fc2ブログ

プロフィール

管理人

Author:管理人
北海道の鉄道の内容を中心に自身の知識も含めながらブログの記事を日々更新しています。札幌市在住のため、主に札幌圏を走行する列車についての話題です。

<公式Facebook>


<公式Twitter>


<公式Instagram>

Amazon.co.jp(鉄道雑誌その他)

RSS

【2021年3月13日(土)ダイヤ改正レポートその3】18駅が沿線自治体による維持管理移行へ

今回は予約投稿記事です。

「ダイヤ改正レポートその1」で、利用の少ない駅18駅を取り上げましたが、そのほかに18駅を沿線自治体による維持管理へ移行します。

対象となる18駅は以下のとおりです。


【宗谷本線】

蘭留駅(比布町)、塩狩駅(和寒町)、日進駅・智北駅(名寄市)、恩根内駅(美深町)、天塩川温泉駅・咲来駅・筬島駅(音威子府村)、佐久駅・歌内駅(中川町)、問寒別駅・糠南駅・雄信内駅・南幌延駅・下沼駅(幌延町)、兜沼駅(豊富町)、抜海駅(稚内市)

【石北本線】

瀬戸瀬駅(遠軽町)


上記の18駅が対象になります。


驚くのは18駅中17駅が宗谷本線の駅なのです。

沿線自治体による維持管理移行の体制にする時点で、JR北海道としては、廃止となる18駅とともに戦力外通告を下したことと同じです。

宗谷本線は数え間違いがなければ、旭川駅を除くと51駅?52駅?あるはずですが、そのうち、29の駅で戦力外通告が出されたことになります。同線のおよそ6割の駅において、もはや旅客駅として存続していくにあたり、その限度を超えており、営業を続けていくことが難しいと判断したのです。

自治体管理の駅としてダイヤ改正以降も存続するものの、先行きが厳しいということは言うまでもありません。中には、除雪費用がかさんで小さなローカル駅ですら、年間の維持費用が数十万からときには数百万円程度になることもあり、これが自治体が維持管理となれば大きな負担となります。どの沿線自治体も財政がひっ迫している状況に変わりありませんから、今回のダイヤ改正で残ったものの、どの程度の利用があるのかを改めて把握したうえで廃止となる可能性も否定できません。

そして、実際に宗谷本線の駅でJR北海道が必要と判断した駅を以下に記載していくと、、、

旭川四条駅、新旭川駅、永山駅、北永山駅、比布駅、和寒駅、剣淵駅、士別駅、多寄駅、瑞穂駅、風連駅、東風連駅、名寄駅、智恵文駅、美深駅、音威子府駅、天塩中川駅、幌延駅、豊富駅、勇知駅、南稚内駅、稚内駅


本当に必要だと判断した駅はこれしかないのです。一部報道では、「廃止への下準備」と批判されていましたが、逆に今時期まで大した利用もなく残っていることが不思議なくらいでした。

残存する駅で異色なのが北永山駅と東風連駅だと思います。前者は仮乗降場から昇格した駅ですが、平日を中心に旭川農業高校生の利用が多く、学生利用を確保するために残ったといっても過言ではありません。後者については、来年度末に駅を稚内方に1.2km移設し、「名寄高校駅(仮称)」として移設・開業する予定です。

宗谷本線は路線距離およそ260kmを有し、距離でいうと、東京から名古屋までの直線距離に匹敵します。その中で、本当に必要な駅が22駅。びっくりですよね。

やはり、輸送量が大きく減少する名寄以北では、本当に必要とされている駅が極端に少なくなり、特急停車駅を除けば、智恵文駅、初野駅、勇知駅のみです。将来的にこれら本当に必要な駅以外廃止されてしまった場合、特急料金さえ払うのがばかばかしくなります。これら3駅も廃止されることになれば、名寄~稚内間で普通列車を設定する必要がなくなる可能性も否定できず、特急列車の自由席を乗車券のみで乗車できる時代がやってくるのかもしれません。

北海道は札幌圏などの道央エリア、函館・室蘭などの道南エリア、釧路・帯広方面の道東エリア、稚内・紋別・網走などの道北エリアに4つに分けられますが、このうち道北エリアは人口が極端に少なく、北海道の総人口の4%、5%しかないのです。4割、5割ではなく、4%、5%程度なのです。

その人口が広範囲にわたって点在していますから、国鉄時代に地方の鉄道管理局だけの判断で設けることができた仮乗降場の数が異常に多くなるわけです。これの整理をほとんどしなかったツケが現在に回ってきただけです。

今春のダイヤ改正は、特に宗谷本線の利用実態が公に知れ渡る重要なダイヤ改正になりそうです。2000年3月に名寄駅までの高速化事業が完成し、キハ261系0番台が「スーパー宗谷」としてデビュー。所要時間は5時間を切りました。圧倒的な速さを手に入れ、華やかに見えた宗谷本線も、実態は極限まで低かったローカル輸送を特急列車の高速化だけでカバーしようとする哀れなものでした。


この問題は北海道だけではありません。

先日、JR西日本がローカル線の維持困難を表明しました。具体的な路線名については避けましたが、コロナの影響で収益が減り、維持することができなくなったのです。

従来、大都市圏の輸送や新幹線というドル箱があったからこそ、そうした赤字路線が維持することができました。実態はわかっていても目をつぶっていたのです。しかし、コロナの影響でそのドル箱がドル箱として機能しなくなりました。それまでの赤字を補てんすることができなくなったのです。

これは、JR西日本に限らず、JR東日本やJR東海などにも当てはまります。北海道のみならず、利用が極端に少ない駅は本州でもたくさんあるはずです。コロナの影響で不採算の路線のみならず、旅客駅の見直しも北海道と同様に全国で進んでいきそうです。

鉄道は大量輸送をして威力を発揮する公共交通です。それが果たされていないのであれば、もはや役目を終えているのです。北海道のみならず、全国で改めて公共交通の在り方を見直し・検討していく必要がありそうです。










↓ブログランキングにご協力お願いします↓


にほんブログ村


人気ブログランキング

鉄道コム
関連記事
トラックバック
トラックバック送信先 :
コメント
10218: by カラムーチョ on 2021/02/23 at 11:44:57

コメントが少ないけどマニア達は嫌な現実を見たくないのか?
この件は稚内市が悪い!小樽の観光街のように全部、歴史的な建物風に変えてガス灯に変えれば借金返せるくらいの人がやってくるでしょうに。アメリカのアラスカみたいに外で洗濯物禁止にするとか。

近くに利尻礼文島があるのに連携してる感じもあまりない。

潰れる町というのは他の町と同じことをすることです。道の駅つくる。稚内弁当稚内クッキー作る。ゆるキャラわっかないちゃん登場。

電柱がない。子育て完全無料。家庭菜園農場プレゼント。スウエーデンヒルズのような感じ。税収はノマドワークの町、町が不動産業とかね。だったら行ってみたいし興味わくかも。

現実は商売と同じで賭けになるでしょう。
人生かけ事が必要なときあります。言いたい放題。

前記事よんでE257系さざなみが好きとおっしゃてましたが、エクステリアは素晴らしいですが、中は意外と無機質です。駄作のサフィールと高級感が割とない四季島よりましかとも思います。

昔と今のトワイライトと近鉄特急、383系しなのは意外と高級感あふれてます。今のトワイライトは更に気軽に乗れなくなった感があります。

10221: by 管理人 on 2021/02/24 at 01:06:54

>>「カラムーチョ」さん、コメントありがとうございます。

今回のような記事内容に向き合う人は少ないですよ。特に不採算路線を維持できないと表明した当初は、大半以上が路線の廃止などに反対でした。何も考えていないんだなぁーって感じです。

宗谷地方も魅力を探せばたくさんあるはずなんですよ。それに消極的なんですよね。代表例が離島観光です。サハリン航路も今はないです。

そうしたものがなくなれば、人も去っていきます。航路などをなくしてもかまいませんが、鉄路を残していくためには利用者、つまり人を増やさないとダメですよね。仰るとおり、魅力あるまちに生まれ変わればその効果が数十年後には出てくるはずです。

いまだに全国的に観光で人を集客する方法には呆れます。いまだに鉄道も観光需要に頼っていますしね。それではいずれダメになります。

美瑛なんかは素晴らしいまちだと思いましたよ。

E257系は踊り子と答えたと思います。東日本の列車はここ近年は比較的カッコいい車両ばかり登場していますが、案外評価が低いんですよね。管理者も実際に目で見てみないとダメですね。

昔の列車の方が高級感あふれていて好きです。古いですが、ひだや南紀はいまだに高級感を感じる内外装ですよね。

10241: by 龍 on 2021/02/27 at 18:53:04 (コメント編集)

抜海駅については、宗谷本線活性化推進協議会が廃止を容認しており、2020年3月28日の時点で「2021年3月のダイヤ改正で廃止の予定」と報道もされていました。ところが、実際には6月3日になっても稚内市と周辺住民の協議は決着しておらず、7月28日に稚内市が地元住民に対して実施した説明会で「廃止になっても駅舎は残る見通しである」「スクールバスや乗り合いタクシーで代替できる」と市側が説得を試みましたが、住民側は「スクールバスは買い物などとの時間が合わず現実的ではない」「相乗りも予約が必要なので不便」と主張し全く譲らず。さらに、8月12日に行われた町内会と稚内市との意見交換会でも、稚内市が抜海駅の利用状況や代替交通手段などを示しましたが、町内会側は「宗谷線が存続する限り廃止には賛成できない」と断固拒否して結局話はまとまりませんでした。

稚内市の市長は「廃止でも構わない」と考えているようで、9月24日に開かれた定例市議会では「(地元住民との)合意がなければ何も決められないということはない」「どの道を選択するかは私に与えられた使命」と話しています。

10248: by 管理人 on 2021/02/28 at 22:58:05

>>「龍」さん、コメントありがとうございます。

北海道は乗らないのに、「残せ」と言いますよね。しかも「残せ」と言っている人間は乗らないのです。

乗るのはあくまで駅を利用する人です。しかもそれもほんの僅かな人間です。正義のつもりですが、単なる迷惑なんですよね。そこは他人任せなのです。

市長がいらないと言えばいらないんですよ。単なる町内会のわがままです。

11543:自治体管理駅のうち、抜海駅も脱落 by 龍 on 2022/06/13 at 23:45:41 (コメント編集)

抜海駅は2021年4月から自治体による維持管理駅に移行し、稚内市が除雪費を中心に年間約100万円を負担して維持してきました。しかし、稚内市は2022年6月7日に「地元の利用者が少なく、地域の公共交通としての役割は小さい」として、市費による駅の維持管理を2022年度限りで打ち切る(=2023年3月で駅を廃止する)ことを地元の抜海町内会・クトネベツ町内会に通告しました。

JR北海道は既に抜海駅を廃止する方針で、存廃を稚内市に委ねています。JR北海道は2023年度の対応を2022年6月末までに回答するように稚内市に求めていて、稚内市は地元住民の声や、市内の公共交通のあり方を探る「市地域公共交通活性化協議会」の意見を踏まえ、最終決定する考えです。

当の住民側はこの期に及んで「突然の提案に驚いた」と困惑の声を上げているようですが、1日の乗車人員が1.8人(2015年〜2019年の平均)しかいないというのに何を今更、という話です。「自治体管理駅に移行して市が維持するから当面は安心」と思っていたのなら、それは大きな間違いです。そもそも、自治体管理駅に移行する直前(2020年12月7日)の時点で、稚内市長は「そう遠くないうちに抜海駅の存廃を判断する」「駅を残したいがゆえに無理をして何かをするということでは長続きしない」「お互いに可能な限りの時間をこの問題に費やしたい」と話していました。自治体管理駅への移行が正式に発表された時も「地元住民との協議の継続が必要で、当面維持管理費を負担せざるを得ない」と話しており、実際に移行した時点で既に翌年度以降の維持費を負担する予定がなく、「2021年度の地元の駅存続への取り組みを評価した上で判断する」と断言しています。それでも地元集落の人達は何をするわけでもなく1年間放置していたんですから、こうなるのは当然です。

地元の人が乗らない。観光客の需要なんてたかが知れている(というより駅を訪れる数少ない人のほとんどが車か格安切符で来るマニア)。代替交通で替えがきく(バスどころかタクシーですら過剰なくらい)。だから要らない。単純なことです。

11548: by 管理人 on 2022/06/15 at 23:31:10

>>龍さん、再度コメントありがとうございます。

以前上記のコメントで教えていただいたとおり、町内会のわがままで無理やり残っていたような駅です。ツイッターなどで写真を見る限り、少なからず利用者はいるようですが、大量輸送が使命の鉄道にとって、数人規模の利用は代替交通への検討を実施すべきです。

年間維持費が100万円で、利用者が300人程度と聞きました。この中に大量の鉄道ファンを含む旅行者が大勢いると推測すれば、地元民の利用がいかに少ないかがわかります。

自治体管理に移行した時点で、JR北海道としては不要と判断されている駅であり、それを折り合いがつかない駅については、自治体が残しているだけです。ですから仰るとおり、残したからといって安泰ではないんですよね。

宗谷本線はこうした管理駅を除けば、必要な駅はほぼ特急が停車する主要駅だけになるとは驚きです。

▼このエントリーにコメントを残す