廃止が確定の方向へ向かう日高本線・鵡川~様似間
その他あれこれ - 2020年02月03日 (月)
昨年から報道されるようになりましたが、長らく不通が続く、日高本線の鵡川~様似間の廃止が確定の方向に向かいつつあります。
2箇所の大きな路盤流出によっておよそ5年もの間、鵡川~様似間ではバス代行輸送をメインに、安定した輸送ができなくなっていましたが、その決着がつく日も近いようです。
昨年末に鵡川まで乗車してきたので、少し現状をお伝えします。

日高本線は鵡川までしか運行されませんが、その先、苫小牧14時32分発は、鵡川~静内、静内~様似と代行バスを乗り継ぐことができます。なので、苫小牧駅の発車案内板も不通区間となっていますが、まだ「様似」と表示されるようです。

列車の写真は1番最後ですが、当日は2両編成で苫小牧からの利用はそこそこありました。2両編成で窓側の座席が全て埋まるぐらいです。利用が多いのは勇払駅や鵡川駅です。途中の浜厚真駅と浜田浦駅は往復とも利用者がゼロでした。
勇払~鵡川間は人家も稀な区間です。


そして、管理者も一度は見ておきたかった施設が目の前に。
北海道電力の苫東厚真火力発電所です。本当に目の前を走ります。
東厚真火力発電所は一度は耳にしたことがあると思います。北海道胆振東部地震で被害を受けた火力発電所です。地震発生直後、1号機、2号機、4号機で損傷や火災が発生し、道内の離島を除く、全域で一時停電が生じました。そこから、病院などの公共機関を優先に復旧していき、数日後には道内全域で停電が復旧しました。
まさか、道内で使用している電力のそのほとんどが、苫東厚真火力発電所から供給されていたことは、ほとんどの道民が知らなかったと思います。その後、2019年2月27日に石狩湾新港発電所が営業運転を開始しました。火力発電ではなく、液化天然ガスによる発電所です。
北海道電力の既設の火力発電所の経年化や電力を分散し、安定供給を図るために設置されました。これで、大地震が発生したとしても、電力が分散化されたことで、北海道胆振東部地震発生時のような大規模停電には、よほどのことがない限りならないでしょう。

鵡川駅に到着しました。駅舎は木造の特徴ある駅です。駅舎横に通路が設けられており、そこから代行バスに乗り換えます。
無人駅なので、降りる前に運賃やきっぷを運転士に見せたり、払ったりしなければなりません。


代行バスも何種類かあるようです。フツーの路線バス仕様のものが使用されるときもあれば、団体用のバスが使われることもあるようです。

潮風の影響を受けているからか、駅名標もすっかりくたびれていますね。

当日の車両はキハ40形気動車の2両編成でした。日高色の350番台が使用されることはなく、1700番台が使用されました。現在は苫小牧運転所(札トマ)に所属するキハ40形気動車で室蘭本線や石勝線で使用される車両と共通化されているようですね。
これまで路線の存廃について色々と協議を重ねてきました。鉄道路線として存続させるためには、関係する日高管内の7町(日高・平取・新ひだか・新冠・浦河・様似・えりもの各町)に対して、年間13億円を負担しなければなりません。護岸工事に約86億円かかります。運転を再開することになれば、再開初年度には100億円近い負担を強いられるわけです。護岸工事については、明確な負担割合は示されていなかったと思いますが、いずれも資金を拠出することは難しく、2020年度を目途に廃止を表明していましたね。
ですが、実際に復旧費用は数年前のものです。それ以降は線路や関係設備が一切使われていませんから、復旧費用はもっと増えるはずです。
4年~5年の歳月が過ぎようとしていますが、いまだに日高本線の不通区間がどのようになるか、はっきりとした答えは出ていません。なぜこんなに時間がかかるのか?
これまで幾度となく協議を続けてきましたが、管理者にとってはそれは時間の無駄だったと言わざるを得ません。以下の言葉でその数年におけるやりとりを表すと・・・
「誰が費用を負担するかにおける、道と沿線自治体とJR北海道のかけ引き」
日本全国どこでも該当すると思いますが、地方の自治体が億単位の財政的な余裕があるわけでなく、都道府県も東京都などの大都市でなければ、拠出は難しいでしょう。JR北海道については昨今の経営難から、言うまでもありませんよね。
誰がお金を出すか。このかけ引きがずっと繰り広げられてきたわけです。
もちろん、表向きは復旧としながら、代替交通案を推進するJR北海道や、JR北海道に自助努力として突き放し、前向きな対応に乗り出さなかった道の姿勢。
いつしかメディアからも大々的に報じられなくなり、決着しない日高本線の問題に道民の意識も低くなっていきました。
何か気にかかる発言等があれば、マスコミを通じてそれを批判する。このような体制であれば、どこも消極的になるのは当たり前ですよね。偏った報道しかしませんでした。
実際に全国放送で取り上げられた際は、管理者は嬉しかったですよ。偏った報道しかしなかった新聞記事とは、まるで異なる結論が出てきましたからね。
そこから道内の報道内容も少しづつ変わっていきましたね。
鉄道を存廃問題を取り上げるうえで重要なことは、日頃の利用者の声と沿線住民の声です。利用の中心は彼らですから、彼らの利用実態を調査すれば、日高本線が必要なのか、不必要なのかが確実に見えてきます。
調査方法も簡単です。関係する日高管内の7町の住民にアンケート調査を配布すればいいだけです。その調査用紙を全て回収できなかったとしても、ある程度の利用実態が見えてきます。そうやって路線を残すのか、残さないのかを判断すべきです。
しかし、関係自治体はこうしたこともやっていないはず。
管理者でもわかります。結果はもうわかりきっているんです。利用している人は少ないとはいえ、いることは事実です。しかし、その輸送規模が果たして鉄道路線として必要なレベルかというと、そうではありません。
地方に行けば、北海道は1回における移動距離が長くなります。当然、利便性の高い自家用車の普及・使用が高まります。そうなると当然、鉄道を利用する必要がなくなります。駅も決して利用者の最寄とは言い切れない場所にあるので、大きくて重い荷物を持っていたら移動そのものが困難です。大きな荷物も苦なく持ち運べて、目的地の最寄まで移動することができる自家用車を選ぶ人が多くなることは明らかでしょう。
そして、日高本線を存続すべき理由として、弱者救済というのがありました。各駅から利用者の各家庭まで少なからず距離がありますから、弱者救済にはなりません。
以前にも記事で記載した記憶がありますが、これからはどんどん沿線では高齢化が進んでいくでしょう。その際、弱者救済の目的で鉄道路線を残したとしても、いずれ自宅から駅までの移動が困難になる方も出てくると思います。そうなれば、弱者救済もクソもありません。鉄道を残した意味がまるでなくなります。
そうした高齢者・身体の不自由な方でも公共交通を利用することができるようにするためには、戸口から戸口の利用ができる公共交通が必要です。ハイエースコミューターなどを使ったデマンドバスがいいでしょう。その方がよっぽど弱者救済になります。
では、鉄道を存続した場合、一体誰が自宅から最寄りの駅までを、到着駅から目的地までの移動の支援をしますか?例えば、日高管内から苫小牧の病院に行く場合、苫小牧駅も設備的に高齢者にやさしい造りの駅ではありません。路線バスがあるとしても、乗り降りしなければなりません。一体誰が支援しますか?
それだったら、最初から戸口から戸口まで利用できる公共交通にした方が利用者にとってもプラスになります。これは日高本線のみならず、単独で維持することが困難な路線に指定された沿線自治体はどれも当てはまりますね。
管理者としては、利用も少なく、全国放送で利用実態としてバスが選ばれている状況から、鉄道を残す意味はほとんどないと思っています。鉄道の存廃問題よりも、重要なのは高齢化に向けた戸口から戸口の移動手段と、苫小牧に頼らざるを得ない地域医療です。
管理者としては、路線の廃止に早い段階で決着をつけ、有利な条件が得られるうちに、JR北海道から数十億円の支援を受け、地域交通を支えるデマンドバスの購入費用、設備の整った総合病院を日高管内に設けるべきだと思います。ちょうどさまざまな協議を重ねてきたのですから、関係自治体7町でバスも病院も運営すればいいじゃないですか。その方が日高管内も将来的に安定すると思いますよ。
あとは、バスのドライバー不足や医者の確保です。どちらも人材不足に悩まされており、もしかしたら、人材確保が難所になりそうです。ですが、これら紹介してきた方法が一番日高管内の自治体にとっても将来的に有益ではないかと考えています。
まもなく2カ月後には2020年度になっています。当初の予定では、2020年度を目途に廃止を表明するはずでした。ついにその時期がきました。来年の今頃には既に決着しているのでしょうか?引き続き動向が注目されます。
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2箇所の大きな路盤流出によっておよそ5年もの間、鵡川~様似間ではバス代行輸送をメインに、安定した輸送ができなくなっていましたが、その決着がつく日も近いようです。
昨年末に鵡川まで乗車してきたので、少し現状をお伝えします。

日高本線は鵡川までしか運行されませんが、その先、苫小牧14時32分発は、鵡川~静内、静内~様似と代行バスを乗り継ぐことができます。なので、苫小牧駅の発車案内板も不通区間となっていますが、まだ「様似」と表示されるようです。

列車の写真は1番最後ですが、当日は2両編成で苫小牧からの利用はそこそこありました。2両編成で窓側の座席が全て埋まるぐらいです。利用が多いのは勇払駅や鵡川駅です。途中の浜厚真駅と浜田浦駅は往復とも利用者がゼロでした。
勇払~鵡川間は人家も稀な区間です。


そして、管理者も一度は見ておきたかった施設が目の前に。
北海道電力の苫東厚真火力発電所です。本当に目の前を走ります。
東厚真火力発電所は一度は耳にしたことがあると思います。北海道胆振東部地震で被害を受けた火力発電所です。地震発生直後、1号機、2号機、4号機で損傷や火災が発生し、道内の離島を除く、全域で一時停電が生じました。そこから、病院などの公共機関を優先に復旧していき、数日後には道内全域で停電が復旧しました。
まさか、道内で使用している電力のそのほとんどが、苫東厚真火力発電所から供給されていたことは、ほとんどの道民が知らなかったと思います。その後、2019年2月27日に石狩湾新港発電所が営業運転を開始しました。火力発電ではなく、液化天然ガスによる発電所です。
北海道電力の既設の火力発電所の経年化や電力を分散し、安定供給を図るために設置されました。これで、大地震が発生したとしても、電力が分散化されたことで、北海道胆振東部地震発生時のような大規模停電には、よほどのことがない限りならないでしょう。

鵡川駅に到着しました。駅舎は木造の特徴ある駅です。駅舎横に通路が設けられており、そこから代行バスに乗り換えます。
無人駅なので、降りる前に運賃やきっぷを運転士に見せたり、払ったりしなければなりません。


代行バスも何種類かあるようです。フツーの路線バス仕様のものが使用されるときもあれば、団体用のバスが使われることもあるようです。

潮風の影響を受けているからか、駅名標もすっかりくたびれていますね。

当日の車両はキハ40形気動車の2両編成でした。日高色の350番台が使用されることはなく、1700番台が使用されました。現在は苫小牧運転所(札トマ)に所属するキハ40形気動車で室蘭本線や石勝線で使用される車両と共通化されているようですね。
これまで路線の存廃について色々と協議を重ねてきました。鉄道路線として存続させるためには、関係する日高管内の7町(日高・平取・新ひだか・新冠・浦河・様似・えりもの各町)に対して、年間13億円を負担しなければなりません。護岸工事に約86億円かかります。運転を再開することになれば、再開初年度には100億円近い負担を強いられるわけです。護岸工事については、明確な負担割合は示されていなかったと思いますが、いずれも資金を拠出することは難しく、2020年度を目途に廃止を表明していましたね。
ですが、実際に復旧費用は数年前のものです。それ以降は線路や関係設備が一切使われていませんから、復旧費用はもっと増えるはずです。
4年~5年の歳月が過ぎようとしていますが、いまだに日高本線の不通区間がどのようになるか、はっきりとした答えは出ていません。なぜこんなに時間がかかるのか?
これまで幾度となく協議を続けてきましたが、管理者にとってはそれは時間の無駄だったと言わざるを得ません。以下の言葉でその数年におけるやりとりを表すと・・・
「誰が費用を負担するかにおける、道と沿線自治体とJR北海道のかけ引き」
日本全国どこでも該当すると思いますが、地方の自治体が億単位の財政的な余裕があるわけでなく、都道府県も東京都などの大都市でなければ、拠出は難しいでしょう。JR北海道については昨今の経営難から、言うまでもありませんよね。
誰がお金を出すか。このかけ引きがずっと繰り広げられてきたわけです。
もちろん、表向きは復旧としながら、代替交通案を推進するJR北海道や、JR北海道に自助努力として突き放し、前向きな対応に乗り出さなかった道の姿勢。
いつしかメディアからも大々的に報じられなくなり、決着しない日高本線の問題に道民の意識も低くなっていきました。
何か気にかかる発言等があれば、マスコミを通じてそれを批判する。このような体制であれば、どこも消極的になるのは当たり前ですよね。偏った報道しかしませんでした。
実際に全国放送で取り上げられた際は、管理者は嬉しかったですよ。偏った報道しかしなかった新聞記事とは、まるで異なる結論が出てきましたからね。
そこから道内の報道内容も少しづつ変わっていきましたね。
鉄道を存廃問題を取り上げるうえで重要なことは、日頃の利用者の声と沿線住民の声です。利用の中心は彼らですから、彼らの利用実態を調査すれば、日高本線が必要なのか、不必要なのかが確実に見えてきます。
調査方法も簡単です。関係する日高管内の7町の住民にアンケート調査を配布すればいいだけです。その調査用紙を全て回収できなかったとしても、ある程度の利用実態が見えてきます。そうやって路線を残すのか、残さないのかを判断すべきです。
しかし、関係自治体はこうしたこともやっていないはず。
管理者でもわかります。結果はもうわかりきっているんです。利用している人は少ないとはいえ、いることは事実です。しかし、その輸送規模が果たして鉄道路線として必要なレベルかというと、そうではありません。
地方に行けば、北海道は1回における移動距離が長くなります。当然、利便性の高い自家用車の普及・使用が高まります。そうなると当然、鉄道を利用する必要がなくなります。駅も決して利用者の最寄とは言い切れない場所にあるので、大きくて重い荷物を持っていたら移動そのものが困難です。大きな荷物も苦なく持ち運べて、目的地の最寄まで移動することができる自家用車を選ぶ人が多くなることは明らかでしょう。
そして、日高本線を存続すべき理由として、弱者救済というのがありました。各駅から利用者の各家庭まで少なからず距離がありますから、弱者救済にはなりません。
以前にも記事で記載した記憶がありますが、これからはどんどん沿線では高齢化が進んでいくでしょう。その際、弱者救済の目的で鉄道路線を残したとしても、いずれ自宅から駅までの移動が困難になる方も出てくると思います。そうなれば、弱者救済もクソもありません。鉄道を残した意味がまるでなくなります。
そうした高齢者・身体の不自由な方でも公共交通を利用することができるようにするためには、戸口から戸口の利用ができる公共交通が必要です。ハイエースコミューターなどを使ったデマンドバスがいいでしょう。その方がよっぽど弱者救済になります。
では、鉄道を存続した場合、一体誰が自宅から最寄りの駅までを、到着駅から目的地までの移動の支援をしますか?例えば、日高管内から苫小牧の病院に行く場合、苫小牧駅も設備的に高齢者にやさしい造りの駅ではありません。路線バスがあるとしても、乗り降りしなければなりません。一体誰が支援しますか?
それだったら、最初から戸口から戸口まで利用できる公共交通にした方が利用者にとってもプラスになります。これは日高本線のみならず、単独で維持することが困難な路線に指定された沿線自治体はどれも当てはまりますね。
管理者としては、利用も少なく、全国放送で利用実態としてバスが選ばれている状況から、鉄道を残す意味はほとんどないと思っています。鉄道の存廃問題よりも、重要なのは高齢化に向けた戸口から戸口の移動手段と、苫小牧に頼らざるを得ない地域医療です。
管理者としては、路線の廃止に早い段階で決着をつけ、有利な条件が得られるうちに、JR北海道から数十億円の支援を受け、地域交通を支えるデマンドバスの購入費用、設備の整った総合病院を日高管内に設けるべきだと思います。ちょうどさまざまな協議を重ねてきたのですから、関係自治体7町でバスも病院も運営すればいいじゃないですか。その方が日高管内も将来的に安定すると思いますよ。
あとは、バスのドライバー不足や医者の確保です。どちらも人材不足に悩まされており、もしかしたら、人材確保が難所になりそうです。ですが、これら紹介してきた方法が一番日高管内の自治体にとっても将来的に有益ではないかと考えています。
まもなく2カ月後には2020年度になっています。当初の予定では、2020年度を目途に廃止を表明するはずでした。ついにその時期がきました。来年の今頃には既に決着しているのでしょうか?引き続き動向が注目されます。
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