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日高本線の鵡川~様似間の廃止日が今年4月1日に繰り上げ

廃止が決まった日高本線の鵡川~様似間。当初は2021年11月1日が廃止予定日でしたが、廃止日の繰り上げが認められ、4月1日に繰り上げられる予定です。



昨年10月27日に国土交通大臣に鉄道事業廃止の届出で行いました。その後、12月8日に北海道運輸局による関係者への「公衆の利便の確保に関する意見の聴取」を実施しました。

その後、廃止日を4月1日に繰り上げたとしても公衆の利便を阻害するおそれがないと認める通知を12月28日に国土交通大臣から受領しました。

よって、日高本線の鵡川~様似間の廃止日が4月1日に決定しました。

注目すべきは、2015年から昨年まで、幾度となく路線の存廃問題について関係者を交えて議論してきました。ですが、結果的に廃止という道を選択せざるを得ない状況になってしまいました。長い時間のかけて存廃問題に向き合ってきた割には、鉄道事業廃止の届出以降はかなり迅速な対応で進んでいます。

結局は他人任せだったのです。

道、自治体、JR北海道、そして国が交えて日高本線の問題について、5年にわたって何度も話し合いを行ってきました。再び鉄道を運行するために、最終的に約86億円に復旧費用が跳ね上がりました。運行を再開した場合の沿線自治体の負担が年間13億4千万円ということで、とても負担できるレベルではありません。

この試算が示された時点で既に結果はわかりきっていました。

道と国も介入することで日高本線の問題が何とかなると希望をもった沿線自治体も多かったと思います。ですが、結局は自治体とJR北海道のやり取りに委ねられ、結局話が進展しないまま廃止という選択肢を出しました。特に道は、何のために介入したのか不明で、自助努力と称してJRを突き放しただけに終わりました。

路線の存続にこだわった沿線自治体にも問題がありますが、それ以上に道の対応については、おかしな点がたくさんあります。この状況をなぜもっと報道しないのか不思議で、結局廃止という結論が出されてこれまでのやり取りが闇に葬られようとしています。

過去を振り返ってもきりがありません。せっかく道と国が関与したのであれば、路線の存廃のみならず、日高管内における今後の都市計画、まちづくりについての方向性を探り、鉄道路線廃止とともに路線バスやデマンドバスを中心とした新たな交通ネットワークを構築すべきでした。


具体的には、総合病院を設け、そこを軸とした交通ネットワークの構築です。

日高管内は地図で見ても広大なエリアであるにも関わらず、高齢者医療においては、苫小牧や札幌に頼らざるを得ない状況が続いています。鉄道を残す一番の理由として「弱者救済」が上げられていました。

主に高齢者医療を必要としている方に対して、交通の便を確保し、日高管内と苫小牧などを結べるようにすることです。ですが実際、弱者救済の手段は鉄道でなくてもよいのです。

鉄道は線路のない場所にはたどり着けません。つまり、その弱者が駅までどのようにして移動すればよいのか、そして例えば苫小牧駅に到着したら、どのようにして病院へ移動すればよいのか。以前この弱者救済についてコメントをいただいたことがありましたが、そこから管理者が考える限り、そうした体制が不透明なままなんですよね。

以前、過去の記事のコメントか何かで記載した記憶がありますが、本当の弱者救済を考えているのであれば、やはり戸口から戸口の移動に限ります。どのような方法かというと、自宅まで車で迎えに来て、車を降りたら病院にたどり着ける。そうした仕組みこそ、本当の弱者救済です。このことからも、鉄道は弱者救済としての使命を果たせるかといえば、不十分な点もあります。

さらに、高齢者医療を必要としている方の中には、家族がいない、身寄りがいない方もいるはずですから、そうした方のためにも、管理者が提案する戸口から戸口への移動が可能な本当の弱者救済が必要です。

そこで弊害となってくるのが地理的条件で、日高管内には大きな総合病院がなく、結果的に現在も苫小牧や札幌の病院に頼らざるを得ない状況です。であれば、日高本線廃止とともに日高管内の交通ネットワークを見直すとともに、管内の中心に総合病院を設け、そこを中心とした公共交通の在り方を検討すべきでした。本来はそうした新たな交通ネットワークを推進するための助言等を道や国が行わなければならなかったのです。

沿線住民を考慮せず、鉄道の存廃だけにこだわったという点では非常に残念な5年間でした。



これまで北海道内では不採算路線が廃止されてきましたが、そのほとんどでバス転換後に利用者減少によって減便を余儀なくされ、完全に廃止された路線や時刻表は残っているものの、完全予約制のバスで運行するなど、後年になって機能していない状況が伺えます。

今回は鵡川~様似間が廃止となりましたが、苫小牧~鵡川間についても、営業係数(100円の営業収入を得るのにどれだけの営業費用を要するかを表す指数)は802で厳しい数字です。国鉄時代であれば、廃止相応のレベルです。

残った区間についても厳しい状況であることは言うまでもなく、このまま続けばバス転換が相当と判断されるでしょう。H100形が現時点で日高本線に投入予定がないことを踏まえると、将来的な鉄道の維持は考慮されていないのかもしれませんね。











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コメント
10011:日高線はもともと利用されていない by 南の虎 on 2021/01/06 at 17:35:18

遠い昔に貨物輸送も終了し、旅客輸送もこの5年間行っておらず、代行バスでの輸送において大きな問題が起きているという話は一切ありませんでした。
この時点で、鉄道としての存在意義はないといえるでしょう。

そもそもですが、現地は鉄道を望んでいるのでしょうか。
日高自動車道が延伸を続けており、今や厚賀まで延びています。苫小牧から静内まで車で1時間半です。札幌からでも2時間少々で着けます。
日高道は直轄方式なので無料。勝負有り、でしょう。
地域輸送も、バスのほうが、ドアツードア輸送に向いており、市街地から遠い海岸線を走る日高線は最初から生活路線としての意味合いが強くはなかったと思います。

税金を使って鉄道を残せと言っているのは、ファンと、体裁だけが大事な地方議会関係者だけでしょう(気持ちはわかりますが)

税金を使え、というのであれば、納税者が納得する理由か、納得し難くてもその必要性を正しく論証してもらいたいものです。

10020: by 管理人 on 2021/01/06 at 20:35:24

>>「南の虎」さん、コメントありがとうございます。

営業係数からも、鉄道の使命は終えていると判断できますよね。

沿線の学生も通学のメインはバス利用でもう3~4年前からその実態は明らかになっていました。沿線首長だけ残すと言っていたようなものです。

仰るとおり、日高道が延伸し、札幌からも高速バスがあります。鉄道だと苫小牧へ迂回する必要があり、普通列車やバスに乗り換えないといけないので所要時間がかかってしまいがちです。

元々はいくつかの軽便鉄道が国有化に伴って路線が敷設されました。沿線には特別大きな産業もなく、昔から自然災害によって復旧と土砂流入などを繰り返してきました。長期的にみても今後も自然災害によって影響を受けることは言うまでもなく、昨今のコロナ禍ではさらに維持することが厳しくなります。

いずれにしても維持するには大きな体力が必要です。沿線の意向で存続したいのであれば、三セク化して自分たちでやればいい話です。JR北海道にそのような体力はもうありません。

10021: by 氷海軌道 on 2021/01/06 at 20:59:37

 長文失礼致します。

 日高本線の鵡川以南が廃止となることで、残る赤線区は留萌本線と根室本線(富良野〜新得)のみとなります。留萌本線は沼田町以西の廃止はほぼ確定となっていますが、根室本線はこれといった動きがありません。強いて言うなら、赤羽国交相が視察に来たことぐらいでしょうか。

 私は基本的に不要の赤字路線の廃止に賛成ですが、この根室本線に関しては少し考慮の余地があります。この区間は線内輸送より滝川・旭川〜帯広の広域輸送がメインでしたから、その恩恵を受けていた旭川市や滝川市、帯広市も協議の対象とすべきです。それらの輸送を全て富良野市や南富良野町、新得町だけで負担しろというのは少し間違いでは無いでしょうか。

 また、胆振東部地震の際に石勝線より根室本線の方が早く復旧したことから、まだ迂回路としての機能が残っている可能性もあります。災害以外にも、昨年の根室本線のようにトレーラーに橋梁が破壊されるというヒューマンエラーも考えられます。こういった予測出来ない事態に備えてて残しておくという手段もありではないでしょうか。これは、他の廃止予定路線には無い特徴です。

 ただ、復旧費用は10.5億円と言われており、沿線3市町だけの負担としては重すぎます。でも旭川市や帯広市、もしくは道も加担するというのならば話は別でしょう。日高本線のようにローカル・都市間・観光・貨物等の輸送も全て見込めないにも関わらず80億円以上も費用がかかる路線と、10億円かかるが広域輸送路線・非常時迂回路となり得る路線とでは訳が違います。

 もっとも、それを勘定した上で自治体が不要と判断して廃止というのならば、私は文句はありません。あるかもわからない「万が一」の為に10億円も払うのはリスクが大きいことですし、私もその点は理解しています。今の日本では、輸送網のバックアップに関して無関心ですから、結局この区間も廃止の方向で進むのでしょうね。

10024: by ハナ on 2021/01/06 at 22:57:25 (コメント編集)

確か浦河がコロナ禍まえにバス転換に伴うJRからの交付金上乗せを要望していたと思います。その後にコロナで経営悪化で元々の交付金も怪しくなる前に貰えるウチに廃止同意した方が得策って流れがありましたね。なんだか姑息と言うかセコいというか。。。

病院と家との輸送の問題はどの自治体も課題になってます。ある程度大きな病院だと独自で送迎を出してますが戸口までになると複数人の利用者で同一方向を確保しなければコスト的にも難しいですね。福祉有償運送の届けをして有償化するのも手段ですが現状グレーな制度なので病院側も難しいでしょうね。

10029: by 管理人 on 2021/01/07 at 22:13:05

>>「氷海軌道」さん、コメントありがとうございます。

根室本線はいつなくなってもおかしくないですが、それにしては動きがないです。ですが、来春にはバスと列車が一部減便されますので、利用者は確実に減っていると思います。それに対して沿線の反応はあまりないので、半ば諦めている感がありますよね。

管理者も万が一に備えて迂回ルートは残しておくべきという点については賛成です。管理者の場合はそれこそ苫小牧~岩見沢間と釧網本線です。これを残せば孤立状態はおそらく回避できると思われ、千歳線がダメになった際の輸送物資を担う貨物の迂回ルートもある程度確保できるからです。

根室本線の場合、これまでの江差線、留萌本線、夕張支線とは異なり、本線が含まれていますが、晩年はいわゆる盲腸線です。根室本線はそれには該当しません。ここが今までとは違いますよね。

ただ、沿線にしても動きがほとんどなく、残すことを希望としているのかも不明です。元々車やバス移動が多いルートですから、動きが見られないという点では、もう諦めている、あるいはあまり必要としていないのが実情かもしれません。

復旧費用は10億強ですが、復旧した場合、おそらくJR側から上下分離等が求められるはずです。少なくとも年間の維持費用は今後負担していくことになりますから、それがどの程度見込むのかにもよります。毎年数億円規模を拠出するのであれば、利用実態をみると不釣り合いなんですよね。

根室本線がメインルートならまだしも、帯広方面の輸送が石勝線にシフトしている以上、根室本線の問題についてはあまり感心はありませんよね。赤の他人のような対応をされそうな気がします。

直通列車が設定されていたとはいえ、決して利用は多くなかったので、別になくてもイイといった雰囲気が伝わってきますよ。

10032: by 管理人 on 2021/01/07 at 22:49:03

>>「ハナ」さん、コメントありがとうございます。

過去に増毛町も同じようなことやっていましたよ。自分たちでバス利用を促進させて定期利用者に補助金を出していて、それでいざ路線廃止になった際にJRからお金を要求していたはずですよ。意味がわかりませんでした。

そういうセコイことをする自治体もあるのです。浦河なんて最後の最後まで反対していた自治体ですからね。

日本全国どこでも問題になってくる高齢化問題。いかにして高齢者の移動負担を減らすのかが将来的な課題です。管理者も戸口から戸口への移動と簡単に言いますが、できるのならもうやっています。そこまでには時間や人は物凄く使いますし、足りないのが現状です。なかなか難しいですね。

10067:結局・・・ by ピカチュウ親方 on 2021/01/13 at 04:04:06

何か、散々揉めて結局廃止。
無駄な時間稼ぎだった感じ。
これを教訓に、他の廃止予定線は、テンポ良くやって欲しいものだな。

10077: by 管理人 on 2021/01/13 at 23:07:07

>>「ピカチュウ親方」さん、コメントありがとうございます。

無駄な5年間を費やしました。年月がかかると、やはり道民の感心もなくなっていきますよ。

日高本線を教訓に今後は存廃問題をスムーズに進める必要がありそうです。

10080:日高本線はC11 207の古巣 by 龍 on 2021/01/14 at 01:38:07 (コメント編集)

現在はJR北海道から東武鉄道に貸し出され(車籍は旭川運転所のまま)、「SL大樹」として活躍するC11 207。1941年12月26日に日立製作所笠戸工場で落成した同機は、新製配置区こそ不明ですが、終戦直後から長らく静内機関区へ配置され、日高本線で運用されていました。

1972年12月8日に長万部機関区へ転属し、以降は主に瀬棚線の貨物列車を牽引。1974年6月30日に「瀬棚線SLさよなら列車」に使用され引退。同年10月1日付で廃車となりました。同機の最大の特徴は、他の同型機関車と異なり前照灯が2基ずつ搭載されていることですが、これは現役時代に活躍した線区では濃霧が多かったことから、十分な視界を確保するための措置でした。その見た目は独特で珍しく、「蟹目」とも呼ばれています。

廃車後は静内町(現在の新ひだか町)の山手公園内に静態保存されていましたが、2000年に苗穂工場で動態復元され、同年9月30日付で車籍復帰(旭川運転所に配置)を果たしました。

しかし、復活1年目は動輪の軸受が異常発熱を起こすなど故障が頻発し、満足に稼働できませんでした。修理と再調整を経て2年目以降は安定稼働するようになりましたが、やはり動輪の調子があまり芳しくなかったらしく、C11 171の予備という扱いでした。東武鉄道に貸し出される機関車に同機が選ばれたのは、C11 171と比較して不安定というのが主な理由だったようです。

10086: by 管理人 on 2021/01/15 at 22:48:46

>>「龍」さん、コメントありがとうございます。

貸し出し後も引き続き不具合に悩まされているようです。DL牽引というそれも珍しい運行形態となり、注目の的になっていますね。

ネット上でも、もともと北海道で活躍していた頃から不具合が発生しており、前歴を考えると疑問を呈する声もよくあります。

仮に貸し出しを終えて北海道に戻ってきた場合、JR北海道には維持できる余力はほぼありませんから、そのまま廃車にして再び静態保存かなぁ~と思っています。

そうであれば、可能な限り東武の方で長く活躍してもらいたいですね。

10190: by 龍 on 2021/02/17 at 21:49:36 (コメント編集)

北海道建設新聞によると、鵡川〜様似間の流失箇所については護岸工事を実施するようです。補修費は結局JRに払わせる方向だそうで。

10195: by 管理人 on 2021/02/17 at 22:43:40

>>「龍」さん、コメントありがとうございます。

流失箇所は放置しておいたら危ないですよね。そこからまた被害が拡大していきそうです。そのためにも護岸工事は必要ですよね。

JRのみ負担というのは納得がいきませんが、それでも日高本線を長期的に維持して赤字を計上し続けるよりも、さっさと手放して護岸工事を実施した方がお金がかからないという判断だと思います。

歴史的にも、何度も土砂が流失して補修を繰り返し実施してきた日高本線。ようやく莫大な復旧費用から解放される日が近づいていますね。

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