【コラム】冬季に車両故障が相次ぐ789系0番台・特急「ライラック」
785・789系 - 2019年02月23日 (土)
昨今、札幌~旭川間で789系0番台を使用した特急「ライラック」の運休が相次ぎ、運休分は同じ時刻で「臨時特急」を走らせています。

「臨時特急」は、同区間の「カムイ」で使用する789系1000番台を充当します。
基本的には、ヘッドマーク」は「臨時」を表示しますが、稀に「ライラック」と表示されることもあるようです。管理者もようやく確認することができたので、それは後日紹介します。
789系1000番台はほかにも・・・

上述のとおり、札幌~旭川間の「カムイ」のほか、

785系と共通で札幌~東室蘭・室蘭間の「すずらん」としても使用されています。道央圏の電車特急としては申し分ない、汎用性が高い車両です。

写真は昨年の1月25日に野幌駅で撮影した特急「ライラック23号」代走の「臨時特急」です。
このような猛吹雪の中でも、日によって札幌~旭川間を何度も往復しています。どんな列車にも使用でき、且つ壊れない。それが789系1000番台の魅力です。
一方で・・・
789系0番台の「ライラック」は車両故障が相次ぎ、昨今車両繰りに大変苦慮しています。
先日は一時的に6両編成×2本で車両不具合が発生してしまいました。また、別の1本が苗穂工場い入場しており(出場済み)、窮地に追い込まれましたね。
JR北海道の車両ガイドでも正式に高速列車と紹介されており、冬季は・・・




このように、雪煙を豪快に巻き上げて通過していくシーンを撮影することができます。
これがなかなか難しいんですよね。
実は789系0番台は、日本一の電車特急であったりします。
それを示すのが速度種別です。速度種別とは、鉄道車両の性能を比較するうえでの一種の参考データになり得るものです。直線で上り勾配10‰における均衡速度(速度制限等を考慮しない場合の最高速度)を表します。
789系は0番台と1000番台でそれぞれ異なりますが、前者がA75(速度換算175km/h)、後者がA60(速度換算160km/h)となっています。0番台については、全国の在来線の交流電車はおろか、在来線の営業列車で使用される電車で一番よい数値であり、これは400系新幹線「つばさ」やE3系新幹線「こまち」の在来線区間における速度種別をも上回ります。
0番台も1000番台も乗車していると、かなり静かで快適であり、その割には中速域から高速域の加速がとても優れているように感じます。営業運転を実施する札幌~旭川間で発車からトップスピード(120km/h)まで一気に加速するのは美唄駅と砂川駅発車時だけですが、だいたいトップスピードに到達するまで1分(60秒)です。乗用車で少しアクセルを踏むような感覚で静かに力強く加速していきます。
一度乗車したらやめられません。鉄道ファンであれば、ぜひとも体験していただきたいですね。
789系0番台は、2016年3月の北海道新幹線開業直前まで道内と本州を結ぶ「スーパー白鳥」として使用されていました。道央圏では、785系の一部置き換えが迫っていたこともあり、1年間の転用改造を経て翌2017年3月ダイヤ改正で札幌~旭川間の「ライラック」として営業運転を再開しました。
ここでおさらいですが、道央圏転用に伴い、耐寒・耐雪構造が強化されています。
道央圏転用に伴う改造は以下のとおりです。
【保安装置及び運転台関係】
津軽海峡線区間でATCを使用していましたが、道央圏転用後は必要がないことから、保安装置をATS-DNとしました。また、抑制ブレーキ等も必要なくなるため、マスコン関係機器の改造を実施しました。抑制ブレーキ等とは、青函トンネル区間の下り勾配走行に備え、抑速装置として回生ブレーキを装備していたようです。
【車体関係】
戸袋戸先にヒーターを増設し、また運転台の熱線ガラス電源容量も増加することで耐寒耐雪性を向上させました。MMBMの雪の吸入量を減少させるため、吸気口を車両妻側に移設しています。(※MMBM関係は29年度冬期までに全6編成完了)
MMBMとは、抵抗器に送風する主電動送風機のことを指すようです。詳しく知りませんが、おそらく機器冷却用の熱対策のためのものです。厳冬期の高速走行で雪煙によって雪が吸入してトラブルの原因となると思われ、これを移設した形になります。


施工直後の「モハ788-104」の写真です。従来の車体側面部の外気取り入れ口は塞がれ、吸気口を車両妻側に移設していますね。
【台車関係】
道央圏で使用する合金鋳鉄制輪子(乙32改F振子)に変更し、ブレーキテコ比を変更しています。
車両故障の原因は一部報道されていますが、架線からの電気供給が一時的に遮断されるというものです。電車は基本的に、架線からパンタグラフを通じて電気を取り入れ、パンタグラフとモーターの間に抵抗器を設置し、流れる電流の量を制御することで電車の速度などを調節します。電気供給遮断ということは、抵抗器で不具合が発生した可能性があります。
抵抗器といえば、道央圏転用の際に改造されている箇所です。移設した冷却用の空気の吸入口から雪が入って凍ったか、MMBM(抵抗器に送風する主電動送風機)が故障し、抵抗器がオーバーヒートして機能しなくなったか。
細かいところまでは不明ですが、785系や789系1000番台ではあまり聞いたことのないトラブルです。
いずれにしても、冬季に代走運転が実施されることが多く、寒さや雪が車両故障の原因の1つになっている可能性は高そうです。
道央圏に転用した789系0番台は、登場時期が早い車両で今年で17年目に入ります。道央圏でこれまで活躍した781系や785系の一部車両が登場から30年弱で引退しています。ということは、789系0番台もあと10年程度道央圏での使用が見込まれるのではないでしょうか。
2018年度から2021年度にかけて0番台の1次車と2次車の計30両で重要機器の取替が予定されており、工事施工によって冬季のトラブルがなくなることを期待しましょう。
または、輸送の改善策を実施する必要があるかもしれません。というのも、冬季に弱いのであれば、降雪量が少ない地域で使用する方法もありです。それが札幌~東室蘭・室蘭間の「すずらん」での使用です。同じ北海道内とはいえ、苫小牧・室蘭方面は降雪量が少なく、かつての函館方面と気候もよく似ています。
札幌~旭川間で使用する際は、「大雪」と「サロベツ」の接続の役割を果たせばよいわけですから、その接続列車にのみ「ライラック」として充当させ、ほかは札幌~東室蘭・室蘭間の「すずらん」として活用する。要は、現在の0番台と1000番台(785系含む)の役割を入れ替える形にした方が、こうした車両トラブルも回避または少なくできるかもしれません。
道央圏転用からまもなく2年が経過しますが、転用されてまだ時間が経過していないにも関わらず、ここまで車両故障や代走が多いと困ります。冬季は稚内方面の「宗谷」・「サロベツ」と同じくらい厄介な列車になるかもしれません。本日の特急「ライラック48号」の代走の「臨時特急」で残る789系1000番台の代走編成も札幌に帰還するので、明日から通常どおりの運行に戻ることを期待しましょう。
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「臨時特急」は、同区間の「カムイ」で使用する789系1000番台を充当します。
基本的には、ヘッドマーク」は「臨時」を表示しますが、稀に「ライラック」と表示されることもあるようです。管理者もようやく確認することができたので、それは後日紹介します。
789系1000番台はほかにも・・・

上述のとおり、札幌~旭川間の「カムイ」のほか、

785系と共通で札幌~東室蘭・室蘭間の「すずらん」としても使用されています。道央圏の電車特急としては申し分ない、汎用性が高い車両です。

写真は昨年の1月25日に野幌駅で撮影した特急「ライラック23号」代走の「臨時特急」です。
このような猛吹雪の中でも、日によって札幌~旭川間を何度も往復しています。どんな列車にも使用でき、且つ壊れない。それが789系1000番台の魅力です。
一方で・・・
789系0番台の「ライラック」は車両故障が相次ぎ、昨今車両繰りに大変苦慮しています。
先日は一時的に6両編成×2本で車両不具合が発生してしまいました。また、別の1本が苗穂工場い入場しており(出場済み)、窮地に追い込まれましたね。
JR北海道の車両ガイドでも正式に高速列車と紹介されており、冬季は・・・




このように、雪煙を豪快に巻き上げて通過していくシーンを撮影することができます。
これがなかなか難しいんですよね。
実は789系0番台は、日本一の電車特急であったりします。
それを示すのが速度種別です。速度種別とは、鉄道車両の性能を比較するうえでの一種の参考データになり得るものです。直線で上り勾配10‰における均衡速度(速度制限等を考慮しない場合の最高速度)を表します。
789系は0番台と1000番台でそれぞれ異なりますが、前者がA75(速度換算175km/h)、後者がA60(速度換算160km/h)となっています。0番台については、全国の在来線の交流電車はおろか、在来線の営業列車で使用される電車で一番よい数値であり、これは400系新幹線「つばさ」やE3系新幹線「こまち」の在来線区間における速度種別をも上回ります。
0番台も1000番台も乗車していると、かなり静かで快適であり、その割には中速域から高速域の加速がとても優れているように感じます。営業運転を実施する札幌~旭川間で発車からトップスピード(120km/h)まで一気に加速するのは美唄駅と砂川駅発車時だけですが、だいたいトップスピードに到達するまで1分(60秒)です。乗用車で少しアクセルを踏むような感覚で静かに力強く加速していきます。
一度乗車したらやめられません。鉄道ファンであれば、ぜひとも体験していただきたいですね。
789系0番台は、2016年3月の北海道新幹線開業直前まで道内と本州を結ぶ「スーパー白鳥」として使用されていました。道央圏では、785系の一部置き換えが迫っていたこともあり、1年間の転用改造を経て翌2017年3月ダイヤ改正で札幌~旭川間の「ライラック」として営業運転を再開しました。
ここでおさらいですが、道央圏転用に伴い、耐寒・耐雪構造が強化されています。
道央圏転用に伴う改造は以下のとおりです。
【保安装置及び運転台関係】
津軽海峡線区間でATCを使用していましたが、道央圏転用後は必要がないことから、保安装置をATS-DNとしました。また、抑制ブレーキ等も必要なくなるため、マスコン関係機器の改造を実施しました。抑制ブレーキ等とは、青函トンネル区間の下り勾配走行に備え、抑速装置として回生ブレーキを装備していたようです。
【車体関係】
戸袋戸先にヒーターを増設し、また運転台の熱線ガラス電源容量も増加することで耐寒耐雪性を向上させました。MMBMの雪の吸入量を減少させるため、吸気口を車両妻側に移設しています。(※MMBM関係は29年度冬期までに全6編成完了)
MMBMとは、抵抗器に送風する主電動送風機のことを指すようです。詳しく知りませんが、おそらく機器冷却用の熱対策のためのものです。厳冬期の高速走行で雪煙によって雪が吸入してトラブルの原因となると思われ、これを移設した形になります。


施工直後の「モハ788-104」の写真です。従来の車体側面部の外気取り入れ口は塞がれ、吸気口を車両妻側に移設していますね。
【台車関係】
道央圏で使用する合金鋳鉄制輪子(乙32改F振子)に変更し、ブレーキテコ比を変更しています。
車両故障の原因は一部報道されていますが、架線からの電気供給が一時的に遮断されるというものです。電車は基本的に、架線からパンタグラフを通じて電気を取り入れ、パンタグラフとモーターの間に抵抗器を設置し、流れる電流の量を制御することで電車の速度などを調節します。電気供給遮断ということは、抵抗器で不具合が発生した可能性があります。
抵抗器といえば、道央圏転用の際に改造されている箇所です。移設した冷却用の空気の吸入口から雪が入って凍ったか、MMBM(抵抗器に送風する主電動送風機)が故障し、抵抗器がオーバーヒートして機能しなくなったか。
細かいところまでは不明ですが、785系や789系1000番台ではあまり聞いたことのないトラブルです。
いずれにしても、冬季に代走運転が実施されることが多く、寒さや雪が車両故障の原因の1つになっている可能性は高そうです。
道央圏に転用した789系0番台は、登場時期が早い車両で今年で17年目に入ります。道央圏でこれまで活躍した781系や785系の一部車両が登場から30年弱で引退しています。ということは、789系0番台もあと10年程度道央圏での使用が見込まれるのではないでしょうか。
2018年度から2021年度にかけて0番台の1次車と2次車の計30両で重要機器の取替が予定されており、工事施工によって冬季のトラブルがなくなることを期待しましょう。
または、輸送の改善策を実施する必要があるかもしれません。というのも、冬季に弱いのであれば、降雪量が少ない地域で使用する方法もありです。それが札幌~東室蘭・室蘭間の「すずらん」での使用です。同じ北海道内とはいえ、苫小牧・室蘭方面は降雪量が少なく、かつての函館方面と気候もよく似ています。
札幌~旭川間で使用する際は、「大雪」と「サロベツ」の接続の役割を果たせばよいわけですから、その接続列車にのみ「ライラック」として充当させ、ほかは札幌~東室蘭・室蘭間の「すずらん」として活用する。要は、現在の0番台と1000番台(785系含む)の役割を入れ替える形にした方が、こうした車両トラブルも回避または少なくできるかもしれません。
道央圏転用からまもなく2年が経過しますが、転用されてまだ時間が経過していないにも関わらず、ここまで車両故障や代走が多いと困ります。冬季は稚内方面の「宗谷」・「サロベツ」と同じくらい厄介な列車になるかもしれません。本日の特急「ライラック48号」の代走の「臨時特急」で残る789系1000番台の代走編成も札幌に帰還するので、明日から通常どおりの運行に戻ることを期待しましょう。
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