廃車・解体が進むキハ283系
キハ283系 - 2020年06月04日 (木)
苗穂工場でキハ283系の一部車両の解体が進められています。


苗穂工場では、昨今キハ283系が数両留置されており、車番までは確認していませんが、おそらく3月で車籍を失った車両たちだと思われます。


このように、順次車両が解体されています。写真ではグリーン車が解体中ですが、今回は3両が廃車になりました。9年前の石勝線列車脱線火災事故で1両が廃車になっているので、半数が廃車されたことになります。予備車両を踏まえると、グリーン車は4両体制で引き続き使用していくものと思われます。
最新のデータでは、16両が廃車となっています。このほか、札幌運転所(札サウ)で4月1日現在でも在籍している3両と釧路運輸車両所(釧クシ)でも一部車両が在籍したまま稼働が長らく確認されない車両もあるようです。加えて、行先表示器が未更新のままの車両もありますから、これらの車両で一部が廃車になると推測すると、20両前後がお役御免になるのではないかと思います。
今回は札幌運転所(札サウ)所属車だった車両で廃車が多く発生しており、少なくとも13両が3月中に釧路運輸車両所へ転出しています。
これにより、釧路運輸車両所では、キハ283系の在籍数が35両前後になっており、従来の25両から10両前後多く配置されたことになります。石勝線列車脱線火災事故で釧路運輸車両所所属車が6両焼失し、31両から25両になっていました。なので、キハ283系が釧路に配置されて以降、在籍数が最も多い状態になっているようです。
配置数は多くなりましたが、運用数は変わらず、従来どおり2運用の3往復で、どちらも所定の編成で運行された場合、1日に使用する車両数は12両になり、グリーン車だと2両、車いす対応車両のキハ282形0番台だと4両、先頭車も9両がそれぞれ予備車両として待機する形となり、ダイヤ改正以前と比べてかなり余力ある運用になっています。
1年で数回ですが、稀に大幅な遅延が生じた場合、釧路駅発の列車に限り、釧路運輸車両所から別の編成が手配されることもありました。加えて、車両メンテナンスに十分に時間をかけなければならない車両であるということを踏まえれば、そうした運用変更も加味すると妥当な配置数と言えます。
キハ283系は、まだまだ新しい方の車両のはずですが、先に登場した振り子式特急気動車であるキハ281系や、従来の「おおぞら」で使用されていたキハ183系よりも早期の引退、として廃車・解体という運命を辿りました。キハ283系の試作車については、一足先に2015年度で廃車になっています。先に登場しているキハ281系については、試作車もまだ現役で、1両もまだ廃車が発生していない状況です。
それほどこの20年で酷使されてきたというのが、今回の結果だと思います。
やはり、他の道内の特急列車が最高運転速度が120km/h化された中で、キハ283系については、110km/hとさらに落とされました。これは以前コラム記事で紹介しましたが、車体強度(剛性)が他の車両と比較して不足しており、高速走行時において振動が他の車両よりも多く発生してしまうからです。利用者に対して、乗り心地も考慮しなければならず、その振動が発生する許容範囲のレベルが最高運転速度110km/hになります。
登場当時は決して車体強度が不足していたわけではないと思います。先にキハ281系が登場しており、同車のノウハウが少なからず取り入れられているはずですからね。
しかし、特に根室本線の池田~白糠間において急曲線が連続することと、無謀な高速化が車両の劣化速度を早めたことにほかなりません。
そして、キハ283系等の振り子式車両に共通することは車体が軽量ですよね。車体剛性が不足している理由としては、車体が軽量であることが上げられます。
車体の剛性を上げ、且つ軽量化することは難しい項目でもあります。軽量化するということは、部品を減らしたり、ボディの板厚を少なくしたりすることが一般的です。
我々が使用する乗用車においても、普段の生活に使うレベルの自動車までもボディ剛性を重視する時代になりました。理由は、乗り心地や操縦安定性を高めるためです。ボディ剛性が不足すると、走行中に不快な揺れが発生したり、例えば一般道でマンホールや段差を踏んだ際にも不快な揺れや不安定になることがあります。特に高速道路でその違いがわかるでしょう。速度が高い状態で走っていると、少しの段差の衝撃でハンドルが取られるような症状が見られれば、ボディ剛性あるいは足回りの剛性が不足している証拠です。
安全基準を高めたり、ボディ剛性を向上させれば、重量が増えるのが一般的です。良き例がJR西日本のキハ189系です。振り子式車両でもなく、北海道の特急気動車のように、先頭部分に鋼体の大きな固まりがあるわけでもないのに、自重が1両あたり50t弱あります。最新のキハ261系よりも自重が重いです。かつてJR西日本では、大規模な脱線事故を引き起こしており、運転士や乗客の安全性を最優先にするため、オフセット衝突対策や衝撃吸収構造を採用しています。おそらくこれが自重を増やしている一番の理由かと思いますが、最新の特急気動車らしく、且つボディ剛性も上げて徹底した乗り心地の改善が図られていると推測します。
キハ283系においては、以前から度々SNSなどで不快な揺れを体験するユーザーの投稿が見られました。長年の高速走行及びその酷使でボディ剛性が不足していると判断できる書き込みだと思います。
キハ283系の自重は、先にデビューしたキハ281系と自重がほとんど変わらない車両・区分番台もあります。リンク式自己操舵台車の採用によって部品が増えたことや、液体式変速機の多段化・改良等、自重が重くなる要因があるにも関わらず、車両によってはほとんど差がなかったり、差が400kgしか増えていなかったりします。
では、どこでそれを軽くしているかというと、車体の可能性が非常に高くなります。
では次に、なぜ車体を軽量化しなければならなかったのかというと、根室本線の特に池田~白糠間における急曲線に対応するために、重心を下げる必要があったと推測します。
なぜ重心を下げる必要があったかというと、急曲線時の乗り心地を維持するためです。一定の速度向上を図りながら、乗り心地も維持するといった方がいいかもしれませんね。
列車がカーブに進入する際、車両の重心を起点にして外側に遠心力が発生しています。遠心力は重量が重い車や車両ほど大きくなります。そのために、車体を軽量化し、それを打ち消すために車体を最大6°まで傾斜させて高速でカーブに進入しながらも、一定の乗り心地を維持しています。
例えば、普通自動車で100km/hでカーブに進入した場合と、高速バスで100km/hでカーブに進入した場合、乗り心地や安定性の差は一目瞭然ですよね。それと同じです。
また、車両の重心を起点にして外側に遠心力が発生するということは、軽量化だけしても重心が高ければ意味がないわけです。それも遠心力が多く働いてしまう理由になります。そこでキハ283系では、屋根上に機器を搭載せず、床下に集中的に配置したことで重心を下げることに成功しています。
レーシングマシンの開発手法が取り入れられているキハ283系ですが、いずれは限界がきます。ボディ剛性が極限まで高くても、ボディに想定以上の負荷をかけ続ければ、いずれは自動車と同様に乗り心地が悪くなったりします。それでも、減速・減便を始めた当初は早急に置き換えることが困難な状況から、最高速度を落として引き続き使用せざるを得なかったのです。それから7年を経て、ようやく一部車両を置き換えることができました。
これを考えると、今に始まったことではありません。あの無謀な高速運転をし続けると、15年程度で減速運転を余儀なくされるほど、車体の劣化を早めることになるようです。こうして考えると、将来的にも北海道で列車の高速化は厳しいと言わざるを得ないと思います。
また、リンク式自己操舵台車の採用により、台車の構造は従来の車両からより複雑化しました。これによって部品が多くなったり、可動する部分が多くなったことで、下回りの老朽・劣化が早まったことも事実であり、これも最高運転速度を落とさざるを得ない理由の1つだと推測しています。

そのような問題点を抱えるキハ283系ですが、3月のダイヤ改正から「スーパーおおぞら」改め、「おおぞら」となって6往復中3往復に充当されています。
新たにキハ261系が3往復充当されるようになりましたが、カーブの通過シーンは車他傾斜機構を搭載しないキハ261系に比べると圧倒的な迫力があります。これはキハ283系ではなければ味わえない魅力の1つですよね。
そして、最速達列車も未だキハ283系で3時間59分(特急おおぞら12号)です。最高運転速度が110km/hまで落とされても、キハ183系の時代と比べると、最高運転速度が同じにも関わらず、30分程度所要時間が短い点は、やはりキハ283系であり、「スーパーおおぞら」の凄さでした。一部列車は今もそれを受け継ぎ、札幌と釧路を高速で結んでいます。
キハ283系の廃車・解体は管理者としてもまだ信じられませんが、半数はまだ残っているので、乗るなり、撮影するなり、チャンスはまだまだあります。あとどの程度活躍するのかわかりませんが、残された時間で悔いのないように管理者は後に良き思い出になるようにしておきたいですね。
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苗穂工場では、昨今キハ283系が数両留置されており、車番までは確認していませんが、おそらく3月で車籍を失った車両たちだと思われます。


このように、順次車両が解体されています。写真ではグリーン車が解体中ですが、今回は3両が廃車になりました。9年前の石勝線列車脱線火災事故で1両が廃車になっているので、半数が廃車されたことになります。予備車両を踏まえると、グリーン車は4両体制で引き続き使用していくものと思われます。
最新のデータでは、16両が廃車となっています。このほか、札幌運転所(札サウ)で4月1日現在でも在籍している3両と釧路運輸車両所(釧クシ)でも一部車両が在籍したまま稼働が長らく確認されない車両もあるようです。加えて、行先表示器が未更新のままの車両もありますから、これらの車両で一部が廃車になると推測すると、20両前後がお役御免になるのではないかと思います。
今回は札幌運転所(札サウ)所属車だった車両で廃車が多く発生しており、少なくとも13両が3月中に釧路運輸車両所へ転出しています。
これにより、釧路運輸車両所では、キハ283系の在籍数が35両前後になっており、従来の25両から10両前後多く配置されたことになります。石勝線列車脱線火災事故で釧路運輸車両所所属車が6両焼失し、31両から25両になっていました。なので、キハ283系が釧路に配置されて以降、在籍数が最も多い状態になっているようです。
配置数は多くなりましたが、運用数は変わらず、従来どおり2運用の3往復で、どちらも所定の編成で運行された場合、1日に使用する車両数は12両になり、グリーン車だと2両、車いす対応車両のキハ282形0番台だと4両、先頭車も9両がそれぞれ予備車両として待機する形となり、ダイヤ改正以前と比べてかなり余力ある運用になっています。
1年で数回ですが、稀に大幅な遅延が生じた場合、釧路駅発の列車に限り、釧路運輸車両所から別の編成が手配されることもありました。加えて、車両メンテナンスに十分に時間をかけなければならない車両であるということを踏まえれば、そうした運用変更も加味すると妥当な配置数と言えます。
キハ283系は、まだまだ新しい方の車両のはずですが、先に登場した振り子式特急気動車であるキハ281系や、従来の「おおぞら」で使用されていたキハ183系よりも早期の引退、として廃車・解体という運命を辿りました。キハ283系の試作車については、一足先に2015年度で廃車になっています。先に登場しているキハ281系については、試作車もまだ現役で、1両もまだ廃車が発生していない状況です。
それほどこの20年で酷使されてきたというのが、今回の結果だと思います。
やはり、他の道内の特急列車が最高運転速度が120km/h化された中で、キハ283系については、110km/hとさらに落とされました。これは以前コラム記事で紹介しましたが、車体強度(剛性)が他の車両と比較して不足しており、高速走行時において振動が他の車両よりも多く発生してしまうからです。利用者に対して、乗り心地も考慮しなければならず、その振動が発生する許容範囲のレベルが最高運転速度110km/hになります。
登場当時は決して車体強度が不足していたわけではないと思います。先にキハ281系が登場しており、同車のノウハウが少なからず取り入れられているはずですからね。
しかし、特に根室本線の池田~白糠間において急曲線が連続することと、無謀な高速化が車両の劣化速度を早めたことにほかなりません。
そして、キハ283系等の振り子式車両に共通することは車体が軽量ですよね。車体剛性が不足している理由としては、車体が軽量であることが上げられます。
車体の剛性を上げ、且つ軽量化することは難しい項目でもあります。軽量化するということは、部品を減らしたり、ボディの板厚を少なくしたりすることが一般的です。
我々が使用する乗用車においても、普段の生活に使うレベルの自動車までもボディ剛性を重視する時代になりました。理由は、乗り心地や操縦安定性を高めるためです。ボディ剛性が不足すると、走行中に不快な揺れが発生したり、例えば一般道でマンホールや段差を踏んだ際にも不快な揺れや不安定になることがあります。特に高速道路でその違いがわかるでしょう。速度が高い状態で走っていると、少しの段差の衝撃でハンドルが取られるような症状が見られれば、ボディ剛性あるいは足回りの剛性が不足している証拠です。
安全基準を高めたり、ボディ剛性を向上させれば、重量が増えるのが一般的です。良き例がJR西日本のキハ189系です。振り子式車両でもなく、北海道の特急気動車のように、先頭部分に鋼体の大きな固まりがあるわけでもないのに、自重が1両あたり50t弱あります。最新のキハ261系よりも自重が重いです。かつてJR西日本では、大規模な脱線事故を引き起こしており、運転士や乗客の安全性を最優先にするため、オフセット衝突対策や衝撃吸収構造を採用しています。おそらくこれが自重を増やしている一番の理由かと思いますが、最新の特急気動車らしく、且つボディ剛性も上げて徹底した乗り心地の改善が図られていると推測します。
キハ283系においては、以前から度々SNSなどで不快な揺れを体験するユーザーの投稿が見られました。長年の高速走行及びその酷使でボディ剛性が不足していると判断できる書き込みだと思います。
キハ283系の自重は、先にデビューしたキハ281系と自重がほとんど変わらない車両・区分番台もあります。リンク式自己操舵台車の採用によって部品が増えたことや、液体式変速機の多段化・改良等、自重が重くなる要因があるにも関わらず、車両によってはほとんど差がなかったり、差が400kgしか増えていなかったりします。
では、どこでそれを軽くしているかというと、車体の可能性が非常に高くなります。
では次に、なぜ車体を軽量化しなければならなかったのかというと、根室本線の特に池田~白糠間における急曲線に対応するために、重心を下げる必要があったと推測します。
なぜ重心を下げる必要があったかというと、急曲線時の乗り心地を維持するためです。一定の速度向上を図りながら、乗り心地も維持するといった方がいいかもしれませんね。
列車がカーブに進入する際、車両の重心を起点にして外側に遠心力が発生しています。遠心力は重量が重い車や車両ほど大きくなります。そのために、車体を軽量化し、それを打ち消すために車体を最大6°まで傾斜させて高速でカーブに進入しながらも、一定の乗り心地を維持しています。
例えば、普通自動車で100km/hでカーブに進入した場合と、高速バスで100km/hでカーブに進入した場合、乗り心地や安定性の差は一目瞭然ですよね。それと同じです。
また、車両の重心を起点にして外側に遠心力が発生するということは、軽量化だけしても重心が高ければ意味がないわけです。それも遠心力が多く働いてしまう理由になります。そこでキハ283系では、屋根上に機器を搭載せず、床下に集中的に配置したことで重心を下げることに成功しています。
レーシングマシンの開発手法が取り入れられているキハ283系ですが、いずれは限界がきます。ボディ剛性が極限まで高くても、ボディに想定以上の負荷をかけ続ければ、いずれは自動車と同様に乗り心地が悪くなったりします。それでも、減速・減便を始めた当初は早急に置き換えることが困難な状況から、最高速度を落として引き続き使用せざるを得なかったのです。それから7年を経て、ようやく一部車両を置き換えることができました。
これを考えると、今に始まったことではありません。あの無謀な高速運転をし続けると、15年程度で減速運転を余儀なくされるほど、車体の劣化を早めることになるようです。こうして考えると、将来的にも北海道で列車の高速化は厳しいと言わざるを得ないと思います。
また、リンク式自己操舵台車の採用により、台車の構造は従来の車両からより複雑化しました。これによって部品が多くなったり、可動する部分が多くなったことで、下回りの老朽・劣化が早まったことも事実であり、これも最高運転速度を落とさざるを得ない理由の1つだと推測しています。

そのような問題点を抱えるキハ283系ですが、3月のダイヤ改正から「スーパーおおぞら」改め、「おおぞら」となって6往復中3往復に充当されています。
新たにキハ261系が3往復充当されるようになりましたが、カーブの通過シーンは車他傾斜機構を搭載しないキハ261系に比べると圧倒的な迫力があります。これはキハ283系ではなければ味わえない魅力の1つですよね。
そして、最速達列車も未だキハ283系で3時間59分(特急おおぞら12号)です。最高運転速度が110km/hまで落とされても、キハ183系の時代と比べると、最高運転速度が同じにも関わらず、30分程度所要時間が短い点は、やはりキハ283系であり、「スーパーおおぞら」の凄さでした。一部列車は今もそれを受け継ぎ、札幌と釧路を高速で結んでいます。
キハ283系の廃車・解体は管理者としてもまだ信じられませんが、半数はまだ残っているので、乗るなり、撮影するなり、チャンスはまだまだあります。あとどの程度活躍するのかわかりませんが、残された時間で悔いのないように管理者は後に良き思い出になるようにしておきたいですね。
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