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キハ285系の日

今日は令和2年8月5日ということで、キハ285系の日です。

世間ではあまり知られていませんが、かつて北海道でキハ285系という次世代特急気動車の試作車が在籍していた時期がありました。





このような車両です。記憶にある限りでは、本線上で走ったのは1回だけであり、あとは苗穂工場の敷地内で試運転を実施する程度でした。それ以外は苗穂工場でずっと放置され続けた車両です。



このように、新車でありながら、厳冬期には苗穂工場敷地内で雪に埋もれた状態で確認することもありました。







2017年3月に解体されました。報道によると、解体を目にしながら、開発に携わった関係者が悔し涙を流していたそうですよ。管理者も北海道の鉄道ファンとして、悔しい思いをしながら、解体シーンを記録していたものです。





報道によれば、北海道新幹線開業の2~3年後をめどに札幌~函館間で営業運転を開始するスケジュールが組まれていました。写真はたまたま苗穂工場の様子を確認しに行った際、通電試験か何かを実施しており、「スーパー北斗」のヘッドマークが表示されていました。キハ285系が無事に量産していれば、現在はこの姿が当たり前のように確認されていたでしょう。

100両以上製造される計画があったと聞きますから、絶対的な速さはもちろん、現在のキハ261系1000番台のような役割も担う計画だったと思います。

開発にかかった費用はおよそ25億円です。1両あたりの製造費用はもっと抑えられると思いますが、それでも5~6億円程度はかかっていると思います。新幹線車両よりも高いです。例えば、大雨で水没し、話題を呼んだ北陸新幹線のE7系やW7系の1両あたりの製造費用は約2.7億円、N700Aは約3億円です。在来線の車両でありながら、新幹線車両よりも高額です。こうして新幹線車両の製造費用をみると、キハ261系と同等なんですね。その時点で既に驚きです。

試作車で、JR北海道独自の技術もあり、性能についてはその多くは語られることはなく、鉄道雑誌でも車両の詳細やスペックについては明らかにされていないと思います。ですが、報道内容や公式ページから、一部ですが情報が公開されており、それでも驚愕のスペックを備えていることがわかります。

キハ285系は、複合車体傾斜システムが採用され、キハ283系をも上回る8°(制御付き自然振り子式6°+空気ばねによる車体傾斜2°)の車体傾斜を可能とする車両です。既に営業運転を開始しているH100形などとは異なり、JR北海道が開発したMAハイブリッド駆動システムを採用しています。これは、既存の気動車の動力にインバータ、モータ、バッテリーによる動力を組み合わせたものです。自動車だとトヨタのハイブリッドシステムのような機構が搭載されています。

当初、札幌~函館間を2時間40分程度で結ぶ計画でした。減速運転以前はキハ281系充当列車で最速3時間ジャストだったので、それよりも20分の時間短縮を果たす計画がされていました。

北海道の在来線特急における将来の高速化を担うべく投入された次世代特急気動車キハ285系ですが、車両トラブルや相次ぐ不祥事が背景となり、安全投資が最優先となり、開発が中止されました。

その後、検測車としての転用を一時視野に入れていましたが、キハ285系を改造して転用する場合、従来の車両よりも構造が複雑なため、車両の改造には多額の費用がかかる見込みとなり、検測車としての活用も断念し、2015年3月31日付で廃車となりました。北海道に来道し、2014年10月31日付で札幌運転所(札サウ)に新製配置されましたが、車籍があった期間は5ヶ月間と非常に短いものでした。

主な開発中止の理由としては・・・

【速度向上よりも安全対策】

高速化は何よりも求められることですが、製造当初、在籍している特急気動車の中にはキハ183系初期車など、老朽化が著しく進行している車両があり、まずこれらの車両を早急に置き換える必要がありました。。また、速度向上を実施することで車両側にも地上設備側にも今まで以上に負担がかかることは確実であり、資金や人手不足が目立っている現状ではその性能やダイヤを長期間にわたって維持することは困難でした。


【コストとメンテナンスに過大】

今までに例を見ない車両を投入するわけですから、もちろん莫大なコストを負担しています。また、メンテナンスという面においても、実績がない車両なだけに未知数です。安全対策や新幹線開業で資金や人、時間を必要としている当時においては、キハ285系に手を回している余裕はありませんでした。。


【車両の統一による予備車両確保及びメンテナンス体制の強化】

現在も引き続きキハ285系の新製と引き換えに、信頼と実績のあるキハ261系が増備されています。既存のキハ261系を増やし、使用する車両の共通化を図り、予備車両も共通化できることで保有する両数を抑制することができます。

複数の形式で運行する場合、それぞれで予備車両を持たなければいけないため、結果的に車両の保有数が増えてしまいます。既存の保有している車両を集中的に増備することで、車両の保有数も抑えられ、人手不足で人材育成もままならない現状で、短期間で即戦力になる人材確保が可能になりやすい利点があります。

これらの理由から、当時、既に落成している試作車を活用する方法として、在来線の検測車としての使用を検討していましたが、上述のとおり、キハ285系を改造して転用する場合、従来の車両よりも構造が複雑なため、車両の改造には多額の費用がかかる見込みです。安全対策への投資が重点的に実施されている中で、検測車へ改造する巨額な費用を捻出するのは難しく、検測車としての活用も断念するに至りました。

興味深い写真もあったのでそちらも紹介します。







苗穂工場敷地内でキハ283系とともに留置されていたときがありました。キハ285系試作車のみの写真であれば、何も感じられませんが、キハ283系などの既存車と比べてみると、車両がさらに低くなっています。キハ283系と比べて、重心もかなり低くなっていることが予想されます。

前回の記事でも記載したとおり、重心を低くするには、軽量化も必須項目です。キハ285系の場合は、動力源にエンジンのほかにもモータなども搭載していますから、必然的に重量は増えるはずです。それでも、キハ283系のようにカーブを高速で通過するためには重心を低くしなければ安定性は得られません。よって、キハ285系についてもどこで軽量化を実施しているかといえば、ボディの可能性が高くなるわけで、将来的にはキハ283系のように老朽・劣化を早める要素が含まれていた可能性があり、キハ283系のように高速で使い続ければ、新幹線車両と同等の10数年で引退せざるを得ない状況になっていたかもしれません。

いずれにしても、在来線の気動車としては、ずば抜けた性能を秘めていたと思いますが、キハ283系のことをある程度調べた管理者にとっては、その代わり大きな代償があったことも否定できません。こうした理由からも、安全性に問題があるという理由で早期廃車・解体になったのかもしれませんね。

JR北海道にとって幻の車両になったキハ285系。現在は経営状態が脆弱であり、いつ倒れてもおかしくないJR北海道ですが、こうした気動車を開発できる凄い鉄道会社なのです。現在はさまざまな理由で投入及び維持する・使い続けることが困難ですが、ぜひとも将来的にこうした見ても乗っても感動を与えるような画期的な車両を投入してほしいと思います。











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コメント
9606:283系の後継者として、 by s-kamui on 2020/08/05 at 08:44:38

H100系の駆動システムを活用しJR東海383系仕様の振子式台車または小田急VSE仕様の車体傾斜式台車を備えた特急用車両(最高速度は120km/h)を開発すれば根室線でメリットはあるかと思っております。

殊にJR北海道では機器の共通化が求められ、尚且つ鉄道他社から技術を教えていただくようにすることも必要になるでしょうから・・・。

また、余談ではございますがtwitterで見ましたが261系1000番台ST-1204編成の行先標がセレクトカラーLEDの物に交換されていたようです。そういう意味で私としては嬉しい限りです。

9607: by 抹茶珈琲 on 2020/08/05 at 09:09:00

連日のコメント失礼します。

キハ285系の開発中止、かえすがえすも無念でした。寒冷地仕様の振り子機構、空気バネ車体傾斜、MAハイブリッド、寒冷地でのアルミ車体と、JR北海道の足掛け20年以上の技術開発の結晶というべき存在でしたから、関係者の悔し涙の重さは想像もつきません。

実用化されていれば非電化在来線の高速化の可能性を飛躍的に進歩させるものであったことでしょう。JR東海のHC85系もハイブリッドではありますが、高速性能としては現実的なものですし。
あるいはキハ285系の成功如何によっては、今のJR四国2700系の姿も変わっていたかもしれないという想像すら膨らみます。

キハ283系同様、高速化のために出来ることを詰め込んだ、技術者の情熱そのものであったと思います。

すみません、熱くなってしまいました。

9610: by シニアパートナー on 2020/08/05 at 17:03:59 (コメント編集)

キハ285系が老朽化の観点でキハ283系の二の舞になった可能性は否定できません。落成後、通常なら鉄道ピクトリアルなどの鉄道誌に紹介記事が公表されますが、一切公表されることなく解体されました。

写真を拝見する限り、車体ベースはアルミ合金と推察します。どのような構造になっているか、部材や図面の公表がなかったので分かりませんが、屋根上のクーラー?のほかは床下に機器が配置されているようです。低重心と軽量化を図っているとすれば、車体の重さは極力制限されているものと思います。車体に負荷がかかったときに、経年的に十分耐えうるかが焦点になります。

車両が高価である割に耐用年数が短いとなると、投資回収軌間が短くなり、その分大きな営業収益をもたらす必要があります。ひょっとしたら、耐用年数を10年程度と見込み、新幹線開業までの「つなぎのスター」として考えていたとの可能性もありますが、想像の域を出ません。

9613: by 管理人 on 2020/08/06 at 21:57:01

>>「s-kamui」さん、コメントありがとうございます。

車体を傾斜させることもスピードアップには重要ですが、さらなる高出力でそれをカバーする方が車両を維持していくうえでは利点でもあります。昨今のキハ261系は特にそうですよね。

例えば、最高速度は120km/hで変わらなくても、最高速度まで札幌市営地下鉄5000形のような加速力が得られれば、それはそれでスピードアップを実現すると思います。特に石勝線特急は山岳路線を走りますから、急こう配に強い車両が必要です。

昨今の新車事情をみていると、振り子式などの車体傾斜をやめて低重心化を図ってそれを少しカバーする傾向がみられます。今後はコスト削減を目的にそうした極限の性能は求められていくことは少なくなっていきそうですね。

9614: by 管理人 on 2020/08/06 at 22:01:19

>>「抹茶珈琲」さん、コメントありがとうございます。

キハ285系が登場していたら、日本の気動車は少なからず変わっていたと思いますよ。ディーゼルエレクトリック式などのほかにも、MAハイブリッド式の進化版など、選択肢が増えたと思います。

高速特急用としては、キハ283系と同様に車体剛性については不安要素があった可能性が高いので、そのあたりは煮詰めていく必要があったと思います。

キハ285系は良い点も悪い点もあったと思いますが、登場していたら、日本の気動車は飛躍的な進化を遂げていたかもしれません。その原点を潰してしまった以上、選択肢が1つ消えてしまったことは残念でなりませんね。

9617: by 管理人 on 2020/08/06 at 22:16:09

>>「シニアパートナー」さん、コメントありがとうございます。

写真で確認する限りでは、基本的な車両の構造はキハ283系と類似しており、車両の重心を極限まで下げた高速特急気動車という感じです。

モーターなどの重量物を新たに積んでいるにも関わらず、カーブを高速で通過しなければならない事情からも、車体も極限まで軽量化を実施していると思います。車体は735系と同様にアルミ合金が使われていると思いますが、先頭部分はキハ261系と同じく鋼製の可能性が高く、且つ鋼製部分の面積の割合が大きくなっているので、こうしてみると、軽量化を実施するにあたりさまざまな弊害があります。

その状況下でもおそらく極限まで軽量化しているはずですから、それはそれで凄いです。しかし、キハ283系と同じような形で使用していれば、車両はすぐに耐用年数に達してしまうでしょう。90km/hの制限のカーブを140km/hで走行するように開発されていたようですから、さらに車体にストレスがかかることは言うまでもなく、結果的に新幹線車両と同程度で引退を余儀なくされていたかもしれませんね。

まだまだ不明な点が多く、結局多くを語られないまま解体されてしまいました。走行性能を追いかけても追いかけることができない幻の車両ですね。

9620:世界初であっても・・・ by kaipan on 2020/08/07 at 17:51:59

この車両については以前も記しましたが、ハイブリッド車体傾斜システム+モーターアシストハイブリッドという技術が国内の他社や海外で使える技術なのか気になります。もし使えないならお金をかけて開発した意味がないように思えます。
もはや北海道には高速気動車の必要性がなく、 海外でも高速気動車の成功例があまりないのは気動車は高速車両としての適性がないということではないでしょうか。 285系は残念ながら「世に出す必要の無かった車両・技術」と言う他ありません。

9622: by 管理人 on 2020/08/10 at 07:37:37

>>「kaipan」さん、コメントありがとうございます。

使用することは可能ですが、課題も残されているというのが現状でゃないでしょうか?おそらく、ハイブリッド車体傾斜システム+モーターアシストハイブリッドは燃料ドカ食いの可能性がありますね。

鉄道車両にしても、あらゆるほかの分野にしても最初は失敗の連続です。そこから徐々に課題を克服していき、完成品として世に送り出されます。

キハ261系のような大出力気動車も国鉄時代は失敗の連続でした。それを徐々に克服していき、例えば、当時よりもエンジン本体の出力を下げた分、2エンジン搭載にしたりするなど、さまざまな工夫がされています。

試作車まで製作されていた時点で、世に出す必要の無かった車両・技術ではないと思っています。それを末永く維持できる力がなかっただけです。キハ285系をベースに弱点を克服していけば、必ずや素晴らしい車両が将来的に生まれていたはずです。キハ285系は完成品であったとしても単なる通過点でしかないですね。

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