存続か!?廃止か!?揺れる函館本線山線(小樽~長万部間)
北海道新幹線 - 2021年12月30日 (木)
北海道の鉄路でまた1つ存廃問題に立たされている路線があります。





それは、函館本線の小樽~長万部間。山線の名称で親しまれ、特急列車は現在室蘭本線回りで運行していますが、かつては札幌と函館を結ぶ主要ルートでした。
H100形置き換え前の写真、且つ倶知安駅ホーム移転工事前の写真を含めてしまい申し訳ありませんが、勾配があり、大自然の中に囲まれた路線のため、春夏秋冬車窓を楽しめ、尚且つ天気が良ければ鉄道写真も楽しめます。
やはり何といっても、羊蹄山の付近を走行するので、列車と一緒に撮影できた際は嬉しいものです。羊蹄山が全て見える快晴の日は1年でも限られてくると思いますが、その日にバッティングした際は嬉しいものですよ。


使用する車両は、H100形とキハ201系です。かつてはキハ40形気動車やキハ150形気動車も使用されていましたが、いずれもH100形に置き換えられています。キハ201系は朝・夕または夜の1日2往復の運転です。そのうちの1往復は札幌直通の快速「ニセコライナー」です。
存廃問題が浮上している理由は、2030年度末に予定されている北海道新幹線の札幌延伸。新函館北斗から札幌までのルートは、長万部までは現在のルートに並行し、そこから倶知安・小樽経由で札幌へ到達します。現在の主要ルートである室蘭本線からは大きく外れ、そのうち昨今存廃問題に上がっているのが、小樽~長万部間です。
北海道新幹線のルートをこのようにした理由は、最短の建設ルートであることと、20数年に一度噴火があるとされる有珠山を避けるためです。前回の噴火は2000年で、札幌~函館間の特急は、通常ルートでの運行ができなくなり、札幌側では「臨時特急」として東室蘭や本輪西までの運転となりました。そこで、かつての主要ルートであった函館本線の山線を使用して、臨時の「北斗」を迂回運転させて対応させました。
もし、現在の室蘭本線と並行して新幹線を建設すれば、苫小牧や室蘭といった規模の大きい都市を経由し、利用はる程度見込めるものの、札幌までの距離が長くなってしまうことで時間を要してしまうことや、有珠山が噴火した際に運休やそれに伴う施設への影響が懸念されます。
また、長万部駅から接続する特急を設定すれば、一部列車を除いて東室蘭駅まで1時間弱、苫小牧駅まで1時間半程度で結ぶことができ、新函館北斗~長万部間が新幹線で速達化されたことを考慮すれば、乗り換えが生じるようになったとしても大幅な時間短縮は見込め、利便性が向上することは言うまでもありません。
話題が逸れてしまいましたが、昨今小樽~長万部間について、存続するのか廃止になるのか大きく揺れており、道では今年度中に方針を決める方針で、沿線自治体は鉄道を存続するか、バス転換するか大きな決断を迫られています。
小樽~長万部間については、並行在来線になることで北海道新幹線が開業すれば、現在のJR北海道から経営分離されることが既に決まっています。実はJR北海道としても山線などを含めた将来的な並行在来線への扱いは特殊で、2016年度に路線・区間別
にJR北海道が単独で維持することが可能か否かが発表された際、小樽~長万部間については、単独で維持可能としました。長万部~函館間については、特急「北斗」や「はこだてライナー」が運行されていることもあって、単独で維持する方針というのはわかりますが、特急列車の設定もない、営業係数も悪い小樽~長万部間が単独で維持可能というのは異例の措置だったと思います。
おそらく、北海道新幹線が札幌まで延伸すれば、三セク化によって確実に手放せることから、沿線自治体との協議も最小限で済む等の理由もあり、こうした措置がとられたのだと思いますが、やはり経営分離されるとなると、主に沿線の自治体の体力だけでは維持が難しく、存廃問題が浮上してしまいます。
沿線自治体の現時点での反応は以下のとおりです。
・バス転換を容認:長万部町、倶知安町、共和町、仁木町
・鉄道維持希望:余市町
・保留:小樽市、黒松内町、蘭越町、ニセコ町
基本的には、JRから経営分離されると、第三セクターが運営する鉄道路線となり、出資は主に沿線自治体になります。現段階で第三セクター鉄道として存続した場合、北海道による単年度収支予測(2040年度)は、23億5000万円の赤字で、全区間バス転換した場合でも1億円の赤字、小樽~余市間のみを鉄道として残して第三セクター化した場合でも6億円の赤字としています。
札幌~小樽間については、新幹線開業後もJR北海道の路線のまま存続します。北海道新幹線は新小樽駅(仮称)を設置する計画で、在来線とは違う場所に新幹線の駅が設けられます。
自治体別の反応をみると、やはり新幹線の駅が設けられる長万部町と倶知安町はバス転換容認としています。長万部町については、町の広報誌にも利用の少ない一部の駅についても存続を希望するような記載は、記憶にある限りではありませんでした。町としても山線が存続しようが、室蘭本線や函館本線における町内の駅が存続しようとあまり重要視している雰囲気はなく、札幌や函館、または本州方面からの利用に舵を取りたい様子が伺えます。
倶知安町にも同様のことが言え、新幹線の駅を高架として建設し、町の東西の分断を避けて、駅前の再開発や国道へのアクセス改善などを実施したいのでしょう。
一方、まだまだ協議が必要だとして結論を保留としているのが、小樽市、黒松内町、蘭越町、ニセコ町です。小樽市には新小樽駅(仮称)が設置される計画ですが、函館本線山線のうち、塩谷駅と蘭島駅は小樽市内であり、小樽~余市間においては、2018年度の1日1キロあたりの利用者数(輸送密度)が2144人であり、この数字は帯広~釧路間や旭川~名寄間よりも高いです。これら区間は特急や後者については快速列車も運行しているにも関わらず、小樽~余市間の方が輸送密度が高いのです。
ここで仮にJR路線として存続するのであれば、小樽~余市間で存廃問題が浮上し、帯広~釧路間や旭川~名寄間ではそれがないと矛盾が生じてしまいますが、今回の場合は数字が良いにも関わらず経営分離してしまうという特殊な条件です。JR路線であれば、数字的にも存続しなければ示しがつきません。
黒松内町、蘭越町、ニセコ町は山線が廃止されると、比較的大きな打撃を受けると思います。利用者は決して多くはありませんが、早朝は蘭越から札幌へ向けて直通列車が設定されており、これら自治体はいずれも新幹線はスルーします。結論を保留とするのはやむを得ないでしょう。
そして、唯一鉄道路線の存続を希望しているのが余市町です。あくまで、全区間を残すという意味合いではなく、小樽~余市間の存続と思われますが、上記のとおり、通勤・通学利用が多く、早朝では、報道の写真を確認すると、キハ201系による3両編成がほぼほぼ満席になるような乗車率のようです。蘭島駅や塩谷駅からも乗車することを踏まえると、不採算路線の一部であるとはいえ、無視することはできない区間です。
小樽から倶知安まで行かない、例えば然別で折り返す列車もそのほとんどが余市までの利用で、倶知安方面直通列車もやはり余市までの利用が多いです。余市から倶知安方面へ向かう利用者は少ないです。反対も同様です。あくまで小樽~余市間の利用が多いです。
小樽駅から余市方面のバスは出ていますが、それでもなお鉄道利用も一定数確保している状況であり、仮に小樽~余市間もバス転換となり、本数を増やす方針であっても、果たして路線バスだけで対応できるものなのか気になります。
管理者が度々ブログで記載しているとおり、鉄道は大量輸送をして威力を発揮する公共交通です。不採算路線の一部区間であるとはいえ、一応その条件は満たしています。利用が多いとはいえ、結局赤字になることは変わりありませんから、それを小樽市と余市町が主体となって運営できるかどうかです。
あとは来年秋頃開業予定の西九州新幹線開業に伴う並行在来線のように、上下分離方式で鉄道施設と運行を別々に分けてもよいのです。今のところ、三セク化するか否か、あるいは残すか残さないかで白黒つけるような傾向が見られるので、もっと多角的にさまざまな方法を検討してほしいと思います。
そこがゴールではなくて、あくまでも利用者主体で考え、利便性を損ねることなく、最良の方法で将来に向けて解決できればと思います。
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それは、函館本線の小樽~長万部間。山線の名称で親しまれ、特急列車は現在室蘭本線回りで運行していますが、かつては札幌と函館を結ぶ主要ルートでした。
H100形置き換え前の写真、且つ倶知安駅ホーム移転工事前の写真を含めてしまい申し訳ありませんが、勾配があり、大自然の中に囲まれた路線のため、春夏秋冬車窓を楽しめ、尚且つ天気が良ければ鉄道写真も楽しめます。
やはり何といっても、羊蹄山の付近を走行するので、列車と一緒に撮影できた際は嬉しいものです。羊蹄山が全て見える快晴の日は1年でも限られてくると思いますが、その日にバッティングした際は嬉しいものですよ。


使用する車両は、H100形とキハ201系です。かつてはキハ40形気動車やキハ150形気動車も使用されていましたが、いずれもH100形に置き換えられています。キハ201系は朝・夕または夜の1日2往復の運転です。そのうちの1往復は札幌直通の快速「ニセコライナー」です。
存廃問題が浮上している理由は、2030年度末に予定されている北海道新幹線の札幌延伸。新函館北斗から札幌までのルートは、長万部までは現在のルートに並行し、そこから倶知安・小樽経由で札幌へ到達します。現在の主要ルートである室蘭本線からは大きく外れ、そのうち昨今存廃問題に上がっているのが、小樽~長万部間です。
北海道新幹線のルートをこのようにした理由は、最短の建設ルートであることと、20数年に一度噴火があるとされる有珠山を避けるためです。前回の噴火は2000年で、札幌~函館間の特急は、通常ルートでの運行ができなくなり、札幌側では「臨時特急」として東室蘭や本輪西までの運転となりました。そこで、かつての主要ルートであった函館本線の山線を使用して、臨時の「北斗」を迂回運転させて対応させました。
もし、現在の室蘭本線と並行して新幹線を建設すれば、苫小牧や室蘭といった規模の大きい都市を経由し、利用はる程度見込めるものの、札幌までの距離が長くなってしまうことで時間を要してしまうことや、有珠山が噴火した際に運休やそれに伴う施設への影響が懸念されます。
また、長万部駅から接続する特急を設定すれば、一部列車を除いて東室蘭駅まで1時間弱、苫小牧駅まで1時間半程度で結ぶことができ、新函館北斗~長万部間が新幹線で速達化されたことを考慮すれば、乗り換えが生じるようになったとしても大幅な時間短縮は見込め、利便性が向上することは言うまでもありません。
話題が逸れてしまいましたが、昨今小樽~長万部間について、存続するのか廃止になるのか大きく揺れており、道では今年度中に方針を決める方針で、沿線自治体は鉄道を存続するか、バス転換するか大きな決断を迫られています。
小樽~長万部間については、並行在来線になることで北海道新幹線が開業すれば、現在のJR北海道から経営分離されることが既に決まっています。実はJR北海道としても山線などを含めた将来的な並行在来線への扱いは特殊で、2016年度に路線・区間別
にJR北海道が単独で維持することが可能か否かが発表された際、小樽~長万部間については、単独で維持可能としました。長万部~函館間については、特急「北斗」や「はこだてライナー」が運行されていることもあって、単独で維持する方針というのはわかりますが、特急列車の設定もない、営業係数も悪い小樽~長万部間が単独で維持可能というのは異例の措置だったと思います。
おそらく、北海道新幹線が札幌まで延伸すれば、三セク化によって確実に手放せることから、沿線自治体との協議も最小限で済む等の理由もあり、こうした措置がとられたのだと思いますが、やはり経営分離されるとなると、主に沿線の自治体の体力だけでは維持が難しく、存廃問題が浮上してしまいます。
沿線自治体の現時点での反応は以下のとおりです。
・バス転換を容認:長万部町、倶知安町、共和町、仁木町
・鉄道維持希望:余市町
・保留:小樽市、黒松内町、蘭越町、ニセコ町
基本的には、JRから経営分離されると、第三セクターが運営する鉄道路線となり、出資は主に沿線自治体になります。現段階で第三セクター鉄道として存続した場合、北海道による単年度収支予測(2040年度)は、23億5000万円の赤字で、全区間バス転換した場合でも1億円の赤字、小樽~余市間のみを鉄道として残して第三セクター化した場合でも6億円の赤字としています。
札幌~小樽間については、新幹線開業後もJR北海道の路線のまま存続します。北海道新幹線は新小樽駅(仮称)を設置する計画で、在来線とは違う場所に新幹線の駅が設けられます。
自治体別の反応をみると、やはり新幹線の駅が設けられる長万部町と倶知安町はバス転換容認としています。長万部町については、町の広報誌にも利用の少ない一部の駅についても存続を希望するような記載は、記憶にある限りではありませんでした。町としても山線が存続しようが、室蘭本線や函館本線における町内の駅が存続しようとあまり重要視している雰囲気はなく、札幌や函館、または本州方面からの利用に舵を取りたい様子が伺えます。
倶知安町にも同様のことが言え、新幹線の駅を高架として建設し、町の東西の分断を避けて、駅前の再開発や国道へのアクセス改善などを実施したいのでしょう。
一方、まだまだ協議が必要だとして結論を保留としているのが、小樽市、黒松内町、蘭越町、ニセコ町です。小樽市には新小樽駅(仮称)が設置される計画ですが、函館本線山線のうち、塩谷駅と蘭島駅は小樽市内であり、小樽~余市間においては、2018年度の1日1キロあたりの利用者数(輸送密度)が2144人であり、この数字は帯広~釧路間や旭川~名寄間よりも高いです。これら区間は特急や後者については快速列車も運行しているにも関わらず、小樽~余市間の方が輸送密度が高いのです。
ここで仮にJR路線として存続するのであれば、小樽~余市間で存廃問題が浮上し、帯広~釧路間や旭川~名寄間ではそれがないと矛盾が生じてしまいますが、今回の場合は数字が良いにも関わらず経営分離してしまうという特殊な条件です。JR路線であれば、数字的にも存続しなければ示しがつきません。
黒松内町、蘭越町、ニセコ町は山線が廃止されると、比較的大きな打撃を受けると思います。利用者は決して多くはありませんが、早朝は蘭越から札幌へ向けて直通列車が設定されており、これら自治体はいずれも新幹線はスルーします。結論を保留とするのはやむを得ないでしょう。
そして、唯一鉄道路線の存続を希望しているのが余市町です。あくまで、全区間を残すという意味合いではなく、小樽~余市間の存続と思われますが、上記のとおり、通勤・通学利用が多く、早朝では、報道の写真を確認すると、キハ201系による3両編成がほぼほぼ満席になるような乗車率のようです。蘭島駅や塩谷駅からも乗車することを踏まえると、不採算路線の一部であるとはいえ、無視することはできない区間です。
小樽から倶知安まで行かない、例えば然別で折り返す列車もそのほとんどが余市までの利用で、倶知安方面直通列車もやはり余市までの利用が多いです。余市から倶知安方面へ向かう利用者は少ないです。反対も同様です。あくまで小樽~余市間の利用が多いです。
小樽駅から余市方面のバスは出ていますが、それでもなお鉄道利用も一定数確保している状況であり、仮に小樽~余市間もバス転換となり、本数を増やす方針であっても、果たして路線バスだけで対応できるものなのか気になります。
管理者が度々ブログで記載しているとおり、鉄道は大量輸送をして威力を発揮する公共交通です。不採算路線の一部区間であるとはいえ、一応その条件は満たしています。利用が多いとはいえ、結局赤字になることは変わりありませんから、それを小樽市と余市町が主体となって運営できるかどうかです。
あとは来年秋頃開業予定の西九州新幹線開業に伴う並行在来線のように、上下分離方式で鉄道施設と運行を別々に分けてもよいのです。今のところ、三セク化するか否か、あるいは残すか残さないかで白黒つけるような傾向が見られるので、もっと多角的にさまざまな方法を検討してほしいと思います。
そこがゴールではなくて、あくまでも利用者主体で考え、利便性を損ねることなく、最良の方法で将来に向けて解決できればと思います。
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