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北海道の鉄道の内容を中心に自身の知識も含めながらブログの記事を日々更新しています。札幌市在住のため、主に札幌圏を走行する列車についての話題です。

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廃止が確定の方向へ向かう日高本線・鵡川~様似間

昨年から報道されるようになりましたが、長らく不通が続く、日高本線の鵡川~様似間の廃止が確定の方向に向かいつつあります。

2箇所の大きな路盤流出によっておよそ5年もの間、鵡川~様似間ではバス代行輸送をメインに、安定した輸送ができなくなっていましたが、その決着がつく日も近いようです。

昨年末に鵡川まで乗車してきたので、少し現状をお伝えします。



日高本線は鵡川までしか運行されませんが、その先、苫小牧14時32分発は、鵡川~静内、静内~様似と代行バスを乗り継ぐことができます。なので、苫小牧駅の発車案内板も不通区間となっていますが、まだ「様似」と表示されるようです。



列車の写真は1番最後ですが、当日は2両編成で苫小牧からの利用はそこそこありました。2両編成で窓側の座席が全て埋まるぐらいです。利用が多いのは勇払駅や鵡川駅です。途中の浜厚真駅と浜田浦駅は往復とも利用者がゼロでした。

勇払~鵡川間は人家も稀な区間です。





そして、管理者も一度は見ておきたかった施設が目の前に。

北海道電力の苫東厚真火力発電所です。本当に目の前を走ります。

東厚真火力発電所は一度は耳にしたことがあると思います。北海道胆振東部地震で被害を受けた火力発電所です。地震発生直後、1号機、2号機、4号機で損傷や火災が発生し、道内の離島を除く、全域で一時停電が生じました。そこから、病院などの公共機関を優先に復旧していき、数日後には道内全域で停電が復旧しました。

まさか、道内で使用している電力のそのほとんどが、苫東厚真火力発電所から供給されていたことは、ほとんどの道民が知らなかったと思います。その後、2019年2月27日に石狩湾新港発電所が営業運転を開始しました。火力発電ではなく、液化天然ガスによる発電所です。

北海道電力の既設の火力発電所の経年化や電力を分散し、安定供給を図るために設置されました。これで、大地震が発生したとしても、電力が分散化されたことで、北海道胆振東部地震発生時のような大規模停電には、よほどのことがない限りならないでしょう。



鵡川駅に到着しました。駅舎は木造の特徴ある駅です。駅舎横に通路が設けられており、そこから代行バスに乗り換えます。

無人駅なので、降りる前に運賃やきっぷを運転士に見せたり、払ったりしなければなりません。





代行バスも何種類かあるようです。フツーの路線バス仕様のものが使用されるときもあれば、団体用のバスが使われることもあるようです。



潮風の影響を受けているからか、駅名標もすっかりくたびれていますね。



当日の車両はキハ40形気動車の2両編成でした。日高色の350番台が使用されることはなく、1700番台が使用されました。現在は苫小牧運転所(札トマ)に所属するキハ40形気動車で室蘭本線や石勝線で使用される車両と共通化されているようですね。

これまで路線の存廃について色々と協議を重ねてきました。鉄道路線として存続させるためには、関係する日高管内の7町(日高・平取・新ひだか・新冠・浦河・様似・えりもの各町)に対して、年間13億円を負担しなければなりません。護岸工事に約86億円かかります。運転を再開することになれば、再開初年度には100億円近い負担を強いられるわけです。護岸工事については、明確な負担割合は示されていなかったと思いますが、いずれも資金を拠出することは難しく、2020年度を目途に廃止を表明していましたね。

ですが、実際に復旧費用は数年前のものです。それ以降は線路や関係設備が一切使われていませんから、復旧費用はもっと増えるはずです。

4年~5年の歳月が過ぎようとしていますが、いまだに日高本線の不通区間がどのようになるか、はっきりとした答えは出ていません。なぜこんなに時間がかかるのか?

これまで幾度となく協議を続けてきましたが、管理者にとってはそれは時間の無駄だったと言わざるを得ません。以下の言葉でその数年におけるやりとりを表すと・・・

「誰が費用を負担するかにおける、道と沿線自治体とJR北海道のかけ引き」

日本全国どこでも該当すると思いますが、地方の自治体が億単位の財政的な余裕があるわけでなく、都道府県も東京都などの大都市でなければ、拠出は難しいでしょう。JR北海道については昨今の経営難から、言うまでもありませんよね。

誰がお金を出すか。このかけ引きがずっと繰り広げられてきたわけです。

もちろん、表向きは復旧としながら、代替交通案を推進するJR北海道や、JR北海道に自助努力として突き放し、前向きな対応に乗り出さなかった道の姿勢。

いつしかメディアからも大々的に報じられなくなり、決着しない日高本線の問題に道民の意識も低くなっていきました。

何か気にかかる発言等があれば、マスコミを通じてそれを批判する。このような体制であれば、どこも消極的になるのは当たり前ですよね。偏った報道しかしませんでした。

実際に全国放送で取り上げられた際は、管理者は嬉しかったですよ。偏った報道しかしなかった新聞記事とは、まるで異なる結論が出てきましたからね。

そこから道内の報道内容も少しづつ変わっていきましたね。

鉄道を存廃問題を取り上げるうえで重要なことは、日頃の利用者の声と沿線住民の声です。利用の中心は彼らですから、彼らの利用実態を調査すれば、日高本線が必要なのか、不必要なのかが確実に見えてきます。

調査方法も簡単です。関係する日高管内の7町の住民にアンケート調査を配布すればいいだけです。その調査用紙を全て回収できなかったとしても、ある程度の利用実態が見えてきます。そうやって路線を残すのか、残さないのかを判断すべきです。

しかし、関係自治体はこうしたこともやっていないはず。

管理者でもわかります。結果はもうわかりきっているんです。利用している人は少ないとはいえ、いることは事実です。しかし、その輸送規模が果たして鉄道路線として必要なレベルかというと、そうではありません。

地方に行けば、北海道は1回における移動距離が長くなります。当然、利便性の高い自家用車の普及・使用が高まります。そうなると当然、鉄道を利用する必要がなくなります。駅も決して利用者の最寄とは言い切れない場所にあるので、大きくて重い荷物を持っていたら移動そのものが困難です。大きな荷物も苦なく持ち運べて、目的地の最寄まで移動することができる自家用車を選ぶ人が多くなることは明らかでしょう。

そして、日高本線を存続すべき理由として、弱者救済というのがありました。各駅から利用者の各家庭まで少なからず距離がありますから、弱者救済にはなりません。

以前にも記事で記載した記憶がありますが、これからはどんどん沿線では高齢化が進んでいくでしょう。その際、弱者救済の目的で鉄道路線を残したとしても、いずれ自宅から駅までの移動が困難になる方も出てくると思います。そうなれば、弱者救済もクソもありません。鉄道を残した意味がまるでなくなります。

そうした高齢者・身体の不自由な方でも公共交通を利用することができるようにするためには、戸口から戸口の利用ができる公共交通が必要です。ハイエースコミューターなどを使ったデマンドバスがいいでしょう。その方がよっぽど弱者救済になります。

では、鉄道を存続した場合、一体誰が自宅から最寄りの駅までを、到着駅から目的地までの移動の支援をしますか?例えば、日高管内から苫小牧の病院に行く場合、苫小牧駅も設備的に高齢者にやさしい造りの駅ではありません。路線バスがあるとしても、乗り降りしなければなりません。一体誰が支援しますか?

それだったら、最初から戸口から戸口まで利用できる公共交通にした方が利用者にとってもプラスになります。これは日高本線のみならず、単独で維持することが困難な路線に指定された沿線自治体はどれも当てはまりますね。

管理者としては、利用も少なく、全国放送で利用実態としてバスが選ばれている状況から、鉄道を残す意味はほとんどないと思っています。鉄道の存廃問題よりも、重要なのは高齢化に向けた戸口から戸口の移動手段と、苫小牧に頼らざるを得ない地域医療です。

管理者としては、路線の廃止に早い段階で決着をつけ、有利な条件が得られるうちに、JR北海道から数十億円の支援を受け、地域交通を支えるデマンドバスの購入費用、設備の整った総合病院を日高管内に設けるべきだと思います。ちょうどさまざまな協議を重ねてきたのですから、関係自治体7町でバスも病院も運営すればいいじゃないですか。その方が日高管内も将来的に安定すると思いますよ。

あとは、バスのドライバー不足や医者の確保です。どちらも人材不足に悩まされており、もしかしたら、人材確保が難所になりそうです。ですが、これら紹介してきた方法が一番日高管内の自治体にとっても将来的に有益ではないかと考えています。

まもなく2カ月後には2020年度になっています。当初の予定では、2020年度を目途に廃止を表明するはずでした。ついにその時期がきました。来年の今頃には既に決着しているのでしょうか?引き続き動向が注目されます。











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コメント
8963:ローカル線 by ハマヒデ on 2020/02/03 at 11:43:59 (コメント編集)

管理人様の通りですね。
ローカル線乗車しても少ない乗客の大半が乗鉄の場合も多々あります。スポット客も大切ですが、
地元民が足として日常的に利用しない路線は鉄道としての意義がないように思います。国、道、市町村、JR北が責任をなすりつけ合っている状況を情けなく思います。

8964: by 南の虎 on 2020/02/03 at 13:59:01

この5年は時間の無駄でしかありませんでしたね。結論がはっきり見えているのに、そのガス抜きに時間をかけた感じですかね。

2年使っていない時点で、とくに通学で具体的かつ大きな問題が起きていないわけですから、その時点でもう実態もわかっていたはずです。

せめて、バスでも「利用しやすくする」工夫を考える時間がほしかったですね。
(そういえば、12月に高速ひだか号が廃止になると急に言われていましたが、どうなったんでしょうね)

8965: by シニアパートナー on 2020/02/03 at 16:08:14 (コメント編集)

鉄道の役割は大量輸送がベースで、国鉄民営化の際の存続基準は「4,000人/キロ/日以上」あることが必要でした。時代は代わってもこの基準は生きていて、満たない場合は、地域交通はバスやマイカー利用を基本線とするべきです。バスの方が小回りが利き利便性が高まります。

管理人様が全国放送に触れていましたが、小生も何度か報道ニュースを観ました。もちろん地域差はありますが、道外の人は『鉄道はある程度人が乗るのが普通』という感覚を持っています。その感覚からすると乗らない列車を走らせるほうがおかしいという論理です。全国放送ではその「普通」の論理が展開されました。また逆を言うと、地方の赤字ローカル線のために大都市圏の利益の提供を拒否することも示唆しています。

北海道の場合、石炭産業維持拡大のため国策で鉄道が敷かれ、人口密度を度外視しても鉄道ができた歴史的経緯がありますから、一度持った刀は手放そうとはしない。初めから身の程知らずで刀を持ったような感覚を古株の北海道人は自覚しないといけません。小生も個人的に鉄オタとしては辛いがそう思います。

8969: by 管理人 on 2020/02/04 at 12:36:05

>>「ハマヒデ」さん、コメントありがとうございます。

不採算路線を残すには、地元利用者の増進が必要不可欠と思っています。観光客でカバーするのも手ですが、いつかは限界が来るし、そもそも安定した固定客ではないので、収益も不安定なままです。

責任の擦り付け合いとかけ引きが5年にわたって続けられてきました。あまり意味のなかった5年間だったと思います。

8970: by 管理人 on 2020/02/04 at 12:41:52

>>「南の虎」さん、コメントありがとうございます。

ただただ時間だけが経過したような感じです。メイン利用の通学もほとんどがバスを使い、地元の高校生もバス利用メインで、鉄道はほとんど使わないという声が正式に出ていますから、鉄道としての使命はもう終わっています。

ひだか号は廃止になり、浦河までのペガサス号に路線に該当しないエリアについては、地元の路線バスで代替し、極力ペガサス号に接続するダイヤが組まれるようですよ。

8971: by 管理人 on 2020/02/05 at 00:53:16

>>「シニアパートナー」さん、コメントありがとうございます。

かつての特定地方交通線の基準に比べれば、昨今廃止している路線の基準なんて緩いですよね。

乗客が乗っていなくても走っている列車は日本全国であるでしょう。しかしその割合は北海道は多いです。ちなみに管理者の中では、乗っていなくても走らせているという考え方のもとで鉄道をみてきました。JR北海道のダイヤ上、利用が少ないけれども、万が一に備えて設定されている列車が今でも非常に多いです。

その多くが滞在時間拡大をねらっているものですが、逆にそれが利用されない実態を生み出していることも事実です。そのようなダイヤが設定されていた中で、いろいろと鉄道についてみてきたわけですから、本州の方とは違った考えをいまだに持っているかもしれません。

特に、ダイヤ改正資料などを拝見し、設定の取り止めについて触れられていると、たまにNOという答えが出てくることもあります。利用が少ないことはわかっていますが、そうしたダイヤで鉄道をみてきたので、いまだにそうした万が一の感覚が抜けきれていません。

大量輸送に利点を置く鉄道について、『鉄道はある程度人が乗るのが普通』という考え方はごもっともです。しかし、北海道ではそうした考え方よりも『万が一』の考え方を優先します。一人でも利用者がいれば、駅も残すのです。石北本線で数年前までそうした駅があり、高校生の通学が終わる(卒業)時期に廃止になりましたね。

一人でも利用者がいれば、利用者がいるという認識になります。宗谷本線で利用の少ない駅の見直しを実施していますが、その中で、たとえ1日に数人の利用さえあれば、それは需要がある駅として考えられてしまうのです。

石炭産業の進展とともに、周辺人口を度外視して北海道の場合は鉄道が敷設されていきました。これまで廃止された路線のそのほとんどは石炭を輸送するために残していただけであって、確かに旅客列車も設定されていましたが、おそらくその時代から利用者は限りなくゼロだったのでしょう。

なので、利用がなくても列車が走るという考え方が定着してしまったのかもしれません。

こうした考え方は、本州ではあり得ないかもしれませんね。

それにしても、いただいたコメントは改めて深く考えた次第です。確かに管理者も上述のような道民的な考え方も残っています。本州の方も当ブログを閲覧している方も多いと思うので、近々取り上げて改めて考えてみたいです。

ありがとうございました。

8982: by 根室本線沿線住民 on 2020/02/06 at 15:30:39

 本当に鉄道での輸送が難しい地域が多くなってしまったという印象です。

 私の実家がある町も、かつて鉄道が通っていましたが、廃線となり、現在は、バス輸送になっています。
 昨年来、実家へ帰省する際に路線バスを何度か利用していますが、日中の時間帯とはいえ、惨憺たる利用状況です。「これなら、大型バスではなく、ジャンボタクシーでも充分じゃないか」と感じる位です。

 日高線の沿線は、何度か訪れていますが、道路から見ると「よくこんな場所へ鉄道を敷いたものだ」と感心するような場所を走っていました。
 報道で見る限り、沿線の首長でも意見の違いがあったようですが、費用対効果ということを考えれば、廃止は止むを得ないのかも知れません。

8993: by 管理人 on 2020/02/11 at 18:06:24

>>「根室本線沿線住民」さん、コメントありがとうございます。

北海道の場合、「なぜこんなところに鉄道路線があるの?」

っていう場所を目にする機会が多いと思います。

北海道は主に石炭の輸送によって鉄道が開かれていきました。なので、首都圏や大都市近郊とは鉄道が敷設された経緯が特殊なケースが多いです。

日高本線は元々軽便鉄道でそれを国有化とともに線路の幅を広げて現在に至ります。北海道では他に軽便鉄道がありましたが、いずれもそれがあった沿線は、後に鉄道路線は廃止されています。ということは、日高本線の利用実態も利用実態は大方予想はつくはずです。

いつまでも保留のまま決定を先延ばしにするわけにはいきませんから、廃止はやむを得ないといったところですね。

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