L特急「スーパーカムイ」運行終了から1年
特急列車 - 2018年03月11日 (日)
正式には昨年の3月3日までとなりますが、「スーパーカムイ」が営業運転を終了してから1年が経過しました。


営業運転開始は2007年10月1日です。従来、札幌~旭川間を結ぶ特急列車は785系による「スーパーホワイトアロー」と781系による「ライラック」が運行されていましたが、後者を789系1000番台に置き換えることで所要時間やサービスを同一とすることから、わかりやすさを目的に名称の統一を実施しました。
名称については、一般公募という形がとられ、応募総数8,846件の中から582の応募数があった「スーパーカムイ」に決定し、10月1日のダイヤ改正から引き続き活躍する785系とともに名称の統一が実施されました。
およそ10年の活躍期間の間に、高速道路無料化社会実験の影響による利用客減少及び、減速・減便措置によって本数を減らし、2016年3月ダイヤ改正を機に、新千歳空港駅乗り入れも廃止となり、札幌~旭川間のみの運転となりました。運行体系に変化はあったものの、「スーパーカムイ」で築き上げた運行体系こそ、今後のJR北海道に必要なものでした。

旭川駅に停車中の789系1000番台及び、785系による「スーパーカムイ」です。
車両こそ785系と789系1000番台で異なるものの、789系1000番台は785系と共通運用を図るべく投入した車両であり、車内設備を極力前者に合わせました。全国的には珍しい異形式による運用の共通化を実現し、これによって車両繰りの自由度が大幅に向上しました。
例えば、現在のように「カムイ」と「ライラック」で設備の異なる車両を同時に運行している状況であれば、共通運用を実施することはできません。この場合、予備の車両についても別々に用意しなければならず、結果的に車両の保有数が増える要因の1つにもなります。
しかし、車両を共通化しておくことでこうした問題は発生しづらくなり、車両故障時においても、「すずらん」で使用していた車両を「スーパーカムイ」に回すなど、柔軟な対応ができることが利点として挙げられ、この逆パターンも含め、実際に何度か実施されたことがありました。

運用を分けてしまったことで「ライラック」で車両不具合等が発生した場合は789系1000番台が「臨時特急」として代走しています。指定席も車内で発売し、グリーン券や一部指定席券は到着駅で払い戻しが実施されるなど、大きな影響を与えるわけではありませんが、駅業務の負担が増える一因にもなっています。


2017年3月3日のL特急「スーパーカムイ45号」(下り最終列車)は789系1000番台HL-1001編成で、

L特急「スーパーカムイ46号」(上り最終列車)は785系NE-4編成で幕を下ろしました。

昨年の3月ダイヤ改正以降、「スーパーカムイ」は旭川駅で特急列車との接続を担う「ライラック」と、引き続き789系1000番台が充当される「カムイ」に引き継がれました。名称やサービスも含めると、後継列車としては後者の方がイメージが強いですね。
ヘッドマークは従来の物から「スーパー」が取り外されたシンプルなものになりました。
札幌~旭川間の道央圏の輸送が大きく変更されてから1年が経過しました。この1年間の様子をみていると、789系0番台による「ライラック」の車両不具合等が冬期に集中している点に目がいきます。特に、今年に入ってからは代走運転が一年を通じて多く確認される宗谷線特急よりも多くなっています。経年が浅い789系0番台といえど、元々は一部は2002年から「スーパー白鳥」として道内⇔本州の輸送で使用されてきた車両で、車齢は15年以上経過するものもあります。
これまでの781系や785系といった特急電車の使用状況を踏まえると、活躍は30年弱となっており、789系0番台もその人生の折り返し地点に到達していることになります。使用環境が道南と道央で異なることが原因なのか不明ですが、予想以上に代走運転が多くて驚いています。
今後しばらくの間は789系1000番台による「カムイ」と789系0番台による「ライラック」の二本体制で札幌~旭川間の輸送の大半を担うことになります。
次の転機が訪れると推測するのは2030年前後です。
2030年前後となると、北海道新幹線の札幌延伸の時期と重なると同時に、789系0番台が車齢30年弱に到達します。1000番台についても置き換え計画が出させる時期であり、そうした意味では、「スーパー北斗」の区間縮小、「すずらん」の増発なども合わせて、789系の後継車が必要とされる時期になります。
将来的な車両の在り方としては、やはり車両のメンテナンス、車種を1つに絞ることでサービスの共通化を図ることが第一に必要です。これは今回の記事のメインである「スーパーカムイ」で得たノウハウです。
789系0番台という限られた資源且つ輸送状況が全く異なる転用車を活用するにあたり、運用を分けた現在の体制は致し方ない部分もありますが、使用する車両数を減らすことや、車両数を絞ることで車両メンテナンスに有利にしておく必要があります。これは、人材不足が問題視されているJR北海道にとって有効な一手であることは言うまでもありません。電車特急においても、将来的なキハ261系1000番台のような構想とし、かつての「スーパーカムイ」のような柔軟な対応ができる車両繰り、サービスの統一が必要です。
そういった意味では、「スーパーカムイ」が残した功績は大きく、今後JR北海道の鉄道輸送において進むべき道を教えてくれた列車の1つだったと思います。「スーパーカムイ」が運行を終了し、運行体系が崩れてしまったことは残念ですが、789系が引退の時期を迎えるであろう10年後にまた同列車のノウハウを生かした車両繰り、輸送が実施されることを期待します。
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営業運転開始は2007年10月1日です。従来、札幌~旭川間を結ぶ特急列車は785系による「スーパーホワイトアロー」と781系による「ライラック」が運行されていましたが、後者を789系1000番台に置き換えることで所要時間やサービスを同一とすることから、わかりやすさを目的に名称の統一を実施しました。
名称については、一般公募という形がとられ、応募総数8,846件の中から582の応募数があった「スーパーカムイ」に決定し、10月1日のダイヤ改正から引き続き活躍する785系とともに名称の統一が実施されました。
およそ10年の活躍期間の間に、高速道路無料化社会実験の影響による利用客減少及び、減速・減便措置によって本数を減らし、2016年3月ダイヤ改正を機に、新千歳空港駅乗り入れも廃止となり、札幌~旭川間のみの運転となりました。運行体系に変化はあったものの、「スーパーカムイ」で築き上げた運行体系こそ、今後のJR北海道に必要なものでした。

旭川駅に停車中の789系1000番台及び、785系による「スーパーカムイ」です。
車両こそ785系と789系1000番台で異なるものの、789系1000番台は785系と共通運用を図るべく投入した車両であり、車内設備を極力前者に合わせました。全国的には珍しい異形式による運用の共通化を実現し、これによって車両繰りの自由度が大幅に向上しました。
例えば、現在のように「カムイ」と「ライラック」で設備の異なる車両を同時に運行している状況であれば、共通運用を実施することはできません。この場合、予備の車両についても別々に用意しなければならず、結果的に車両の保有数が増える要因の1つにもなります。
しかし、車両を共通化しておくことでこうした問題は発生しづらくなり、車両故障時においても、「すずらん」で使用していた車両を「スーパーカムイ」に回すなど、柔軟な対応ができることが利点として挙げられ、この逆パターンも含め、実際に何度か実施されたことがありました。

運用を分けてしまったことで「ライラック」で車両不具合等が発生した場合は789系1000番台が「臨時特急」として代走しています。指定席も車内で発売し、グリーン券や一部指定席券は到着駅で払い戻しが実施されるなど、大きな影響を与えるわけではありませんが、駅業務の負担が増える一因にもなっています。


2017年3月3日のL特急「スーパーカムイ45号」(下り最終列車)は789系1000番台HL-1001編成で、

L特急「スーパーカムイ46号」(上り最終列車)は785系NE-4編成で幕を下ろしました。

昨年の3月ダイヤ改正以降、「スーパーカムイ」は旭川駅で特急列車との接続を担う「ライラック」と、引き続き789系1000番台が充当される「カムイ」に引き継がれました。名称やサービスも含めると、後継列車としては後者の方がイメージが強いですね。
ヘッドマークは従来の物から「スーパー」が取り外されたシンプルなものになりました。
札幌~旭川間の道央圏の輸送が大きく変更されてから1年が経過しました。この1年間の様子をみていると、789系0番台による「ライラック」の車両不具合等が冬期に集中している点に目がいきます。特に、今年に入ってからは代走運転が一年を通じて多く確認される宗谷線特急よりも多くなっています。経年が浅い789系0番台といえど、元々は一部は2002年から「スーパー白鳥」として道内⇔本州の輸送で使用されてきた車両で、車齢は15年以上経過するものもあります。
これまでの781系や785系といった特急電車の使用状況を踏まえると、活躍は30年弱となっており、789系0番台もその人生の折り返し地点に到達していることになります。使用環境が道南と道央で異なることが原因なのか不明ですが、予想以上に代走運転が多くて驚いています。
今後しばらくの間は789系1000番台による「カムイ」と789系0番台による「ライラック」の二本体制で札幌~旭川間の輸送の大半を担うことになります。
次の転機が訪れると推測するのは2030年前後です。
2030年前後となると、北海道新幹線の札幌延伸の時期と重なると同時に、789系0番台が車齢30年弱に到達します。1000番台についても置き換え計画が出させる時期であり、そうした意味では、「スーパー北斗」の区間縮小、「すずらん」の増発なども合わせて、789系の後継車が必要とされる時期になります。
将来的な車両の在り方としては、やはり車両のメンテナンス、車種を1つに絞ることでサービスの共通化を図ることが第一に必要です。これは今回の記事のメインである「スーパーカムイ」で得たノウハウです。
789系0番台という限られた資源且つ輸送状況が全く異なる転用車を活用するにあたり、運用を分けた現在の体制は致し方ない部分もありますが、使用する車両数を減らすことや、車両数を絞ることで車両メンテナンスに有利にしておく必要があります。これは、人材不足が問題視されているJR北海道にとって有効な一手であることは言うまでもありません。電車特急においても、将来的なキハ261系1000番台のような構想とし、かつての「スーパーカムイ」のような柔軟な対応ができる車両繰り、サービスの統一が必要です。
そういった意味では、「スーパーカムイ」が残した功績は大きく、今後JR北海道の鉄道輸送において進むべき道を教えてくれた列車の1つだったと思います。「スーパーカムイ」が運行を終了し、運行体系が崩れてしまったことは残念ですが、789系が引退の時期を迎えるであろう10年後にまた同列車のノウハウを生かした車両繰り、輸送が実施されることを期待します。
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