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北海道の鉄道の内容を中心に自身の知識も含めながらブログの記事を日々更新しています。札幌市在住のため、主に札幌圏を走行する列車についての話題です。

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北海道で保存されているキハ82系特急気動車

たまには保存している車両の話題でも。

北海道では、2箇所でかつて北海道の優等列車で活躍した特急気動車キハ82系が展示・保存されています。







まず、その1箇所目が三笠市のクロフォード公園。三笠鉄道村の手前にあります。6両が保存されています。

残念ながら、外装は劣化していました。数年に一度お手入れをしていたはずです。また綺麗になって展示されることを期待しましょう。





そして、もう1箇所が小樽市総合博物館です。写真は「キハ82-1」でトップナンバー車です。2010年に準鉄道記念物に指定されているようですね。

こちらは綺麗な状態で保存されていました。



小樽市総合博物館の名物風景ですよね。

国鉄分割民営化を機に、一部が継承されたはずですが、そのほとんどが廃車となりました。一部は機器を流用してフラノエクスプレスやトマムサホロエクスプレスへと改造されています。

北海道ではかつて、「北斗」、「おおぞら」、「北海」、「おおとり」、「オホーツク」といった優等列車に充当されていました。しかし、それは厳しいものでした。

国鉄時代、北海道で使用される車両というのは、基本的に本州で使用された中古車が大半を占めました。その時点における経年劣化に加え、キハ82系特急気動車そのものが北海道に特化した耐寒・耐雪構造をもっていなかったため、冬季を中心に着雪による車両故障が続発しました。また、車体の腐食や凍結にも長年悩まされた車両でもあります。

実はこの流れは、キハ183系初期車の晩年とよく似ています。要は、同じ失敗を繰り返していたのです。

当時は国鉄ですから、北海道地方の鉄道管理局から北海道のためだけに老朽化した車両を置き換えるべく、車両を製造すべき要望を出しても無理な話で、老朽・劣化の激しい車両を無理やり修理して使用せざるを得ない状況でした。

後にそれが、北海道の鉄道の技術力の凄さが世間一般に浸透したと思います。そうした修繕技術の積み重ねが後に素晴らしい技術となって還ってきたと管理者はみています。



特に苗穂工場では、車両を自社で製造できる能力を有していました。有能な技術者のそのほとんどがJR北海道に継承されました。国が株主とはいえ、今まで抑えつけられていた状況から解放されて自由の身となりました。そうすると、リゾート気動車の新製や列車の高速化を重点的に推し進め、在来線一の特急列車も誕生させました。

その勢いは衰えることなく、レーシングカーのノウハウを詰め込んだキハ283系や振り子式に代わる車体傾斜装置の導入、高出力エンジンの開発など、特に気動車の分野において飛躍的な進化をみせ、電車についても、最新の789系のように、静粛性を維持しながら、高速で走行できる車両を誕生させています。

昨今では、在来線そのものが高速化の限界に達しています。JR北海道では経営がひっ迫している最中、将来的な鉄道車両の技術開発が難しい状況にあります。それでも、これまでの突き抜けた技術力があったからこそ、技術開発が停滞している昨今に加え、在来線における高速化の限界という背景から、未だに電車も気動車も他社に負けない一級の性能をもった車両が活躍しています。

だんだん本来の話題から逸れていますが、いずれにしても、キハ82系特急気動車は大変苦労した中で維持されました。維持できた理由は、有能な人材に溢れていたからにほかなりません。現在では、そうした有能な人材はだんだん離れていき、老朽化した車両も修理して長く使う方法から、早々と新車に置き換えて車両メンテナンス向上のために、少ない人材で効率を重視した体制に変わっています。老朽化した車両や都合の悪い車両はすぐに捨てられるようになってしまったのです。

かつての北海道では考えられないですが、経営をひっ迫している状況下では仕方ありません。こうした古い車両を眺めていると、北海道の鉄道は大きく変わった印象を強く受けます。それが良いのか悪いのかわかりませんが、いずれにしても、何か寂しさを感じてしまいます。

キハ82系特急気動車は、もちろん現役で稼働している車両はありません。上述のとおり、北海道では三笠市のクロフォード公園と小樽市総合博物館でそれぞれ展示・保管されています。もちろん見物することは可能ですが、前者については、今年は周辺でスズメバチが多く発生しているとのことです。毎年秋になると巣の個体数が一番増え、新女王バチ繁殖のために攻撃性が増しますから、訪問される際は十分気をつけてくださいね。










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コメント
9678:キハ82系は北海道には不向きな車両だったようですね by 千葉日台 on 2020/09/03 at 23:02:02

軽量化の為に車体が薄かったり、よく北海道で使ったかと。

まだキハ181系の方が秋田までの使用実績があり、折戸は多少気になりますが、北斗の運用であればそんなに心配はないでしょうから親和性があったと思います。

とは言え、この苦労が苗穂工場を鍛えた一面はあったと思います。


人材育成は会社に余裕があってこそ。多少きつくても30年後を見据える人が会社の経営に居るかどうか、JRはどうなのかは解りませんが・・・

9685: by 管理人 on 2020/09/07 at 22:39:12

>>「千葉日台」さん、コメントありがとうございます。

冬季を中心にトラブルが続発したと聞きます。キハ183系のような北海道に対応した車両ではなかったので、苦労した側面もあったようです。

新製配置で函館にも投入されましたが、一部は本州からのいわゆる中古車で、「つばさ」の置き換えが先延ばしされた影響で、道内の優等列車の置き換え時期も繰り下げられた話も聞きます。

壊れても現場でギブアップは許されなかったでしょうから、その我慢強さが修繕技術等を鍛えていったと思います。

管理者世代は、職場に長く居続けることそのものが困難な世代です。特に今の20代は数年で退職してしまうケースが多い気がします。残れてもほんの一握りで、その人間たちも有能でなければ、経営に直接携われるわけではありません。今後はさらに世代間のギャップの溝が加速すると思われ、JR北海道でも早々とそうした問題に直面しているのかもしれませんね。

返信が遅くなり、申し訳ありませんでした。

12699: by 龍 on 2023/06/10 at 02:10:46 (コメント編集)

小樽市総合博物館に静態保存されている交流用電気機関車の2両(ED75 501とED76 509)が、2023年8月までに解体・撤去される方針であることが報道されました。理由は、主要機器である変圧器などに有害物質のポリ塩化ビフェニル(PCB)が含まれているためです。

PCBは熱に対して安定で電気絶縁性が高く、耐薬品性に優れていることから、加熱や冷却用熱媒体、変圧器やコンデンサといった電気機器の絶縁油などに使用されていました。しかし、生物の脂肪組織に蓄積しやすく発癌性があるほか、皮膚・内臓への障害、ホルモン異常を引き起こすなど、毒性の高い有害物質であることが判明し、日本では1972年に製造・輸入・使用が原則禁止に。その後、PCB特別措置法によって日本国内における処理期限が2027年3月までと定められ、国際条約でも2028年までに全廃することが定められているため、PCBが含まれる残留性有機汚染物質を例外なく速やかに完全処理しなければならない状況になっています。

ED75 501は2010年10月14日に準鉄道記念物に指定されていますが、PCBの処理は国際条約でも定められた事項であり、「そもそも適切な処理をせず放置していること自体が重大な罰則の対象となる」ので、例え貴重な車両であっても例外は認められません。JR東日本でも新幹線総合車両センター(宮城県宮城郡利府町)で静態保存されていた交流用の電気機関車を同じ理由で解体し、JR西日本・JR九州・JR貨物でも現役で残っている車両(交流・直流両用のEF81形なども含む)の置き換えを急いでいます。

三笠鉄道記念館のED76 505は、重機などが入って除除作業が可能な場所まで線路を伸ばして移動させ、車体を取り外すか一部カットした上でPCBが含まれる機器類を撤去し、車体のみ元の状態に戻した上で静態保存を継続することができました。しかし、小樽の2両の場合は周囲に重機などを設置するスペースの確保が困難であり、移動させるにも他の保存車両を一旦どかして元の位置に戻さなければならず、機器類の撤去を含む一連の作業に割く時間・人員・費用・手間がかかりすぎるため、残念ながら車両丸ごとの静態保存の継続を断念せざるを得ませんでした。

実はこのPCB、かつては711系の変圧器にも使用されており、北海道初の交流用特急形電車は当初711系の仕様をベースにして設計・開発が進められていました。ところが、PCBの使用が全面的に禁止となったことでこの開発計画が頓挫。結局、暫定的な措置として既にPCB対策が完了していた485系の各部を酷寒地向けに仕様変更した485系1500番台を導入せざるを得ませんでした。ご存知の通り、485系1500番台では北海道の低温・雪質に対応できず、本格的な新型車両は781系の登場まで待つことになります。その後、711系ではPCB対策が実施され、変圧器等を代替品に交換。全車両が廃車までこの仕様で運用されたため、現在静態保存されている711系はPCBに関する問題はありません。

津軽海峡線で使用されたED79形は、一部を除いてED75形の改造車で、種車の変圧器などをそのまま使用していました。ED79形が廃車後全て解体されたのも、おそらくこれが理由の一つだと考えられます。

機関車でこの問題が発生した理由としては、国鉄時代から機関車を使用した旅客列車は電車・気動車で置き換えが進んで削減されており、貨物列車は後継の電気機関車での置き換えが決まっていたため、電車と違ってこれらの機関車は費用面の問題もあってPCB対策をしていなかったのでしょう。蒸気機関車に比べて、電気機関車を保存対象とする活動の規模が小さかったことも影響したと考えられます。

なお、当該の2両のうちPCBの問題がない部品に関しては、解体後も屋内へ移設して保存展示する予定です。

12703: by 管理人 on 2023/06/11 at 22:51:57

>>龍さん、コメントありがとうございます。

実はいただいたコメントで管理者も知りました。結構大きな問題になっているようですね。

8月までに解体する予定となっていますが、ED75が準鉄道記念物に指定されていて、解体するにもJR側との交渉が必要という報道もありました。

過去に訪問した際の写真を確認すると、撮影していました。後日報道内容を再度確認して記事にしたいと思います。

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