キハ261系が営業運転開始から20年
キハ261系 - 2020年03月22日 (日)
2000年3月ダイヤ改正。北海道で衝撃的な特急気動車が営業運転を開始しました。

キハ261系。
後に1000番台が登場したことで0番台としていますが、2000年3月ダイヤ改正で宗谷本線に投入されました。

最大6両編成で運行されます。先頭車を含む2両1ユニットで構成されるため、所定は4両編成、増結時は6両編成で運行されます。1000番台のように1両単位で連結できる車両がないため、編成の両数が奇数になることはありません。
2000年3月ダイヤ改正まで、宗谷本線では優等列車が急行列車という旧態依然のままの運行体系でした。沿線自治体から特急の運行がデビュー前から望まれており、それが実現したダイヤ改正でもありました。
宗谷本線の非電化区間全線にわたって最高運転速度が95km/hでした。このうち、札幌~名寄間をキハ261系は2時間20分で結ぶ計画がなされ、旭川~名寄間を高速化。軌道強化等の高速事業によって最高運転速度が130km/hとなりました。名寄~稚内間については、現在まで最高運転速度が95km/hのままで、キハ183系一般車でもほぼ代用可能なスジで走ります。
それでも、電車に負けない高性能ぶりを遺憾なく発揮し、従来の急行列車よりも札幌~稚内間で1時間弱の時間短縮を実現しました。
キハ261系0番台は、「スーパー宗谷」でデビューし、最速4時間58分で札幌と稚内を結びました。2往復が設定され、急行から特急への格上げを実施するとともに、急行「礼文」を吸収。宗谷本線の優等列車が全て札幌~稚内間の運転になりました。
それ以外の列車については、「サロベツ」は主に午後の時間帯に運行する列車であることは変わらず、「利尻」も夜行列車として引き続き設定されました。車両はキハ183系へとグレードアップし、合わせて特急化されています。
キハ261系はキハ201系並みの高出力エンジンを一部を除いて各車に2基搭載したほか、車体を2°傾ける車体傾斜装置を採用しました。後に同機構は車両メンテナンス向上及び、燃料ドカ食いの理由から撤去されてしまいますが、登場当時の先頭部分の「Tilt」は車体を傾斜する傾斜を意味し、先頭部分に「Tilt261」のロゴが採用されました。後に車体傾斜装置を撤去した際は先頭部分のロゴは北海道の特急列車を意味する「HET261」に変わりました。

登場当時、車両は(株)北海道高速鉄道開発の保有車で運行されていました。道と沿線自治体、JR北海道が出資した第三セクターであり、宗谷本線の高速化事業開始に伴い、社名変更及び、出資者に士別市と名寄市が加わっています。この第三セクターが現在までキハ261系0番台を12両保有し、車両をJR北海道にリースする形で「宗谷」・「サロベツ」で運行しています。車両の検査については、JR北海道が担当しています。
そのうち、車両が不足することから、2001年に札幌先頭車を含む2両1ユニット(SE-104編成)が増備され、0番台は14両体制になります。写真の最終増備車だけJR北海道の保有車です。登場時から数年前まで座席の形状が異なっていました。


昨今は重要機器取替工事が施行され、前照灯がLEDに交換され、従来とは異なる顔つきになりました。また、2017年3月ダイヤ改正で「サロベツ」としても使用することになったことから、従来の「SUPER SOYA」の固定式ヘッドマークから道北の宗谷地方のイラストのみのヘッドマークに変わりました。
華やかにデビューしたキハ261系0番台も、年数が経過していくにつれ、徐々にお荷物的存在になっていきます。
2015年と2016年の12月には、代走が相次いで発生し、稚内方面のキハ261系充当列車で代走が実施されるなど、定期運行が壊滅的な状況になりました。
同時に、同じ苗穂運転所(札ナホ)に所属しているキハ183系初期車の老朽・劣化が激しく進行しており、置き換えが急務になっていました。そこで、網走・稚内方面の特急列車を旭川駅発着として運用数を削減し、従来「サロベツ」で使用していた車両を「オホーツク」・「大雪」へ。「スーパー宗谷」で使用していたキハ261系0番台は、一部列車を旭川駅発着として「宗谷」・「サロベツ」で使用されるようになります。同時に、わかりやすさを重視するため、「スーパー」の名称を廃止しています。
2017年夏から実施している重要機器取替工事施行を機に、代走は減ってきていますが、長距離を運行する列車の割には、全14両と少ないです。予備車両が少ないことから、検査などで車両繰りができない際はキハ183系一般車やノースレインボーエクスプレスで代走しています。
また、ヘッドマークが固定式であり、グリーン車は9席しか設けられていません。後に登場する1000番台と共通で使用することができず、宗谷線特急専用で使用せざるを得ない状況です。当初から宗谷線特急で使用することを前提に製造されたため、それが反って昨今の車両繰りの自由度を低くし、お荷物的な存在になっています。
改めて、こうした車両の製造は将来的に製造すべきではないと実感します。ほかの車両と共用できなければ、全体の使用車両数を抑えることができません。いまだに車両をリースする形で使用しているわけですが、本来であれば、買い取っても良かったはずなのです。しかし、いまだにリース状態が続いています。理由としては、この宗谷線特急に特化した設備が、1000番台などのほかの車両との共用が難しいため、JR北海道が買い取るのを拒んでいる様子も伺えます。
代走時も1号車がグリーン席と指定席の合造車であり、それと同じように編成を組むためには、グリーン車と普通車を別々に用意しなければなりません。車両繰り的にそのような余裕もないときはモノクラス編成で代走を実施することになりますが、利用客の一部は座席の変更や到着駅での払い戻しを余儀なくされるため、結局現状のままで運行し続けても良いことはあまりないのです。

その反省を生かし、現在は1000番台を増備し続けています。現在は白を基調とした外装にチェンジし、写真の青を貴重とした塗装はなくなっています。
引き続きグリーン車が先頭車という問題はあるものの、車両を統一することで、万が一車両が故障した際も編成を大きく変えることなく、同じ車両を充当することが可能になります。さらに、車両を同じにすることで、全体の車両数も抑えることができます。また、車両メンテナンスにおいても、同一車種を増やすだけですから、人材不足に悩まされているJR北海道では、短期間で社員の養成が可能になり、即戦力になる人材をつくりやすくなる利点も生まれます。
現在は旧世代車両を置き換え、これを実行している最中です。機器的には、0番台も1000番台も同様の部分があるので、これらの中で逆に利点になる部分もありますが、いずれにしても車両数が少ないことや、1000番台と共用できない点、宗谷線特急に特化した設備は、現在はもうお荷物的な存在と言わざるを得ないのです。
北海道の特急車両は、過去に引退した車両をみると、だいたい30年程度で役目を終えるといった印象です。キハ183系などは車齢が30年を超えていましたが、いかんせんその引退する晩年は車両故障に悩まされ、定期列車の編成がまともに組めない事態にまで発展したことから、それよりも前に引退すべきというのが妥当です。しかも、過去には厳しい条件下で高速運転を連日繰り広げてきたわけですから、老朽・劣化もある程度早いはずです。
その引退の節目となる30年を迎えるまであと10年あります。現在も増備し続けている1000番台については、既存のキハ183系、キハ281系、キハ283系置き換え用ですから、0番台は置き換え対象に入っていません。引退の節目は徐々に近づいてきていることは事実ですが、一方で、宗谷本線の一部でJR北海道が単独で維持することが困難な路線に指定しており、それまで宗谷本線全線が営業をしているのかという点についても不透明なままです。
車両数も少ないし、宗谷本線も今後も維持していくのかどうか不明ですが、とりあえず、来年度はキハ261系の多目的車両が登場し、宗谷線特急の代走時にも使用する予定です。少しづつですが、利便性は良くなっていくことを期待し、道央と最北の地を結ぶ特急列車として、引き続き今後の活躍を期待しましょう。
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キハ261系。
後に1000番台が登場したことで0番台としていますが、2000年3月ダイヤ改正で宗谷本線に投入されました。

最大6両編成で運行されます。先頭車を含む2両1ユニットで構成されるため、所定は4両編成、増結時は6両編成で運行されます。1000番台のように1両単位で連結できる車両がないため、編成の両数が奇数になることはありません。
2000年3月ダイヤ改正まで、宗谷本線では優等列車が急行列車という旧態依然のままの運行体系でした。沿線自治体から特急の運行がデビュー前から望まれており、それが実現したダイヤ改正でもありました。
宗谷本線の非電化区間全線にわたって最高運転速度が95km/hでした。このうち、札幌~名寄間をキハ261系は2時間20分で結ぶ計画がなされ、旭川~名寄間を高速化。軌道強化等の高速事業によって最高運転速度が130km/hとなりました。名寄~稚内間については、現在まで最高運転速度が95km/hのままで、キハ183系一般車でもほぼ代用可能なスジで走ります。
それでも、電車に負けない高性能ぶりを遺憾なく発揮し、従来の急行列車よりも札幌~稚内間で1時間弱の時間短縮を実現しました。
キハ261系0番台は、「スーパー宗谷」でデビューし、最速4時間58分で札幌と稚内を結びました。2往復が設定され、急行から特急への格上げを実施するとともに、急行「礼文」を吸収。宗谷本線の優等列車が全て札幌~稚内間の運転になりました。
それ以外の列車については、「サロベツ」は主に午後の時間帯に運行する列車であることは変わらず、「利尻」も夜行列車として引き続き設定されました。車両はキハ183系へとグレードアップし、合わせて特急化されています。
キハ261系はキハ201系並みの高出力エンジンを一部を除いて各車に2基搭載したほか、車体を2°傾ける車体傾斜装置を採用しました。後に同機構は車両メンテナンス向上及び、燃料ドカ食いの理由から撤去されてしまいますが、登場当時の先頭部分の「Tilt」は車体を傾斜する傾斜を意味し、先頭部分に「Tilt261」のロゴが採用されました。後に車体傾斜装置を撤去した際は先頭部分のロゴは北海道の特急列車を意味する「HET261」に変わりました。

登場当時、車両は(株)北海道高速鉄道開発の保有車で運行されていました。道と沿線自治体、JR北海道が出資した第三セクターであり、宗谷本線の高速化事業開始に伴い、社名変更及び、出資者に士別市と名寄市が加わっています。この第三セクターが現在までキハ261系0番台を12両保有し、車両をJR北海道にリースする形で「宗谷」・「サロベツ」で運行しています。車両の検査については、JR北海道が担当しています。
そのうち、車両が不足することから、2001年に札幌先頭車を含む2両1ユニット(SE-104編成)が増備され、0番台は14両体制になります。写真の最終増備車だけJR北海道の保有車です。登場時から数年前まで座席の形状が異なっていました。


昨今は重要機器取替工事が施行され、前照灯がLEDに交換され、従来とは異なる顔つきになりました。また、2017年3月ダイヤ改正で「サロベツ」としても使用することになったことから、従来の「SUPER SOYA」の固定式ヘッドマークから道北の宗谷地方のイラストのみのヘッドマークに変わりました。
華やかにデビューしたキハ261系0番台も、年数が経過していくにつれ、徐々にお荷物的存在になっていきます。
2015年と2016年の12月には、代走が相次いで発生し、稚内方面のキハ261系充当列車で代走が実施されるなど、定期運行が壊滅的な状況になりました。
同時に、同じ苗穂運転所(札ナホ)に所属しているキハ183系初期車の老朽・劣化が激しく進行しており、置き換えが急務になっていました。そこで、網走・稚内方面の特急列車を旭川駅発着として運用数を削減し、従来「サロベツ」で使用していた車両を「オホーツク」・「大雪」へ。「スーパー宗谷」で使用していたキハ261系0番台は、一部列車を旭川駅発着として「宗谷」・「サロベツ」で使用されるようになります。同時に、わかりやすさを重視するため、「スーパー」の名称を廃止しています。
2017年夏から実施している重要機器取替工事施行を機に、代走は減ってきていますが、長距離を運行する列車の割には、全14両と少ないです。予備車両が少ないことから、検査などで車両繰りができない際はキハ183系一般車やノースレインボーエクスプレスで代走しています。
また、ヘッドマークが固定式であり、グリーン車は9席しか設けられていません。後に登場する1000番台と共通で使用することができず、宗谷線特急専用で使用せざるを得ない状況です。当初から宗谷線特急で使用することを前提に製造されたため、それが反って昨今の車両繰りの自由度を低くし、お荷物的な存在になっています。
改めて、こうした車両の製造は将来的に製造すべきではないと実感します。ほかの車両と共用できなければ、全体の使用車両数を抑えることができません。いまだに車両をリースする形で使用しているわけですが、本来であれば、買い取っても良かったはずなのです。しかし、いまだにリース状態が続いています。理由としては、この宗谷線特急に特化した設備が、1000番台などのほかの車両との共用が難しいため、JR北海道が買い取るのを拒んでいる様子も伺えます。
代走時も1号車がグリーン席と指定席の合造車であり、それと同じように編成を組むためには、グリーン車と普通車を別々に用意しなければなりません。車両繰り的にそのような余裕もないときはモノクラス編成で代走を実施することになりますが、利用客の一部は座席の変更や到着駅での払い戻しを余儀なくされるため、結局現状のままで運行し続けても良いことはあまりないのです。

その反省を生かし、現在は1000番台を増備し続けています。現在は白を基調とした外装にチェンジし、写真の青を貴重とした塗装はなくなっています。
引き続きグリーン車が先頭車という問題はあるものの、車両を統一することで、万が一車両が故障した際も編成を大きく変えることなく、同じ車両を充当することが可能になります。さらに、車両を同じにすることで、全体の車両数も抑えることができます。また、車両メンテナンスにおいても、同一車種を増やすだけですから、人材不足に悩まされているJR北海道では、短期間で社員の養成が可能になり、即戦力になる人材をつくりやすくなる利点も生まれます。
現在は旧世代車両を置き換え、これを実行している最中です。機器的には、0番台も1000番台も同様の部分があるので、これらの中で逆に利点になる部分もありますが、いずれにしても車両数が少ないことや、1000番台と共用できない点、宗谷線特急に特化した設備は、現在はもうお荷物的な存在と言わざるを得ないのです。
北海道の特急車両は、過去に引退した車両をみると、だいたい30年程度で役目を終えるといった印象です。キハ183系などは車齢が30年を超えていましたが、いかんせんその引退する晩年は車両故障に悩まされ、定期列車の編成がまともに組めない事態にまで発展したことから、それよりも前に引退すべきというのが妥当です。しかも、過去には厳しい条件下で高速運転を連日繰り広げてきたわけですから、老朽・劣化もある程度早いはずです。
その引退の節目となる30年を迎えるまであと10年あります。現在も増備し続けている1000番台については、既存のキハ183系、キハ281系、キハ283系置き換え用ですから、0番台は置き換え対象に入っていません。引退の節目は徐々に近づいてきていることは事実ですが、一方で、宗谷本線の一部でJR北海道が単独で維持することが困難な路線に指定しており、それまで宗谷本線全線が営業をしているのかという点についても不透明なままです。
車両数も少ないし、宗谷本線も今後も維持していくのかどうか不明ですが、とりあえず、来年度はキハ261系の多目的車両が登場し、宗谷線特急の代走時にも使用する予定です。少しづつですが、利便性は良くなっていくことを期待し、道央と最北の地を結ぶ特急列車として、引き続き今後の活躍を期待しましょう。
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