「ライラック」・「大雪」再デビューから3年
特急列車 - 2020年03月04日 (水)
今日で札幌~旭川間の「ライラック」と、旭川~網走間の「大雪」の再デビューから3年が経過しました。
主に、車両の老朽・劣化と電車特急の置き換え及び、道央圏への転用という形で大きく輸送体系が変化したわけですが、3年が経過した現在までの様子についてお伝えしていこうと思います。
ほかにも、3年前のダイヤ改正では大きな変化がありましたが、1つの記事では膨大な量になってしまうので、後々取り上げていきましょう。
【特急ライラック】



2017年3月4日ダイヤ改正で、それまで「スーパーカムイ」として札幌~旭川間で活躍していた785系を置き換える目的で10年ぶりに函館本線に舞い戻ってきました。加えて、キハ183系の車体の老朽・劣化が激しく、運用数を減らさざるを得ない状況下で、北海道新幹線開業に伴い、青函圏から撤退した789系0番台を活用し、785系及び、道北方面の一部気動車特急を置き換える役割が与えられました。
従来どおり、789系1000番台が「カムイ」として引き続き活躍しますが、本数は10往復とし、残り14往復を「ライラック」としました。後者が多い理由は、旭川駅で同駅発着の特急列車4往復と接続を図るためであり、それと同時に接続を図ることができるように、運用を組まなければなりません。札幌~旭川間の輸送体系を維持しつつ、且つ稚内・網走方面の特急列車との接続も視野に入れるダイヤや運用を組まなければならないため、現行ダイヤを作成・完成させるまでは苦慮したことでしょう。
やはり、そうした難しいダイヤ・運用を組んでいる以上、3年もの間でダイヤや運用で大きな変化はみられず、3年前とほぼ同じ状態を維持したダイヤが引き続き組まれています。今年3月のダイヤ改正以降もほぼ同じダイヤが引き継がれる予定です。



789系0番台の道央圏転用に伴い、気になる点といえば、やはり冬季における車両故障です。夏季は特に問題ありませんが、冬期になると車両故障が多く発生するようになります。今年に入り、乗降扉関連の不具合が複数回発生していることから、冬季における車両不具合の原因は乗降扉が主な原因かもしれません。
車両不具合が発生した場合、「カムイ」で使用する789系1000番台が代走を担います。昨年の夏まで「臨時特急」として代走していましたが、昨今は「ライラック」として代走するようになりました。違いは、代走時における座席の扱いです。
「臨時特急」として代走していた際は、「カムイ」と同じ4号車が指定席でしたが、「ライラック」として代走する際は、所定の「ライラック」の編成に極力合わせた設定となり、旭川駅で特急列車との接続がない場合、1号車と2号車が指定席、3号車~5号車が自由席となります。グリーン券は到着駅でそれぞれ払い戻しになります。4号車の指定席uシートが自由席になるため、お得感のある列車になり、JR側としても都合が悪い体系になりますが、到着駅での払い戻しや座席の変更措置、「臨時特急」時代の指定席が車内販売で乗務員の負担が増えていたことを踏まえると、「ライラック」として代走した方が合理的と言えます。
先日は、所定の789系0番台で故障が相次ぎ、一時4運用中3運用が代走になるという壊滅状態に陥りましたが、昨今は雪が少ない影響からか、また故障することなく日々運用が続けられています。

また、「オホーツク」・「サロベツ」・「スーパー宗谷」の減便をカバーするだけでなく、キハ183系旭山動物園号の後継として、特急「ライラック旭山動物園号」が運行されています。運行時期は毎年異なりますが、週末の特急「ライラック5号」と特急「ライラック38号」を活用し、旭山動物園へのアクセス列車として運行しています。同列車が運行する際は、この1往復は運休扱いとなり、グリーン席は発売されず、記念撮影スペースとして一般開放されています。
青函圏時代と変わらず高性能な電車で、速度種別は新幹線車両を除けば、日本全国の電車で1位だったはずです。性能も789系1000番台と同等で、愛称の「ライラック」とはかけ離れた高速特急列車です。加速時もほかの車両とは一線を画し、まるで自動車並みです。これで故障さえなければ、完璧な車両です。
今年度から順次重要機器取替工事が施行される計画です。内装もグリーン席の形状変更や789系1000番台のシートモケットに準じた張り替えが実施されています。車齢を考えると、あと10年程度は活躍が見込める車両です。
将来的に、0番台と1000番台を合わせ、新しい車両が札幌~旭川間で運行すると予想します。その方が車両の統一化も図られ、かつての「スーパーカムイ」のように、運用や車両繰りの自由度が向上するからです。現在は車両及び、両数や設備が異なる関係から運用を別々にせざるを得ませんが、再び「スーパーカムイ」時代と同じような形で自由度の高い車両繰りができる輸送体系が期待されます。
【特急大雪】


2017年3月4日ダイヤ改正で再デビューしました。元々は「オホーツク」として札幌~網走間で運行していましたが、運用数縮小に伴う一部列車の旭川駅発着に伴い、愛称を「大雪」として区別し、運行時刻も運用に合わせて変更されています。


運行開始からおよそ1年は、まだキハ183系の初期車も運用に入り、3両しかなかったスラントノーズ車も不定期で運用に入っていました。現在はマイナーチェンジ車のキハ183系で統一されていますが、当初はスラントノーズ車も充当されていました。僅か1年にわたる活躍でした。
末期は車輪に傷が入り、札幌を出発しても、最後まで運用を終えることができなくなることもありました。運用の途中で車輪に規定値以上の傷が入り、運休を余儀なくされたケースが多々ありました。
過去にコメントをいただきましたが、キハ183系初期車には、昨今の自動車でいうABSのようなものが装着されていないようで、また、ブレーキが他の車両よりも強力で動物との接触を避けた際の急ブレーキで傷がつきやすい等、さまざまなコメントをいただいていたと思います。実際に詳しく調べていませんが、とにかく車輪に傷が入ったことによる運休が多く発生していましたよ。
先日も運用の途中でリタイアした編成も確認されたようで、一年で何回か引き続き運休や、それに伴う編成変更を実施しています。キハ183系のマイナーチェンジ車を充当していますが、こちらも車齢30年以上が経過し、これまで過酷な条件下で長年使用され続けてきたことを踏まえると、そろそろ限界かもしれませんね。

旭川駅で同一ホームで「ライラック」と接続することで、札幌~網走間で利用できる運行体系としています。乗継は発生してしまいますが、10分程度で接続し、札幌~旭川間は高速の電車特急での移動になるので、全体的な所要時分はほぼ据え置かれているはずですよ。
こちらもギリギリの運用を組んでいるため、3年前のダイヤ改正以降、運行体系は現在までほぼ同じに推移し、3月ダイヤ改正以降もほぼそのまま維持されます。
後日、ほかの項目でもお伝えしていきますが、極端な合理化を進めたことで、逆にこれ以上の運行体系・輸送改善が難しい状況にあります。中には、利用が見込めない時間帯に本数を確保するために設定せざるを得ない列車もあります。今後はそうした列車を徐々に失くしていき、利便性の高い時間帯の設定に改善していくのが望ましいですが、現状の輸送体系では難しい状況であることは言うまでもなく、引き続き課題が残りそうです。
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主に、車両の老朽・劣化と電車特急の置き換え及び、道央圏への転用という形で大きく輸送体系が変化したわけですが、3年が経過した現在までの様子についてお伝えしていこうと思います。
ほかにも、3年前のダイヤ改正では大きな変化がありましたが、1つの記事では膨大な量になってしまうので、後々取り上げていきましょう。
【特急ライラック】



2017年3月4日ダイヤ改正で、それまで「スーパーカムイ」として札幌~旭川間で活躍していた785系を置き換える目的で10年ぶりに函館本線に舞い戻ってきました。加えて、キハ183系の車体の老朽・劣化が激しく、運用数を減らさざるを得ない状況下で、北海道新幹線開業に伴い、青函圏から撤退した789系0番台を活用し、785系及び、道北方面の一部気動車特急を置き換える役割が与えられました。
従来どおり、789系1000番台が「カムイ」として引き続き活躍しますが、本数は10往復とし、残り14往復を「ライラック」としました。後者が多い理由は、旭川駅で同駅発着の特急列車4往復と接続を図るためであり、それと同時に接続を図ることができるように、運用を組まなければなりません。札幌~旭川間の輸送体系を維持しつつ、且つ稚内・網走方面の特急列車との接続も視野に入れるダイヤや運用を組まなければならないため、現行ダイヤを作成・完成させるまでは苦慮したことでしょう。
やはり、そうした難しいダイヤ・運用を組んでいる以上、3年もの間でダイヤや運用で大きな変化はみられず、3年前とほぼ同じ状態を維持したダイヤが引き続き組まれています。今年3月のダイヤ改正以降もほぼ同じダイヤが引き継がれる予定です。



789系0番台の道央圏転用に伴い、気になる点といえば、やはり冬季における車両故障です。夏季は特に問題ありませんが、冬期になると車両故障が多く発生するようになります。今年に入り、乗降扉関連の不具合が複数回発生していることから、冬季における車両不具合の原因は乗降扉が主な原因かもしれません。
車両不具合が発生した場合、「カムイ」で使用する789系1000番台が代走を担います。昨年の夏まで「臨時特急」として代走していましたが、昨今は「ライラック」として代走するようになりました。違いは、代走時における座席の扱いです。
「臨時特急」として代走していた際は、「カムイ」と同じ4号車が指定席でしたが、「ライラック」として代走する際は、所定の「ライラック」の編成に極力合わせた設定となり、旭川駅で特急列車との接続がない場合、1号車と2号車が指定席、3号車~5号車が自由席となります。グリーン券は到着駅でそれぞれ払い戻しになります。4号車の指定席uシートが自由席になるため、お得感のある列車になり、JR側としても都合が悪い体系になりますが、到着駅での払い戻しや座席の変更措置、「臨時特急」時代の指定席が車内販売で乗務員の負担が増えていたことを踏まえると、「ライラック」として代走した方が合理的と言えます。
先日は、所定の789系0番台で故障が相次ぎ、一時4運用中3運用が代走になるという壊滅状態に陥りましたが、昨今は雪が少ない影響からか、また故障することなく日々運用が続けられています。

また、「オホーツク」・「サロベツ」・「スーパー宗谷」の減便をカバーするだけでなく、キハ183系旭山動物園号の後継として、特急「ライラック旭山動物園号」が運行されています。運行時期は毎年異なりますが、週末の特急「ライラック5号」と特急「ライラック38号」を活用し、旭山動物園へのアクセス列車として運行しています。同列車が運行する際は、この1往復は運休扱いとなり、グリーン席は発売されず、記念撮影スペースとして一般開放されています。
青函圏時代と変わらず高性能な電車で、速度種別は新幹線車両を除けば、日本全国の電車で1位だったはずです。性能も789系1000番台と同等で、愛称の「ライラック」とはかけ離れた高速特急列車です。加速時もほかの車両とは一線を画し、まるで自動車並みです。これで故障さえなければ、完璧な車両です。
今年度から順次重要機器取替工事が施行される計画です。内装もグリーン席の形状変更や789系1000番台のシートモケットに準じた張り替えが実施されています。車齢を考えると、あと10年程度は活躍が見込める車両です。
将来的に、0番台と1000番台を合わせ、新しい車両が札幌~旭川間で運行すると予想します。その方が車両の統一化も図られ、かつての「スーパーカムイ」のように、運用や車両繰りの自由度が向上するからです。現在は車両及び、両数や設備が異なる関係から運用を別々にせざるを得ませんが、再び「スーパーカムイ」時代と同じような形で自由度の高い車両繰りができる輸送体系が期待されます。
【特急大雪】


2017年3月4日ダイヤ改正で再デビューしました。元々は「オホーツク」として札幌~網走間で運行していましたが、運用数縮小に伴う一部列車の旭川駅発着に伴い、愛称を「大雪」として区別し、運行時刻も運用に合わせて変更されています。


運行開始からおよそ1年は、まだキハ183系の初期車も運用に入り、3両しかなかったスラントノーズ車も不定期で運用に入っていました。現在はマイナーチェンジ車のキハ183系で統一されていますが、当初はスラントノーズ車も充当されていました。僅か1年にわたる活躍でした。
末期は車輪に傷が入り、札幌を出発しても、最後まで運用を終えることができなくなることもありました。運用の途中で車輪に規定値以上の傷が入り、運休を余儀なくされたケースが多々ありました。
過去にコメントをいただきましたが、キハ183系初期車には、昨今の自動車でいうABSのようなものが装着されていないようで、また、ブレーキが他の車両よりも強力で動物との接触を避けた際の急ブレーキで傷がつきやすい等、さまざまなコメントをいただいていたと思います。実際に詳しく調べていませんが、とにかく車輪に傷が入ったことによる運休が多く発生していましたよ。
先日も運用の途中でリタイアした編成も確認されたようで、一年で何回か引き続き運休や、それに伴う編成変更を実施しています。キハ183系のマイナーチェンジ車を充当していますが、こちらも車齢30年以上が経過し、これまで過酷な条件下で長年使用され続けてきたことを踏まえると、そろそろ限界かもしれませんね。

旭川駅で同一ホームで「ライラック」と接続することで、札幌~網走間で利用できる運行体系としています。乗継は発生してしまいますが、10分程度で接続し、札幌~旭川間は高速の電車特急での移動になるので、全体的な所要時分はほぼ据え置かれているはずですよ。
こちらもギリギリの運用を組んでいるため、3年前のダイヤ改正以降、運行体系は現在までほぼ同じに推移し、3月ダイヤ改正以降もほぼそのまま維持されます。
後日、ほかの項目でもお伝えしていきますが、極端な合理化を進めたことで、逆にこれ以上の運行体系・輸送改善が難しい状況にあります。中には、利用が見込めない時間帯に本数を確保するために設定せざるを得ない列車もあります。今後はそうした列車を徐々に失くしていき、利便性の高い時間帯の設定に改善していくのが望ましいですが、現状の輸送体系では難しい状況であることは言うまでもなく、引き続き課題が残りそうです。
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