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【コラム】迷走する特急列車の「uシート」

前回のコラムがめちゃくちゃ好評だったらしく、管理者も嬉しい次第です。ありがとうございました。

これからは休む間もなく、バンバンコラム記事を掲載していかないといけませんね。引き続きよろしくお願いします。

今回は指定席「uシート」についてです。



2000年11月から721系の快速「エアポート」の4号車の半室に設けられたことをきっかけに、20年経過した現在でも一部列車で設置されています。設定当初は好評を得て、3年後の8次車投入を機に、4号車の半室から全室にuシートを拡大しました。また、旭川駅発着の列車についても、781系や785系にuシートが設置されました。指定席とグリーン席の中間にあたる「ワンランク上のくつろぎ」は人気を博し、通勤時間帯や帰宅時間帯にはほぼ満席に、繁忙期輸送期間中の快速「エアポート」では、数時間後の列車まで満席になることもあるなど、利用率の高さが伺えます。

元々は快速「エアポート」の指定席を改善するために設けられました。2000年10月までは、一般の転換クロスシートにヘッドレスト部分に「指定席」と書かれた札が貼ってあっただけの簡素なもので、割高感から利用が低迷していました。それを改善すべく投入されたのが「uシート」であり、ワンランク上の快適性を兼ね備えながら、利用区間を問わず運賃+300円で利用することができ、空港アクセスに重点を置いた車内は大型の荷物置場も設置されたことで、空港アクセス利便の向上が図られました。現在は運賃+530円で利用可能で、特急列車については、通常の指定席特急券と同一の料金となります。



721系のuシート車です。エクステリアもブルーのラインが入り、自由席と見分けがしやすいです。サハ721‐3200と「クハ721‐1009」は既存車の改造でuシート車としているのに対し、サハ721‐4200、サハ721‐5200と733系3000番台のuシート車は当初からuシートとして新製されたため、客室内の内装が異なり、同じuシートでも質感がまるで違います。721系の8次車の車内の様子を確認した際は、最新の特急車両のような質感の高さに管理者は驚きましたよ。

快速「エアポート」のほか、6両編成で運行される普通列車でも充当されることがあり、普通列車で運行する際は、自由席車両として運行されます。大変お得感のあるuシートに変身するわけです。



こちらは789系1000番台のuシート車です。苗穂工場入場中の写真です。現在は785系とともに、「カムイ」と「すずらん」で使用されます。789系1000番台では、稀に「ライラック」の代走として使用することもあり、その際はuシートは自由席車両となります。

近年の様子をみていると、特急列車のuシートについて、扱いが徐々に変わってきており、時折uシートが逆に運行上仇となっている様子も伺えます。

785系や789系1000番台がuシートを連結している理由について、元々は2016年3月ダイヤ改正まで新千歳空港に乗り入れており、札幌~新千歳空港間は721系や733系の快速「エアポート」と車内設備を合わせるためにuシートを設置していました。旭川駅発着列車は運行開始当初は利便性が高く、好評だったのもつかの間、快速「エアポート」の利用が年々増加するようになり、特急用の車両を使用していたため、2ドアで乗降に時間がかかり、徐々に不便を強いられることになります。

また、札幌駅での折り返し時間が5分しか確保されておらず、折り返し前に遅延が発生してしまうと、折り返し後にまで影響し、それが千歳線と函館本線の全体のダイヤを乱す要因にもなったことから、同ダイヤ改正を機に、旭川から新千歳空港への直通運転を取り止め、札幌~旭川間の運転としたことで、運行体系は若干改善されました。


なぜ、千歳線と函館本線の全体のダイヤを乱すかというと、札幌駅発着時に使用する番線に制約が生まれてしまい、この関係で一部列車が入線待ち等を実施する関係から、各方面で遅延が発生していました。また、札幌駅で遅れた列車からの接続を考慮しなければならない場合もあり、いずれにしても、遅延が発生すれば、それが札幌圏全体にまで及ぼし兼ねない事態でした。

輸送改善が実施されたものの、この空港連絡時代の名残が昨今になって迷走する事態になっています。

代表的な例では、今年の3月ダイヤ改正から「すずらん」で指定席が1両から2両に増えました。uシートのほかにも自由席タイプの車両から指定席車両へ生まれ変わったのです。座席の形状が異なることや、新たに指定席となった3号車の全席にパソコン用コンセントが設置されないことから、同じ指定席で格差が生じてしまうようです。これは問題になっていますよね。

ほかにも、789系1000番台が「ライラック」の代走車両として使用する際、789系0番台に編成を合わせる関係でuシートが自由席車両として使用されるなど、785系と789系1000番台では昨今になってuシート車の存在が逆に仇となっている点が複数確認されます。




管理者がuシートの扱いが変わったと印象を受けるのが、2017年3月ダイヤ改正以降です。同ダイヤ改正では、785系の一部が撤退し、代わりに道内と本州を結んだ789系0番台が道央圏に転用、「ライラック」として札幌~旭川間で運行を開始します。一部機器の見直しが実施されていますが、基本的には青函連絡時代から車内設備はそのまま維持され、網走・稚内方面の特急列車の運行区間縮小措置に伴い、その札幌~旭川間の穴埋めを担う役割も果たすようになります。

これまで、車内設備がほぼ統一されてきた「スーパーカムイ」時代とは異なり、「ライラック」・「カムイ」の二本体制となり、運行本数からすると、札幌~旭川間の主要列車は「ライラック」に変わりました。

「ライラック」に転用されても、座席は自由席と指定席で形状は変わらず、これを機に「電車特急の指定席=uシート」という方程式が崩れ、電車特急に対する指定席の見方・許容範囲が広がったと思います。

ですが、管理者としては当記事を掲載するにあたり、決定的だったことが「すずらん」の指定席の増車措置でした。従来、自由席として使用してきた車両を何ら変更なく指定席に格上げする措置は、もはや指定席はuシートの必要性がないというメッセージにも受け取れます。「uシート」の設置当初のような「ワンランク上のくつろぎ」を提供するためではなく、あくまで座席を事前に確保するだけの考え方に変わっている印象を受けます。

3年前に「L特急」をやめ、785系や789系1000番台も「特急」になりました。北海道では「L特急」と「特急」で停車駅の違いなどで差が生じていました。新たに特急になったことで、道内の特急と同様、そうしたあくまで座席を事前に確保するだけという考え方を取り入れたいのかもしれません。空港連絡の名残と特急化による新たな手法の中で、昨今はuシートを含めて電車特急の指定席の在り方が迷走している印象です。

本来であれば、中間車を新製したりして対応すると思いますが、余計なお金がかけられないというのが実情だと思います。789系の車齢を考えると、2030年前後が節目になるはずですから、その際に新しい車両に統一されれば、そうした問題は一切なくなるはずです。

現行ダイヤからしても、「ライラック」の789系0番台のような車両に統一したいのは明らかですから、将来的には空港連絡の任が解かれた以上、特急車両から「uシート」は消えるかもしれませんね。











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コメント
9228:指定ナンデス! by ピカチュウ親方 on 2020/03/29 at 00:57:47

快速エアポートでは意味があるだろうが、特急や普通では丸で意味を成してませんね。
さて最近では、同じ愚行を特急の指定と自由でもやらかし始めてますね。
90年代半ばのJR東日本も、指定と自由で差を造りましたが、その後編成変えや全車指定化で、完全崩壊しました。
指定だからって、差をつける必要は無いと思いますが、JR関係者は、そう思っていない傾向に感じます。

9232: by 管理人 on 2020/03/29 at 22:28:02

>>「ピカチュウ親方」さん、コメントありがとうございます。

設定当初のワンランク上のサービスが現在は席を確保するかしないかの違いになってきました。特急については「ライラック」の存在で、指定席の扱いが雑になりました。

指定席と自由席で差をつける必要はありません。道内の気動車特急も最新車両の投入や運用上の都合でそのような傾向になりつつあります。

差をつけるのであれば確実に差をつけ、差をつけないのであれば差をつけなくてもいいと思います。中途半端な設定方法が混乱を招きます。特急ではありませんが、uシートと書かれている車両が目の前に到着すると、普通列車の場合はそれを敬遠して隣の車両へ移動する人も少なからずいますよ。

運用の関係で昨今は中途半端になってきているので、どちらかに集約する必要があると思います。

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