解体間近のニセコエクスプレスの先頭車をクラウドファンディングで保存へ
その他あれこれ - 2019年02月26日 (火)
苗穂工場に1両だけ解体を免れているニセコエクスプレスの先頭車(キハ183-5001)がクラウドファンディングで保存へ向けて動き出しているようです。

題して、『ニセコエクスプレスの、里帰り。キハ183-5001号を守り抜く!』です。
まずここで、「クラウドファンディング」について紹介したいと思います。
クラウドファンディング(CrowdFunding)とは、群衆(Crowd)と 資金調達(Funding)という言葉を組み合わせた造語で、「災害被害にあった施設を復旧したい」や、今回のような「思い出ある鉄道車両を残したい」など、様々な理由でお金を必要としている人に対し、 共感した人が一口1,000円程度からインターネットを通じて出資し支援をする、こうしたインターネット上で多数の人から資金を募る仕組みを言います。
また、途上国支援や被災地支援なども多く実行されています。プロジェクトを立ち上げる実行者自身も個人、団体、企業、自治体など様々あります。

ここ最近の北海道の鉄道車両のクラウドファンディングの保存事例としては、昨年の元旦から3月31日まで行われた『北海道・鉄道史の誇り。往年の「特急おおぞら」を国鉄色で未来へ』です。北海道鉄道観光資源研究会の主催で行われました。
昨年のクラウドファンディングは、解体危機にあったキハ183系の中でも高運転台の初期車の先頭車(スラントノーズタイプ)を保存するというものでした。保存先は、「おおぞら」で連日行き交った現在の追分付近(現在の安平町)で、2019年春にオープン予定の「道の駅あびらD51ステーション」で、蒸気機関車の「D51 320」号機とスラントノーズ車を並べて1両を展示し、目標到達金額によっては、安平町鉄道資料館(旧追分機関区)にさらにもう1両展示するというものでした。
最初の目標金額は610万円でした。さらに、安平町鉄道資料館にも1両保存するには、1,100万円が必要でした。クラウドファンディング挑戦期間中、一時金額の上昇が鈍ってしまった時期もありましたが、最終的には13,860,000円の支援があり、見事にクラウドファンディングに成功、キハ183系先頭車2両の保存が決定しました。
711系の保存から始まった、北海道の鉄道車両保存に向けたクラウドファンディングは、今回紹介するニセコエクスプレスで4例目になります。ニセコ方面では一時期、「北斗星」で使われていた客車の一部を保存する動きがありましたが、輸送費用などが大きくなり、計画が頓挫した記憶があります。使われていた名車を保存する動きは素晴らしいことですが、やはりニセコ方面で「北斗星」で使われていた車両を保存するということに、違和感が抱いた人間も少なくはないでしょう。
かつては臨時列車や有珠山噴火の際に、ニセコ経由で運行されたこともありましたが、そもそもニセコ地域は「北斗星」の運行ルートとは直接関係ありません。車両を保存するにしても、やはりその土地で、地域を走行した車両でなければ、愛着は持てないでしょう。特に地域住民の方にとっては尚更です。
今回は、ニセコエクスプレスを有島記念館敷地内かニセコ駅隣接地で保存するというものです。ニセコエクスプレスをニセコ地区で保存します。晩年こそ入線が少なかったものの、ニセコ方面の使用にほぼ特化して製造された車両なので、やはりニセコ方面で保存されるべきです。

ここでニセコエクスプレスについて紹介します。
ニセコエクスプレスは1988年12月に団体・臨時列車用として新千歳空港からニセコ方面へアクセスする列車として北海道で4番目のジョイフルトレインとして誕生しました。
それまでのアルファコンチネンタルエクスプレス、フラノエクスプレス、トマムサホロエクスプレスが既存の車両の一部を活用した改造車だったのに対し、ニセコエクスプレスはJR北海道の苗穂工場で新製された完全自社製造車両です。「おおぞら」や「北斗」など、道内各地で活躍していた特急気動車と同様、形式はキハ183系とし、新たに5000番台を名乗りました。
全国的にも、ジョイフルトレインの車両は従来の余剰車両を活用した改造車が大半を占めましたが、車両を一から新製するという当時では珍しい導入例です。その後、クリスタルエクスプレス トマム&サホロやノースレインボーエクスプレスもJR北海道が自社製造しました。
他のリゾート気動車がハイデッカー構造をメインとしているのに対し、ニセコ方面という山岳路線の使用を想定し、床面はフラットな構造とされました。そのため、床面の嵩上げはJR東海のキハ85系と同程度の200mmに抑えられています。床面はフラットな構造でありながら、一般車両よりも床が嵩上げされている分、客室窓が721系などよりも低く感じられ、その分、北海道の雄大な車窓を堪能することができました。
床が嵩上げされていますが、その分屋根が高いため、室内空間は犠牲にされることなく、そのまま広い空間が維持されていました。
引退した編成を含むその他5編成を含め、完全にフラットな構造を採用した編成はニセコエクスプレスのみでした。アルファコンチネンタルエクスプレスなどの一部のリゾート気動車は先頭車の先頭部分の一部がハイデッカー構造になっていましたね。
ニセコ方面での活躍を中心に、シーズン以外は函館地区(リゾート大沼号)や日高方面(優駿浪漫号)、富良野方面(フラノラベンダーエクスプレス)、留萌方面(増毛エクスプレス)など、道内全域で活躍するオールマイティさも兼ね備え、北海道のリゾート気動車として29年弱にわたって活躍しました。
しかし、時代とともに団体需要や多客臨需要が少なくなり、多客臨の運行休止とともに稼働する機会を徐々に減らしていきました。ニセコエクスプレスを主に使用していた「ニセコスキーエクスプレス」や「フラノラベンダーエクスプレス」(1往復減便)、「フラノ紅葉エクスプレス」も設定されなくなり、晩年は1年で本線上を走行する機会も数回程度にまで落ち込んでいました。
特に近年では、3両という短い編成が観光シーズン中の需要に対応することができず、過去に同車の代わりに「フラノラベンダーエクスプレス」をキハ183系一般車が代走したという例もありました。ほかにも過去に、1編成あたりの定員数が多いキハ183系旭山動物園号が使用されたり、一昨年の秋に運行された特急「ニセコ号」もキハ183系一般車が使用されるなど、もはやどの方面においても活躍できる場が失われつつありました。
さらに追い打ちをかけるかのように、3年前の8月下旬から9月上旬にかけて同車によって特急「ニセコ号」が設定された際、初日に旭川方先頭車である「キハ183-5002」で冷房機器が故障した影響により、キハ183系一般車で代走となりました。 ここから、ニセコエクスプレスを使用した列車がさらに極端に減ってしまいました。
おそらくこの冷房機器の故障が、引退に追い込んだ最大の理由と思われます。
製造時期が好景気ということもあり、冷房装置を床置き式にしたり、プラグドアを採用したり、各座席にモニターつきのAV機器を装備するなど、デザインや設備優先で斬新な構造とされましたが、昨今の経営難という状況では、その構造が仇となり、部品がなくなり、修理が困難になってしまいました。
故障した冷房機器も特殊構造ゆえ、他の車両と共用することができない特殊な部品を使用するようで、この部品の調達が困難になり、修理そのものができない事態に陥りました。仮に修理や冷房機器の載せ替え(新品に交換など)を検討しても、臨時列車の削減という昨今の稼働状況を含め、最終的に引退という判断がされたと思います。
北海道という一年を通じて厳しい気候条件下で29年弱にわたって活躍してきたわけですが、車齢の割には、それに見合う走行距離には達していないと思われます。特に晩年は所属先の苗穂運転所で遊休状態となっており、年数回程度まで稼働する機会が減っていました。引退した直接の理由が老朽化ではなく、一部搭載機器の故障で修繕が困難になるという、鉄道車両としては過去にあまり例のない引退ではないでしょうか。

そして、保存に向けて動き出す「キハ183-5001」について紹介します。
ちょうど先日、苗穂工場の様子を見に行った際に撮影していました。ここ最近は気温の上昇で暖かく、降雪もほぼ確認されていないので、車体に降り積もった雪はほぼ解けていることでしょう。
稼働されなくなって厳冬期を2回越していますが、このように車体は汚れ、ほかの廃車となった車両と同じスペースに置かれています。もはや、かつてのリゾート気動車としてのオーラはありません。
3両編成でしたが、札幌駅基準で旭川方先頭車「キハ183-5002」と中間車「キハ182-5001」は既に解体されています。残るはニセコ方先頭車「キハ183-5001」のみになりますが、同車も今年の4月以降、車両の解体が予定されているようです。
第一の目標金額は860万円です。期限は5月27日(月)午前11時までに目標金額が達成できればクラウドファンディングが成功となります。しかし、第一目標の時点では、先頭部分を7メートルのみ切断して里帰りとなります。1両まるまる保存するためには、第二の目標金額である950万円になります。
第一目標金額と第二目標金額で差額は90万円です。差額があまり大きくありません。これには理由があり、車体の一部を切断して保存するとなると、冬季に除雪をする際、窓ガラスの破損を伴う場合があり、これを防ぐために車庫を建設する予定です。この車庫建設の費用に充てられるため、目標金額の差があまり大きくないというわけです。
第二目標金額達成の場合、車体切断による車体強度が落ちることはありません。しかし、専用の車庫を建設するには莫大な費用がかかることから、車庫の建設費用については、第二目標金額の支援から捻出されないようです。1両まるまる保存する場合は、冬季の管理を考慮して有島記念公園の敷地内に保存する計画です。
まだ目標金額に到達していませんが、昨年10月に先に解体された2両の車内外部品の一部を保守部品としてJR北海道から既に譲渡されています。あとはほぼ目標金額達成のみが待たれ、保存活動の土台は既に完成しつつあります。
第一目標金額と第二目標金額の使用用途はそれぞれ以下のとおりです。
【第一目標金額:860万円】
車体購入費の一部+輸送費・路盤整備費の一部+車庫建設費の一部=650万円
返礼品費用+Readyfor手数料=210万円
【第二目標金額:950万円】
車体購入費の一部+輸送費・路盤整備費の一部=700万円
返礼品費用+Readyfor手数料=250万円
気になる支援ですが、未成年や学生の方も参加しやすい3,000円から一番高額の500,000万円まで15通りあります。以下に何種類かを紹介します。





お気持ちコースや豪華なリターン不要のコースが3,000円、10,000円、30,000円、50,000円に設けられています。希望者のみ車内に掲示する芳名板に名前を記載することができます。ほかにも、写真集やカードケースなど、貴重なグッズが盛りだくさんです。
その中に、管理者もオススメしたい野菜の詰め合わせがあります。野菜の全てがオススメかどうか知りませんが、その中にかぼちゃがあります。管理者はかぼちゃが大好きで、特にニセコ方面のかぼちゃは北海道の中でも特においしいです。値段も毎年秋頃にギフトとして使われるものは、他の産地のものと比べて高値で取引されていますね。
イメージと現物は異なると思いますが、写真で見る限り、このかぼちゃはポコポコになって美味しいと思いますよ。パパが鉄道ファンで返礼品を家族全員で堪能できるという点では、オススメだと思います。
支援が200,000万円以上のものは、ニセコエクスプレスの搬入作業を見学することができるようです。このあたりまで支援をする方はあまりいないと思いますが、ニセコエクスプレスに特別な思いがある方は、ぜひ支援を検討してみてください。
本日、2月26日からクラウドファンディングが開始されましたが、昨年のキハ183系の保存の際よりも報道や宣伝が少ないように感じます。当ブログでもニセコエクスプレスの保存について取り上げ、少しでも多くの人に知ってもらい、支援につながるようになれば幸いです。
26日15時30分現在、支援者は12人で111,000円です。まだまだ保存まで遠い道のりですが、1日1日着実に保存に向けて進展するでしょう。
クラウドファンディング参加については、以下のURLをクリックしてみてくださいね。
参考URL:『ニセコエクスプレスの、里帰り。キハ183-5001号を守り抜く!』プロジェクト
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題して、『ニセコエクスプレスの、里帰り。キハ183-5001号を守り抜く!』です。
まずここで、「クラウドファンディング」について紹介したいと思います。
クラウドファンディング(CrowdFunding)とは、群衆(Crowd)と 資金調達(Funding)という言葉を組み合わせた造語で、「災害被害にあった施設を復旧したい」や、今回のような「思い出ある鉄道車両を残したい」など、様々な理由でお金を必要としている人に対し、 共感した人が一口1,000円程度からインターネットを通じて出資し支援をする、こうしたインターネット上で多数の人から資金を募る仕組みを言います。
また、途上国支援や被災地支援なども多く実行されています。プロジェクトを立ち上げる実行者自身も個人、団体、企業、自治体など様々あります。

ここ最近の北海道の鉄道車両のクラウドファンディングの保存事例としては、昨年の元旦から3月31日まで行われた『北海道・鉄道史の誇り。往年の「特急おおぞら」を国鉄色で未来へ』です。北海道鉄道観光資源研究会の主催で行われました。
昨年のクラウドファンディングは、解体危機にあったキハ183系の中でも高運転台の初期車の先頭車(スラントノーズタイプ)を保存するというものでした。保存先は、「おおぞら」で連日行き交った現在の追分付近(現在の安平町)で、2019年春にオープン予定の「道の駅あびらD51ステーション」で、蒸気機関車の「D51 320」号機とスラントノーズ車を並べて1両を展示し、目標到達金額によっては、安平町鉄道資料館(旧追分機関区)にさらにもう1両展示するというものでした。
最初の目標金額は610万円でした。さらに、安平町鉄道資料館にも1両保存するには、1,100万円が必要でした。クラウドファンディング挑戦期間中、一時金額の上昇が鈍ってしまった時期もありましたが、最終的には13,860,000円の支援があり、見事にクラウドファンディングに成功、キハ183系先頭車2両の保存が決定しました。
711系の保存から始まった、北海道の鉄道車両保存に向けたクラウドファンディングは、今回紹介するニセコエクスプレスで4例目になります。ニセコ方面では一時期、「北斗星」で使われていた客車の一部を保存する動きがありましたが、輸送費用などが大きくなり、計画が頓挫した記憶があります。使われていた名車を保存する動きは素晴らしいことですが、やはりニセコ方面で「北斗星」で使われていた車両を保存するということに、違和感が抱いた人間も少なくはないでしょう。
かつては臨時列車や有珠山噴火の際に、ニセコ経由で運行されたこともありましたが、そもそもニセコ地域は「北斗星」の運行ルートとは直接関係ありません。車両を保存するにしても、やはりその土地で、地域を走行した車両でなければ、愛着は持てないでしょう。特に地域住民の方にとっては尚更です。
今回は、ニセコエクスプレスを有島記念館敷地内かニセコ駅隣接地で保存するというものです。ニセコエクスプレスをニセコ地区で保存します。晩年こそ入線が少なかったものの、ニセコ方面の使用にほぼ特化して製造された車両なので、やはりニセコ方面で保存されるべきです。

ここでニセコエクスプレスについて紹介します。
ニセコエクスプレスは1988年12月に団体・臨時列車用として新千歳空港からニセコ方面へアクセスする列車として北海道で4番目のジョイフルトレインとして誕生しました。
それまでのアルファコンチネンタルエクスプレス、フラノエクスプレス、トマムサホロエクスプレスが既存の車両の一部を活用した改造車だったのに対し、ニセコエクスプレスはJR北海道の苗穂工場で新製された完全自社製造車両です。「おおぞら」や「北斗」など、道内各地で活躍していた特急気動車と同様、形式はキハ183系とし、新たに5000番台を名乗りました。
全国的にも、ジョイフルトレインの車両は従来の余剰車両を活用した改造車が大半を占めましたが、車両を一から新製するという当時では珍しい導入例です。その後、クリスタルエクスプレス トマム&サホロやノースレインボーエクスプレスもJR北海道が自社製造しました。
他のリゾート気動車がハイデッカー構造をメインとしているのに対し、ニセコ方面という山岳路線の使用を想定し、床面はフラットな構造とされました。そのため、床面の嵩上げはJR東海のキハ85系と同程度の200mmに抑えられています。床面はフラットな構造でありながら、一般車両よりも床が嵩上げされている分、客室窓が721系などよりも低く感じられ、その分、北海道の雄大な車窓を堪能することができました。
床が嵩上げされていますが、その分屋根が高いため、室内空間は犠牲にされることなく、そのまま広い空間が維持されていました。
引退した編成を含むその他5編成を含め、完全にフラットな構造を採用した編成はニセコエクスプレスのみでした。アルファコンチネンタルエクスプレスなどの一部のリゾート気動車は先頭車の先頭部分の一部がハイデッカー構造になっていましたね。
ニセコ方面での活躍を中心に、シーズン以外は函館地区(リゾート大沼号)や日高方面(優駿浪漫号)、富良野方面(フラノラベンダーエクスプレス)、留萌方面(増毛エクスプレス)など、道内全域で活躍するオールマイティさも兼ね備え、北海道のリゾート気動車として29年弱にわたって活躍しました。
しかし、時代とともに団体需要や多客臨需要が少なくなり、多客臨の運行休止とともに稼働する機会を徐々に減らしていきました。ニセコエクスプレスを主に使用していた「ニセコスキーエクスプレス」や「フラノラベンダーエクスプレス」(1往復減便)、「フラノ紅葉エクスプレス」も設定されなくなり、晩年は1年で本線上を走行する機会も数回程度にまで落ち込んでいました。
特に近年では、3両という短い編成が観光シーズン中の需要に対応することができず、過去に同車の代わりに「フラノラベンダーエクスプレス」をキハ183系一般車が代走したという例もありました。ほかにも過去に、1編成あたりの定員数が多いキハ183系旭山動物園号が使用されたり、一昨年の秋に運行された特急「ニセコ号」もキハ183系一般車が使用されるなど、もはやどの方面においても活躍できる場が失われつつありました。
さらに追い打ちをかけるかのように、3年前の8月下旬から9月上旬にかけて同車によって特急「ニセコ号」が設定された際、初日に旭川方先頭車である「キハ183-5002」で冷房機器が故障した影響により、キハ183系一般車で代走となりました。 ここから、ニセコエクスプレスを使用した列車がさらに極端に減ってしまいました。
おそらくこの冷房機器の故障が、引退に追い込んだ最大の理由と思われます。
製造時期が好景気ということもあり、冷房装置を床置き式にしたり、プラグドアを採用したり、各座席にモニターつきのAV機器を装備するなど、デザインや設備優先で斬新な構造とされましたが、昨今の経営難という状況では、その構造が仇となり、部品がなくなり、修理が困難になってしまいました。
故障した冷房機器も特殊構造ゆえ、他の車両と共用することができない特殊な部品を使用するようで、この部品の調達が困難になり、修理そのものができない事態に陥りました。仮に修理や冷房機器の載せ替え(新品に交換など)を検討しても、臨時列車の削減という昨今の稼働状況を含め、最終的に引退という判断がされたと思います。
北海道という一年を通じて厳しい気候条件下で29年弱にわたって活躍してきたわけですが、車齢の割には、それに見合う走行距離には達していないと思われます。特に晩年は所属先の苗穂運転所で遊休状態となっており、年数回程度まで稼働する機会が減っていました。引退した直接の理由が老朽化ではなく、一部搭載機器の故障で修繕が困難になるという、鉄道車両としては過去にあまり例のない引退ではないでしょうか。

そして、保存に向けて動き出す「キハ183-5001」について紹介します。
ちょうど先日、苗穂工場の様子を見に行った際に撮影していました。ここ最近は気温の上昇で暖かく、降雪もほぼ確認されていないので、車体に降り積もった雪はほぼ解けていることでしょう。
稼働されなくなって厳冬期を2回越していますが、このように車体は汚れ、ほかの廃車となった車両と同じスペースに置かれています。もはや、かつてのリゾート気動車としてのオーラはありません。
3両編成でしたが、札幌駅基準で旭川方先頭車「キハ183-5002」と中間車「キハ182-5001」は既に解体されています。残るはニセコ方先頭車「キハ183-5001」のみになりますが、同車も今年の4月以降、車両の解体が予定されているようです。
第一の目標金額は860万円です。期限は5月27日(月)午前11時までに目標金額が達成できればクラウドファンディングが成功となります。しかし、第一目標の時点では、先頭部分を7メートルのみ切断して里帰りとなります。1両まるまる保存するためには、第二の目標金額である950万円になります。
第一目標金額と第二目標金額で差額は90万円です。差額があまり大きくありません。これには理由があり、車体の一部を切断して保存するとなると、冬季に除雪をする際、窓ガラスの破損を伴う場合があり、これを防ぐために車庫を建設する予定です。この車庫建設の費用に充てられるため、目標金額の差があまり大きくないというわけです。
第二目標金額達成の場合、車体切断による車体強度が落ちることはありません。しかし、専用の車庫を建設するには莫大な費用がかかることから、車庫の建設費用については、第二目標金額の支援から捻出されないようです。1両まるまる保存する場合は、冬季の管理を考慮して有島記念公園の敷地内に保存する計画です。
まだ目標金額に到達していませんが、昨年10月に先に解体された2両の車内外部品の一部を保守部品としてJR北海道から既に譲渡されています。あとはほぼ目標金額達成のみが待たれ、保存活動の土台は既に完成しつつあります。
第一目標金額と第二目標金額の使用用途はそれぞれ以下のとおりです。
【第一目標金額:860万円】
車体購入費の一部+輸送費・路盤整備費の一部+車庫建設費の一部=650万円
返礼品費用+Readyfor手数料=210万円
【第二目標金額:950万円】
車体購入費の一部+輸送費・路盤整備費の一部=700万円
返礼品費用+Readyfor手数料=250万円
気になる支援ですが、未成年や学生の方も参加しやすい3,000円から一番高額の500,000万円まで15通りあります。以下に何種類かを紹介します。





お気持ちコースや豪華なリターン不要のコースが3,000円、10,000円、30,000円、50,000円に設けられています。希望者のみ車内に掲示する芳名板に名前を記載することができます。ほかにも、写真集やカードケースなど、貴重なグッズが盛りだくさんです。
その中に、管理者もオススメしたい野菜の詰め合わせがあります。野菜の全てがオススメかどうか知りませんが、その中にかぼちゃがあります。管理者はかぼちゃが大好きで、特にニセコ方面のかぼちゃは北海道の中でも特においしいです。値段も毎年秋頃にギフトとして使われるものは、他の産地のものと比べて高値で取引されていますね。
イメージと現物は異なると思いますが、写真で見る限り、このかぼちゃはポコポコになって美味しいと思いますよ。パパが鉄道ファンで返礼品を家族全員で堪能できるという点では、オススメだと思います。
支援が200,000万円以上のものは、ニセコエクスプレスの搬入作業を見学することができるようです。このあたりまで支援をする方はあまりいないと思いますが、ニセコエクスプレスに特別な思いがある方は、ぜひ支援を検討してみてください。
本日、2月26日からクラウドファンディングが開始されましたが、昨年のキハ183系の保存の際よりも報道や宣伝が少ないように感じます。当ブログでもニセコエクスプレスの保存について取り上げ、少しでも多くの人に知ってもらい、支援につながるようになれば幸いです。
26日15時30分現在、支援者は12人で111,000円です。まだまだ保存まで遠い道のりですが、1日1日着実に保存に向けて進展するでしょう。
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