今後数年間におけるJR北海道の車両動向
その他あれこれ - 2019年12月14日 (土)
本日、来年3月のダイヤ改正内容が発表されました。
やはり、札幌圏では快速「エアポート」の増発を実施するため、特急列車にも時刻変更が生じ、久々の大規模なダイヤ改正となっています。
一方で、ダイヤ改正の度に注目されることがあります。それは、老朽化した車両や置き換えとなる車両の行方です。
ダイヤ改正の大まかな内容については次回の記事としますが、まずは今後数年間におけるJR北海道の車両新製計画についてみていきましょう。

実は今年の4月に発表された「安全計画2023」の中に、具体的に年表式になった資料があり、今後の車両の新製計画の具体的な時期及び、それに伴う老朽車両取替についても明記されています。
安全計画2023とは、「JR北海道 安全の再生」を基本方針として、「事業改善命令・監督命令による措置を講ずるための計画」と「安全投資と修繕に関する5年間の計画」の考え方を基本に安全の再生の取り組みを継続することで、重大事故、重大労災、危険事象の再発防止・未然防止対策に取り組むことです。
では、既存の気になる車両を形式ごとに以下にピックアップしていきましょう。
【キハ183系】

既存の車両については、現時点で2022年度までに後継車両のキハ261系への老朽取替を実施する予定です。
今年度に入り、旧130km/h対応車については、120km/h対応車との編成内における混用が可能になりました。これに伴い、既に一部車両で営業運転から離脱した車両もあります。混用化によって余剰車が発生したと思われ、タイムリミットが迫る2022年度までに全ての車両が現役を引退し、キハ261系に置き換えられることが予想されます。
【キハ281系】

今年3月のダイヤ改正で2往復が置き換えられました。2022年度までに置き換えられることが既に発表されています。しかし、今年度は釧路方面へキハ261系を新製投入することに伴い、今年度中の動きはないものと予想され、来年度以降の動向が注目されます。
【キハ283系】

遂に道東のコーナリングマシンの置き換え計画が発表され、来年3月のダイヤ改正で6往復中3往復がキハ261系に置き換えられます。置き換え後は一部車両で余剰車が発生するのは確実で、長年の高速運転で老朽・劣化の激しい車両から順次置き換えられることが予想されます。
キハ283系の量産車は1997年から営業運転を開始し、2001年に最終増備車(5次車)が投入されています。製造時期における車齢差や既に実施されている行先表示器のフルカラーLED化も若い車番の車両はいまだ未更新となっており、製造時期が早い車両を中心に今年度末から来年度初頭にかけて廃車が発生する可能性がありそうです。
【キハ261系0番台】

札幌・旭川~稚内間で運行する「宗谷」・「サロベツ」専用車です。構造上の関係で昨今増備されている1000番台との混用はできません。
キハ261系が増備され続けていますが、0番台は登場から20年が経過します。上記の資料のとおり、引き続き重要機器取替工事が施行される予定です。
予備車両が少なく、冬季に代走が多くなる宗谷線特急ですが、来年度以降観光列車と代走の役割を合わせ持った多目的車両が登場し、代走時における利用客の負担が減る見込みです。
【キハ261系1000番台】

北海道の既存の特急気動車であるキハ183系、キハ281系、キハ283系を置き換えるべく、引き続き増備している車両です。昨年度から最新の7次車が投入され、2022年度までに全67両を製造し、キハ261系1000番台の製造を一旦終える見込みです。今年度末から新たに釧路方面へ定期列車として入線するようになります。
【721系】

711系なき今、北海道における最古参の近郊形車両になりました。昨年度中に「安全投資と修繕に関する5年間の計画」で24両が置き換え対象になる記載がされていましたが、実際に老朽取替になった車両はありませんでした。しかし、2022年度から快速「エアポート」用の車両の老朽取替に着手する見込みで、数年後には快速「エアポート」はロングシートの733系に揃えられる見込みです。
【731系】

登場から20年が経過した車両もあります。重要機器取替工事を引き続き施行するようです。
【733系】

快速「エアポート」用の721系の老朽取替を2022年度から着手する見込みとなっており、ますます勢力が拡大されるでしょう。
【785系】

資料に記載がなく、今後の動向が注目される車両です。登場時から基本編成を組んでいた5編成は既に廃車され、現在は登場時に付属編成で活躍し、5両編成化で組み替えた編成2本が札幌~東室蘭・室蘭間の「すずらん」で使用されています。
特に車両の置き換え計画もないことから、引き続き現役続投になると予想しますが、来年で車齢30年を迎え、一年を通じて厳しい気候条件の中で高速運転を実施してきたことから、車体の老朽・劣化が心配されます。
もとの付属編成が生き残った理由は、2002年まで組み替えられるまでの走行距離の差によるもののようです。
【789系0番台】

2002年から2016年まで道南と本州を結ぶ「スーパー白鳥」として使用されてきましたが、北海道新幹線開業により、転用改造を経て2017年3月から道央圏で使用を開始しました。
その頃、苗穂運転所(札ナホ)に所属するキハ183系の車体の老朽・劣化が激しく、使用する車両数を減らさざるを得ない状況でした。そこで、キハ183系を網走方面に集約し、稚内方面もキハ261系0番台に車両が統一しました。同時に札幌駅発着だった4往復の特急列車を旭川駅発着に変更し、減便分となる札幌~旭川間については、789系0番台を有効活用する方針としました。
実際に運行を開始すると、冬季における車両不具合が多く、789系1000番台の代走が目立つようになります。一部編成から実施されている重要機器取替工事を施行するとともに、内装の一部設備を1000番台に合わせる変更が実施されているようです。
【789系1000番台】

道央圏で活躍する主力の特急車両です。「カムイ」として旭川方面に行ったり、785系をサポートすべく、ときには室蘭方面へ「すずらん」として使用されます。789系0番台「ライラック」の車両故障時も同車が代走の役割を担います。
0番台とは異なり、どんな厳しい条件下でも車両故障をしない無敵の車両です。同車についても動向は発表されておらず、引き続き「カムイ」・「すずらん」として活躍するでしょう。
【H100形】

今年度末から函館本線山線に正式に投入されます。空転対策を実施しており、同時に観光シーズンを中心に訪日外国人の利用が多くなることから、外国語の案内放送が設置されている関係で、山線への投入が決まったことでしょう。
まず今年度は15両投入し、2020年度から2021年度にかけてさらに60両を投入する計画です。これに伴い、現在も一部で実施されているキハ40形気動車の老朽取替に本格的に着手する見込みです。
【キハ40形】

既に一部で老朽廃車が始まっています。H100形が投入されれば、延命化を実施していない700番台や350番台などは淘汰対象になることが予想されます。延命化を実施している1700番台については、観光用に改造された車両も何両かあり、今しばらく活躍が続けられることでしょう。
【キハ54形500番台・キハ150形】


北海道のローカル線で活躍する気動車の中で、老朽取替対象になっていない2形式です。キハ40形よりも出力の大きい機関を搭載するため、冬季の積雪時における出力不足時などはこれら2形式が威力を発揮します。これらの車両も製造から30年を経過する車両もありますが、動向について発表されていないので、H100形の増備につれて異動の可能性はあるものの、引き続き現役で活躍することでしょう。
【キハ201系】

元々は函館本線山線(倶知安方面)から札幌へ直通する際に所要時分短縮を目的に開発されました。且つ過密ダイヤとなる札幌圏での走行も視野に入れ、731系との動力協調運転を行い、単独で運行する際も札幌圏の近郊形電車と同等のダイヤで走行することができます。
学園都市線の桑園~北海道医療大学間の電化後、活躍の場を函館本線に移しましたが、その後も一部列車が電車に置き換えられています。高コスト車両ゆえ、3両編成×4本しか製造されておらず、活躍の場が限られています。
今後、函館本線の日中の運用が消滅する可能性はあるものの、H100形投入後も快速「ニセコライナー」として活躍するようです。重要機器取替工事を施行した編成もあり、引き続き特定の列車で活躍するでしょう。
ということで、気になる車両を一通り記載しました。
これを基に、ダイヤ改正資料を眺めていくと、JR北海道の将来の展望がだいたい見えてくるはずです。特急気動車が全てキハ261系になる日や、快速「エアポート」が全て733系になる日もそう遠くありません。今後数年間はダイヤ改正の度に何らかの大きな変化が予想されます。
特に老朽取替対象車については、今のうちから早めに記録しておいた方がいいということは言うまでもありません。まず今年度やまたは来年度初頭にかけて、山線で活躍中の既存のローカル気動車、区間快速「いしかりライナー」、「スーパー北斗」、「スーパーとかち」、「スーパーおおぞら」と、記録すべき列車がたくさんあります。今から前もって計画を立て、地道に記録し続けることをオススメします。
↓ブログランキングにご協力お願いします↓

にほんブログ村

人気ブログランキング
やはり、札幌圏では快速「エアポート」の増発を実施するため、特急列車にも時刻変更が生じ、久々の大規模なダイヤ改正となっています。
一方で、ダイヤ改正の度に注目されることがあります。それは、老朽化した車両や置き換えとなる車両の行方です。
ダイヤ改正の大まかな内容については次回の記事としますが、まずは今後数年間におけるJR北海道の車両新製計画についてみていきましょう。

実は今年の4月に発表された「安全計画2023」の中に、具体的に年表式になった資料があり、今後の車両の新製計画の具体的な時期及び、それに伴う老朽車両取替についても明記されています。
安全計画2023とは、「JR北海道 安全の再生」を基本方針として、「事業改善命令・監督命令による措置を講ずるための計画」と「安全投資と修繕に関する5年間の計画」の考え方を基本に安全の再生の取り組みを継続することで、重大事故、重大労災、危険事象の再発防止・未然防止対策に取り組むことです。
では、既存の気になる車両を形式ごとに以下にピックアップしていきましょう。
【キハ183系】

既存の車両については、現時点で2022年度までに後継車両のキハ261系への老朽取替を実施する予定です。
今年度に入り、旧130km/h対応車については、120km/h対応車との編成内における混用が可能になりました。これに伴い、既に一部車両で営業運転から離脱した車両もあります。混用化によって余剰車が発生したと思われ、タイムリミットが迫る2022年度までに全ての車両が現役を引退し、キハ261系に置き換えられることが予想されます。
【キハ281系】

今年3月のダイヤ改正で2往復が置き換えられました。2022年度までに置き換えられることが既に発表されています。しかし、今年度は釧路方面へキハ261系を新製投入することに伴い、今年度中の動きはないものと予想され、来年度以降の動向が注目されます。
【キハ283系】

遂に道東のコーナリングマシンの置き換え計画が発表され、来年3月のダイヤ改正で6往復中3往復がキハ261系に置き換えられます。置き換え後は一部車両で余剰車が発生するのは確実で、長年の高速運転で老朽・劣化の激しい車両から順次置き換えられることが予想されます。
キハ283系の量産車は1997年から営業運転を開始し、2001年に最終増備車(5次車)が投入されています。製造時期における車齢差や既に実施されている行先表示器のフルカラーLED化も若い車番の車両はいまだ未更新となっており、製造時期が早い車両を中心に今年度末から来年度初頭にかけて廃車が発生する可能性がありそうです。
【キハ261系0番台】

札幌・旭川~稚内間で運行する「宗谷」・「サロベツ」専用車です。構造上の関係で昨今増備されている1000番台との混用はできません。
キハ261系が増備され続けていますが、0番台は登場から20年が経過します。上記の資料のとおり、引き続き重要機器取替工事が施行される予定です。
予備車両が少なく、冬季に代走が多くなる宗谷線特急ですが、来年度以降観光列車と代走の役割を合わせ持った多目的車両が登場し、代走時における利用客の負担が減る見込みです。
【キハ261系1000番台】

北海道の既存の特急気動車であるキハ183系、キハ281系、キハ283系を置き換えるべく、引き続き増備している車両です。昨年度から最新の7次車が投入され、2022年度までに全67両を製造し、キハ261系1000番台の製造を一旦終える見込みです。今年度末から新たに釧路方面へ定期列車として入線するようになります。
【721系】

711系なき今、北海道における最古参の近郊形車両になりました。昨年度中に「安全投資と修繕に関する5年間の計画」で24両が置き換え対象になる記載がされていましたが、実際に老朽取替になった車両はありませんでした。しかし、2022年度から快速「エアポート」用の車両の老朽取替に着手する見込みで、数年後には快速「エアポート」はロングシートの733系に揃えられる見込みです。
【731系】

登場から20年が経過した車両もあります。重要機器取替工事を引き続き施行するようです。
【733系】

快速「エアポート」用の721系の老朽取替を2022年度から着手する見込みとなっており、ますます勢力が拡大されるでしょう。
【785系】

資料に記載がなく、今後の動向が注目される車両です。登場時から基本編成を組んでいた5編成は既に廃車され、現在は登場時に付属編成で活躍し、5両編成化で組み替えた編成2本が札幌~東室蘭・室蘭間の「すずらん」で使用されています。
特に車両の置き換え計画もないことから、引き続き現役続投になると予想しますが、来年で車齢30年を迎え、一年を通じて厳しい気候条件の中で高速運転を実施してきたことから、車体の老朽・劣化が心配されます。
もとの付属編成が生き残った理由は、2002年まで組み替えられるまでの走行距離の差によるもののようです。
【789系0番台】

2002年から2016年まで道南と本州を結ぶ「スーパー白鳥」として使用されてきましたが、北海道新幹線開業により、転用改造を経て2017年3月から道央圏で使用を開始しました。
その頃、苗穂運転所(札ナホ)に所属するキハ183系の車体の老朽・劣化が激しく、使用する車両数を減らさざるを得ない状況でした。そこで、キハ183系を網走方面に集約し、稚内方面もキハ261系0番台に車両が統一しました。同時に札幌駅発着だった4往復の特急列車を旭川駅発着に変更し、減便分となる札幌~旭川間については、789系0番台を有効活用する方針としました。
実際に運行を開始すると、冬季における車両不具合が多く、789系1000番台の代走が目立つようになります。一部編成から実施されている重要機器取替工事を施行するとともに、内装の一部設備を1000番台に合わせる変更が実施されているようです。
【789系1000番台】

道央圏で活躍する主力の特急車両です。「カムイ」として旭川方面に行ったり、785系をサポートすべく、ときには室蘭方面へ「すずらん」として使用されます。789系0番台「ライラック」の車両故障時も同車が代走の役割を担います。
0番台とは異なり、どんな厳しい条件下でも車両故障をしない無敵の車両です。同車についても動向は発表されておらず、引き続き「カムイ」・「すずらん」として活躍するでしょう。
【H100形】

今年度末から函館本線山線に正式に投入されます。空転対策を実施しており、同時に観光シーズンを中心に訪日外国人の利用が多くなることから、外国語の案内放送が設置されている関係で、山線への投入が決まったことでしょう。
まず今年度は15両投入し、2020年度から2021年度にかけてさらに60両を投入する計画です。これに伴い、現在も一部で実施されているキハ40形気動車の老朽取替に本格的に着手する見込みです。
【キハ40形】

既に一部で老朽廃車が始まっています。H100形が投入されれば、延命化を実施していない700番台や350番台などは淘汰対象になることが予想されます。延命化を実施している1700番台については、観光用に改造された車両も何両かあり、今しばらく活躍が続けられることでしょう。
【キハ54形500番台・キハ150形】


北海道のローカル線で活躍する気動車の中で、老朽取替対象になっていない2形式です。キハ40形よりも出力の大きい機関を搭載するため、冬季の積雪時における出力不足時などはこれら2形式が威力を発揮します。これらの車両も製造から30年を経過する車両もありますが、動向について発表されていないので、H100形の増備につれて異動の可能性はあるものの、引き続き現役で活躍することでしょう。
【キハ201系】

元々は函館本線山線(倶知安方面)から札幌へ直通する際に所要時分短縮を目的に開発されました。且つ過密ダイヤとなる札幌圏での走行も視野に入れ、731系との動力協調運転を行い、単独で運行する際も札幌圏の近郊形電車と同等のダイヤで走行することができます。
学園都市線の桑園~北海道医療大学間の電化後、活躍の場を函館本線に移しましたが、その後も一部列車が電車に置き換えられています。高コスト車両ゆえ、3両編成×4本しか製造されておらず、活躍の場が限られています。
今後、函館本線の日中の運用が消滅する可能性はあるものの、H100形投入後も快速「ニセコライナー」として活躍するようです。重要機器取替工事を施行した編成もあり、引き続き特定の列車で活躍するでしょう。
ということで、気になる車両を一通り記載しました。
これを基に、ダイヤ改正資料を眺めていくと、JR北海道の将来の展望がだいたい見えてくるはずです。特急気動車が全てキハ261系になる日や、快速「エアポート」が全て733系になる日もそう遠くありません。今後数年間はダイヤ改正の度に何らかの大きな変化が予想されます。
特に老朽取替対象車については、今のうちから早めに記録しておいた方がいいということは言うまでもありません。まず今年度やまたは来年度初頭にかけて、山線で活躍中の既存のローカル気動車、区間快速「いしかりライナー」、「スーパー北斗」、「スーパーとかち」、「スーパーおおぞら」と、記録すべき列車がたくさんあります。今から前もって計画を立て、地道に記録し続けることをオススメします。
↓ブログランキングにご協力お願いします↓

にほんブログ村

人気ブログランキング

- 関連記事
-
-
2020年3月14日(土)ダイヤ改正概要 2019/12/16
-
今後数年間におけるJR北海道の車両動向 2019/12/14
-
札幌圏もすっかり雪景色 2019/11/30
-