【コラム】あれから7年
コラム - 2020年11月19日 (木)
報告が遅くなりましたが、11月1日は、帯広方面へ行っていました。
実は7年前の同じ時期にも行ってました。

キハ283系による特急「スーパーとかち5号」を乗車しに。
7年前というと、10月31日で高速化一本で暴走していたJR北海道に、ついにメスが入れられた日。一部列車を除いて、130km/h運転を実施していた列車の最高運転速度を120km/hまたは110km/hに。加えて一部列車は本数も減らされました。
2011年5月に発生した石勝線特急列車脱線火災事故を機に、JR北海道では、特急車両を中心に相次ぐ不具合に見舞われます。そして2013年7月には特急「スーパーおおぞら3号」と特急「北斗14号」で、配電盤やエンジンブローに伴う出火事故が発生し、定期列車の運行もままならない状態に。後者に至っては、同年の3月と4月にも発煙事故を起こしていました。
しばらくの間は、間引き運転で持ちこたえましたが、同年11月から減速・減便ダイヤを施行し、従来よりも車両への負荷を抑えたダイヤが組まれるようになりました。それ以降、運行ダイヤの変更等はあったものの、大きな運行体系は変わらずに推移しています。
帯広・釧路方面に至っては、「スーパーおおぞら」が110km/h運転になりました。120km/h運転すらできなくなったのです。理由は、走行時における振動が発生する許容範囲のレベルが110km/hになったためです。他の車両よりも許容レベルが低くなったのです。車体強度(剛性)が他の車両と比較して不足しており、高速走行時において振動が他の車両よりも多く発生してしまうからです。車体剛性が不足していたというよりも、高速運転によって車体の剛性が落ち、振動や揺れが多く発生するようになってしまいました。
このあたりは、徐々に我々一般人にも浸透してきており、例えばN700系の初期車が15年弱で廃車になっている状況を踏まえると、列車の性能を向上させる反面、車両には負荷がかかり、寿命を縮めることになります。元々新幹線車両は寿命が15年前後と言われていますが、N700系の場合はそれよりも短い車両も出てきました。登場時は東京~博多間での運用が多かったことも関係しているでしょう。これにより、引退の基準となる走行距離がほかの新幹線車両よりも早く到達したという見方もできそうです。
キハ283系の場合においても、札幌運転所(札サウ)1箇所に集約されていた時期については、「スーパーおおぞら」と「スーパーとかち」で5日間もの間、札幌~帯広・釧路間を往復し続けました。1日におよそ1050kmを4日間走り、5日目に札幌~帯広間2往復およそ880kmを走ります。場合によっては、翌日から再び運用が始まることも多々あったと思います。
またその頃は、「スーパー北斗」は単独で運用に入っていましたが、検査などがない限り、連日同じ車両が2往復していました。こちらも1日に1200km以上を走行しますから、こちらも過酷な運用だったということは言うまでもありません。
こうした運用を続けて壊れない方が不思議です。
2007年10月ダイヤ改正で、キハ283系は札幌と釧路に分散させましたが、運用が変わっただけで、1日の走行距離については大きく変わらなかったと思います。むしろ、キハ183系の置き換え及び、「とかち」1往復の釧路延長運転という形で「スーパーおおぞら」を増発させたので、さらに負荷をかけました。2007年10月から石勝線特急列車脱線火災事故を経て、2013年7月までがキハ283系が大きく負担になった時期でもあります。
キハ183系についても、一部車両で使用停止に追い込まれましたが、やはり、道内各地で高速化に貢献したキハ283系の使用制限が大きく、これが減速・減便の一番の影響だったかもしれません。
一方、キハ283系とともに活躍していたキハ261系1000番台については、引き続き「スーパーとかち」で使用されることになり、昨今も引き続き使用されています。減速・減便ダイヤ施行当初は130km/h運転を維持しました。また、番台区分は異なりながら、0番台を使用していた「スーパー宗谷」と、札幌圏のドル箱列車快速「エアポート」は減速運転が先送りされました。
この結果、停車駅が多い「スーパーとかち」の方が停車駅が少ない「スーパーおおぞら」よりも速い列車も生まれ、減速運転が開始された状況下で、「スーパーとかち」については所要時分を短縮しているという逆転現象を生みました。「スーパーおおぞら」減便により、1往復の列車については、札幌~帯広間を「スーパーとかち」に代替。所定も4両編成から5両編成になりました。
減速・減便ダイヤが始まる前までは、石勝線特急列車脱線火災事故でキハ283系が6両廃車になり、その代替となるキハ261系1000番台6両が新製配置されたばかりでした。充当車両が気になっていた時期でしたが、結局「スーパーおおぞら」と「スーパー北斗」の減便により、釧路方面や函館方面乗り入れもおわずけとなり、減速・減便ダイヤ施行並びに、キハ283系が「スーパーとかち」から撤退したことに伴う運用変更で、キハ261系1000番台は「スーパーとかち」のみに引き続き充当されるようになります。
翌年まで130km/h運転が続き、120km/h化とともに、一部列車のダイヤを変更し、概ね現行ダイヤが維持されている形となります。
減速運転に伴い、最速達列車については、概ねほとんどの列車が従来の運行体系で所要時間が長かった列車並みになりました。「スーパーおおぞら」だと、従来ダイヤで一番所要時間の長い列車は3時間59分でしたが、減速ダイヤでは、3時間59分が最速達列車となりました。現行ダイヤでも最速達列車は3時間59分です。


あれから7年が経過しました。その間にキハ283系の一部が撤退し、キハ261系1000番台の充当列車が増えました。減速運転前は4往復でしたが、現在は「おおぞら」も含めて8往復となり、乗る&見る機会が増えました。道東方面の主役だったキハ283系については、8往復から一気に3往復まで減少し、キハ261系1000番台へ主役の座が引き継がれつつあります。
今回帯広方面に行った際もキハ283系に乗車しましたが、7年前の130km/h運転を実施していた頃と比べると、さすがに20km/h速度が落とされたこともあり、特にスピードを出す石勝線の区間では遅くなった感じが否めません。それでも、130km/h運転時代と比べて、例えば南千歳~トマム間の所要時間が+5~6分程度に収まっていることを踏まえると、まだまだ凄い気動車であることを実感します。
来春のダイヤ改正では、道内各方面の特急列車が減便や一部列車の臨時列車化を実施する中で、帯広・釧路方面の特急列車は本数を維持します。ただし、「おおぞら」については所定が5両編成となり、かつて最大11両編成や10両編成で運行していたキハ283系については、その半分の編成に。キハ261系充当列車についても、「とかち」とほぼ変わらない姿になって再出発します。
新型コロナウィルスの影響でさらに厳しい状況になっていますが、ライバルである「ポテトライナー」や「スターライト釧路号」の一部が運休となる中で、JRは本数を維持します。特に午前中に帯広から札幌へ、夕方に札幌から帯広へは高速バスの一部運休でJRが優位になるでしょう。これを機に、少しでも客足がJRの方へ戻ってきてくれればいいですね。
全国各地で新型コロナウィルスの感染者が増え得てきました。閲覧する皆さまにおかれましても、十分お気をつけてお過ごしくださいませ。
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キハ283系による特急「スーパーとかち5号」を乗車しに。
7年前というと、10月31日で高速化一本で暴走していたJR北海道に、ついにメスが入れられた日。一部列車を除いて、130km/h運転を実施していた列車の最高運転速度を120km/hまたは110km/hに。加えて一部列車は本数も減らされました。
2011年5月に発生した石勝線特急列車脱線火災事故を機に、JR北海道では、特急車両を中心に相次ぐ不具合に見舞われます。そして2013年7月には特急「スーパーおおぞら3号」と特急「北斗14号」で、配電盤やエンジンブローに伴う出火事故が発生し、定期列車の運行もままならない状態に。後者に至っては、同年の3月と4月にも発煙事故を起こしていました。
しばらくの間は、間引き運転で持ちこたえましたが、同年11月から減速・減便ダイヤを施行し、従来よりも車両への負荷を抑えたダイヤが組まれるようになりました。それ以降、運行ダイヤの変更等はあったものの、大きな運行体系は変わらずに推移しています。
帯広・釧路方面に至っては、「スーパーおおぞら」が110km/h運転になりました。120km/h運転すらできなくなったのです。理由は、走行時における振動が発生する許容範囲のレベルが110km/hになったためです。他の車両よりも許容レベルが低くなったのです。車体強度(剛性)が他の車両と比較して不足しており、高速走行時において振動が他の車両よりも多く発生してしまうからです。車体剛性が不足していたというよりも、高速運転によって車体の剛性が落ち、振動や揺れが多く発生するようになってしまいました。
このあたりは、徐々に我々一般人にも浸透してきており、例えばN700系の初期車が15年弱で廃車になっている状況を踏まえると、列車の性能を向上させる反面、車両には負荷がかかり、寿命を縮めることになります。元々新幹線車両は寿命が15年前後と言われていますが、N700系の場合はそれよりも短い車両も出てきました。登場時は東京~博多間での運用が多かったことも関係しているでしょう。これにより、引退の基準となる走行距離がほかの新幹線車両よりも早く到達したという見方もできそうです。
キハ283系の場合においても、札幌運転所(札サウ)1箇所に集約されていた時期については、「スーパーおおぞら」と「スーパーとかち」で5日間もの間、札幌~帯広・釧路間を往復し続けました。1日におよそ1050kmを4日間走り、5日目に札幌~帯広間2往復およそ880kmを走ります。場合によっては、翌日から再び運用が始まることも多々あったと思います。
またその頃は、「スーパー北斗」は単独で運用に入っていましたが、検査などがない限り、連日同じ車両が2往復していました。こちらも1日に1200km以上を走行しますから、こちらも過酷な運用だったということは言うまでもありません。
こうした運用を続けて壊れない方が不思議です。
2007年10月ダイヤ改正で、キハ283系は札幌と釧路に分散させましたが、運用が変わっただけで、1日の走行距離については大きく変わらなかったと思います。むしろ、キハ183系の置き換え及び、「とかち」1往復の釧路延長運転という形で「スーパーおおぞら」を増発させたので、さらに負荷をかけました。2007年10月から石勝線特急列車脱線火災事故を経て、2013年7月までがキハ283系が大きく負担になった時期でもあります。
キハ183系についても、一部車両で使用停止に追い込まれましたが、やはり、道内各地で高速化に貢献したキハ283系の使用制限が大きく、これが減速・減便の一番の影響だったかもしれません。
一方、キハ283系とともに活躍していたキハ261系1000番台については、引き続き「スーパーとかち」で使用されることになり、昨今も引き続き使用されています。減速・減便ダイヤ施行当初は130km/h運転を維持しました。また、番台区分は異なりながら、0番台を使用していた「スーパー宗谷」と、札幌圏のドル箱列車快速「エアポート」は減速運転が先送りされました。
この結果、停車駅が多い「スーパーとかち」の方が停車駅が少ない「スーパーおおぞら」よりも速い列車も生まれ、減速運転が開始された状況下で、「スーパーとかち」については所要時分を短縮しているという逆転現象を生みました。「スーパーおおぞら」減便により、1往復の列車については、札幌~帯広間を「スーパーとかち」に代替。所定も4両編成から5両編成になりました。
減速・減便ダイヤが始まる前までは、石勝線特急列車脱線火災事故でキハ283系が6両廃車になり、その代替となるキハ261系1000番台6両が新製配置されたばかりでした。充当車両が気になっていた時期でしたが、結局「スーパーおおぞら」と「スーパー北斗」の減便により、釧路方面や函館方面乗り入れもおわずけとなり、減速・減便ダイヤ施行並びに、キハ283系が「スーパーとかち」から撤退したことに伴う運用変更で、キハ261系1000番台は「スーパーとかち」のみに引き続き充当されるようになります。
翌年まで130km/h運転が続き、120km/h化とともに、一部列車のダイヤを変更し、概ね現行ダイヤが維持されている形となります。
減速運転に伴い、最速達列車については、概ねほとんどの列車が従来の運行体系で所要時間が長かった列車並みになりました。「スーパーおおぞら」だと、従来ダイヤで一番所要時間の長い列車は3時間59分でしたが、減速ダイヤでは、3時間59分が最速達列車となりました。現行ダイヤでも最速達列車は3時間59分です。


あれから7年が経過しました。その間にキハ283系の一部が撤退し、キハ261系1000番台の充当列車が増えました。減速運転前は4往復でしたが、現在は「おおぞら」も含めて8往復となり、乗る&見る機会が増えました。道東方面の主役だったキハ283系については、8往復から一気に3往復まで減少し、キハ261系1000番台へ主役の座が引き継がれつつあります。
今回帯広方面に行った際もキハ283系に乗車しましたが、7年前の130km/h運転を実施していた頃と比べると、さすがに20km/h速度が落とされたこともあり、特にスピードを出す石勝線の区間では遅くなった感じが否めません。それでも、130km/h運転時代と比べて、例えば南千歳~トマム間の所要時間が+5~6分程度に収まっていることを踏まえると、まだまだ凄い気動車であることを実感します。
来春のダイヤ改正では、道内各方面の特急列車が減便や一部列車の臨時列車化を実施する中で、帯広・釧路方面の特急列車は本数を維持します。ただし、「おおぞら」については所定が5両編成となり、かつて最大11両編成や10両編成で運行していたキハ283系については、その半分の編成に。キハ261系充当列車についても、「とかち」とほぼ変わらない姿になって再出発します。
新型コロナウィルスの影響でさらに厳しい状況になっていますが、ライバルである「ポテトライナー」や「スターライト釧路号」の一部が運休となる中で、JRは本数を維持します。特に午前中に帯広から札幌へ、夕方に札幌から帯広へは高速バスの一部運休でJRが優位になるでしょう。これを機に、少しでも客足がJRの方へ戻ってきてくれればいいですね。
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