過酷な北海道の特急列車の運用
特急列車 - 2020年12月23日 (水)
今回は予約投稿記事です。
コロナ禍だからこそ、リアルタイムのみならず、面白い話題の記事も作成できるのです。
今回の題名は過酷な北海道の特急列車の運用についてです。実は昨晩掲載できなかった記事です。
数年前、JR北海道が数々の車両トラブルを抱え、一部車両が運行停止状態にまで追い込まれました。整備不良の関係もありますが、北海道の特急列車の場合、運用によっては、とんでもない距離を1日に走行していることもあります。
営業キロで換算した場合、例えば、出発点が東京だとすると、1日に熊本県まで走行している運用もあるのです。
それを日付が変わらないうちに走行してしまう。凄いですよね。
ということで、管理者が過酷だと思う運用を以下に上げてみました。
・「オホーツク」・「大雪」
札幌・旭川~網走を結ぶ列車です。札幌~網走間は営業キロ換算で400km未満ですが、急こう配を有する峠を2箇所も越え、旭川~網走間については、最高運転速度が100km/h以下になるので、所要時間を要してしまいます。
2日目の運用を除き、「オホーツク」と「大雪」で共通で運用されています。1日目はまず札幌から網走へ向かい、そこから「大雪」で網走と旭川を1往復します。
3日目はまず網走と旭川を1往復し、最後に網走から札幌へ直通します。
旭川駅で折り返し時間、いわゆる「休憩」がありますが、1日目の運用が特に過酷で、特急「オホーツク1号」で網走駅到着後、17分後には旭川方面へ引き返します。9時間23分の間、休憩時間は17分だけで、その間停車駅に停車する間を除けば、常に車輪が回転し続けます。営業キロは814kmに達します。
東京を出発すると、広島県の尾道市あたりまで走行することになります。新幹線で行けばそうでもないんでしょうが、在来線で行くと気が遠くなりそうです。


・「宗谷」・「サロベツ」
次に、札幌・旭川~稚内間の「宗谷」・「サロベツ」。札幌~稚内間の営業キロは396.2kmです。「宗谷」は国内最長距離を走行する気動車特急だったと記憶しています。それから、西日本の「スーパーおき」、「オホーツク」の順番だったと思います。
では、この営業キロを日本の首都東京から東海道本線を使ったら、一体どこまで走っていることになるのでしょうか?
時刻表で調べてみると、札幌~稚内間は東京からだいたい岐阜県の岐阜駅まで走っていることになります。管理者は東海道本線に乗ったことがないので雰囲気はイマイチわかりませんが、札幌から稚内までの距離は片道だけでも過酷だということを考えると、東京から岐阜へ在来線で行くのも相当な距離感を感じることでしょう。
ここで運用は終わらないので、旭川へ引き返します。営業キロでおよそ260kmです。東京方面へ引き返すとすると、静岡県富士市の東田子の浦駅付近まで戻ります。
さらにそこから、稚内に戻ることになるので、再び岐阜駅へ向けて1日目の運用を終えるというイメージです。
2日目は、まず富士市の東田子の浦駅付近まで行き、岐阜駅まで一旦引き返し、そこから東京に戻るというイメージです。あくまで営業キロ換算ですが、「宗谷」・「サロベツ」の運用が終わり、苗穂へ帰っていきます。
原則として翌日も同じ編成が充当される可能性が高く、翌早朝から上記のメニューを2日間でこなします。
1日の走行距離は営業キロ換算でおよそ916kmですから、これは1日で東京から広島県の廿日市市の宮島口駅あたりまで走行する計算です。

・「おおぞら」
札幌~釧路間を結ぶ特急列車です。4つの運用があり、キハ261系とキハ283系で2運用ずつです。4運用とも札幌~釧路間を1.5往復しています。
営業キロ換算で1日の総走行距離がおよそ1,045kmになります。東京を出発し、東海道本線をひたすら西に進む場合、山口県宇部市の厚東(ことう)駅あたりまで1日走ります。


・「ライラック」
札幌~旭川間で運行する列車です。同区間では「カムイ」も運行されており、24往復中14往復が「ライラック」、残り10往復が「カムイ」です。
両者の違いは、一部を除いて「ライラック」が比較的終日運転されるものの、「カムイ」は昼休憩を有する運用が多いです。
札幌~旭川間は営業キロ換算で136.8kmです。一見そうでもありませんが、4日目(最終日)の運用は、特急「ライラック2号」から始まり、特急「ライラック48号」までひたすら札幌~旭川間を往復し続ける運用です。同区間を9回走り、総営業キロはおよそ1,231kmになります。
東海道本線を使ってず~っと西に進んでいくと、山陽本線も通り越し、鹿児島本線の南瀬高駅付近まで1日に走っていることになります。
九州でも似たような特急があり、「かもめ」も運用を辿ると特急「かもめ2号」から始まって、特急「かもめ48号」までひたすら博多と長崎を往復する運用ではないでしょうか?これも1日の総営業キロは1000kmを超えますよ。運用が間違っていなければ、の話ですけどね。

・「北斗」
札幌~函館間の特急列車です。原則として1.5往復ですが、1運用だけ2往復する運用があるのです。
早朝6時頃、特急「北斗1号」として函館を出発し、一旦特急「北斗10号」で函館に帰ってきます。そして再び特急「北斗15号」で北上し、深夜0時前に特急「北斗24号」として函館に帰ってきます。
営業キロ換算で1日の総走行距離は1,272kmに達します。これは東京を出発し、西へず~っと進んでいくと、東海道本線や山陽本線も全て走破し、熊本県玉名郡の鹿児島本線木葉駅あたりまで走行することになります。
元々は長らくキハ281系が充当されていた運用でしたが、予備車捻出のためにキハ261系に置き換えられた運用です。当初は燃費の悪いキハ261系で運行されるに際し、全ての運用を1.5往復化して乗り切ると思っていましたが、キハ261系充当のまま2往復の運用が継続されました。おそらく、車体傾斜装置を作動させていたら、無給油で2往復はできないはずです。
この運用も来春の3月ダイヤ改正までです。コロナの影響による利用の落ち込みにより、特急「北斗24号」の運転が取り止めとなります。おそらく、JR北海道の列車の中で1番走行距離を走る運用で、これがトップから落城するので、おそらく1番走行距離を走る運用は、上記の「ライラック」の運用になると思います。

ほかにも、「とかち」で札幌~帯広間2往復の運用もありますが、折り返し時間が確保されている関係で割愛させていただきます。
他の旅客鉄道会社の列車はどうなのでしょうか?時刻表を眺めていると、余裕ある運用が組まれており、例えば、とある特急の時刻表を眺めていたら、折り返し時間が確保されているにも関わらず、実際にネットで調べてみたら別運用で、実は2~3時間折り返し時間が確保されていたり、、、
余裕のない運用が組まれているのは北海道だけなのかもしれません。長距離や過酷な条件を走る割には、折り返し時間が最短で17分で、20分前後の列車も多いです。こうした運用が組まれる背景には、予備車両が少なく、運用を増やすことができないことにあるのです。
それでも一定の本数は確保しなければなりません。特急気動車も1両約3億円と高額ですから、増やそうにも、現状では最低限の両数を製造し、老朽取替を実施していくしかないのです。車両を共通化することで、予備車両も共用することができ、引き続き年々その問題は徐々に改善されていきそうです。
こうしてみると、ここまで1日に走っていたら、壊れても仕方がないといった感じです。それほど、北海道の鉄道車両は、一部では過酷な中で日々奮闘しているのです。しかも30℃を超える猛暑の中であろうと、-20℃にもなる極寒の中であろうと。
そうした過酷な条件の中で日々運行しているということを、閲覧する皆さんには理解していただきたいと思います。
北海道で鉄道を運行し続けること、それはとても大変なことです。
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