【コラム】いまだに不可解な点が多いキハ283系~あらゆるノウハウが新形式に採用されなかった理由とは?
コラム - 2021年06月27日 (日)
今回はキハ283系について。
今でもカッコいい特急気動車ですよね!!



ですが・・・






昨年には、大量の廃車が発生してしまいました。先に登場したキハ281系よりも速いペースで引退へと向かっています。最新の情報では、29両が釧路運輸車両所(釧クシ)に所属しています。
ただし、同所ではキハ261系1000番台の配置も始まりました。残る29両についても、活躍はそう遠くないと思われます。
キハ283系は、減速・減便措置が実施されるまでは、北海道の主力特急気動車でした。当初は急カーブが連続する釧路方面用により強化した耐寒・耐雪構造、リンク式自己操舵台車を装備するなど、従来のキハ281系を上回る性能を手に入れました。
その後増備が進み、「スーパー北斗」や「スーパーとかち」にも投入されていくことになります。昨今では両数も減り、勢力を拡大しているキハ261系1000番台にその任を譲りつつありますが、高速化一本で貫いていた時代は、キハ283系の勢力は凄まじいものがありました。
一方、コスト低減や振り子式車両に代わる車体傾斜装置の投入などの影響もあり、振り子式車両が新たにデビューすることが少なくなりましたが、それでも、キハ283系のノウハウを量産車に取り入れた車両というのが、それ以降登場していないというのは不思議な話です。
まず、過去にキハ283系はレーシングカーに似た車両構造を持っていると記事に掲載しました。それは、重心を下げることにあります。カーブを高速で走る振り子式車両にとっては必要なことですよね。
重心を下げる理由は、急曲線時の乗り心地を維持するためです。一定の速度向上を図りながら、乗り心地も維持するといった方がいいかもしれません。
列車がカーブに進入する際、車両の重心を起点にして外側に遠心力が発生しています。遠心力は重量が重い車や車両ほど大きくなります。そのために、車体を軽量化し、それを打ち消すために車体を最大6°まで傾斜させて高速でカーブに進入しながらも、一定の乗り心地を維持しています。
例えば、普通自動車で100km/hでカーブに進入した場合と、高速バスで100km/hでカーブに進入した場合、乗り心地や安定性の差は一目瞭然です。
また、車両の重心を起点にして外側に遠心力が発生するということは、軽量化だけしても重心が高ければ意味がありません。それも遠心力が多く働いてしまう理由になります。
そこでキハ283系では・・・

本来屋根上に設置される機器も全て床下に搭載されているのです。既に廃車・解体されたキハ285系試作車も屋根には一切機器がありませんでした。これが1つ目のノウハウです。
車両上部を軽量化することで重心は下がります。自動車の分野においては、ボンネットやルーフ、トランク素材をアルミやカーボンに変えて軽量化することで低重心化を図っているスポーツタイプの自動車も存在します。軽量且つ重心が低ければカーブを通過する際も遠心力が少なくなり、高速走行且つ乗り心地に貢献できるというわけです。これは自動車でも同じです。
屋根上に機器を搭載しない方法は、別に車体傾斜装置を搭載した車両でもいいわけです。ですが、キハ285系試作車を除いてその後、量産された鉄道車両において、そのノウハウ用いて製造された車両というのはないはずです。一番の理由は製造コストが高くなるというのが理由でしょう。
キハ283系の製造費用を調べてみると、1両あたり2.2億円でした。現在となればキハ261系1000番台の方が高額ですが、当時の気動車の製造費用としては高額なはずです。現在新車で製造するとしたら、3億円などでは済まないかもしれません。そのあたりも採用されない理由かもしれませんね。
あと、管理者として気になる点があります。
確かに、高い位置から重量物を取り払ったり、下げたりすることで重心は下がります。床下に重い機器を配置しているという点においても、低重心化に大きく貢献しているでしょう。そうしてカーブを高速で通過することができると思われがちな反面、重量物を下方に集中配置すれば、運動性能が落ちるはずなんです。
我々人間で例えると、体重を1kgや2kg増やしても、短距離走や長距離走などといった項目で大きくタイムは変化しないはずです。しかし、足に1kgや2kgのおもりを装着した場合はどうでしょうか?体に大きく負担がかかりますよね。
自動車の領域においても、足回りの軽量化はスポーツカーやスーパーカーにとっては必須項目の時代です。昨今は安全性の強化、車体剛性の向上などを理由に、スポーツカーやスーパーカーでも車両の重量が決して軽いとは言い切れません。そこで、ブレーキをカーボン製にしたり、ホイールやサスペンションをアルミ化して軽量化を図る手法が当たり前の時代になりつつあります。足回りを軽量化することで、たった数kgでも車体の軽量化の何倍もの効果が得られるようなことも耳にしますね。
これに加えて、頭の良い電子制御を使って強制的に向きを変えたりしてその重さをカバーしているのです。
確かに、キハ283系はレーシングカーのようなノウハウで製造されてはいますが、下回りについては、ただただ重量物を下に持ってきただけで、重心を下げる以外何ら工夫はされていないんですよね。レーシングカーも重量物を下に持ってくるとはいえ、極端に重いモノなんて最初から搭載するわけがありませんから、同じノウハウでも条件が全然違います。
しかも、鉄道車両は大きな改造を経ることもなく、何十年にもわたって全力で走り続ける。
これもレーシングカーとは違いますよね。こちらはある短い時間内で全力を出せばいいわけですが、鉄道車両はオールシーズン全開です。幾度となく耐久レースをやっているようなものですよね。このあたりも、この構造が長年にわたって使用され続けるとどう影響するのか管理者も調べていますが、未知数な点が多いんですよね。
2つ目のノウハウは、車体傾斜角度が大きいことです。
これまで量産化した振り子式車両では、車体の傾斜角度が最大5°です。それよりも1°多い6°としているのは、量産車としてはキハ283系だけで、キハ283系登場以降の車両については、5°までになっています。
たかが1°の違いですが、ではその後の新形式で採用されなかった理由は一体何でしょうか?このあたりも非常に不思議な点ですよね。特に四国なんかは急曲線が多いですから、2700系で傾斜角度を6°としても問題はなかったはずです。
後継となるはずだったキハ285系。その試作車がキハ283系の振り子角度6°に、キハ261系の車体傾斜装置2°を合わせて最大8°の車体傾斜を実現する計画でした。場所によって札幌~函館間のカーブで140km/hで走行可能なように開発されていたようですから、それはそれで凄いですよね。
しかし、量産化されるには至らず、後継車はキハ261系となり、車体傾斜装置の使用も取り止められました。この話は幻に終わったわけですが、実際に量産化されて実現していた場合、今頃どのような結末になっていたのでしょうか?
車体の傾斜角度が増えることによる台車や車体への負荷が大きくなるのか?
メンテナンスが過大になるのか?
さまざまな問題が浮上してきます。
このあたりもあまり解明されておらず、キハ283系以降もキハ187系やキハ261系、2600系、2700系といった高性能特急気動車が誕生しましたが、機関の出力を向上や変速段を2段にしたり、そういった進歩に留まっています。
一方、新しい特急気動車が登場する度に自重というのは増え続けています。キハ189系や2700系などは車両によって自重が50t弱有する車両もあります。逆になぜそこまで自重が増えてしまったのか?
その1つが、運転士保護のための先頭部の衝突対策でしょう。ほかにも公表されていませんが、車体の補強などで自重が増えている可能性があります。
よくキハ283系で走行中に不快な揺れが発生しますが、理由は車体の強度が不足している可能性が高いからです。最高運転速度を110km/hまで落としている理由としては、高速走行時において振動が他の車両よりも多く発生してしまうからです。利用者に対しては、さらに乗り心地も考慮しなければなりません。その振動が発生する許容範囲のレベルが最高運転速度110km/hになります。
車体剛性が不足している理由としては、車体が軽量であることが上げられます。車体という高い位置の部位の重量を削ることも重心を下げるのに一役買います。軽量化がされている根拠は、部品数が多い特殊なリンク式自己操舵台車を履いているにも関わらず、先に登場したキハ281系と自重が大きく違わないんですね。
変速機も性能を上げ、耐寒・耐雪構造も強化しています。重量が増える要因がいくつもあるにも関わらず、自重が大きく変わりません。ということは、重心を下げる目的も含め、車体の方で軽量化している可能性が高いわけです。
そのために、それ以降の車両というのは補強を重点的に行い、自重が増加しているのかもしれません。2700系などが数十年使用して2000系やキハ283系のように同じような症状が出るのかは、これから長期間にわたって使用してみないとわかりませんよね。この結果でキハ283系の車体についてある程度判断できると思います。
今回は2点ほど取り上げさせていただきました。いずれも問題点があり、その後の車両で採用が難しかったか、コストの兼ね合いから現実的ではなかったの2択に絞られてくると思います。キハ283系のノウハウを投入すれば、2700系なんかはもっともっと凄い特急気動車になっていたでしょう。その代わり、1両あたりの製造費用は5億とか6億になっていたかもしれません。
そんな素晴らしいノウハウがあるにも関わらず、課題を解決してその後の鉄道車両に生かされないというのはとても残念であり、もっともっと素晴らしい性能を秘めた鉄道車両が生まれていたのかもしれませんね。
以前、コメントで閲覧者の方とやりとりしていて、昔から特に気動車というのは技術開発が遅れていたことを教えていただきました。北海道でもその影響を受けている点があり、北海道の鉄道において大きく貢献したキハ183系も、先に登場したキハ181系の大出力機関搭載によるオーバーヒートの懸念から、キハ40形気動車と同型のエンジンを初期車では搭載していました。技術の進歩が追いつかず、保守的に動いていた時期もあったんですよね。
現代ではコストやメンテナンスも考慮される時代です。メンテナンスコストが過大な振り子式車両は敬遠されがちですが、四国のように車体傾斜装置だけでは性能上問題があるため、従来の振り子式車両を引き続き製造するに至ることもあります。機関出力や車内の快適性はもちろん向上していますが、30年前と技術力は大差なく、昨今では特に鉄道においては、技術力がある程度向上し切ってしまい、停滞気味であることは言うまでもありません。
ディーゼルエレクトリック方式やハイブリッド方式なども登場していますが、特急列車用としてはまだまだ開発や性能確認が続いており、特急用として高速化に大きく貢献できるのか、車体傾斜関連装置と合わせて使用できるものなのかどうかも未知数です。
このあたりは徐々に改善されていくと思いますが、避けては通れない道です。キハ261系の後継車もおそらくそうした方式による新時代の鉄道車両になるでしょう。
北海道ではさらに極寒地における使用も条件として加えられるため、より技術の進歩を難しくします。現在は余裕がなく、既存の車両の置き換えに留まるJR北海道ですが、いずれ再びキハ285系試作車のような最先端のドキドキワクワクするような車両が登場することを期待しています。
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今でもカッコいい特急気動車ですよね!!



ですが・・・






昨年には、大量の廃車が発生してしまいました。先に登場したキハ281系よりも速いペースで引退へと向かっています。最新の情報では、29両が釧路運輸車両所(釧クシ)に所属しています。
ただし、同所ではキハ261系1000番台の配置も始まりました。残る29両についても、活躍はそう遠くないと思われます。
キハ283系は、減速・減便措置が実施されるまでは、北海道の主力特急気動車でした。当初は急カーブが連続する釧路方面用により強化した耐寒・耐雪構造、リンク式自己操舵台車を装備するなど、従来のキハ281系を上回る性能を手に入れました。
その後増備が進み、「スーパー北斗」や「スーパーとかち」にも投入されていくことになります。昨今では両数も減り、勢力を拡大しているキハ261系1000番台にその任を譲りつつありますが、高速化一本で貫いていた時代は、キハ283系の勢力は凄まじいものがありました。
一方、コスト低減や振り子式車両に代わる車体傾斜装置の投入などの影響もあり、振り子式車両が新たにデビューすることが少なくなりましたが、それでも、キハ283系のノウハウを量産車に取り入れた車両というのが、それ以降登場していないというのは不思議な話です。
まず、過去にキハ283系はレーシングカーに似た車両構造を持っていると記事に掲載しました。それは、重心を下げることにあります。カーブを高速で走る振り子式車両にとっては必要なことですよね。
重心を下げる理由は、急曲線時の乗り心地を維持するためです。一定の速度向上を図りながら、乗り心地も維持するといった方がいいかもしれません。
列車がカーブに進入する際、車両の重心を起点にして外側に遠心力が発生しています。遠心力は重量が重い車や車両ほど大きくなります。そのために、車体を軽量化し、それを打ち消すために車体を最大6°まで傾斜させて高速でカーブに進入しながらも、一定の乗り心地を維持しています。
例えば、普通自動車で100km/hでカーブに進入した場合と、高速バスで100km/hでカーブに進入した場合、乗り心地や安定性の差は一目瞭然です。
また、車両の重心を起点にして外側に遠心力が発生するということは、軽量化だけしても重心が高ければ意味がありません。それも遠心力が多く働いてしまう理由になります。
そこでキハ283系では・・・

本来屋根上に設置される機器も全て床下に搭載されているのです。既に廃車・解体されたキハ285系試作車も屋根には一切機器がありませんでした。これが1つ目のノウハウです。
車両上部を軽量化することで重心は下がります。自動車の分野においては、ボンネットやルーフ、トランク素材をアルミやカーボンに変えて軽量化することで低重心化を図っているスポーツタイプの自動車も存在します。軽量且つ重心が低ければカーブを通過する際も遠心力が少なくなり、高速走行且つ乗り心地に貢献できるというわけです。これは自動車でも同じです。
屋根上に機器を搭載しない方法は、別に車体傾斜装置を搭載した車両でもいいわけです。ですが、キハ285系試作車を除いてその後、量産された鉄道車両において、そのノウハウ用いて製造された車両というのはないはずです。一番の理由は製造コストが高くなるというのが理由でしょう。
キハ283系の製造費用を調べてみると、1両あたり2.2億円でした。現在となればキハ261系1000番台の方が高額ですが、当時の気動車の製造費用としては高額なはずです。現在新車で製造するとしたら、3億円などでは済まないかもしれません。そのあたりも採用されない理由かもしれませんね。
あと、管理者として気になる点があります。
確かに、高い位置から重量物を取り払ったり、下げたりすることで重心は下がります。床下に重い機器を配置しているという点においても、低重心化に大きく貢献しているでしょう。そうしてカーブを高速で通過することができると思われがちな反面、重量物を下方に集中配置すれば、運動性能が落ちるはずなんです。
我々人間で例えると、体重を1kgや2kg増やしても、短距離走や長距離走などといった項目で大きくタイムは変化しないはずです。しかし、足に1kgや2kgのおもりを装着した場合はどうでしょうか?体に大きく負担がかかりますよね。
自動車の領域においても、足回りの軽量化はスポーツカーやスーパーカーにとっては必須項目の時代です。昨今は安全性の強化、車体剛性の向上などを理由に、スポーツカーやスーパーカーでも車両の重量が決して軽いとは言い切れません。そこで、ブレーキをカーボン製にしたり、ホイールやサスペンションをアルミ化して軽量化を図る手法が当たり前の時代になりつつあります。足回りを軽量化することで、たった数kgでも車体の軽量化の何倍もの効果が得られるようなことも耳にしますね。
これに加えて、頭の良い電子制御を使って強制的に向きを変えたりしてその重さをカバーしているのです。
確かに、キハ283系はレーシングカーのようなノウハウで製造されてはいますが、下回りについては、ただただ重量物を下に持ってきただけで、重心を下げる以外何ら工夫はされていないんですよね。レーシングカーも重量物を下に持ってくるとはいえ、極端に重いモノなんて最初から搭載するわけがありませんから、同じノウハウでも条件が全然違います。
しかも、鉄道車両は大きな改造を経ることもなく、何十年にもわたって全力で走り続ける。
これもレーシングカーとは違いますよね。こちらはある短い時間内で全力を出せばいいわけですが、鉄道車両はオールシーズン全開です。幾度となく耐久レースをやっているようなものですよね。このあたりも、この構造が長年にわたって使用され続けるとどう影響するのか管理者も調べていますが、未知数な点が多いんですよね。
2つ目のノウハウは、車体傾斜角度が大きいことです。
これまで量産化した振り子式車両では、車体の傾斜角度が最大5°です。それよりも1°多い6°としているのは、量産車としてはキハ283系だけで、キハ283系登場以降の車両については、5°までになっています。
たかが1°の違いですが、ではその後の新形式で採用されなかった理由は一体何でしょうか?このあたりも非常に不思議な点ですよね。特に四国なんかは急曲線が多いですから、2700系で傾斜角度を6°としても問題はなかったはずです。
後継となるはずだったキハ285系。その試作車がキハ283系の振り子角度6°に、キハ261系の車体傾斜装置2°を合わせて最大8°の車体傾斜を実現する計画でした。場所によって札幌~函館間のカーブで140km/hで走行可能なように開発されていたようですから、それはそれで凄いですよね。
しかし、量産化されるには至らず、後継車はキハ261系となり、車体傾斜装置の使用も取り止められました。この話は幻に終わったわけですが、実際に量産化されて実現していた場合、今頃どのような結末になっていたのでしょうか?
車体の傾斜角度が増えることによる台車や車体への負荷が大きくなるのか?
メンテナンスが過大になるのか?
さまざまな問題が浮上してきます。
このあたりもあまり解明されておらず、キハ283系以降もキハ187系やキハ261系、2600系、2700系といった高性能特急気動車が誕生しましたが、機関の出力を向上や変速段を2段にしたり、そういった進歩に留まっています。
一方、新しい特急気動車が登場する度に自重というのは増え続けています。キハ189系や2700系などは車両によって自重が50t弱有する車両もあります。逆になぜそこまで自重が増えてしまったのか?
その1つが、運転士保護のための先頭部の衝突対策でしょう。ほかにも公表されていませんが、車体の補強などで自重が増えている可能性があります。
よくキハ283系で走行中に不快な揺れが発生しますが、理由は車体の強度が不足している可能性が高いからです。最高運転速度を110km/hまで落としている理由としては、高速走行時において振動が他の車両よりも多く発生してしまうからです。利用者に対しては、さらに乗り心地も考慮しなければなりません。その振動が発生する許容範囲のレベルが最高運転速度110km/hになります。
車体剛性が不足している理由としては、車体が軽量であることが上げられます。車体という高い位置の部位の重量を削ることも重心を下げるのに一役買います。軽量化がされている根拠は、部品数が多い特殊なリンク式自己操舵台車を履いているにも関わらず、先に登場したキハ281系と自重が大きく違わないんですね。
変速機も性能を上げ、耐寒・耐雪構造も強化しています。重量が増える要因がいくつもあるにも関わらず、自重が大きく変わりません。ということは、重心を下げる目的も含め、車体の方で軽量化している可能性が高いわけです。
そのために、それ以降の車両というのは補強を重点的に行い、自重が増加しているのかもしれません。2700系などが数十年使用して2000系やキハ283系のように同じような症状が出るのかは、これから長期間にわたって使用してみないとわかりませんよね。この結果でキハ283系の車体についてある程度判断できると思います。
今回は2点ほど取り上げさせていただきました。いずれも問題点があり、その後の車両で採用が難しかったか、コストの兼ね合いから現実的ではなかったの2択に絞られてくると思います。キハ283系のノウハウを投入すれば、2700系なんかはもっともっと凄い特急気動車になっていたでしょう。その代わり、1両あたりの製造費用は5億とか6億になっていたかもしれません。
そんな素晴らしいノウハウがあるにも関わらず、課題を解決してその後の鉄道車両に生かされないというのはとても残念であり、もっともっと素晴らしい性能を秘めた鉄道車両が生まれていたのかもしれませんね。
以前、コメントで閲覧者の方とやりとりしていて、昔から特に気動車というのは技術開発が遅れていたことを教えていただきました。北海道でもその影響を受けている点があり、北海道の鉄道において大きく貢献したキハ183系も、先に登場したキハ181系の大出力機関搭載によるオーバーヒートの懸念から、キハ40形気動車と同型のエンジンを初期車では搭載していました。技術の進歩が追いつかず、保守的に動いていた時期もあったんですよね。
現代ではコストやメンテナンスも考慮される時代です。メンテナンスコストが過大な振り子式車両は敬遠されがちですが、四国のように車体傾斜装置だけでは性能上問題があるため、従来の振り子式車両を引き続き製造するに至ることもあります。機関出力や車内の快適性はもちろん向上していますが、30年前と技術力は大差なく、昨今では特に鉄道においては、技術力がある程度向上し切ってしまい、停滞気味であることは言うまでもありません。
ディーゼルエレクトリック方式やハイブリッド方式なども登場していますが、特急列車用としてはまだまだ開発や性能確認が続いており、特急用として高速化に大きく貢献できるのか、車体傾斜関連装置と合わせて使用できるものなのかどうかも未知数です。
このあたりは徐々に改善されていくと思いますが、避けては通れない道です。キハ261系の後継車もおそらくそうした方式による新時代の鉄道車両になるでしょう。
北海道ではさらに極寒地における使用も条件として加えられるため、より技術の進歩を難しくします。現在は余裕がなく、既存の車両の置き換えに留まるJR北海道ですが、いずれ再びキハ285系試作車のような最先端のドキドキワクワクするような車両が登場することを期待しています。
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