【2021年3月13日(土)ダイヤ改正レポートその3】18駅が沿線自治体による維持管理移行へ
駅 - 2021年02月22日 (月)
今回は予約投稿記事です。
「ダイヤ改正レポートその1」で、利用の少ない駅18駅を取り上げましたが、そのほかに18駅を沿線自治体による維持管理へ移行します。
対象となる18駅は以下のとおりです。
【宗谷本線】
蘭留駅(比布町)、塩狩駅(和寒町)、日進駅・智北駅(名寄市)、恩根内駅(美深町)、天塩川温泉駅・咲来駅・筬島駅(音威子府村)、佐久駅・歌内駅(中川町)、問寒別駅・糠南駅・雄信内駅・南幌延駅・下沼駅(幌延町)、兜沼駅(豊富町)、抜海駅(稚内市)
【石北本線】
瀬戸瀬駅(遠軽町)
上記の18駅が対象になります。
驚くのは18駅中17駅が宗谷本線の駅なのです。
沿線自治体による維持管理移行の体制にする時点で、JR北海道としては、廃止となる18駅とともに戦力外通告を下したことと同じです。
宗谷本線は数え間違いがなければ、旭川駅を除くと51駅?52駅?あるはずですが、そのうち、29の駅で戦力外通告が出されたことになります。同線のおよそ6割の駅において、もはや旅客駅として存続していくにあたり、その限度を超えており、営業を続けていくことが難しいと判断したのです。
自治体管理の駅としてダイヤ改正以降も存続するものの、先行きが厳しいということは言うまでもありません。中には、除雪費用がかさんで小さなローカル駅ですら、年間の維持費用が数十万からときには数百万円程度になることもあり、これが自治体が維持管理となれば大きな負担となります。どの沿線自治体も財政がひっ迫している状況に変わりありませんから、今回のダイヤ改正で残ったものの、どの程度の利用があるのかを改めて把握したうえで廃止となる可能性も否定できません。
そして、実際に宗谷本線の駅でJR北海道が必要と判断した駅を以下に記載していくと、、、
旭川四条駅、新旭川駅、永山駅、北永山駅、比布駅、和寒駅、剣淵駅、士別駅、多寄駅、瑞穂駅、風連駅、東風連駅、名寄駅、智恵文駅、美深駅、音威子府駅、天塩中川駅、幌延駅、豊富駅、勇知駅、南稚内駅、稚内駅
本当に必要だと判断した駅はこれしかないのです。一部報道では、「廃止への下準備」と批判されていましたが、逆に今時期まで大した利用もなく残っていることが不思議なくらいでした。
残存する駅で異色なのが北永山駅と東風連駅だと思います。前者は仮乗降場から昇格した駅ですが、平日を中心に旭川農業高校生の利用が多く、学生利用を確保するために残ったといっても過言ではありません。後者については、来年度末に駅を稚内方に1.2km移設し、「名寄高校駅(仮称)」として移設・開業する予定です。
宗谷本線は路線距離およそ260kmを有し、距離でいうと、東京から名古屋までの直線距離に匹敵します。その中で、本当に必要な駅が22駅。びっくりですよね。
やはり、輸送量が大きく減少する名寄以北では、本当に必要とされている駅が極端に少なくなり、特急停車駅を除けば、智恵文駅、初野駅、勇知駅のみです。将来的にこれら本当に必要な駅以外廃止されてしまった場合、特急料金さえ払うのがばかばかしくなります。これら3駅も廃止されることになれば、名寄~稚内間で普通列車を設定する必要がなくなる可能性も否定できず、特急列車の自由席を乗車券のみで乗車できる時代がやってくるのかもしれません。
北海道は札幌圏などの道央エリア、函館・室蘭などの道南エリア、釧路・帯広方面の道東エリア、稚内・紋別・網走などの道北エリアに4つに分けられますが、このうち道北エリアは人口が極端に少なく、北海道の総人口の4%、5%しかないのです。4割、5割ではなく、4%、5%程度なのです。
その人口が広範囲にわたって点在していますから、国鉄時代に地方の鉄道管理局だけの判断で設けることができた仮乗降場の数が異常に多くなるわけです。これの整理をほとんどしなかったツケが現在に回ってきただけです。
今春のダイヤ改正は、特に宗谷本線の利用実態が公に知れ渡る重要なダイヤ改正になりそうです。2000年3月に名寄駅までの高速化事業が完成し、キハ261系0番台が「スーパー宗谷」としてデビュー。所要時間は5時間を切りました。圧倒的な速さを手に入れ、華やかに見えた宗谷本線も、実態は極限まで低かったローカル輸送を特急列車の高速化だけでカバーしようとする哀れなものでした。
この問題は北海道だけではありません。
先日、JR西日本がローカル線の維持困難を表明しました。具体的な路線名については避けましたが、コロナの影響で収益が減り、維持することができなくなったのです。
従来、大都市圏の輸送や新幹線というドル箱があったからこそ、そうした赤字路線が維持することができました。実態はわかっていても目をつぶっていたのです。しかし、コロナの影響でそのドル箱がドル箱として機能しなくなりました。それまでの赤字を補てんすることができなくなったのです。
これは、JR西日本に限らず、JR東日本やJR東海などにも当てはまります。北海道のみならず、利用が極端に少ない駅は本州でもたくさんあるはずです。コロナの影響で不採算の路線のみならず、旅客駅の見直しも北海道と同様に全国で進んでいきそうです。
鉄道は大量輸送をして威力を発揮する公共交通です。それが果たされていないのであれば、もはや役目を終えているのです。北海道のみならず、全国で改めて公共交通の在り方を見直し・検討していく必要がありそうです。
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「ダイヤ改正レポートその1」で、利用の少ない駅18駅を取り上げましたが、そのほかに18駅を沿線自治体による維持管理へ移行します。
対象となる18駅は以下のとおりです。
【宗谷本線】
蘭留駅(比布町)、塩狩駅(和寒町)、日進駅・智北駅(名寄市)、恩根内駅(美深町)、天塩川温泉駅・咲来駅・筬島駅(音威子府村)、佐久駅・歌内駅(中川町)、問寒別駅・糠南駅・雄信内駅・南幌延駅・下沼駅(幌延町)、兜沼駅(豊富町)、抜海駅(稚内市)
【石北本線】
瀬戸瀬駅(遠軽町)
上記の18駅が対象になります。
驚くのは18駅中17駅が宗谷本線の駅なのです。
沿線自治体による維持管理移行の体制にする時点で、JR北海道としては、廃止となる18駅とともに戦力外通告を下したことと同じです。
宗谷本線は数え間違いがなければ、旭川駅を除くと51駅?52駅?あるはずですが、そのうち、29の駅で戦力外通告が出されたことになります。同線のおよそ6割の駅において、もはや旅客駅として存続していくにあたり、その限度を超えており、営業を続けていくことが難しいと判断したのです。
自治体管理の駅としてダイヤ改正以降も存続するものの、先行きが厳しいということは言うまでもありません。中には、除雪費用がかさんで小さなローカル駅ですら、年間の維持費用が数十万からときには数百万円程度になることもあり、これが自治体が維持管理となれば大きな負担となります。どの沿線自治体も財政がひっ迫している状況に変わりありませんから、今回のダイヤ改正で残ったものの、どの程度の利用があるのかを改めて把握したうえで廃止となる可能性も否定できません。
そして、実際に宗谷本線の駅でJR北海道が必要と判断した駅を以下に記載していくと、、、
旭川四条駅、新旭川駅、永山駅、北永山駅、比布駅、和寒駅、剣淵駅、士別駅、多寄駅、瑞穂駅、風連駅、東風連駅、名寄駅、智恵文駅、美深駅、音威子府駅、天塩中川駅、幌延駅、豊富駅、勇知駅、南稚内駅、稚内駅
本当に必要だと判断した駅はこれしかないのです。一部報道では、「廃止への下準備」と批判されていましたが、逆に今時期まで大した利用もなく残っていることが不思議なくらいでした。
残存する駅で異色なのが北永山駅と東風連駅だと思います。前者は仮乗降場から昇格した駅ですが、平日を中心に旭川農業高校生の利用が多く、学生利用を確保するために残ったといっても過言ではありません。後者については、来年度末に駅を稚内方に1.2km移設し、「名寄高校駅(仮称)」として移設・開業する予定です。
宗谷本線は路線距離およそ260kmを有し、距離でいうと、東京から名古屋までの直線距離に匹敵します。その中で、本当に必要な駅が22駅。びっくりですよね。
やはり、輸送量が大きく減少する名寄以北では、本当に必要とされている駅が極端に少なくなり、特急停車駅を除けば、智恵文駅、初野駅、勇知駅のみです。将来的にこれら本当に必要な駅以外廃止されてしまった場合、特急料金さえ払うのがばかばかしくなります。これら3駅も廃止されることになれば、名寄~稚内間で普通列車を設定する必要がなくなる可能性も否定できず、特急列車の自由席を乗車券のみで乗車できる時代がやってくるのかもしれません。
北海道は札幌圏などの道央エリア、函館・室蘭などの道南エリア、釧路・帯広方面の道東エリア、稚内・紋別・網走などの道北エリアに4つに分けられますが、このうち道北エリアは人口が極端に少なく、北海道の総人口の4%、5%しかないのです。4割、5割ではなく、4%、5%程度なのです。
その人口が広範囲にわたって点在していますから、国鉄時代に地方の鉄道管理局だけの判断で設けることができた仮乗降場の数が異常に多くなるわけです。これの整理をほとんどしなかったツケが現在に回ってきただけです。
今春のダイヤ改正は、特に宗谷本線の利用実態が公に知れ渡る重要なダイヤ改正になりそうです。2000年3月に名寄駅までの高速化事業が完成し、キハ261系0番台が「スーパー宗谷」としてデビュー。所要時間は5時間を切りました。圧倒的な速さを手に入れ、華やかに見えた宗谷本線も、実態は極限まで低かったローカル輸送を特急列車の高速化だけでカバーしようとする哀れなものでした。
この問題は北海道だけではありません。
先日、JR西日本がローカル線の維持困難を表明しました。具体的な路線名については避けましたが、コロナの影響で収益が減り、維持することができなくなったのです。
従来、大都市圏の輸送や新幹線というドル箱があったからこそ、そうした赤字路線が維持することができました。実態はわかっていても目をつぶっていたのです。しかし、コロナの影響でそのドル箱がドル箱として機能しなくなりました。それまでの赤字を補てんすることができなくなったのです。
これは、JR西日本に限らず、JR東日本やJR東海などにも当てはまります。北海道のみならず、利用が極端に少ない駅は本州でもたくさんあるはずです。コロナの影響で不採算の路線のみならず、旅客駅の見直しも北海道と同様に全国で進んでいきそうです。
鉄道は大量輸送をして威力を発揮する公共交通です。それが果たされていないのであれば、もはや役目を終えているのです。北海道のみならず、全国で改めて公共交通の在り方を見直し・検討していく必要がありそうです。
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