年々見栄えが悪くなっていく岩見沢の711系保存車
その他あれこれ - 2020年04月15日 (水)
昨年、711系の保存車を確認しに保存されている岩見沢市内の「大地のテラス」まで行ってきました。
その保存状態にあ然としたわけですが、果たしてそれから1年が経過した今年、一体どのようになっているのか再度確認してきました。
すると・・・






補修と車体の劣化でさらに大変なことになっていました。
赤電として親しまれたわけですが、もう外見は赤電ではありませんね。
どちらかというと、栗山方を向いている車両及び、車体側面の劣化がひどく、岩見沢市街地方を向いている先頭部分は劣化が少ないです。



窓枠やつなぎ目の箇所から錆びがひどく進行しています。
ちなみに・・・

補修中のようです。昨年も同じような貼り紙を見ました。
錆びを手作業で落としてグレーの錆止めを塗って乾いてから車体色を塗っていくという手間のかかる作業です。



実際にその様子を確認できます。塗装が濃い部分は、補修を実施したばかりの箇所だと思います。


それでも、全体的に錆びの進行が早く、補修作業が間に合っていない状態です。手間もかかり、作業する人間も時間がない中で実施しています。補修しても補修しても次から次へと車体が腐食していくので、作業が追いつかない状態になっていると推測します。
ここまで塗装の劣化がひどいと、おそらく冬季はブルーシート等も何も保護しないでそのまま放置されていると思います。昨年オープンした道の駅あびらD51ステーションのキハ183系とは全く対応が異なっています。冬季にブルーシートで保護するだけで塗装の劣化の進行を多少は防ぐことができるはずです。しない理由というのは何でしょう?冬季においても見物客が多いということが理由なのでしょうか?
改めて711系の保存について紹介していきましょう。
北海道鉄道観光資源研究会では、5年前の2015年3月25日から『みんなに愛された「赤い電車」を残そう!プロジェクト』を実施しました。
JRなどと交渉したところ、車両2両分を購入することが決まり、運搬に約500万円がかかる見通しでした。その約半分は同研究会のメンバーなどで負担することになりましたが、残りの約230万円(234万円)の目途が立たず、鉄道ファンなどに協力を求め、ネットを通じて資金調達を実施しまし、見事目標金額を達成し、2両の保存が決まりました。
クラウドファンディングで車両の保存が成功したのは、北海道ではこの711系のプロジェクトがまさに最初になります。
募集期間が21日間で同年4月14日がタイムリミットでした。キハ183系スラントノーズ車や現在実施されているニセコエクスプレスのクラウドファンディングに比べて日数が圧倒的に少ない中で始まりましたが、3日目にして早くも目標金額に達成し、最終的には412.9万円が集まりました。追加支援分については、車両の維持管理費に充てる予定としていました。
保存が達成された時点でのメンテナンス費用はおよそ180万円でした。しかし、711系は鋼製車体で、721系のようなステンレス製の車体に比べて車体の劣化速度が早いです。例えば北海道の場合、風雪や走行中(営業列車)に塗装面が傷つきます。そして割れた塗装面の隙間に入り込んだ細かい雪が水となり、やがて気温が下がることで凍結し、膨張することで塗装面破損という状況が起こります。現役の車両では、キハ40形気動車やキハ183系でもみられます。綺麗に保管、または車両を維持していくためには、その分手間も必要になります。
北海道では鉄道車両の保存そのものが難しい状況にあります。本州のように室内で保存することができる大規模な鉄道博物館のような施設はありません。なので、貴重な車両が引退しても、こうして保存する動きがなければ、呆気なく廃車・解体されてしまいます。711系もキハ183系スラントノーズ車も保存に向けて北海道鉄道観光資源研究会が動き出さなかったら、間違いなく後世に語り継がれることのないまま、これらの車両は完全に消滅していたことでしょう。同研究会の活動の功績に感謝する次第です。
一方、感謝の反面、少なからず赤電を保存するために支援してくれた方々が大勢います。その方々が果たしてこのような姿を望んでいたでしょうか??
補修中とはいえ、支援をした際は、誰もこんな姿を想像していなかったはずです。昨年お伝えした際はTwitterで保存状態が悪いことについて、「これなら保存する意味がない」などの書き込みがあり、投稿写真を見たユーザーは大変残念な気持ちになったことでしょう。せっかく支援した方々もこの状況をみると支援した意味がないと捉えられても仕方ありません。
こうした無惨な車両の姿をみていると、北海道で活躍した車両を何でも保存すべきとは思いません。保存車両が少なくてもメンテナンスが行き届く範囲で末永く美しく保ち続けた方が、保存車両に選ばれた車両自身も幸運であり、見物する我々にとっても嬉しいことであり、さらにはクラウドファンディング等で支援をした方々にとっては支援して本当に良かったと思ってもらえるでしょう。残念ながら、岩見沢に保存されている711系の姿をみていると、とてもそう思いません。本当に残念としか言いようがありません。
「車両を保存」することは、車両が引き渡されて設置場所に設置されて終わりではなく、地域のシンボル・財産として状態を維持し続けて初めて「保存」です。手が回らない・時間がない等の理由はわかりますが、車両を保存すると決めた以上、そこは責任を持って維持し続けなければなりません。
何ごとも中途半端はよくありません。今後も保存する車両が増えると思いますが、こうした無惨な保存車が増えるんどえあれば、管理者は車両の保存には絶対に反対です。北海道で鉄道車両をクラウドファンディングによって保存した第1号として、良い点も悪い点も含め、今後の車両の保存の在り方について考えさせられます。
今年は苗穂工場で眠っているニセコエクスプレスが、新天地へ向けて旅立つでしょう。しかし、1両まるごと保存に成功したことは良いものの、修繕・化粧直しを実施せずにそのまま保存され、車両の状態を維持するための車庫などは設けられないため、年数が経過するにつれ、711系のようになっていくのではないかと管理者は心配しています。
711系の無惨な姿を逆に良き例として、今後北海道において車両を保存する際は二度と同じことを繰り返してはなりません。手の届く範囲で車両を保存していきましょう。
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その保存状態にあ然としたわけですが、果たしてそれから1年が経過した今年、一体どのようになっているのか再度確認してきました。
すると・・・






補修と車体の劣化でさらに大変なことになっていました。
赤電として親しまれたわけですが、もう外見は赤電ではありませんね。
どちらかというと、栗山方を向いている車両及び、車体側面の劣化がひどく、岩見沢市街地方を向いている先頭部分は劣化が少ないです。



窓枠やつなぎ目の箇所から錆びがひどく進行しています。
ちなみに・・・

補修中のようです。昨年も同じような貼り紙を見ました。
錆びを手作業で落としてグレーの錆止めを塗って乾いてから車体色を塗っていくという手間のかかる作業です。



実際にその様子を確認できます。塗装が濃い部分は、補修を実施したばかりの箇所だと思います。


それでも、全体的に錆びの進行が早く、補修作業が間に合っていない状態です。手間もかかり、作業する人間も時間がない中で実施しています。補修しても補修しても次から次へと車体が腐食していくので、作業が追いつかない状態になっていると推測します。
ここまで塗装の劣化がひどいと、おそらく冬季はブルーシート等も何も保護しないでそのまま放置されていると思います。昨年オープンした道の駅あびらD51ステーションのキハ183系とは全く対応が異なっています。冬季にブルーシートで保護するだけで塗装の劣化の進行を多少は防ぐことができるはずです。しない理由というのは何でしょう?冬季においても見物客が多いということが理由なのでしょうか?
改めて711系の保存について紹介していきましょう。
北海道鉄道観光資源研究会では、5年前の2015年3月25日から『みんなに愛された「赤い電車」を残そう!プロジェクト』を実施しました。
JRなどと交渉したところ、車両2両分を購入することが決まり、運搬に約500万円がかかる見通しでした。その約半分は同研究会のメンバーなどで負担することになりましたが、残りの約230万円(234万円)の目途が立たず、鉄道ファンなどに協力を求め、ネットを通じて資金調達を実施しまし、見事目標金額を達成し、2両の保存が決まりました。
クラウドファンディングで車両の保存が成功したのは、北海道ではこの711系のプロジェクトがまさに最初になります。
募集期間が21日間で同年4月14日がタイムリミットでした。キハ183系スラントノーズ車や現在実施されているニセコエクスプレスのクラウドファンディングに比べて日数が圧倒的に少ない中で始まりましたが、3日目にして早くも目標金額に達成し、最終的には412.9万円が集まりました。追加支援分については、車両の維持管理費に充てる予定としていました。
保存が達成された時点でのメンテナンス費用はおよそ180万円でした。しかし、711系は鋼製車体で、721系のようなステンレス製の車体に比べて車体の劣化速度が早いです。例えば北海道の場合、風雪や走行中(営業列車)に塗装面が傷つきます。そして割れた塗装面の隙間に入り込んだ細かい雪が水となり、やがて気温が下がることで凍結し、膨張することで塗装面破損という状況が起こります。現役の車両では、キハ40形気動車やキハ183系でもみられます。綺麗に保管、または車両を維持していくためには、その分手間も必要になります。
北海道では鉄道車両の保存そのものが難しい状況にあります。本州のように室内で保存することができる大規模な鉄道博物館のような施設はありません。なので、貴重な車両が引退しても、こうして保存する動きがなければ、呆気なく廃車・解体されてしまいます。711系もキハ183系スラントノーズ車も保存に向けて北海道鉄道観光資源研究会が動き出さなかったら、間違いなく後世に語り継がれることのないまま、これらの車両は完全に消滅していたことでしょう。同研究会の活動の功績に感謝する次第です。
一方、感謝の反面、少なからず赤電を保存するために支援してくれた方々が大勢います。その方々が果たしてこのような姿を望んでいたでしょうか??
補修中とはいえ、支援をした際は、誰もこんな姿を想像していなかったはずです。昨年お伝えした際はTwitterで保存状態が悪いことについて、「これなら保存する意味がない」などの書き込みがあり、投稿写真を見たユーザーは大変残念な気持ちになったことでしょう。せっかく支援した方々もこの状況をみると支援した意味がないと捉えられても仕方ありません。
こうした無惨な車両の姿をみていると、北海道で活躍した車両を何でも保存すべきとは思いません。保存車両が少なくてもメンテナンスが行き届く範囲で末永く美しく保ち続けた方が、保存車両に選ばれた車両自身も幸運であり、見物する我々にとっても嬉しいことであり、さらにはクラウドファンディング等で支援をした方々にとっては支援して本当に良かったと思ってもらえるでしょう。残念ながら、岩見沢に保存されている711系の姿をみていると、とてもそう思いません。本当に残念としか言いようがありません。
「車両を保存」することは、車両が引き渡されて設置場所に設置されて終わりではなく、地域のシンボル・財産として状態を維持し続けて初めて「保存」です。手が回らない・時間がない等の理由はわかりますが、車両を保存すると決めた以上、そこは責任を持って維持し続けなければなりません。
何ごとも中途半端はよくありません。今後も保存する車両が増えると思いますが、こうした無惨な保存車が増えるんどえあれば、管理者は車両の保存には絶対に反対です。北海道で鉄道車両をクラウドファンディングによって保存した第1号として、良い点も悪い点も含め、今後の車両の保存の在り方について考えさせられます。
今年は苗穂工場で眠っているニセコエクスプレスが、新天地へ向けて旅立つでしょう。しかし、1両まるごと保存に成功したことは良いものの、修繕・化粧直しを実施せずにそのまま保存され、車両の状態を維持するための車庫などは設けられないため、年数が経過するにつれ、711系のようになっていくのではないかと管理者は心配しています。
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