【コラム】特別快速よりも速さ、停車駅で劣る特急「すずらん」~特急料金を払ってまで利用する価値はあるのか?
コラム - 2020年03月20日 (金)
本日2回目の更新です。久々のコラム記事です。
後日紹介しますが、ダイヤ改正を機に、新千歳空港方面へは朝、札幌方面へは夜に2本ずつの特別快速「エアポート」が新規設定され、札幌~新千歳空港間を最速33分で結んでいます。停車駅も特急料金不要の快速列車ながら、「北斗」や「おおぞら」といった特急列車と同様に新札幌駅と南千歳駅しか停車しません。
そのようなニューフェイスが登場した中で、特別快速よりも劣る特急列車が出てきてしまったのです。


その列車が、今回紹介する特急「すずらん」です。千歳駅に入線&停車中の写真を掲載します。
特別快速「エアポート」の停車駅は、途中、新札幌と南千歳です。同じく「すずらん」も札幌~南千歳間と比較した場合、途中、新札幌、千歳、南千歳に停車します。そう、特別快速が通過する停車駅にも特急列車にも関わらず停車しています。格下の快速の方が停車駅が少なく、所要時間が短いという逆転現象、下剋上が生まれています。
「すずらん」が登場した経緯というのが、元々民営化後まで運行されていた急行「ちとせ」や室蘭方面まで乗り入れていた特急「ライラック」を統廃合及び、札幌駅で系統分離する形で登場しました。その急行「ちとせ」や特急「ライラック」の時代から千歳駅停車が維持されてきました。これらの列車は千歳駅のみならず、当時「北斗」や「おおぞら」が停車しなかった新札幌駅にも停車していましたね。
同じ特急でも、「L特急」として区別していました。全国的には、一定の間隔や本数の多い特急が「L特急」に該当する列車としてきましたが、北海道では両者で停車駅が異なったりと、特急とL特急で差が生まれていました。2017年3月ダイヤ改正を機に、特急として使用してきた789系0番台を道央圏に転用するに伴い、従来からL特急として運行してきた785系と789系1000番台も特急として運行されるようになりますが、「すずらん」は停車駅はそのまま維持され、同じ特急にも関わらず、停車駅で差が生まれるようになりました。
L特急でも特急並みに停車駅を絞った列車もありました。2007年まで運行していた「スーパーホワイトアロー」は、2002年の新千歳空港乗り入れまで、日中は特急や急行と同じく、美唄駅や砂川駅は通過していました。1時間20分という速達性を維持するためです。新千歳空港乗り入れ後は、uシートの導入及び、強力中間電動車785系500番台を連結したことで加速性能が向上し、美唄駅と砂川駅に停車しても1時間20分を維持できるようになったことで、これら2駅の日中の時間帯における停車拡大を実現しています。
そのような中で、札幌市内と新千歳空港を高速で結ぶ特別快速が登場したことで、特急にも関わらず、「すずらん」の方が停車駅が多いという逆転現象に。また、過密ダイヤの影響で平行ダイヤを維持すべく、所要時間も通常の快速「エアポート」とほとんど変わらない状況に。
しかも、遅くて停車駅が多いにも関わらず、特急列車なので乗車する際には特急料金が別途必要になります。現時点では特別快速が朝・晩のみの設定ですが、仮に好評で運行時間帯が拡大していくとすると、「すずらん」は特急の面目がありません。
題名では大げさなことを書いていますが、利用する価値はない列車ではありません。過去にSきっぷ(自由席往復割引きっぷ)があり、対象列車は「すずらん」のみならず、「北斗」や「スーパー北斗」でも利用できました。しかし、きっぷの見直しによってSきっぷと同等の値段で利用できる列車は「すずらん」のみとなりました。「乗車券往復割引きっぷ」に「すずらんオプション特急券」をつけて利用する方法です。札幌~函館間の特急列車については、札幌~東室蘭間の割引制度がなくなったので割高となり、札幌から室蘭方面へ、室蘭方面から札幌への出張等の際は、「すずらん」を選ぶようになった企業も多いと聞きます。
「すずらん」はそうした割引制度のもとで利用する傾向が強く、且つ苫小牧・室蘭方面へ直通する列車ですから、簡単に比較することは難しいですが、それでも札幌~南千歳間で格下の快速の方が所要時間が短い、あるいは変わらず、特急料金も不要で、停車駅も多いとなれば、イマイチ特急列車としての立場が曖昧であり、そこに疑問視する方もいるのではないかと思います。
また、停車駅が多いという極端な理由で「すずらん」を取り上げましたが、千歳駅を通過する特急についても、停車駅だけでみれば同一であり、所要時間も特別快速よりも多く要している列車が多いので、そこにわざわざ特急料金を支払う必要があるか疑問視する方もいると思います。
その料金上乗せ分は、快適性と考えれば納得していただける方も出てくると思いますが、現行ダイヤでは、札幌~南千歳間の特急の所要時分増加が気になる点であり、快速と同等の列車が多くなってしまいました。快速「エアポート」中心のダイヤで構成される札幌圏は、その合間を縫うように特急や普通のダイヤを組む必要があるので致し方ない点もありますが、ダイヤ改正の度に札幌圏では特急の優位性が失われていきます。そして「すずらん」については、種別上は快速の特別快速列車と立場が逆転してしまいました。
また同列車については、3月ダイヤ改正を機に、指定席が1両増えて2両体制になりました。1枚目の写真の真ん中の3号車が新たに指定席となっています。元々は4号車の指定席uシートのみが用意されていましたが、4月に白老町で民族共生象徴空間・ウポポイの開業を控え、ダイヤ改正からえきねっとトクだ値の対象列車になったことも理由の1つでしょう。
その結果、3号車と4号車で指定席サービスの格差が生じ、ネット上では3号車は「ハズレ指定席」と呼ばれることも、、、。例えば、えきねっと利用者は安く指定席を利用できるのだから、3号車に優先して振り分けるなど、何らかのマニュアルがあるなら別ですが、現時点ではそのような状況は把握できないので、もしかしたら同じ料金を払っても損をする場合もあります。
いろんな意味で、特急という運行体系や座席サービスの格差など、気になる点が多いダイヤ改正以降の「すずらん」ですが、「北斗」とは違って電車なので、静かに快適に移動できることが魅力の1つだと思っています。且つ割引制度も充実しているので、お金がない管理者にとって苫小牧へ行く際は有難い存在です。
こうした「すずらん」にしかない良い点もあるので、引き続き、ビジネス等を中心に利用される列車であるといいですね。
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後日紹介しますが、ダイヤ改正を機に、新千歳空港方面へは朝、札幌方面へは夜に2本ずつの特別快速「エアポート」が新規設定され、札幌~新千歳空港間を最速33分で結んでいます。停車駅も特急料金不要の快速列車ながら、「北斗」や「おおぞら」といった特急列車と同様に新札幌駅と南千歳駅しか停車しません。
そのようなニューフェイスが登場した中で、特別快速よりも劣る特急列車が出てきてしまったのです。


その列車が、今回紹介する特急「すずらん」です。千歳駅に入線&停車中の写真を掲載します。
特別快速「エアポート」の停車駅は、途中、新札幌と南千歳です。同じく「すずらん」も札幌~南千歳間と比較した場合、途中、新札幌、千歳、南千歳に停車します。そう、特別快速が通過する停車駅にも特急列車にも関わらず停車しています。格下の快速の方が停車駅が少なく、所要時間が短いという逆転現象、下剋上が生まれています。
「すずらん」が登場した経緯というのが、元々民営化後まで運行されていた急行「ちとせ」や室蘭方面まで乗り入れていた特急「ライラック」を統廃合及び、札幌駅で系統分離する形で登場しました。その急行「ちとせ」や特急「ライラック」の時代から千歳駅停車が維持されてきました。これらの列車は千歳駅のみならず、当時「北斗」や「おおぞら」が停車しなかった新札幌駅にも停車していましたね。
同じ特急でも、「L特急」として区別していました。全国的には、一定の間隔や本数の多い特急が「L特急」に該当する列車としてきましたが、北海道では両者で停車駅が異なったりと、特急とL特急で差が生まれていました。2017年3月ダイヤ改正を機に、特急として使用してきた789系0番台を道央圏に転用するに伴い、従来からL特急として運行してきた785系と789系1000番台も特急として運行されるようになりますが、「すずらん」は停車駅はそのまま維持され、同じ特急にも関わらず、停車駅で差が生まれるようになりました。
L特急でも特急並みに停車駅を絞った列車もありました。2007年まで運行していた「スーパーホワイトアロー」は、2002年の新千歳空港乗り入れまで、日中は特急や急行と同じく、美唄駅や砂川駅は通過していました。1時間20分という速達性を維持するためです。新千歳空港乗り入れ後は、uシートの導入及び、強力中間電動車785系500番台を連結したことで加速性能が向上し、美唄駅と砂川駅に停車しても1時間20分を維持できるようになったことで、これら2駅の日中の時間帯における停車拡大を実現しています。
そのような中で、札幌市内と新千歳空港を高速で結ぶ特別快速が登場したことで、特急にも関わらず、「すずらん」の方が停車駅が多いという逆転現象に。また、過密ダイヤの影響で平行ダイヤを維持すべく、所要時間も通常の快速「エアポート」とほとんど変わらない状況に。
しかも、遅くて停車駅が多いにも関わらず、特急列車なので乗車する際には特急料金が別途必要になります。現時点では特別快速が朝・晩のみの設定ですが、仮に好評で運行時間帯が拡大していくとすると、「すずらん」は特急の面目がありません。
題名では大げさなことを書いていますが、利用する価値はない列車ではありません。過去にSきっぷ(自由席往復割引きっぷ)があり、対象列車は「すずらん」のみならず、「北斗」や「スーパー北斗」でも利用できました。しかし、きっぷの見直しによってSきっぷと同等の値段で利用できる列車は「すずらん」のみとなりました。「乗車券往復割引きっぷ」に「すずらんオプション特急券」をつけて利用する方法です。札幌~函館間の特急列車については、札幌~東室蘭間の割引制度がなくなったので割高となり、札幌から室蘭方面へ、室蘭方面から札幌への出張等の際は、「すずらん」を選ぶようになった企業も多いと聞きます。
「すずらん」はそうした割引制度のもとで利用する傾向が強く、且つ苫小牧・室蘭方面へ直通する列車ですから、簡単に比較することは難しいですが、それでも札幌~南千歳間で格下の快速の方が所要時間が短い、あるいは変わらず、特急料金も不要で、停車駅も多いとなれば、イマイチ特急列車としての立場が曖昧であり、そこに疑問視する方もいるのではないかと思います。
また、停車駅が多いという極端な理由で「すずらん」を取り上げましたが、千歳駅を通過する特急についても、停車駅だけでみれば同一であり、所要時間も特別快速よりも多く要している列車が多いので、そこにわざわざ特急料金を支払う必要があるか疑問視する方もいると思います。
その料金上乗せ分は、快適性と考えれば納得していただける方も出てくると思いますが、現行ダイヤでは、札幌~南千歳間の特急の所要時分増加が気になる点であり、快速と同等の列車が多くなってしまいました。快速「エアポート」中心のダイヤで構成される札幌圏は、その合間を縫うように特急や普通のダイヤを組む必要があるので致し方ない点もありますが、ダイヤ改正の度に札幌圏では特急の優位性が失われていきます。そして「すずらん」については、種別上は快速の特別快速列車と立場が逆転してしまいました。
また同列車については、3月ダイヤ改正を機に、指定席が1両増えて2両体制になりました。1枚目の写真の真ん中の3号車が新たに指定席となっています。元々は4号車の指定席uシートのみが用意されていましたが、4月に白老町で民族共生象徴空間・ウポポイの開業を控え、ダイヤ改正からえきねっとトクだ値の対象列車になったことも理由の1つでしょう。
その結果、3号車と4号車で指定席サービスの格差が生じ、ネット上では3号車は「ハズレ指定席」と呼ばれることも、、、。例えば、えきねっと利用者は安く指定席を利用できるのだから、3号車に優先して振り分けるなど、何らかのマニュアルがあるなら別ですが、現時点ではそのような状況は把握できないので、もしかしたら同じ料金を払っても損をする場合もあります。
いろんな意味で、特急という運行体系や座席サービスの格差など、気になる点が多いダイヤ改正以降の「すずらん」ですが、「北斗」とは違って電車なので、静かに快適に移動できることが魅力の1つだと思っています。且つ割引制度も充実しているので、お金がない管理者にとって苫小牧へ行く際は有難い存在です。
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