【2021年3月13日(土)ダイヤ改正レポートその1】道内で利用の少ない18駅を廃止へ
駅 - 2021年02月15日 (月)
滞在先のホテルで作成した記事です。今札幌へ帰路についている最中です。タブレットからの更新のため、コメント返信については明日以降にしたいと思います。
ダイヤ改正まで1カ月を切りました。少しづつダイヤ改正内容について触れていきたいと思います。
今年3月のダイヤ改正では、特急のダイヤ変更などは小規模ながら、ローカル線区にH100形が投入され、大幅なスピードアップが図られるなど、従来とは違う内容で盛りだくさんです。大幅なスピードアップの裏では、利用の少ない18駅を廃止するため、この影響も少なからずあります。
ダイヤ改正で廃止される駅は以下のとおりです。
【函館本線】
伊納駅(旭川市)
【宗谷本線】
南比布駅、・北比布駅(比布町)、東六線駅・北剣淵駅(剣淵町)、下士別駅(士別市)、北星駅(名寄市)、南美深駅・紋穂内駅・豊清水駅(美深町)、安牛駅・上幌延駅(幌延町)、徳満駅(豊富町)
【石北本線】
北日ノ出駅(旭川市)、将軍山駅(当麻町)、東雲駅(上川町)、生野駅(遠軽町)
【釧網本線】
南斜里駅(斜里町)
以上18駅があと1カ月弱で廃止になります。いずれも利用が少なく、大半が旧仮乗降場だった駅です。当初から正式に旅客駅として設置されたものは、宗谷本線の北星駅、紋穂内駅、安牛駅、上幌延駅、徳満駅と釧網本線の南斜里駅の6駅です。
旅客駅を一気に廃止することは、路線廃止に向けた強行策の一環と捉える人間も少なからずいます。でも実際は違います。
元々廃止されてもおかしくない利用実態でありながら、高速化にひた走ったJR北海道は、ローカル輸送の整理・改善を後回しにしてきました。結果的に、ほぼ利用実態がないにも関わらず、そうした駅が近年まで大量に残されていたのです。
上記に仮乗降場というキーワードが出ていますが、本州ではほとんど設置された事例がないはずです。ほぼほぼ北海道特有といっても過言ではないでしょう。
仮乗降場とは、国鉄における停車場の形態のひとつです。一般の旅客駅が国鉄本社の認可に基づいて設置されているのに対し、仮乗降場は地方の鉄道管理局の判断のみで設けることができました。
駅を設けるほどのない場所で、利用者の利便性を確保するために設置されたものです。駅を設けるのには多額の資金や、各種の許認可等煩雑な手続き等が必要なのに対し、仮乗降場は低資金で簡単に設置することができました。
そのほとんどが北海道で設置されており、その他の地域には数えるほどしか設置されていなかったようです。
なぜ北海道で仮乗降場の設置が進んだかというと、北海道の場合は人口密度が低く、本格的に鉄道駅を設置できる比較的大きな集落が少ないことから、駅間距離が比較的長く、利用者の居住地と駅の距離も遠くなりがちな状況にありました。そのため、通勤・通学や高齢者などの公共交通手段を必要とする利用者に対して改善が必要な状況にありました。
加えて、当時は道路などのインフラも発達しておらず、冬季に道路が遮断された場合における公共交通手段確保の点からも、鉄道によるアクセスの向上が求められていました。
このように、正式の駅を設置するほどの利用はありませんが、無視できない需要がある場所に道内では容易に設置できる仮乗降場設置が進んでいきました。北海道の場合、広大な農地に民家が点在しており、その点在する民家の方々の利便を確保するために設置されたのです。
仮乗降場の設置基準は、北海道内の各鉄道管理局によりばらつきがありました。特に、旭川鉄道管理局(現在のJR北海道旭川支社に相当)が設けた仮乗降場の数は、他の道内の各管理局管轄の路線と比べて圧倒的に多いです。これは上述のとおり、人口密度が低く、広大な農地を設けている道北地域では、集落が点在していたことが大きな理由だと思われます。そうした地域の利便を確保するために設置されたのです。
国鉄時代の時点で、利用は決して多くはないが、無視できないレベルの利用があったために設置されました。それが、都市部への人口集中や離農によって人がいなくなると使われることはほとんどありません。そうした駅が北海道では今でも残っていたのです。
一部は国鉄時代に正式な旅客駅に昇格しました。そして、道内の仮乗降場の大きな転機が訪れるのが国鉄分割民営化です。道内に設置されていた仮乗降場のほとんどが建て替えられることなくそのまま旅客駅へ昇格しました。
なぜ元々の利用の少ない仮乗降場を正式な旅客駅へ昇格させたかというと、国鉄分割民営化によって国鉄本社の認可が不要になり、特段ルールが設けられておらず、容易に旅客駅への昇格が可能になったことが上げられます。おそらくほかにも仮乗降場が時刻表に記載されていなかったことや、運賃計算方法にあると推測します。
確かに、利用の少ない駅はダイヤ改正の度に過去から少しづつ廃止されてきました。ですが、その整理規模が小さく、本来であれば、利用実態を踏まえて早い段階から整理に着手すべきでした。
中には、国鉄分割民営化時点で駅へ昇格した中にその時点でほぼ利用実態がゼロのような駅もありましたから、根本的にその整理が後回し後回しにされ続けてきた結果、来月のダイヤ改正のように一気に廃止せざるを得なくなったのです。
国鉄分割民営化を境に、あるいは1990年代あたりから少しづつ廃止していけば、路線廃止に向けた強行策の一環と捉えることもなかったでしょう。来年以降も引き続き、利用実態の少ない駅については、廃止されていくでしょう。
そうした駅が廃止されることで良い点もあり、ダイヤ改正以降、宗谷本線では普通列車や快速列車の所要時間が大幅に短縮されます。駅を少なくしたことで従来停車していた場所もそのままスルーすることができ、所要時間の短縮につながっています。なので、大半の利用者はその恩恵を受けることになるでしょう。札幌~旭川間の特急列車との接続利便も図られ、特に旭川~名寄間は利便性が向上しそうです。
駅の廃止がアナウンスされれば、必ずといっていいほど、駅名標の盗難被害が発生します。廃止予定の駅の中でも既に被害に遭った駅もあり、既に被害届は提出されています。今年度は廃止される駅がたくさんあるので、残り1カ月弱、被害の拡大が懸念されます。

駅名標の盗難に遭った1つの南比布駅。安牛駅については、既に駅名標を撤去・保管を実施していることを閲覧者の方から教えていただきました。
訪問した際、駅名標がなかったら、すぐに報告した方がよさそうです。時間が経過するほど、捜索が難航します。例えば、今の時間帯のような真っ暗な中で盗んでいるかもしれないのです。残り1カ月弱、被害が拡大しないことを祈りましょう。
↓ブログランキングにご協力お願いします↓

にほんブログ村

人気ブログランキング
ダイヤ改正まで1カ月を切りました。少しづつダイヤ改正内容について触れていきたいと思います。
今年3月のダイヤ改正では、特急のダイヤ変更などは小規模ながら、ローカル線区にH100形が投入され、大幅なスピードアップが図られるなど、従来とは違う内容で盛りだくさんです。大幅なスピードアップの裏では、利用の少ない18駅を廃止するため、この影響も少なからずあります。
ダイヤ改正で廃止される駅は以下のとおりです。
【函館本線】
伊納駅(旭川市)
【宗谷本線】
南比布駅、・北比布駅(比布町)、東六線駅・北剣淵駅(剣淵町)、下士別駅(士別市)、北星駅(名寄市)、南美深駅・紋穂内駅・豊清水駅(美深町)、安牛駅・上幌延駅(幌延町)、徳満駅(豊富町)
【石北本線】
北日ノ出駅(旭川市)、将軍山駅(当麻町)、東雲駅(上川町)、生野駅(遠軽町)
【釧網本線】
南斜里駅(斜里町)
以上18駅があと1カ月弱で廃止になります。いずれも利用が少なく、大半が旧仮乗降場だった駅です。当初から正式に旅客駅として設置されたものは、宗谷本線の北星駅、紋穂内駅、安牛駅、上幌延駅、徳満駅と釧網本線の南斜里駅の6駅です。
旅客駅を一気に廃止することは、路線廃止に向けた強行策の一環と捉える人間も少なからずいます。でも実際は違います。
元々廃止されてもおかしくない利用実態でありながら、高速化にひた走ったJR北海道は、ローカル輸送の整理・改善を後回しにしてきました。結果的に、ほぼ利用実態がないにも関わらず、そうした駅が近年まで大量に残されていたのです。
上記に仮乗降場というキーワードが出ていますが、本州ではほとんど設置された事例がないはずです。ほぼほぼ北海道特有といっても過言ではないでしょう。
仮乗降場とは、国鉄における停車場の形態のひとつです。一般の旅客駅が国鉄本社の認可に基づいて設置されているのに対し、仮乗降場は地方の鉄道管理局の判断のみで設けることができました。
駅を設けるほどのない場所で、利用者の利便性を確保するために設置されたものです。駅を設けるのには多額の資金や、各種の許認可等煩雑な手続き等が必要なのに対し、仮乗降場は低資金で簡単に設置することができました。
そのほとんどが北海道で設置されており、その他の地域には数えるほどしか設置されていなかったようです。
なぜ北海道で仮乗降場の設置が進んだかというと、北海道の場合は人口密度が低く、本格的に鉄道駅を設置できる比較的大きな集落が少ないことから、駅間距離が比較的長く、利用者の居住地と駅の距離も遠くなりがちな状況にありました。そのため、通勤・通学や高齢者などの公共交通手段を必要とする利用者に対して改善が必要な状況にありました。
加えて、当時は道路などのインフラも発達しておらず、冬季に道路が遮断された場合における公共交通手段確保の点からも、鉄道によるアクセスの向上が求められていました。
このように、正式の駅を設置するほどの利用はありませんが、無視できない需要がある場所に道内では容易に設置できる仮乗降場設置が進んでいきました。北海道の場合、広大な農地に民家が点在しており、その点在する民家の方々の利便を確保するために設置されたのです。
仮乗降場の設置基準は、北海道内の各鉄道管理局によりばらつきがありました。特に、旭川鉄道管理局(現在のJR北海道旭川支社に相当)が設けた仮乗降場の数は、他の道内の各管理局管轄の路線と比べて圧倒的に多いです。これは上述のとおり、人口密度が低く、広大な農地を設けている道北地域では、集落が点在していたことが大きな理由だと思われます。そうした地域の利便を確保するために設置されたのです。
国鉄時代の時点で、利用は決して多くはないが、無視できないレベルの利用があったために設置されました。それが、都市部への人口集中や離農によって人がいなくなると使われることはほとんどありません。そうした駅が北海道では今でも残っていたのです。
一部は国鉄時代に正式な旅客駅に昇格しました。そして、道内の仮乗降場の大きな転機が訪れるのが国鉄分割民営化です。道内に設置されていた仮乗降場のほとんどが建て替えられることなくそのまま旅客駅へ昇格しました。
なぜ元々の利用の少ない仮乗降場を正式な旅客駅へ昇格させたかというと、国鉄分割民営化によって国鉄本社の認可が不要になり、特段ルールが設けられておらず、容易に旅客駅への昇格が可能になったことが上げられます。おそらくほかにも仮乗降場が時刻表に記載されていなかったことや、運賃計算方法にあると推測します。
確かに、利用の少ない駅はダイヤ改正の度に過去から少しづつ廃止されてきました。ですが、その整理規模が小さく、本来であれば、利用実態を踏まえて早い段階から整理に着手すべきでした。
中には、国鉄分割民営化時点で駅へ昇格した中にその時点でほぼ利用実態がゼロのような駅もありましたから、根本的にその整理が後回し後回しにされ続けてきた結果、来月のダイヤ改正のように一気に廃止せざるを得なくなったのです。
国鉄分割民営化を境に、あるいは1990年代あたりから少しづつ廃止していけば、路線廃止に向けた強行策の一環と捉えることもなかったでしょう。来年以降も引き続き、利用実態の少ない駅については、廃止されていくでしょう。
そうした駅が廃止されることで良い点もあり、ダイヤ改正以降、宗谷本線では普通列車や快速列車の所要時間が大幅に短縮されます。駅を少なくしたことで従来停車していた場所もそのままスルーすることができ、所要時間の短縮につながっています。なので、大半の利用者はその恩恵を受けることになるでしょう。札幌~旭川間の特急列車との接続利便も図られ、特に旭川~名寄間は利便性が向上しそうです。
駅の廃止がアナウンスされれば、必ずといっていいほど、駅名標の盗難被害が発生します。廃止予定の駅の中でも既に被害に遭った駅もあり、既に被害届は提出されています。今年度は廃止される駅がたくさんあるので、残り1カ月弱、被害の拡大が懸念されます。

駅名標の盗難に遭った1つの南比布駅。安牛駅については、既に駅名標を撤去・保管を実施していることを閲覧者の方から教えていただきました。
訪問した際、駅名標がなかったら、すぐに報告した方がよさそうです。時間が経過するほど、捜索が難航します。例えば、今の時間帯のような真っ暗な中で盗んでいるかもしれないのです。残り1カ月弱、被害が拡大しないことを祈りましょう。
↓ブログランキングにご協力お願いします↓

にほんブログ村

人気ブログランキング

- 関連記事
-
-
【2021年3月13日(土)ダイヤ改正レポートその3】18駅が沿線自治体による維持管理移行へ 2021/02/22
-
【2021年3月13日(土)ダイヤ改正レポートその1】道内で利用の少ない18駅を廃止へ 2021/02/15
-
今春で廃止される宗谷本線・南比布駅(W33) 2021/01/23
-