計算してみると、約9.5PS/tとなりました。
積雪時は夏場と異なり、線路に積もった雪を押す力も必要となるため、通常時よりも多くのパワーを必要とします。1両編成から2両編成に増結する(ただし、出力が大きい車両)ことで、1tあたりの出力換算比が大きくなり、出力不足を避けられやすいという一つのデータが得られたと思います。

【キハ150形】
主に函館本線、富良野線、室蘭本線で活躍します。室蘭本線で活躍する車両は主に100番台で冷房装置を搭載していません。外見上の違いは客室窓が小窓化されており、開閉可能としています。
1両で計算してみると、約13.5PS/tでした。
1両単位の出力はキハ54形500番台に軍配が上がりますが、4.3t(0番台)軽く、これが数値にも影響した形となります。客車から改造されたキハ143形よりも自重が軽くて驚きました。

このように、形式別に比較してみました。あくまで数値的なものですが、
キハ201系の発車時はなぜ速いのか?
キハ183系「北斗」が極端に遅くなったのはなぜか?
こうした疑問点の1つの判断材料になります。あとは変速機の多段化でギア比を低く設定できることで加速力向上が図られるので、キハ281系がキハ283系を数値的に上回っていたとしても後者の方が走行性能的には有利ではないかと思います。
北海道の気動車では、数値的にキハ201系が一番優れていることになります。エンジン本体の出力はキハ261系が一番優れていますが、自重などで必ずしも出力の大きい気動車が走行性能で有利ということはないです。
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