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来年度以降、H100形電気式気動車を40両投入へ

一時、資金調達が困難で量産化が見送られていたH100形電気式気動車ですが、ようやく量産化にGOサインが出たようです。

12月5日付の交通新聞によると、来年度から5年間でH100形を40両投入し、老朽化した車両を置き換えるとしています。



改めて、H100形電気式気動車について紹介したいと思います。

同車は今年の2月に本州から甲種輸送で北海道入りした新型一般気動車の試作車です。愛称名は「DECMO」です。込められた意味は、「Diesel Electric Car with MOtors」の略です。モーターで走行する電気式ディーゼルカーであることを表現しています。

JR北海道が過去に開発したキハ285系とは仕組みが異なり、ディーゼルエンジンの動力で発電した電力によりモーターで走行します。

老朽化したキハ40形気動車の置き換え用として投入する計画で、JR東日本初の電気式気動車GV-E400系をベースに、北海道での使用を前提とした極寒対策を実施した車両になります。エクステリアは733系などといった北海道で活躍するほかの車両似たデザインとはならず、基本仕様を合わせたGV-E400系に似たエクステリアとなります。

エクステリアの配色は、新しさ・北海道らしさを表現し、シャープでエッジ感のある先頭形状とします。キハ261系1000番台と同様、車両全面には警戒色として黒と黄の前面配色を採用し、車体側面はグリーンとホワイトのラインで自然との調和を表現しています。

インテリアは、北海道の自然を表現したブルーやグリーンを中心としたデザインとされ、事前資料によるイメージでは仕切なども設けられていることから、外からの冷気を少しでもシャットアウトするような構造とし、このあたりは733系のノウハウがフィードバックされていることでしょう。半自動扉機能も有していると思われます。また、床の高さを従来のキハ40形気動車よりも9cm低くした115cmとし、身体の不自由な方でも乗り降りしやすい構造としています。

1両あたりの製造費用がおよそ2億円からということで意外と高額な車両です。試作車投入分で単純に4億円になります。一般型気動車にしては高額な製造費用です。

以前まで、今後走行試験を通じて二冬期の検証を行ったうえで、2019年度以降の量産車製作を予定し、数年かけて70両を更新する予定でしたが、製造費用が高額であり、国に30年度まで年300億円の支援を求めたものの、認められなかったため、資金確保の見通しが立たず、車両の更新は一旦見送られていました。

実は、先日特急気動車17両と721系24両を置き換えるという内容の記事で使用した資料「安全投資と修繕に関する5年間の計画」にも記載されていましたね。





今年度にH100形電気式気動車の新製が明記されています。おそらく今年度はもう北海道入りすることは厳しいでしょうが、車両の発注や会計処理等の関係で18年度の記載となっているのではないでしょうか。

5年間の計画では両数までは明記されていないものの、先日の報道で40両が今後5年間で新製されるようです。当初は既存の老朽化した一般気動車を70両置き換える予定でしたが、資金繰りが厳しいため、一旦更新を見送った後、新製計画が更新されたと予想しています。

将来的に、北海道新幹線の札幌延伸による函館本線の一部区間の経営分離、不採算路線の整理とともに、車両を共通化することで車両メンテナンス向上を図るとともに、車両の全体の保有数を減らす目的があります。40両を新たに投入することに対して、おそらく40両以下がそのまま置き換えられることは考えにくく、老朽・劣化の激しい50両程度をまず置き換えるのではないでしょうか。

昨今、単独で維持することが困難な道内の8区間に対し、路線維持に向けて国に地方財政措置を要求したものの、調整が難航して見送られることになりました。これにより、これら8区間の財政支援は道からの数億円規模に縮小する見通しです。

この問題と絡めて、H100形の新製にリスクを抱いている書き込み等が散見されますが、この地方財政措置と車両の新製は全くの別問題です。



上述のとおり、今回報道された今後5年間におけるH100形の新製は「安全投資と修繕に関する5年間の計画」に基づいて実施されます。

この5年間の計画の基本的な考え方は、安全投資と修繕を最優先としたうえで計画を推進することです。当計画実施期間は、2014年度から2018年度の5年間です。

当計画における資金の確保について、2011年度以降に措置された国からの600億円の設備投資支援を前倒しして活用するとともに、経営安定基金の評価益の一部実現化や保有する資産の売却等を行い、最大限の努力によって確保します。

まずこれによって、国からの支援が1,400億円になり、さらに資産等の売却によって修繕や車両の更新等に使える額はこれよりも増えているはずです。

この1,400億円は安全投資に全て使われるわけですが、ここから車両の老朽対策として老朽・劣化の激しい車両の更新、軌道強化や管理の見直し等に充てられます。

さらに、「安全投資と修繕に関する5年間の計画」を実施するにあたり、最大限努力してもなお資金が不足することから、2016年度から2019年度にかけてさらに1,200億円の追加支援措置が講じられます。この1,200億円の内訳は、設備投資への支援が600億円、修繕費への支援が600億円です。

ここでお詫びですが、先日掲載した記事で、この追加支援分の1,200億円を「安全投資と修繕に関する5年間の計画」の支援金額と勘違いしてしまいました。申し訳ありません。


これにより、総額2,600億円を車両の更新、軌道強化や管理の見直し等に充てられるとともに、設備投資や修繕費を追加支援分で補われることで、老朽・劣化の激しい車両の置き換え計画が当初見込んだ規模よりも大きく進展することでしょう。それが、キハ261系の新製継続であったり、今回のH100形の新製だったりします。後者について当初の製造計画よりは少ないものの、無事に量産化が進み、老朽・劣化の激しいキハ40形気動車の一部から置き換えていくことができそうです。

一般型気動車がようやく新製車両に置き換えられるわけですが、北海道で電気式気動車の採用例がなく、果たして北海道という厳しい条件下で末永く使用できるのか気になるところです。

JR東日本のGV-E400系がベースということで夏季は問題なさそうですが、冬季はこれに寒冷地仕様向けに対策を施しただけで通用する車両なのでしょうか。かつての485系1500番台のように、本州では通用しても北海道は通用しない車両だったら話になりません。

利点として燃料費を安く抑えられ、構造がシンプルでメンテナンス時の負担軽減が期待されています。しかしながら、北海道でこうした車両の前例がないため、車両の寿命は全くの未知数です。この先、少なくともしばらくの間は車両の更新がまともにできなくなるでしょう。そのような中、すぐに壊れるような車両を投入しては意味がありません。少なくとも老朽・劣化の激しいキハ40形気動車並みの年数を使用することを想定しなければ、新しいH100形も使いものになりません。

いくつかの不安要素はあるものの、とりあえず量産化にGOサインが出たことでローカル線の輸送改善は多少なりとも図られそうですね。










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コメント
8103:ようやく量産ですか by RC on 2018/12/08 at 20:53:40 (コメント編集)

記事拝見いたしました。

当方として気になる点は2つです。
1つは、現在在籍している2両の試作車による冬季試運転の結果はどうだったのか、これで良好な結果が出れば量産されても十分な活躍が見込まれると思います。今シーズンの冬の試運転の成果に期待したいです。
もう1つは、量産車がどこに配属されるのか、というところです。現在、道内で一般型気動車を管理している車両基地は苗穂(キハ40が19両配属)、苫小牧(キハ40が29両配属)、釧路(キハ40が30両、キハ54が14両配属)、旭川(キハ40が32両、キハ54が14両配属)、そして函館(いさりび鉄道所有を除くキハ40が16両配属)となっています。(交友社「鉄道ファン」2018年7月号付録「JR旅客会社の車両配置表」による)
運用の効率を高めるには、車両基地単位で一気に入れ替えてしまうのが得策かと思われますが、どのようになるのかが興味深いところです。

8104: by ナナッシー on 2018/12/09 at 21:07:34

こんばんは
鉄道ファン誌に記載されてましたが、起動加速度711系と同じ1.1km/h/sみたいです。
最高速度は100km/hに設定されてます。
キハ143形やキハ150形は最高速度110km/hに設定されてます。
せめて110km/hにして欲しかったです。

キハ40が140両増備されたのは、今よりも多くの路線があったためです。
キハ40、キハ54、キハ150を仮に全部置き換えたとしても、H100系は140両程度増備すれば間に合います。
ただ、そこまで車両を増備するほどの資金力がないので、さらなる運用の見直しが必要になります。

8106:不安&希望&夢物語! by ピカチュウ親方 on 2018/12/10 at 02:29:23

H100の予算はついた様で、とりあえずはって、感じですかな?。

さて、基本内地ベースの車両を持っていって、485系1500番台みたいにならないかについてですが、多分ですが大丈夫だろうと思います。

根拠はキハ150系です。

かなり違いはあるものの、やはりJR東日本のキハ110系の仕様変更程度の物。

キハ150系のトラブルは、内地の千葉在住の私には分かりかねますが、そんな大きなトラブルは多分無いですよね。

とは言え、電気式と言う機構に不安は残りますが、かつてJR北海道でも、キハ160を改造したハイブリットを走らせているから多少の、ノウハウはあるでしょうね。

いや、あると信じたい(笑)。

さて、H100が導入されれば、多分キハ40は余るでしょうね。

以下は私の勝手な妄想ですが、釧網線にキハ40改造の、レストラン列車を走らせて欲しいと思います。

四国の伊予灘ものがたりは、そのサービスの良さから新規客のみならずリピート客も増え、一時は利用者減少傾向であった予讃線の向井原-伊予大洲間の利用者増加に一役かっています。

同じ手法では面白く無いので、釧網線の駅にある喫茶店監修のメニューを月替わりで提供したりして、リピート客を増やせば良いでしょう。

更に、おおぞらやオホーツクに乗車した客には、オマケをつけたり、そのグリーン車に乗車した場合は、オマケがグレードUPするなどすれば、尚面白いとおもうのですが、どうでしょう?。

8110: by 管理人 on 2018/12/10 at 21:04:51

>>「RC」さん、コメントありがとうございます。

冬期の試験が概ねよかったことから、投入するという流れではないでしょうか。老朽・劣化の激しいキハ40形気動車から置き換えていくことになりますから、延命工事が実施されている1700番台はまだ活躍が見込まれると思われ、この延命工事が実施されていない700番台あたりが置き換え対象になるのではないでしょうか。

H100形は空転対策等も実施されており、石北本線を含めた勾配路線・線区での使用を優先するかもしれませんね。

8111: by 管理人 on 2018/12/10 at 21:11:07

>>「ナナッシー」さん、コメントありがとうございます。

あくまでキハ40形気動車を置き換えるためにH100形を投入するわけですから、最高運転速度よりも安全性、車両メンテナンス向上、ランニングコスト削減に徹していればそれでいいわけです。ローカル線輸送に特急列車以外に速達性を求めてもあまり意味をなさないですね。

キハ54形500番台などの車両の置き換えは不透明であり、今後これらの車両も老朽化してきます。出力が確保され、ステンレス車体ということで重宝されそうですが、いずれは置き換えを検討しなければなりません。資金繰りが困難で運用の見直しが必要とはいえ、置き換えは当面先の話になりそうです。

まだまだ置き換え計画は問題が山積みですね。

8113: by 管理人 on 2018/12/10 at 21:30:52

>>「ピカチュウ親方」さん、コメントありがとうございます。

キハ150形気動車は大きなトラブルはありません。道南から道央まで幅広い地域で主に活躍しています。

それまでエンジンを動力源にしていたものがモーターに切り替わり、これによって車両の寿命などが未知数になりました。いくら燃料代がかからない、ランニングコストが有利になるとはいえ、このあたりの不安要素はあります。

レストラン列車は面白い発想ですが、残念ながら本州の成功例は北海道には通用しません。釧網本線となれば、距離的な問題から注目されても人が集まるかと言われれば答えを出し兼ねます。

北海道新幹線もあれだけ期待されたのに、今や足を引っ張る存在になり、新函館北斗駅のテナントも立ち退きが相次いでいるそうですね。「新幹線=利用する」というこれまでの方程式が崩れた瞬間でもありましたね。

レストラン列車のような観光資源になり得るものを走らせるのであれば、集客効果が期待できる大都市近郊や大規模な空港ターミナル付近を走行する列車にした方が利用してもらえると思います。北海道であれば道央圏ですね。

8118: by シニアパートナー on 2018/12/11 at 15:04:55 (コメント編集)

置き換えはキハ40のうち機関換装していない700番台から順次行われるでしょう。機関換装又は高出力車は何かと重宝されるので、少なくてもその後になると思います。
電気式の耐久性は未知数ですが、機関車ではDF200の実績もありそれ程気にしておりません。

ローカル線の新たな起爆剤となってくれることを願っています。

8120: by 管理人 on 2018/12/12 at 00:52:32

>>「シニアパートナー」さん、コメントありがとうございます。

機関換装を実施しても延命化はされていない400番台や350番台がありますが、札沼線や日高本線が将来的に廃止になると、これらの車両を置き換える車両そのものが不要になります。

よって、延命化が実施されていない700番台が置き換えの最有力候補になりますね。

新たな車両が投入されることの期待感とともに、若干の不安もありますが、北海道の一般型気動車として末永く活躍してくれることを期待します。

8415:いよいよ量産車が登場 by 龍 on 2019/03/30 at 21:06:06 (コメント編集)

事業計画や報道によると、2019年度に普通列車用の車両を13両新製する予定です。

事業計画には「H100形電気式気動車量産車を新製し、キハ40形気動車の更新を進める」「731系電車等の重要機器取替え工事を推進」「快速『エアポート』の毎時5本化」という記載がありましたが、「733系電車の新製」については記載されていないため、今回増備される13両は全てH100形の量産車と推測されます。

この他、気になる記述としては「新型ラッセル気動車を新製」というものがありました。JR西日本が積雪の多い線区で導入している除雪用のキヤ143形事業用気動車の北海道版のような車両でしょうか?

8418: by 管理人 on 2019/03/31 at 02:36:06

>>「龍」さん、コメントありがとうございます。

いよいよH100形の量産車が新製されますね。小樽方面や上川方面で試運転を実施していたことから、これらの方面から投入されていくことになりそうです。

733系の増備は実施されませんが、将来的に中期経営計画では、快速「エアポート」の7両編成化というものが盛り込まれていたと記憶しています。日ハムの新球場オープンとともに今後実施されるのではないでしょうか。ラッセル車の新製については、「気動車」という記載が気になりますね。

8438:承認待ちコメント by on 2019/04/06 at 11:18:41

このコメントは管理者の承認待ちです

8631:H100形量産車が到着 by 龍 on 2019/09/07 at 10:07:46 (コメント編集)

川崎重工業車両カンパニー兵庫工場にて製造された、JR北海道のH100形電気式気動車の量産車6両(H100-3〜8)が北海道に到着しました。全て苗穂運転所に配置されます。

8633: by 管理人 on 2019/09/12 at 07:34:49

>>「龍」さん、コメントありがとうございます。

管理者も到着後の様子を確認することができました。苗穂運転所配置で山線への投入も決まりましたね。後日記事で掲載したいと思います。

返事が遅くなり、申し訳ありませんでした。

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