キハ183系5100番台クリスタルエクスプレスが9月で引退へ
キハ183系 - 2019年08月16日 (金)
1週間ぶりの更新です。更新が滞ってしまい、申し訳ありませんでした。
再開一発目の記事は、先日発表されたキハ183系5100番台クリスタルエクスプレスの引退の話題にしましょう。ニセコエクスプレスに続き、クリスタルエクスプレスもついにファイナルを迎えてしまうようです。

クリスタルエクスプレスの引退は、JR北海道のホームぺージのニュースリリースから8月9日付で突如発表されました。後述するキハ261系5000番台(仮称)の登場によって、後々は引退すると予想していた矢先、その引退が同車が営業運転を開始する1年も前に繰り上げられるとは予想もしませんでした。
後日改めて紹介しますが、ラストランは9月28日(土)と翌29日(日)の2日間で、晩年までクリスタルエクスプレスが活躍した札幌~富良野間で「フラノラベンダーエクスプレス」のスジを使ってラストランを実施するようです。

晩年は活躍の場が少なく、目立った動きもなかったクリスタルエクスプレスですが、気動車として初めて2階建車両を連結したりするなど、デビュー当時は話題を呼んだ車両であることは言うまでもありません。
クリスタルエクスプレスは1989年に製造されました。2017年で引退したニセコエクスプレスと同様、苗穂工場で自社製造されたキハ183系によるリゾート気動車の第2弾であり、北海道のリゾート気動車では5番目に登場した車両です。正式名称は「クリスタルエクスプレス トマム&サホロ」であり、昨今のように、登場時は富良野方面での活躍を想定したものではなく、名前のとおり、当時急増していたトマム方面の団体・臨時列車用として製造された車両です。登場時は3両編成でしたが、翌1990年に2階建車両「キサロハ182-5101」を加えて4両編成となりました。現在までこの4両編成を維持しています。
2階建車両「キサロハ182-5101」は付随車ながら、気動車列車で初めて2階建車両を連結したことで話題を呼びました。車体そのものは新製されているものの、台車などでは一部廃車発生品が使用されています。種車は「サハネ581-15」です。
北海道と583系シリーズは縁がないかもしれませんが、実は国鉄分割民営化と同時にJR北海道にサハネ581形が7両承継しています。元々同車に老朽化が進行していたことから、一度も営業運転に就くことなく廃車となってしまいますが、台車などの一部を活用し、クリスタルエクスプレスに連結される2階建車両として、それから30年にわたって使用されてきました。
富良野方面でメインに使用されていたフラノエクスプレスが引退し、その役割をトマムサホロエクスプレスがほぼ引き継いていましたが、同車も老朽化によって引退し、その後富良野方面への臨時列車はクリスタルエクスプレスを中心に使用されてきました。しかし、2階建車両が少人数・小旅行向けの特殊な設備であり、踏切事故の影響によって展望スペースの座席も撤去されました。一般の座席車として使用できるのは実質的には3両で、「キサロハ182-5101」を含まない3両での定員は128名です。これは仮に現役のキハ183系の一般車で編成を組んだ際の2両分にも満たない定員数です。
富良野方面の臨時列車は、かつてはキハ183系リゾート気動車3編成がフル稼働していましたが、数年前からニセコエクスプレスがニセコ方面またはニセコ経由で函館方面へ向かう臨時列車として重宝されるようになったことや、同車の引退によって1往復が減らされ、定員数を多く確保できる車両が重点的に使用されるようになりました。2年前は引退前のキハ183系旭山動物園号が「フラノラベンダーエクスプレス」1往復の運用に充当されたり、昨今の富良野方面のハイシーズンでは、こちらでもノースレインボーエクスプレスが重宝されつつあります。過去にニセコエクスプレスやクリスタルエクスプレスが充当した際は、混雑に対応できなくなり、キハ183系一般車での代走も余儀なくされたりするなど、もはや昨今の車両繰りの中でクリスタルエクスプレスを使用していくには限界がありました。

そのような中で、今年の2月には実質的な後継車ともいえる多目的車両、キハ261系5000番台(仮称)の投入が発表されました。5両編成×2本が投入されるということで、車齢を考えると、ノースレインボーエクスプレスを含めた残るリゾート気動車の置き換えを目的に投入することが予想されます。
しかもこちらは、クリスタルエクスプレスのように臨時列車のみで使用されるわけではなく、代走用などとしても活用するということで、昨今のクリスタルエクスプレスのような苗穂運転所(札ナホ)構内での遊休状態をなくすことができ、車両を今以上に有効活用することができるでしょう。

先に引退したニセコエクスプレスとともに、苗穂運転所構内で留置されるクリスタルエクスプレスです。昨今の北海道では、冬季はキハ183系のリゾート気動車を使用した臨時列車は設定されなくなりました。代走で重宝されるノースレインボーエクスプレスを除くこれら2編成は写真のように、同運転所構内の片すみで留置され、雪に埋もれながら春をじーっと待っていました。実際には春も営業運転がなく、夏季まで使用されることはありませんでした。まさに宝の持ち腐れ状態で、1年で数回程度しか本線での走行シーンを見ることができませんでした。
北海道における臨時列車として活躍した功績は大きく、また、苗穂工場で30年前当時の最新の技術を集大して完成した同車は、今なお最新の鉄道車両にも劣らない魅力・カッコよさがあります。しかし、時代の波には勝てず、昨今となってはもはや使えない車両、使いモノにならない車両同然になってしまいました。
クリスタルエクスプレスの引退後の話題になりますが、同車が引退しても冬季における同車による臨時列車は近年設定されていないので、とりあえずしばらくの間は問題なさそうです。しかし、残るリゾート気動車はノースレインボーエクスプレスのみになるため、リゾート気動車をフル活用する夏季の「フラノラベンダーエクスプレス」はこれまでのような運用を組めなくなります。1年後のことですが、果たしてこのあたりの対応をどう対処していくのか注目されます。
今年の2月時点で、キハ261系5000番台(仮称)の営業運転開始が来年の秋頃であり、当初予定どおり投入されるのであれば、「フラノラベンダーエクスプレス」の充当は間に合いません。キハ183系一般車を充当させない限り、臨時用の車両を充当させるのは不可能ですから、例えば、当初の予定よりも同車を前倒しして投入する計画などが予定されているかもしれません。

富良野駅で発車を待つ特急「フラノラベンダーエクスプレス2号」。
クリスタルエクスプレスの富良野方面入線も残り僅かとなりました。8月下旬から再び同車を使用して「フラノラベンダーエクスプレス」が設定されます。富良野方面のハイシーズンは終了しましたが、ファンを中心に引き続き利用が好調で推移しそうです。
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再開一発目の記事は、先日発表されたキハ183系5100番台クリスタルエクスプレスの引退の話題にしましょう。ニセコエクスプレスに続き、クリスタルエクスプレスもついにファイナルを迎えてしまうようです。

クリスタルエクスプレスの引退は、JR北海道のホームぺージのニュースリリースから8月9日付で突如発表されました。後述するキハ261系5000番台(仮称)の登場によって、後々は引退すると予想していた矢先、その引退が同車が営業運転を開始する1年も前に繰り上げられるとは予想もしませんでした。
後日改めて紹介しますが、ラストランは9月28日(土)と翌29日(日)の2日間で、晩年までクリスタルエクスプレスが活躍した札幌~富良野間で「フラノラベンダーエクスプレス」のスジを使ってラストランを実施するようです。

晩年は活躍の場が少なく、目立った動きもなかったクリスタルエクスプレスですが、気動車として初めて2階建車両を連結したりするなど、デビュー当時は話題を呼んだ車両であることは言うまでもありません。
クリスタルエクスプレスは1989年に製造されました。2017年で引退したニセコエクスプレスと同様、苗穂工場で自社製造されたキハ183系によるリゾート気動車の第2弾であり、北海道のリゾート気動車では5番目に登場した車両です。正式名称は「クリスタルエクスプレス トマム&サホロ」であり、昨今のように、登場時は富良野方面での活躍を想定したものではなく、名前のとおり、当時急増していたトマム方面の団体・臨時列車用として製造された車両です。登場時は3両編成でしたが、翌1990年に2階建車両「キサロハ182-5101」を加えて4両編成となりました。現在までこの4両編成を維持しています。
2階建車両「キサロハ182-5101」は付随車ながら、気動車列車で初めて2階建車両を連結したことで話題を呼びました。車体そのものは新製されているものの、台車などでは一部廃車発生品が使用されています。種車は「サハネ581-15」です。
北海道と583系シリーズは縁がないかもしれませんが、実は国鉄分割民営化と同時にJR北海道にサハネ581形が7両承継しています。元々同車に老朽化が進行していたことから、一度も営業運転に就くことなく廃車となってしまいますが、台車などの一部を活用し、クリスタルエクスプレスに連結される2階建車両として、それから30年にわたって使用されてきました。
富良野方面でメインに使用されていたフラノエクスプレスが引退し、その役割をトマムサホロエクスプレスがほぼ引き継いていましたが、同車も老朽化によって引退し、その後富良野方面への臨時列車はクリスタルエクスプレスを中心に使用されてきました。しかし、2階建車両が少人数・小旅行向けの特殊な設備であり、踏切事故の影響によって展望スペースの座席も撤去されました。一般の座席車として使用できるのは実質的には3両で、「キサロハ182-5101」を含まない3両での定員は128名です。これは仮に現役のキハ183系の一般車で編成を組んだ際の2両分にも満たない定員数です。
富良野方面の臨時列車は、かつてはキハ183系リゾート気動車3編成がフル稼働していましたが、数年前からニセコエクスプレスがニセコ方面またはニセコ経由で函館方面へ向かう臨時列車として重宝されるようになったことや、同車の引退によって1往復が減らされ、定員数を多く確保できる車両が重点的に使用されるようになりました。2年前は引退前のキハ183系旭山動物園号が「フラノラベンダーエクスプレス」1往復の運用に充当されたり、昨今の富良野方面のハイシーズンでは、こちらでもノースレインボーエクスプレスが重宝されつつあります。過去にニセコエクスプレスやクリスタルエクスプレスが充当した際は、混雑に対応できなくなり、キハ183系一般車での代走も余儀なくされたりするなど、もはや昨今の車両繰りの中でクリスタルエクスプレスを使用していくには限界がありました。

そのような中で、今年の2月には実質的な後継車ともいえる多目的車両、キハ261系5000番台(仮称)の投入が発表されました。5両編成×2本が投入されるということで、車齢を考えると、ノースレインボーエクスプレスを含めた残るリゾート気動車の置き換えを目的に投入することが予想されます。
しかもこちらは、クリスタルエクスプレスのように臨時列車のみで使用されるわけではなく、代走用などとしても活用するということで、昨今のクリスタルエクスプレスのような苗穂運転所(札ナホ)構内での遊休状態をなくすことができ、車両を今以上に有効活用することができるでしょう。

先に引退したニセコエクスプレスとともに、苗穂運転所構内で留置されるクリスタルエクスプレスです。昨今の北海道では、冬季はキハ183系のリゾート気動車を使用した臨時列車は設定されなくなりました。代走で重宝されるノースレインボーエクスプレスを除くこれら2編成は写真のように、同運転所構内の片すみで留置され、雪に埋もれながら春をじーっと待っていました。実際には春も営業運転がなく、夏季まで使用されることはありませんでした。まさに宝の持ち腐れ状態で、1年で数回程度しか本線での走行シーンを見ることができませんでした。
北海道における臨時列車として活躍した功績は大きく、また、苗穂工場で30年前当時の最新の技術を集大して完成した同車は、今なお最新の鉄道車両にも劣らない魅力・カッコよさがあります。しかし、時代の波には勝てず、昨今となってはもはや使えない車両、使いモノにならない車両同然になってしまいました。
クリスタルエクスプレスの引退後の話題になりますが、同車が引退しても冬季における同車による臨時列車は近年設定されていないので、とりあえずしばらくの間は問題なさそうです。しかし、残るリゾート気動車はノースレインボーエクスプレスのみになるため、リゾート気動車をフル活用する夏季の「フラノラベンダーエクスプレス」はこれまでのような運用を組めなくなります。1年後のことですが、果たしてこのあたりの対応をどう対処していくのか注目されます。
今年の2月時点で、キハ261系5000番台(仮称)の営業運転開始が来年の秋頃であり、当初予定どおり投入されるのであれば、「フラノラベンダーエクスプレス」の充当は間に合いません。キハ183系一般車を充当させない限り、臨時用の車両を充当させるのは不可能ですから、例えば、当初の予定よりも同車を前倒しして投入する計画などが予定されているかもしれません。

富良野駅で発車を待つ特急「フラノラベンダーエクスプレス2号」。
クリスタルエクスプレスの富良野方面入線も残り僅かとなりました。8月下旬から再び同車を使用して「フラノラベンダーエクスプレス」が設定されます。富良野方面のハイシーズンは終了しましたが、ファンを中心に引き続き利用が好調で推移しそうです。
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