デザイン決定前のキハ283系のアイデアスケッチ
キハ283系 - 2019年12月12日 (木)
JR北海道のキハ283系特急気動車は北海道の高速化に大きく貢献した車両です。



昨今まで道内各地で活躍していています。メインは札幌~釧路間の「スーパーおおぞら」です。
かつては札幌~函館間の「スーパー北斗」、札幌~帯広間の「スーパーとかち」にも使用されていましたが、現在はこれらの列車からは撤退し、「スーパーおおぞら」のみで使用されています。
また、臨時の「北斗」でも運行することがあり、定期列車から臨時列車まで幅広く活躍しています。
ですが、今夏を境に臨時の「北斗」への充当がなくなり、年末年始輸送期間中の輸送にも充当されないようです。また、釧路方面ではキハ261系1000番台の試運転が実施されていることから、後継車両への置き換えが着々と進みつつある印象です。
そのようなキハ283系ですが、今回は苗穂工場敷地内にある鉄道技術館内に展示されている同車のデザイン決定前のアイデアスケッチを紹介します。

昨今も使用されている量産車はこのようなデザインですね。

ちなみに、現存しない試作車は塗装こそ同じもののヘッドライト部分とスカートの形状が量産車と異なっているので、雰囲気も若干異なります。
ちなみに、登場当時は乗降扉周りのグリーンのラインが現在とは異なるデザインだったようですね。


本題に入ります。
アイデアスケッチからデザインの決定へ、ということで、キハ283系も昨今見かけるデザインのほかにも何種類かのデザイン案があったようです。
キハ261系1000番台の新色のように、白を基調としたデザインが複数あり、その1つは最新のJR東日本のE353系に似たようなものもあります。キハ281系と同じようなデザインもあります。個人的に面白そうなのがオレンジです。最初見たときは「なぜ?」と思っていましたが、キハ183系が現在のHET色になる以前は「新塗装」と呼ばれる外装をまとった時期がありました。車体は白く、先頭部分や客室窓したにオレンジのラインが入った塗装です。
おそらくそれを意識したのではないかと思います。
さすがに車両のデザインが優秀だった頃のJR北海道とはいえ、受け入れ難いデザインがあるのも事実です。ですが、実車で再現しないとわからないこともあり、実際にキハ261系1000番台の新色は先に発表されたイラストよりも現車の方が全然カッコよかったりします。
それでも以前の青を基調とした塗装には敵いませんね。
以下は過去に閲覧者の方とコメントでやりとりした内容をほぼそのまま掲載します。
キハ281系やキハ283系が登場した頃は、JR北海道のデザインは黄金期でした。JR北海道発足当時で、車両設計の実務を経験したことがある人間は5人程度だったと思います。そこから外部から専門の人間を招いて指導を受けました。
そしてその指導を受けた人間たちがゼロから手掛け、その集大成となった最初の作品が昨今宗谷線特急の代走で活躍することが多いノースレインボーエクスプレスのようです。ちょうどリゾートブームが一段落し、それまでのジョイフルトレインのコンセプトを大きく方向転換せざるを得なかったことでしょう。それでも、その方針転換を図ったコンセプトが見事に的中し、30年弱経過した現在でもその汎用性が生かされています。比較的運転台を高くしたことも以下のような理由があるためだと推測します。
構造的にはキハ281系から採用されている高運転台のげんこつスタイルは、1991年に日高本線で発生した踏切事故が転機になっています。タンクローリーと衝突し、運転士は重症、後に足を切断するまでに至りました。これを教訓とし、JR北海道では特急車両は高運転台スタイルが当たり前のデザインとなりました。札幌圏で活躍する普通列車用の733系などは2階に運転席のある構造ではありませんが、それでも運転台は比較的高い位置に設けられ、運転士の万が一の踏切事故に備えています。
これが生かされたのが2010年1月に函館本線で発生した踏切事故です。「スーパーカムイ」がダンプカーと衝突しました。1編成が事故廃車になったものの、重傷者は出ず、運転士も軽傷で済みました。
高運転台スタイルを生み出した元々の背景には、1人の運転士の大けがにあり、30年弱が経過した現在でも最新のキハ261系に引き続き生かされています。
残念ながら、キハ283系のアイデアスケッチのみが展示されており、キハ261系やキハ281系のものは鉄道技術館では確認できません。キハ261系については、過去に書籍で当初のデザイン案やデンマーク国鉄との逸話が記録されたものもあるので、そちらを参考にしてみるといいかもしれませんね。
苗穂工場の一般公開に行かなくても、日頃の鉄道技術館の一般開放でも貴重な資料をたくさん見ることができます。年々展示物が増え、館内が少し狭くなってきている印象がありますが、それだけ過去の北海道の鉄道の資料が記録されています。
今週末は鉄道技術館の無料開放日なので、ぜひ行ってみてはいかがでしょう?
↓ブログランキングにご協力お願いします↓

にほんブログ村

人気ブログランキング



昨今まで道内各地で活躍していています。メインは札幌~釧路間の「スーパーおおぞら」です。
かつては札幌~函館間の「スーパー北斗」、札幌~帯広間の「スーパーとかち」にも使用されていましたが、現在はこれらの列車からは撤退し、「スーパーおおぞら」のみで使用されています。
また、臨時の「北斗」でも運行することがあり、定期列車から臨時列車まで幅広く活躍しています。
ですが、今夏を境に臨時の「北斗」への充当がなくなり、年末年始輸送期間中の輸送にも充当されないようです。また、釧路方面ではキハ261系1000番台の試運転が実施されていることから、後継車両への置き換えが着々と進みつつある印象です。
そのようなキハ283系ですが、今回は苗穂工場敷地内にある鉄道技術館内に展示されている同車のデザイン決定前のアイデアスケッチを紹介します。

昨今も使用されている量産車はこのようなデザインですね。

ちなみに、現存しない試作車は塗装こそ同じもののヘッドライト部分とスカートの形状が量産車と異なっているので、雰囲気も若干異なります。
ちなみに、登場当時は乗降扉周りのグリーンのラインが現在とは異なるデザインだったようですね。


本題に入ります。
アイデアスケッチからデザインの決定へ、ということで、キハ283系も昨今見かけるデザインのほかにも何種類かのデザイン案があったようです。
キハ261系1000番台の新色のように、白を基調としたデザインが複数あり、その1つは最新のJR東日本のE353系に似たようなものもあります。キハ281系と同じようなデザインもあります。個人的に面白そうなのがオレンジです。最初見たときは「なぜ?」と思っていましたが、キハ183系が現在のHET色になる以前は「新塗装」と呼ばれる外装をまとった時期がありました。車体は白く、先頭部分や客室窓したにオレンジのラインが入った塗装です。
おそらくそれを意識したのではないかと思います。
さすがに車両のデザインが優秀だった頃のJR北海道とはいえ、受け入れ難いデザインがあるのも事実です。ですが、実車で再現しないとわからないこともあり、実際にキハ261系1000番台の新色は先に発表されたイラストよりも現車の方が全然カッコよかったりします。
それでも以前の青を基調とした塗装には敵いませんね。
以下は過去に閲覧者の方とコメントでやりとりした内容をほぼそのまま掲載します。
キハ281系やキハ283系が登場した頃は、JR北海道のデザインは黄金期でした。JR北海道発足当時で、車両設計の実務を経験したことがある人間は5人程度だったと思います。そこから外部から専門の人間を招いて指導を受けました。
そしてその指導を受けた人間たちがゼロから手掛け、その集大成となった最初の作品が昨今宗谷線特急の代走で活躍することが多いノースレインボーエクスプレスのようです。ちょうどリゾートブームが一段落し、それまでのジョイフルトレインのコンセプトを大きく方向転換せざるを得なかったことでしょう。それでも、その方針転換を図ったコンセプトが見事に的中し、30年弱経過した現在でもその汎用性が生かされています。比較的運転台を高くしたことも以下のような理由があるためだと推測します。
構造的にはキハ281系から採用されている高運転台のげんこつスタイルは、1991年に日高本線で発生した踏切事故が転機になっています。タンクローリーと衝突し、運転士は重症、後に足を切断するまでに至りました。これを教訓とし、JR北海道では特急車両は高運転台スタイルが当たり前のデザインとなりました。札幌圏で活躍する普通列車用の733系などは2階に運転席のある構造ではありませんが、それでも運転台は比較的高い位置に設けられ、運転士の万が一の踏切事故に備えています。
これが生かされたのが2010年1月に函館本線で発生した踏切事故です。「スーパーカムイ」がダンプカーと衝突しました。1編成が事故廃車になったものの、重傷者は出ず、運転士も軽傷で済みました。
高運転台スタイルを生み出した元々の背景には、1人の運転士の大けがにあり、30年弱が経過した現在でも最新のキハ261系に引き続き生かされています。
残念ながら、キハ283系のアイデアスケッチのみが展示されており、キハ261系やキハ281系のものは鉄道技術館では確認できません。キハ261系については、過去に書籍で当初のデザイン案やデンマーク国鉄との逸話が記録されたものもあるので、そちらを参考にしてみるといいかもしれませんね。
苗穂工場の一般公開に行かなくても、日頃の鉄道技術館の一般開放でも貴重な資料をたくさん見ることができます。年々展示物が増え、館内が少し狭くなってきている印象がありますが、それだけ過去の北海道の鉄道の資料が記録されています。
今週末は鉄道技術館の無料開放日なので、ぜひ行ってみてはいかがでしょう?
↓ブログランキングにご協力お願いします↓

にほんブログ村

人気ブログランキング

- 関連記事
-
-
キハ283系の自由席車両に簡易荷物置場を設置 2020/02/17
-
デザイン決定前のキハ283系のアイデアスケッチ 2019/12/12
-
「キハ282-2008」の行先表示器がフルカラーLEDタイプに交換 2018/09/18
-