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北海道の鉄道の内容を中心に自身の知識も含めながらブログを記事を日々更新しています。札幌市在住のため、主に札幌圏を走行する列車についての話題です。

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長期運休が見込まれる釧網本線~世界遺産を目指す路線に早期復旧を願う

3月10日から道東方面では、低気圧の通過に伴う降雨や気温上昇の影響により、花咲線や釧網本線の一部区間で連日運休が続いていました。

先日ようやく花咲線の一部区間は営業運転を再開させましたが、釧網本線では思った以上に被害が大きいようで、復旧にはしばらく時間を要する見込みです。





JRからも写真つきの資料が発表されています。線路の冠水、土砂流入、路盤流出等が発生しています。

水が引かないと安全確認や復旧作業ができない箇所もあり、これらの理由で運行再開までには時間を要するということです。

釧網本線も花咲線も湿地帯の中を走る区間もあるので、おそらく水がなかなか引きにくいと思います。これが復旧作業までに時間を要する原因になり、まして釧路湿原は国立公園なので、運行再開を早めようと、無理に機械等を投入することもできないでしょう。2月はSL冬の湿原号で盛り上がっただけに、現在はこのような状況になって管理者としても大変残念です。

昨年から釧網本線に何度か足を運んでいますが、周辺にまだまだ大自然が残っており、且つInstagramなどの写真を拝見していると、北海道の広大さが伝わってくるような場所でもあります。なかなか撮影スポットと呼ばれる場所は少ないですが、高台に上って雄大な景色とともに、列車がその中に小さくポツリと入っている写真、それがまた素晴らしいです。今年はできませんでしたが、来年は10日程度釧路に滞在して、そういった写真も撮影したいと今から意気込んでいる次第です。

夏季はヒグマが出没するので、単独行動は避けたいですが、ヒグマが冬眠し、出没の危険性がほぼ皆無な冬季だからこそ可能ではないかと思います。

不採算路線の廃止は、管理者は賛成ですが、釧網本線については、管理者は以前から廃止を簡単に推進することができない理由がありました。世間ではあまり知られていないかもしれませんが、釧路と網走を結ぶJR釧網本線の世界遺産登録を推進する動きが釧網本線世界遺産登録推進会議よってなされています。


釧網本線が世界遺産を目指すという報道がされたのが、記憶にある限りでは2016年2月末です。地元メディアから報じられたことなので、まだまだこの事実を知らないという方が多いと思います。

世界遺産の種類は大きく分けて3つあります。①文化遺産、②自然遺産、③複合遺産にそれぞれ分類されます。このうち、釧網本線が目指すのは、③の複合遺産になります。

Facebookページもあるんですよ!

参考:釧網本線世界遺産登録推進会議



世界遺産の登録基準は以下の通りです。


(i) 人間の創造的才能を表す傑作である。

(ii) 建築、科学技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展に重要な影響を与えた、ある期間にわたる価値感の交流又はある文化圏内での価値観の交流を示すものである。

(iii) 現存するか消滅しているかにかかわらず、ある文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在(少なくとも希有な存在)である。

(iv) 歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、あるいは景観を代表する顕著な見本である。

(v) あるひとつの文化(または複数の文化)を特徴づけるような伝統的居住形態若しくは陸上・海上の土地利用形態を代表する顕著な見本である。又は、人類と環境とのふれあいを代表する顕著な見本である(特に不可逆的な変化によりその存続が危ぶまれているもの

(vi) 顕著な普遍的価値を有する出来事(行事)、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品と直接または実質的関連がある(この基準は他の基準とあわせて用いられることが望ましい)。

(vii) 最上級の自然現象、又は、類まれな自然美・美的価値を有する地域を包含する。

(viii) 生命進化の記録や、地形形成における重要な進行中の地質学的過程、あるいは重要な地形学的又は自然地理学的特徴といった、地球の歴史の主要な段階を代表する顕著な見本である。

(ix) 陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や動植物群集の進化、発展において、重要な進行中の生態学的過程又は生物学的過程を代表する顕著な見本である。

(x) 学術上又は保全上顕著な普遍的価値を有する絶滅のおそれのある種の生息地など、生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然の生息地を包含する。




この中から、登録基準のいずれか1つ以上に合致するとともに、真実性(オーセンティシティ)や完全性(インテグリティ)の条件を満たし、締約国の国内法によって、適切な保護管理体制がとられていることが必要です。

ちなみに、文化遺産、自然遺産、複合遺産の区分については、上記基準(i)~(vi)で登録された物件は文化遺産、(vii)~(x)で登録された物件は自然遺産、文化遺産と自然遺産の両方の基準で登録されたものは複合遺産とします。

2005年には同じ北海道内として知床が世界遺産に登録されたことが記憶に新しいです。知床は世界自然遺産に登録されています。知床は上記の登録基準のうち(ix)の生態系と(x)の生物多様性の2つの基準を満たして登録されました。

しかし、釧網本線が目指す複合遺産はそれとは異なり、(i)~(vi)の条件で1つ以上、(vii)~(x)の条件で1つ以上の条件がそれぞれ必要とされます。複合遺産の代表例としては、ペルーの「マチュ・ピチュ」がありますね。

複合遺産は世界的にも登録数が少ないです。世界に全1073件ある世界遺産のうち、複合遺産に指定されるものはわずか30件台と非常に少ないです。ちなみに、日本ではこの条件を満たしている物件は現在ありません。複合遺産として登録されれば、日本初の登録例となり、全国的に注目されることは間違いありません。

登録基準について、2016年2月18日付で作成された「釧網本線世界遺産登録推進会議 設立趣意書」に記載されています。上記のFacebookページで確認することができます。

一部を抜粋しますが、自然遺産項目となり得る要素として、

『釧網本線(網走~東釧路、166.2㎞)は、網走国定公園、阿寒国立公園、釧路湿原国立公園を走り、世界自然遺産・知床を見渡す路線です。冬のオホーツク海の流氷や日本最大の屈斜路カルデラ、日本最大の面積を誇る釧路湿原などが沿線に広がる、世界的にも注目を集める、屈指の絶景鉄道です。これらに代表される多様な地球科学的な価値を有していることから、沿線では貴重な動植物が生息し、タンチョウをはじめ、ハクチョウ、オオワシ、オジロワシなどを車窓から見ることができ、北海道の雄大な自然を感じることができます。』



一方で注目となるのが、文化遺産登録の項目における「顕著な普遍的価値を有する記念物、建造物群、遺跡、文化的景観など」を有するのかどうかです。

ここで重要キーワードとして「顕著な普遍的価値」というものがあります。まず、普遍的な価値とは、「すべてのものに共通しているさま」です。世界遺産というキーワードで話題を展開するのであれば、世界遺産は全ての人々にとって価値を有するものとしなければならないということです。


ネット上で意味を調べていると、「顕著な普遍的価値」の意味がありました。それは、

「国家間の境界を超越し、人類全体にとって現代及び将来世代に共通した重要性をもつような、傑出した文化的な意義及び、または、自然的な価値を意味する。」

ということです。このことについて、設立趣意書には、


『アトサヌプリ(川湯硫黄山)での硫黄の採鉱、輸送のために前身の釧路鉄道が敷設されたのは、北海道近代化の黎明期でもある明治20年(1887年)まで遡り、その硫黄は世界の工業化の礎のひとつとなりました。鉱山採掘や鉄道敷設には囚人が動員されたという、北海道開発における重要な歴史も有しています。』


とそれぞれ記載されています。自然や景観だけが注目されがちですが、こうした歴史や文化的な観点もあったということも色々と学ばせていただいた次第です。

指摘させていただきたい点として、例えば、歴史ある文化遺産が指定されるものとしては、不動産の有形構築物が一般的だと思います。ですが、世界の鉄道関連における世界遺産の登録例はさまざまであり、鉄道そのものが世界遺産となったり、2つの山岳鉄道が登録対象となったり、山岳鉄道群として登録された事例もあります。確認する限りでは主に山岳鉄道での登録例が多いです。

調べていると、これらは主に世界文化遺産登録となっていると思われ、上記の(ii)と(iv)の2つの登録基準を主に満たしています。その鉄道路線において後の建築物や建造物、そのほか技術だったり景観設計などに大きな影響を与えた要素が含まれています。

例えば、オーストラリアのゼメリング鉄道はヨーロッパで最初に国際標準軌間を採用した山岳路線であり、自然と調和させたトンネル掘削、橋梁架構が大きく評価されました。

スイスとイタリアが共有するレーティッシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観においては、複数のトンネルや橋で特徴的な構造をもち、加えて沿線の景観とともに高く評価されました。

世界の事例と比較すると、世界遺産を目指す釧網本線との違いは、鉄道路線を形成するうえでそうした歴史的な建造物を有しているか、あるいは、後の鉄道路線発展に寄与するべく、何らかの先進的な技術が導入されていたかの2点です。釧網本線からは見えづらい部分があります。

例えば後者の場合、前進となる釧路鉄道開業時からレールや枕木をそのまま使用していたりすると、世界遺産登録を目指すには1つの注目ポイントになります。それだけではなく、1年を通じて北海道という環境の変化が厳しいの中で、90年以上にわたってレールだったり枕木だったり、そうした地上設備を維持してきた技術を含めると文化遺産として認められる要素を含む気がします。

なぜ、このようなことを挙げるかというと、上述の通り、世界遺産登録に際し、真実性(オーセンティシティ)や完全性(インテグリティ)という条件を満たさなければならないからです。言いかえると、例えばレールや枕木などの地上設備が開業当初から高い技術力によってそのままの状態で使われてきたか、あるいは維持され続けてきたかということです。安全上の問題で日本ではそうしたことができず、レール幅改ざんの問題が発覚して以降、道内の各路線で地上設備に手が加えられたことは事実ですから、路線そのものの建築物や建造物からみる歴史的な背景は乏しいと言えます。

昨今、橋梁やトンネルを中心に老朽化の問題も取り上げられています。世界遺産に登録されるような路線のもつそうした建築物や建造物というのは、おそらく100年以上にわたって使い続けられており、老朽化の心配もなければ、錆びるなどの景観を崩す要素も含みません。もちろん今後も末永く使い続けていくことになります。施設の老朽化問題に建築物や建造物が取り上げられているレベルでは、世界遺産に登録されている鉄道あるいは鉄道路線にはとても太刀打ちできないでしょう。



仮に世界遺産となれば、日本ではそうした事例がなく、初の登録事例として注目をあびることは言うまでもありません。複合遺産登録も日本では1つもないので、さらなる注目をあびることで地域振興策の1つとしても期待することができるでしょう。

このような、北海道の鉄道が明るくなる・元気になるような活動が開始された反面、悲しい現実があることも事実です。

過去に当ブログにコメントにて、この世界遺産を目指す重大プロジェクトは最低でも10年以上かかる大事業ということを教えていただきました。

ですが、既にJRから釧網本線は単独で路線を維持することができないと発表され、世界遺産登録を目指している中、予断を許さない状況です。

今後は今回のような自然災害によって路線の存続が危ぶまれるリスクも出てくるでしょう。現に2016年の台風で復旧費用が高額で長期不通を余儀なくされている路線や区間もあるぐらいですからね。

それを考えると、北海道のローカル線や輸送密度の少ない路線については、いつそのような状況に陥るかわからない状況です。

釧網本線は、北海道において臨時列車が削減されている中で、引き続き夏季も冬季も人気の高いくしろ湿原ノロッコ号やSL冬の湿原号、流氷物語号といった臨時列車が設定されています。特にSLは北海道で運行する列車としては唯一の存在となりました。

不採算路線でありながら、周辺の自然や景観が評価されている路線です。いまだに復旧の目途は立っておらず、釧路~知床斜里間で列車の運行を見合わせています。気温の上昇で雪融けは例年よりも早く感じられますが、それに伴い、線路に溜まった水も引いてくれるのでしょうか?動向を見守りたいと思います。











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