来年3月のダイヤ改正で道内の特急列車からスーパーの名称の取り止めを検討
その他あれこれ - 2019年11月01日 (金)
先日紹介した区間快速「いしかりライナー」の廃止に加え、来年3月のダイヤ改正で北海道内を走る全ての特急列車から「スーパー」の名称を外す方向で検討しているようです。


先日、HBC北海道放送で流れたニュースのワンシーンです。来年3月のダイヤ改正で道内を走る特急列車からスーパーの名称が消えてしまうようです。
現時点でスーパーの名称がついている列車は、札幌~函館間の「スーパー北斗」(キハ261系・キハ281系)、札幌~釧路間の「スーパーおおぞら」(キハ283系)、札幌~帯広間の「スーパーとかち」(キハ261系)のそれぞれ3つの列車です。
北海道において、特急列車の愛称にスーパーがつけられるようになったのは、主に新製車両投入に伴う高速化によって導入されました。一部例外もあり、キハ183系で運行されていた初代「スーパーとかち」は、沿線におけるリゾート需要拡大に伴い、2階建車両を連結した車両を「スーパーとかち」として運行していました。
そのような初代「スーパーとかち」も沿線のリゾート需要が衰退すると、2階建車両が付随車ということもあり、速度向上に課題が出始めます。ちょうどその頃、札幌~釧路間で「スーパーおおぞら」がデビューし、遂に2000年3月ダイヤ改正では、従来の「スーパーとかち」を「とかち」とし、「スーパーとかち」は新たにキハ283系で運行することで、それまでの2階建車両を連結したという意味の「スーパーとかち」から、高速化・所要時間を短縮した意味の「スーパーとかち」に変更し、これで道内における特急列車のスーパーの意味合いが揃いました。
それから10数年にわたり、一部を除いて札幌と各都市を高速で結んできましたが、北海道の厳しい気候条件下で列車を高速で運行させることは車両への負荷が大きくかかり、それが後に重大事故に発展します。
2011年5月に石勝線で発生した脱線火災事故を皮切りに、道内の高速で運行する特急列車を中心に車両トラブルが相次ぐようになります。最終的には走行中に出火事故が複数件発生し、発生した当時の編成や同型のエンジンを積む車両の使用停止を余儀なくされました。これに伴い、車両への負荷やメンテナンス向上を図るため、減速・減便措置を行い、現在も最高運転速度が減速運転前に戻されていない状態が続いています。
そのような中、JR他社では車両の世代交代が徐々に進み、同時にスーパーの名称を取り止める事例が出始めました。愛称のシンプル化によるわかりやすさや、新型車両に統一されるため、スーパーとして区別する必要がなくなった等の理由が上げられます。
そしてJR北海道でも2017年3月のダイヤ改正で、旭川方面の特急列車でまず一部特急列車のスーパーの名称を廃止しました。


対象となったのは「宗谷」(旧スーパー宗谷)と「カムイ」(旧スーパーカムイ)です。これらの列車の愛称からスーパーを消した理由について、JR北海道は以下のように回答しています。
A.これまで新車投入時や列車の高速化時に、特急愛称名の冠に「スーパー」をつけてきました。
「宗谷」は「サロベツ」との車両運用が共通化され、「カムイ」は同じ区間を運転する「ライラック」と所要時分が変わらない状況、また案内表示・掲示物のシンプル化を図るため、運行体系が変更となることにあわせて「スーパー」の冠名を取りやめることとしました。なお、運行体系の変更がない方面の列車の「スーパー」は残すこととしました。
まずは、案内表示等のシンプル化があります。
例えば、特急「スーパーライラック48号」が仮に存在した場合、果たしてシンプルな列車名と言えるのでしょうか??
愛称が長ければ長くなるほど、停車駅などでの案内表示板でフォントが小さくなり、利用者からわかりづらくなります。皆さんも経験したことはありませんか??
北海道では過去に、札幌~大阪間の「トワイライトエクスプレス」や「スーパーホワイトアロー」などは愛称が特に長く、結果的に停車駅での案内表示板のフォントも小さくせざるを得ない状況でした。今でも名称にスーパーがつくだけでフォントを小さくせざるを得ない状況が続いていますね。

公式回答の理由の1つに「サロベツ」の存在もあるようですが、789系0番台「ライラック」が新たに運行されるようになったことで、旭川方面については、愛称にスーパーをつける必要性がなくなったのは事実です。
順を追って説明していきましょう。
まず上述のように、特急「スーパーライラック48号」のようなシンプルではない名称を避けるためには、単純にスーパーの名称を外し、単に「ライラック」とした方がシンプル且つわかりやすいです。停車駅での案内表示板も大きく見やすいものになるでしょう。
札幌~旭川間を1時間25分で結ぶ(一部列車を除く)同列車にスーパーがつかないことで、番台区分は異なれど、同じ形式で同一の走行性能を有する789系1000番台の列車もスーパーをつける必要がなくなり、「カムイ」として運行せざるを得なくなります。
加えて、それよりも所要時間が同等か遅いキハ261系0番台の「宗谷」もスーパーをつける必要がなくなります。そして公式回答のとおり、「サロベツ」とも車両を共通化することも理由の1つになります。同じ車両で運行することで「宗谷」にスーパーをつける必要がなくなります。
しかし、2017年3月ダイヤ改正時点で運行体系の大きな変更はなかった函館方面や帯広・釧路方面については、スーパーの名称を取り止めることは見送られました。
そして来年3月のダイヤ改正でついにスーパーの名称が残る3つの列車についても、遂にスーパーが取り外されることになりそうです。
列車別に見ていきましょう。
・「スーパー北斗」(札幌~函館)


札幌~函館間で12往復が運行されています。そのうち、キハ261系充当列車が9往復、キハ281系充当列車が3往復設定されています。
後述する道央と道東を結ぶ特急列車にも該当しますが、やはり、名称にスーパーをつけるべき理由として、速達性を第一に重要視すべきです。現行ダイヤの札幌~函館間の所要時間を確認すると、最速は3時間29分(2号)で、列車によってバラつきはあるものの、大半の列車は3時間40分台で運行しています。中には、3時間50分台で運行する列車もあります。列車によって所要時間差が大きいことも特徴です。一番速い列車(2号)と一番遅い列車(17号)の所要時間差は27分です。
減速運転前は、現在、全ての「スーパー北斗」が停車するような主要駅でも容赦なく通過していた最速達列車、特急「スーパー北斗15号」が札幌~函館間を3時間ジャスト。それ以外の「スーパー北斗」で3時間10分から20分台、「北斗」は3時間20分台から40分台で運行していました。実は現行ダイヤにおける最速達列車、特急「スーパー北斗2号」と減速運転前の最速達列車の「北斗」(5号・11号)と所要時間が同じです。
そして、そのほかの「スーパー北斗」については、当時130km/h運転対応だった「北斗」よりも所要時間がかかっており、また、120km/h運転対応の「北斗」よりも所要時間がかかっています。当時と比較すると、停車駅が多くなり、所要時間が多くなる要因もありますが、それにしても、減速前のダイヤと比較してみると、もはやスーパーの名称をつける理由はありませんよね。
・「スーパーおおぞら」(札幌~釧路)

札幌~釧路間で6往復が設定されています。札幌~帯広間で「スーパーとかち」と運行区間が重複しますが、こちらは停車駅を絞った速達タイプであり、「スーパーとかち」よりも所要時間は短いです。
減速運転前は札幌~釧路間を最速3時間35分(6号)で結んでいました。この1本を除き、他の列車が3時間40分台から50分台で同区間を結びました。一番所要時間のかかる列車で3時間59分であり、全ての列車で4時間を切っていました。
現行ダイヤでは、最速達列車が3時間58分(12号)で、それ以外の列車は4時間台の運行となっています。「スーパー北斗」と同様、列車によって所要時間の差が大きく、一番速い列車(12号)と一番遅い列車(9号)の所要時間差は37分です。
ちなみに、後者は同区間を4時間35分で走破していますが、これは減速前の最速達列車と比べて+1時間多く所要時間がかかっています。減速運転(110km/h化)や停車駅が多くなっていることも理由として上げられますが、途中の区間で行き合いの列車を待ち合わせるなど、引き続き所要時間増となる要因を抱えたままの列車も多くあることは事実です。
過去にキハ183系による「おおぞら」が、同区間を4時間20分から4時間30分程度で走破しています。速い部類の列車もあることは事実ですが、列車によってはキハ183系時代よりも遅い列車もあり、こちらもスーパーの名称を必ずしも付与する必要はありません。
・「スーパーとかち」(札幌~帯広)

札幌~帯広間で5往復が運行されています。札幌~帯広間には「スーパーおおぞら」も設定されていますが、こちらは途中の主要駅にこまめに停車していく都市間輸送タイプで、所要時間は「スーパーおおぞら」よりも長い傾向にあります。
こちらはスーパーがつく列車の中で特に運行体系が深刻な列車です。
石勝線や根室本線では速達タイプの「スーパーおおぞら」に道を譲る(待ち合わせ)をすることが多く、停車駅も多いので所要時間短縮が難しい列車です。
最速達列車(9号)は2時間37分で結びます。これは深夜の時間帯に運行されるため、行き合いとなる列車が少ないためです。遅い列車となれば、キハ183系時代と同等の2時間50分台の列車が3本存在します。さすがに石勝線のトンネル内など、スピードを出せば速いものの、行き合い列車待ち合わせなどによってその結果が反映されず、キハ183系時代とほとんど変わらない2時間50分台の運転となっています。一応「スーパーとかち」ですが、所要時間を考慮すると、残念ながらスーパーを付与するには程遠い状況です。
簡単に列車別に過去と現在の状況と記載しましたが、どの列車も愛称に「スーパー」をつける必要性はなくなっています。特に高速化を目的に投入された意味合いが強いスーパーの名称は、速達化の傾向が弱まりつつある昨今ではもはや使う必要はありません。
スーパーの名称を廃止することで懸念事項もあります。それは、さらなる所要時間の増加です。
JR北海道では、既存の特急気動車をキハ261系に統一する方針です。近年では「スーパー北斗」で積極的に投入されており、初投入時は3往復だったものが4年で9往復に増えました。予備車両も増え、安定した輸送が実施されています。
一方で、従来から「スーパー北斗」として運行していたキハ281系と所要時間差があるのは事実であり、今年3月にさらに2往復が置き換えられましたが、2往復がいずれも従来から数分所要時間が延びています。
昨今では釧路方面でキハ261系が試運転を繰り返しています。ということは、来年3月のダイヤ改正で釧路方面にも同車が投入される可能性が高いです。「スーパー北斗」のように比較的最高運転速度を出しやすい列車でも所要時間増となっている現状から、仮に同車が営業列車として釧路方面に入線するようになれば、池田以東の区間で走行条件がさらに厳しくなりますから、現行のキハ283系よりも所要時間が増えてしまう可能性があります。
しかし、「スーパー北斗」の場合と異なる点は、最高運転速度がキハ283系よりも10km/h速く、途中の区間では険しい峠越え区間があります。振り子式ではありませんが、ハイパワーな直噴ターボエンジン搭載により、キハ283系よりも圧倒的に有利な点があります。
置き換えられる際はダイヤは12月頃に発表されると思いますが、いずれにしてもキハ261系化で所要時間が増加してしまうのか気になるところです。スーパーの名称の廃止は将来的なキハ261系化やそれに伴う所要時間増加という意味合いも含まれているかもしれません。
スーパーの名称を廃止することで、既存の設備も更新しなければなりません。例えば、キハ261系1000番台の5次車はヘッドマークがLEDタイプではなく、幕式(ロール式)となっています。「とかち」や「北斗」のヘッドマークは用意されていますが、釧路方面は「スーパーおおぞら」のものしかなく、単なる「おおぞら」はありません。もしかすると、ロール式ヘッドマークのまま残っている5次車もこれを機会にヘッドマークがLEDに交換されるかもしれませんね。
報道発表があった日から当記事を掲載するまで時間を要してしまいました。実は今日は減速・減便措置施行から丸6年が経過します。6年前に減速運転が始まり、所要時間が長い、繁忙期増結がない、本数が確保されていない、北海道新幹線が開業するまでの苦難の始まりの日でした。
当記事掲載がたまたま本日になってしまいましたが、これも何かの縁かと思います。あの日を忘れずに、いつかかつての元気なJR北海道を取り戻してほしいですね。
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先日、HBC北海道放送で流れたニュースのワンシーンです。来年3月のダイヤ改正で道内を走る特急列車からスーパーの名称が消えてしまうようです。
現時点でスーパーの名称がついている列車は、札幌~函館間の「スーパー北斗」(キハ261系・キハ281系)、札幌~釧路間の「スーパーおおぞら」(キハ283系)、札幌~帯広間の「スーパーとかち」(キハ261系)のそれぞれ3つの列車です。
北海道において、特急列車の愛称にスーパーがつけられるようになったのは、主に新製車両投入に伴う高速化によって導入されました。一部例外もあり、キハ183系で運行されていた初代「スーパーとかち」は、沿線におけるリゾート需要拡大に伴い、2階建車両を連結した車両を「スーパーとかち」として運行していました。
そのような初代「スーパーとかち」も沿線のリゾート需要が衰退すると、2階建車両が付随車ということもあり、速度向上に課題が出始めます。ちょうどその頃、札幌~釧路間で「スーパーおおぞら」がデビューし、遂に2000年3月ダイヤ改正では、従来の「スーパーとかち」を「とかち」とし、「スーパーとかち」は新たにキハ283系で運行することで、それまでの2階建車両を連結したという意味の「スーパーとかち」から、高速化・所要時間を短縮した意味の「スーパーとかち」に変更し、これで道内における特急列車のスーパーの意味合いが揃いました。
それから10数年にわたり、一部を除いて札幌と各都市を高速で結んできましたが、北海道の厳しい気候条件下で列車を高速で運行させることは車両への負荷が大きくかかり、それが後に重大事故に発展します。
2011年5月に石勝線で発生した脱線火災事故を皮切りに、道内の高速で運行する特急列車を中心に車両トラブルが相次ぐようになります。最終的には走行中に出火事故が複数件発生し、発生した当時の編成や同型のエンジンを積む車両の使用停止を余儀なくされました。これに伴い、車両への負荷やメンテナンス向上を図るため、減速・減便措置を行い、現在も最高運転速度が減速運転前に戻されていない状態が続いています。
そのような中、JR他社では車両の世代交代が徐々に進み、同時にスーパーの名称を取り止める事例が出始めました。愛称のシンプル化によるわかりやすさや、新型車両に統一されるため、スーパーとして区別する必要がなくなった等の理由が上げられます。
そしてJR北海道でも2017年3月のダイヤ改正で、旭川方面の特急列車でまず一部特急列車のスーパーの名称を廃止しました。


対象となったのは「宗谷」(旧スーパー宗谷)と「カムイ」(旧スーパーカムイ)です。これらの列車の愛称からスーパーを消した理由について、JR北海道は以下のように回答しています。
A.これまで新車投入時や列車の高速化時に、特急愛称名の冠に「スーパー」をつけてきました。
「宗谷」は「サロベツ」との車両運用が共通化され、「カムイ」は同じ区間を運転する「ライラック」と所要時分が変わらない状況、また案内表示・掲示物のシンプル化を図るため、運行体系が変更となることにあわせて「スーパー」の冠名を取りやめることとしました。なお、運行体系の変更がない方面の列車の「スーパー」は残すこととしました。
まずは、案内表示等のシンプル化があります。
例えば、特急「スーパーライラック48号」が仮に存在した場合、果たしてシンプルな列車名と言えるのでしょうか??
愛称が長ければ長くなるほど、停車駅などでの案内表示板でフォントが小さくなり、利用者からわかりづらくなります。皆さんも経験したことはありませんか??
北海道では過去に、札幌~大阪間の「トワイライトエクスプレス」や「スーパーホワイトアロー」などは愛称が特に長く、結果的に停車駅での案内表示板のフォントも小さくせざるを得ない状況でした。今でも名称にスーパーがつくだけでフォントを小さくせざるを得ない状況が続いていますね。

公式回答の理由の1つに「サロベツ」の存在もあるようですが、789系0番台「ライラック」が新たに運行されるようになったことで、旭川方面については、愛称にスーパーをつける必要性がなくなったのは事実です。
順を追って説明していきましょう。
まず上述のように、特急「スーパーライラック48号」のようなシンプルではない名称を避けるためには、単純にスーパーの名称を外し、単に「ライラック」とした方がシンプル且つわかりやすいです。停車駅での案内表示板も大きく見やすいものになるでしょう。
札幌~旭川間を1時間25分で結ぶ(一部列車を除く)同列車にスーパーがつかないことで、番台区分は異なれど、同じ形式で同一の走行性能を有する789系1000番台の列車もスーパーをつける必要がなくなり、「カムイ」として運行せざるを得なくなります。
加えて、それよりも所要時間が同等か遅いキハ261系0番台の「宗谷」もスーパーをつける必要がなくなります。そして公式回答のとおり、「サロベツ」とも車両を共通化することも理由の1つになります。同じ車両で運行することで「宗谷」にスーパーをつける必要がなくなります。
しかし、2017年3月ダイヤ改正時点で運行体系の大きな変更はなかった函館方面や帯広・釧路方面については、スーパーの名称を取り止めることは見送られました。
そして来年3月のダイヤ改正でついにスーパーの名称が残る3つの列車についても、遂にスーパーが取り外されることになりそうです。
列車別に見ていきましょう。
・「スーパー北斗」(札幌~函館)


札幌~函館間で12往復が運行されています。そのうち、キハ261系充当列車が9往復、キハ281系充当列車が3往復設定されています。
後述する道央と道東を結ぶ特急列車にも該当しますが、やはり、名称にスーパーをつけるべき理由として、速達性を第一に重要視すべきです。現行ダイヤの札幌~函館間の所要時間を確認すると、最速は3時間29分(2号)で、列車によってバラつきはあるものの、大半の列車は3時間40分台で運行しています。中には、3時間50分台で運行する列車もあります。列車によって所要時間差が大きいことも特徴です。一番速い列車(2号)と一番遅い列車(17号)の所要時間差は27分です。
減速運転前は、現在、全ての「スーパー北斗」が停車するような主要駅でも容赦なく通過していた最速達列車、特急「スーパー北斗15号」が札幌~函館間を3時間ジャスト。それ以外の「スーパー北斗」で3時間10分から20分台、「北斗」は3時間20分台から40分台で運行していました。実は現行ダイヤにおける最速達列車、特急「スーパー北斗2号」と減速運転前の最速達列車の「北斗」(5号・11号)と所要時間が同じです。
そして、そのほかの「スーパー北斗」については、当時130km/h運転対応だった「北斗」よりも所要時間がかかっており、また、120km/h運転対応の「北斗」よりも所要時間がかかっています。当時と比較すると、停車駅が多くなり、所要時間が多くなる要因もありますが、それにしても、減速前のダイヤと比較してみると、もはやスーパーの名称をつける理由はありませんよね。
・「スーパーおおぞら」(札幌~釧路)

札幌~釧路間で6往復が設定されています。札幌~帯広間で「スーパーとかち」と運行区間が重複しますが、こちらは停車駅を絞った速達タイプであり、「スーパーとかち」よりも所要時間は短いです。
減速運転前は札幌~釧路間を最速3時間35分(6号)で結んでいました。この1本を除き、他の列車が3時間40分台から50分台で同区間を結びました。一番所要時間のかかる列車で3時間59分であり、全ての列車で4時間を切っていました。
現行ダイヤでは、最速達列車が3時間58分(12号)で、それ以外の列車は4時間台の運行となっています。「スーパー北斗」と同様、列車によって所要時間の差が大きく、一番速い列車(12号)と一番遅い列車(9号)の所要時間差は37分です。
ちなみに、後者は同区間を4時間35分で走破していますが、これは減速前の最速達列車と比べて+1時間多く所要時間がかかっています。減速運転(110km/h化)や停車駅が多くなっていることも理由として上げられますが、途中の区間で行き合いの列車を待ち合わせるなど、引き続き所要時間増となる要因を抱えたままの列車も多くあることは事実です。
過去にキハ183系による「おおぞら」が、同区間を4時間20分から4時間30分程度で走破しています。速い部類の列車もあることは事実ですが、列車によってはキハ183系時代よりも遅い列車もあり、こちらもスーパーの名称を必ずしも付与する必要はありません。
・「スーパーとかち」(札幌~帯広)

札幌~帯広間で5往復が運行されています。札幌~帯広間には「スーパーおおぞら」も設定されていますが、こちらは途中の主要駅にこまめに停車していく都市間輸送タイプで、所要時間は「スーパーおおぞら」よりも長い傾向にあります。
こちらはスーパーがつく列車の中で特に運行体系が深刻な列車です。
石勝線や根室本線では速達タイプの「スーパーおおぞら」に道を譲る(待ち合わせ)をすることが多く、停車駅も多いので所要時間短縮が難しい列車です。
最速達列車(9号)は2時間37分で結びます。これは深夜の時間帯に運行されるため、行き合いとなる列車が少ないためです。遅い列車となれば、キハ183系時代と同等の2時間50分台の列車が3本存在します。さすがに石勝線のトンネル内など、スピードを出せば速いものの、行き合い列車待ち合わせなどによってその結果が反映されず、キハ183系時代とほとんど変わらない2時間50分台の運転となっています。一応「スーパーとかち」ですが、所要時間を考慮すると、残念ながらスーパーを付与するには程遠い状況です。
簡単に列車別に過去と現在の状況と記載しましたが、どの列車も愛称に「スーパー」をつける必要性はなくなっています。特に高速化を目的に投入された意味合いが強いスーパーの名称は、速達化の傾向が弱まりつつある昨今ではもはや使う必要はありません。
スーパーの名称を廃止することで懸念事項もあります。それは、さらなる所要時間の増加です。
JR北海道では、既存の特急気動車をキハ261系に統一する方針です。近年では「スーパー北斗」で積極的に投入されており、初投入時は3往復だったものが4年で9往復に増えました。予備車両も増え、安定した輸送が実施されています。
一方で、従来から「スーパー北斗」として運行していたキハ281系と所要時間差があるのは事実であり、今年3月にさらに2往復が置き換えられましたが、2往復がいずれも従来から数分所要時間が延びています。
昨今では釧路方面でキハ261系が試運転を繰り返しています。ということは、来年3月のダイヤ改正で釧路方面にも同車が投入される可能性が高いです。「スーパー北斗」のように比較的最高運転速度を出しやすい列車でも所要時間増となっている現状から、仮に同車が営業列車として釧路方面に入線するようになれば、池田以東の区間で走行条件がさらに厳しくなりますから、現行のキハ283系よりも所要時間が増えてしまう可能性があります。
しかし、「スーパー北斗」の場合と異なる点は、最高運転速度がキハ283系よりも10km/h速く、途中の区間では険しい峠越え区間があります。振り子式ではありませんが、ハイパワーな直噴ターボエンジン搭載により、キハ283系よりも圧倒的に有利な点があります。
置き換えられる際はダイヤは12月頃に発表されると思いますが、いずれにしてもキハ261系化で所要時間が増加してしまうのか気になるところです。スーパーの名称の廃止は将来的なキハ261系化やそれに伴う所要時間増加という意味合いも含まれているかもしれません。
スーパーの名称を廃止することで、既存の設備も更新しなければなりません。例えば、キハ261系1000番台の5次車はヘッドマークがLEDタイプではなく、幕式(ロール式)となっています。「とかち」や「北斗」のヘッドマークは用意されていますが、釧路方面は「スーパーおおぞら」のものしかなく、単なる「おおぞら」はありません。もしかすると、ロール式ヘッドマークのまま残っている5次車もこれを機会にヘッドマークがLEDに交換されるかもしれませんね。
報道発表があった日から当記事を掲載するまで時間を要してしまいました。実は今日は減速・減便措置施行から丸6年が経過します。6年前に減速運転が始まり、所要時間が長い、繁忙期増結がない、本数が確保されていない、北海道新幹線が開業するまでの苦難の始まりの日でした。
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