2022年度から始まる721系エアポート編成の老朽取替
近郊形電車 - 2020年01月31日 (金)
快速「エアポート」は登場時以来から721系が使用されています。


後に登場する733系3000番台と共通使用で、日頃の利用者の中には、普通列車よりも快速「エアポート」の方が利用頻度が高い方も多くおられるでしょう。

実は、昨年4月に発表された「安全計画2023」の中に、2022年度以降、『721系電車(快速エアポート用)老朽取替』と明記されています。遂に置き換えられる時期が迫ってきたようです。


その前に、昨年度まで実施されていた「安全投資と修繕に関する5年間の計画」では、721系の老朽取替が2018年度で完了予定となっていました。
実際に大量の721系が営業運転から撤退することはなく、動きがないのは苗穂工場に長期間入場しているF-12編成の3両編成×1本だけです。当該計画のとおりにはなっておらず、初期車も引き続き使用されている状況です。
そして、昨年4月には計画が変更され、次は、快速「エアポート」で使用している721系の老朽取替に切り替わっています。全ての編成が対象と思われ、順次置き換えられることになりそうです。



721系の枠が空くとすれば、当然そこに733系3000番台が入るでしょう。現在、快速「エアポート」は721系と733系3000番台の共通運用で、日によってどちらの車両がくるかわかりません。721系は転換クロスシートで、進行方向に向かって座れることが利点ですが、逆に定員数が少なく、近年需要が増え続けている新千歳空港では、大型のスーツケースを利用する利用者も多く、721系では通路が狭く、一部車両は防寒対策のために登場時の仕切りドアが残っている車両もあり、利用しづらい車両になりつつありました。定員数が多く、通路の広い733系3000番台に統一することで、そうした問題も解消されることでしょう。
実際に721系の初期車を置き換えるための転配なのか、そのままエアポート編成を直接置き換えるのかは不明です。ただ現実には1988年から投入されている初期車もいまだに残り、制御機器も未更新のまま現在に至ります。30年前の車両ともなれば、各種部品が生産中止になり、メンテナンス体制に苦慮していることでしょう。そうしたメンテナンス体制を優先すべきであれば、初期車から淘汰していくのが効率が良いと言えます。
6両固定のエアポート編成と普通列車用の3両編成との決定的な違いは、130km/h運転を実施しているか、していないかです。一部の3両編成は130km/h対応ですが、本格的なエアポート運用から離脱してから17年が経過しています。途中から快速「エアポート」は120km/h運転になりましたが、長年の高速運転ゆえの老朽・劣化は避けられない事実です。
エアポート編成の場合、早朝や深夜は普通列車として稼働している編成が多く、日中はそこからエアポート運用に順次入っていきます。そう考えると、1日の走行距離が長く、且つ長年の高速運転によって疲労は蓄積されており、早期の引退も仕方がないという見方もできます。
さて、上記で「721系の初期車を置き換えるための転配」と記載しました。3両編成の初期車中心の721系を6両固定のエアポート編成で置き換えることができるのか?
こうした疑問が出てくると思います。
実は数年前から、札幌圏では日中でも6両編成で運行される普通列車・区間快速「いしかりライナー」が増えてきました。



おそらく、運用の効率化を図ったものです。
一時期、早朝と深夜の普通列車を6両、日中の普通列車を原則3両としていました。しかしこれは、運用上において欠点にもなったのです。それは、元々退避施設の少ない札幌駅のその周辺で、いちいち札幌運転所(札サウ)に戻して分割や併合作業を実施することは線路容量が不足気味の札幌圏では、回送列車や送り込み列車が増えてばかりで、遅延した場合は多くの列車に影響を及ぼしました。過密ダイヤでもあるため、1本の列車で遅れが発生すると、それが徐々にほかの列車にも影響してしまうのです。
それでは安定した輸送が実施できないということで、千歳線や函館本線の列車では、日中に6両編成で運行される列車が増え、一部は721系の運用もあります。6両編成で運行される普通列車が増えてきているので、機器更新を実施した車両や721系の中でも経年の浅い6両編成が活躍する場が引き続き残されています。


また、学園都市線でも721系エアポート編成が大活躍しています。
快速「エアポート」は733系3000番台と共通使用となっていますが、学園都市線については、721系のエアポート編成が充当されることが多いです。あくまで共通使用となっていますが、やはり定員数を重視すべき、快速「エアポート」運用を733系3000番台に回す傾向はあるようですね。
記憶にある限りでは、早朝から深夜まで終日エアポート編成が充当される運用もあったはずです。なぜ学園都市線でエアポート編成による充当列車が多いかというと、これも利用者よりも運用上の都合を優先していると思われます。
こちらも一時期、日中のほとんどの列車を3両編成にした時期がありました。しかし、線路容量の関係で回送列車を多く走るようになった結果、定期営業列車を含めて遅延が発生しやすくなりました。
輸送適正化という意味では間違っていない判断ですが、札幌圏では線路の容量不足という問題を抱えており、回送列車を多く設定し、さらに過密ダイヤにしてしまうと、定期営業列車に遅延が発生してしまい、安定した輸送ができなくなります。また、回送列車を運行するにも運転士を手配しなければなりません。
こうしたことから、たとえ一部の時間帯で6両編成では輸送過剰な状態であっても、運用の都合上、その方が効率が良いわけです。終日6両編成の運用も増えたことで、おかげで回送列車も減り、一時期よりは列車の往来が少なくなりました。特に朝のラッシュ時間帯終了後は遅延が発生する列車も少なくなりましたね。
終日6両編成で運行する運用もあることから、6両固定のエアポート編成が充当される列車が多いです。たとえ、快速「エアポート」運用から離れたとしても、学園都市線など、6両固定の運用が組まれている普通列車でまだまだ使用でき、これと引き換えに3両編成を置き換える流れも考えられます。
いずれにしても、現段階ではどのようになるか不明なので、3年後どのようになっているか気になります。
車両は古くしても転換クロスシートで進行方向に向かって座ることができ、且つ景色が堪能できたり、各車両の端は1人がけもあってゆったり快適に移動できるのが721系の良いところです。それがあと3年で終了してしまうのは残念ですが、空港連絡事情が以前から大きく変化している背景を考慮すれば、これは仕方のないことだと思います。
快速「エアポート」デビュー当時から使用されている721系が数年後に空港連絡からほぼ撤退することは、管理者は今でも驚きを隠せません。快速「エアポート」前にも快速「空港ライナー」としても721系が使用されていましたね。
北海道では特急気動車の老朽取替を急ピッチで進め、今度はローカル気動車も急ピッチで置き換えが開始されようとしています。721系も次第にその波に呑み込まれてしまいそうです。
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後に登場する733系3000番台と共通使用で、日頃の利用者の中には、普通列車よりも快速「エアポート」の方が利用頻度が高い方も多くおられるでしょう。

実は、昨年4月に発表された「安全計画2023」の中に、2022年度以降、『721系電車(快速エアポート用)老朽取替』と明記されています。遂に置き換えられる時期が迫ってきたようです。


その前に、昨年度まで実施されていた「安全投資と修繕に関する5年間の計画」では、721系の老朽取替が2018年度で完了予定となっていました。
実際に大量の721系が営業運転から撤退することはなく、動きがないのは苗穂工場に長期間入場しているF-12編成の3両編成×1本だけです。当該計画のとおりにはなっておらず、初期車も引き続き使用されている状況です。
そして、昨年4月には計画が変更され、次は、快速「エアポート」で使用している721系の老朽取替に切り替わっています。全ての編成が対象と思われ、順次置き換えられることになりそうです。



721系の枠が空くとすれば、当然そこに733系3000番台が入るでしょう。現在、快速「エアポート」は721系と733系3000番台の共通運用で、日によってどちらの車両がくるかわかりません。721系は転換クロスシートで、進行方向に向かって座れることが利点ですが、逆に定員数が少なく、近年需要が増え続けている新千歳空港では、大型のスーツケースを利用する利用者も多く、721系では通路が狭く、一部車両は防寒対策のために登場時の仕切りドアが残っている車両もあり、利用しづらい車両になりつつありました。定員数が多く、通路の広い733系3000番台に統一することで、そうした問題も解消されることでしょう。
実際に721系の初期車を置き換えるための転配なのか、そのままエアポート編成を直接置き換えるのかは不明です。ただ現実には1988年から投入されている初期車もいまだに残り、制御機器も未更新のまま現在に至ります。30年前の車両ともなれば、各種部品が生産中止になり、メンテナンス体制に苦慮していることでしょう。そうしたメンテナンス体制を優先すべきであれば、初期車から淘汰していくのが効率が良いと言えます。
6両固定のエアポート編成と普通列車用の3両編成との決定的な違いは、130km/h運転を実施しているか、していないかです。一部の3両編成は130km/h対応ですが、本格的なエアポート運用から離脱してから17年が経過しています。途中から快速「エアポート」は120km/h運転になりましたが、長年の高速運転ゆえの老朽・劣化は避けられない事実です。
エアポート編成の場合、早朝や深夜は普通列車として稼働している編成が多く、日中はそこからエアポート運用に順次入っていきます。そう考えると、1日の走行距離が長く、且つ長年の高速運転によって疲労は蓄積されており、早期の引退も仕方がないという見方もできます。
さて、上記で「721系の初期車を置き換えるための転配」と記載しました。3両編成の初期車中心の721系を6両固定のエアポート編成で置き換えることができるのか?
こうした疑問が出てくると思います。
実は数年前から、札幌圏では日中でも6両編成で運行される普通列車・区間快速「いしかりライナー」が増えてきました。



おそらく、運用の効率化を図ったものです。
一時期、早朝と深夜の普通列車を6両、日中の普通列車を原則3両としていました。しかしこれは、運用上において欠点にもなったのです。それは、元々退避施設の少ない札幌駅のその周辺で、いちいち札幌運転所(札サウ)に戻して分割や併合作業を実施することは線路容量が不足気味の札幌圏では、回送列車や送り込み列車が増えてばかりで、遅延した場合は多くの列車に影響を及ぼしました。過密ダイヤでもあるため、1本の列車で遅れが発生すると、それが徐々にほかの列車にも影響してしまうのです。
それでは安定した輸送が実施できないということで、千歳線や函館本線の列車では、日中に6両編成で運行される列車が増え、一部は721系の運用もあります。6両編成で運行される普通列車が増えてきているので、機器更新を実施した車両や721系の中でも経年の浅い6両編成が活躍する場が引き続き残されています。


また、学園都市線でも721系エアポート編成が大活躍しています。
快速「エアポート」は733系3000番台と共通使用となっていますが、学園都市線については、721系のエアポート編成が充当されることが多いです。あくまで共通使用となっていますが、やはり定員数を重視すべき、快速「エアポート」運用を733系3000番台に回す傾向はあるようですね。
記憶にある限りでは、早朝から深夜まで終日エアポート編成が充当される運用もあったはずです。なぜ学園都市線でエアポート編成による充当列車が多いかというと、これも利用者よりも運用上の都合を優先していると思われます。
こちらも一時期、日中のほとんどの列車を3両編成にした時期がありました。しかし、線路容量の関係で回送列車を多く走るようになった結果、定期営業列車を含めて遅延が発生しやすくなりました。
輸送適正化という意味では間違っていない判断ですが、札幌圏では線路の容量不足という問題を抱えており、回送列車を多く設定し、さらに過密ダイヤにしてしまうと、定期営業列車に遅延が発生してしまい、安定した輸送ができなくなります。また、回送列車を運行するにも運転士を手配しなければなりません。
こうしたことから、たとえ一部の時間帯で6両編成では輸送過剰な状態であっても、運用の都合上、その方が効率が良いわけです。終日6両編成の運用も増えたことで、おかげで回送列車も減り、一時期よりは列車の往来が少なくなりました。特に朝のラッシュ時間帯終了後は遅延が発生する列車も少なくなりましたね。
終日6両編成で運行する運用もあることから、6両固定のエアポート編成が充当される列車が多いです。たとえ、快速「エアポート」運用から離れたとしても、学園都市線など、6両固定の運用が組まれている普通列車でまだまだ使用でき、これと引き換えに3両編成を置き換える流れも考えられます。
いずれにしても、現段階ではどのようになるか不明なので、3年後どのようになっているか気になります。
車両は古くしても転換クロスシートで進行方向に向かって座ることができ、且つ景色が堪能できたり、各車両の端は1人がけもあってゆったり快適に移動できるのが721系の良いところです。それがあと3年で終了してしまうのは残念ですが、空港連絡事情が以前から大きく変化している背景を考慮すれば、これは仕方のないことだと思います。
快速「エアポート」デビュー当時から使用されている721系が数年後に空港連絡からほぼ撤退することは、管理者は今でも驚きを隠せません。快速「エアポート」前にも快速「空港ライナー」としても721系が使用されていましたね。
北海道では特急気動車の老朽取替を急ピッチで進め、今度はローカル気動車も急ピッチで置き換えが開始されようとしています。721系も次第にその波に呑み込まれてしまいそうです。
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