JR北海道の車両によくある客室窓の黄ばみの原因
その他あれこれ - 2022年01月29日 (土)
今回は・・・


これでも取り上げていきましょうか。
JR北海道の車両でよく見られる窓ガラスの汚れ。すっかり黄ばんでいます。


まだ車齢の浅い車両はまだそんなことはありません。キハ261系1000番台同士でも初期車と5次車では随分と違います。5次車も少しづつ黄ばんできたという感じでしょうか?


キハ283系だと、過去にはこうして個々に綺麗にしていたときもありました。差は一目瞭然ですよね。
「金がないから掃除にかける金もない」と思われますが、実はこの汚れは単にこすっただけでは取れないです。北海道以外だとこういう汚れ方はあまりしないと思いますが、もしかしたら古い車両だとあり得るかもしれません。
北海道の場合、客室窓及びその前後で特殊な素材を使っています。汚れの原因ともなっているその正体はポリカ―ボネードです。

北海道の鉄道車両(一部を除く)は、側窓にポリカーボネートを設置しています。かつて高速運転によって車体に付着した氷塊が走行中に落下し、跳ね上げたバラストが側窓を破損する事故がありました。これを防止するため、2001年頃からポリカーボネート板を外側に取り付ける側窓保護改造を実施しました。キハ283系やキハ261系0番台などでは特に、登場時と現在で側面の見た目は大きく変化しています。
当初は最高運転速度120km/h以上で走行する車両が対象でしたが、後に110km/h運転を実施するキハ183系0・200番台にも取りつけられました。
わかりづらいと思いますが、7枚目の写真は右側を客室とみた際の窓枠の大まかな断面図を作成してみました。北海道の特急車両だと大まかに分けて3種類あり、
・789系0番台のような2重窓にポリカ板を取り付けた3層ユニット窓
・キハ261系1000番台や789系1000番台のようなガラスの役割をもつポリカ板にさらに外側をポリカ板を取り付けた2層ユニット窓
・キハ281系のような既存の窓ガラスの外側からポリカ板を取り付けたカバー工法
主にこれら3タイプがあります。
一般的なポリカーボネートの役割としては、落としても簡単に壊れない強い耐衝撃性が求められます。日常生活で一番身近なものといえば、カメラやメガネのフレームなどが該当します。ほかにも、自宅のカーポートの屋根などもポリカ―ボネードが使用されていることが多く、やはり年数が経過すると黄色く変色しているものも多いです。また、自動車のヘッドライトもポリカ―ボネード製も多く、これも年数が経過すれば徐々に黄ばんできます。ポリカ―ボネードの劣化は内部ではなく外側から始まるので、ヘッドライトの黄ばみを除去する方法もたくさん紹介されています。このように、我々の生活圏でポリカーボネートが多用されているようです。
ポリカーボネートの利点としては、
・透明性が高い
・耐衝撃性が高い
・耐熱性が高い
・軽量
・加工しやすい
などがありますが、一方で・・・
・耐候性に弱い
・変色・劣化しやすい
・傷がつきやすい
・高温高湿度の環境に弱い
これらの欠点があります。鉄道車両の場合は耐結露防止や断熱効果など、窓ガラス破損対策という役割のほかにも厳冬期の北海道で鉄道車両を安全に運行することができるさまざまな役割があるようです。
写真の黄ばみの原因は汚れも多少はありますが、主に紫外線による表面の劣化や走行中の傷によるものが大きいです。なので、単に洗剤をつけて拭いただけでは残念ながらこの黄ばみは取れないのです。
上記のとおり、この黄ばみの原因は主に日常の太陽光による紫外線です。表面には耐候性や紫外線から守るためにコーティングを実施していることもあるようですが、時間が経過すればそのコーティングも雨風によって剥がれていき、やはり劣化症状を引き起こします。
キハ261系1000番台の新車などはまだこのような傾向はなく、昨今ではキハ201系も綺麗な窓ガラスになりました。稚内方面で使用するキハ261系0番台と同様、重要機器取替工事施工を機に、窓ガラスも一緒に綺麗にしたり、窓枠の一部をブラック加工して質感を高めています。
では、どうやったら綺麗になるのかというと、表面を薄く削ることで綺麗に・透明になります。但しこれは、日常の点検では時間が足りないので、やはり全般検査など、1カ月以上かかる大がかりな検査時などに一緒に実施しなければ綺麗にすることは難しいと思います。
なので、黄ばんでいる車両が多く確認されているとしても、全般検査等を実施しない限り、黄ばんだまま使用し続けるしかないのです。これが安全輸送の欠如には該当しませんが、やはり一般利用者からは「汚い」と認識されやすく、キハ183系などの車体の劣化同様、決して良い気分にはなりません。
同じ日本国内とはいえ、やはり北海道で鉄道車両を運行するとなると、さまざまな弊害が立ちはだかります。それを長年の経験などを基に試行錯誤で安全輸送へと結びつけていくしかないのです。金の制約がなければ、技術力に関しては、やはり北海道は優れているものがあると思いますよ。
今は今まで放置してきたものを整理し、且つ立て直すために莫大なお金を使い、そのために技術力が停滞していますが、いずれこうした他社とは違う技術力やノウハウというのを発掘し、安全輸送につなげてもらいたいと思います。
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これでも取り上げていきましょうか。
JR北海道の車両でよく見られる窓ガラスの汚れ。すっかり黄ばんでいます。


まだ車齢の浅い車両はまだそんなことはありません。キハ261系1000番台同士でも初期車と5次車では随分と違います。5次車も少しづつ黄ばんできたという感じでしょうか?


キハ283系だと、過去にはこうして個々に綺麗にしていたときもありました。差は一目瞭然ですよね。
「金がないから掃除にかける金もない」と思われますが、実はこの汚れは単にこすっただけでは取れないです。北海道以外だとこういう汚れ方はあまりしないと思いますが、もしかしたら古い車両だとあり得るかもしれません。
北海道の場合、客室窓及びその前後で特殊な素材を使っています。汚れの原因ともなっているその正体はポリカ―ボネードです。

北海道の鉄道車両(一部を除く)は、側窓にポリカーボネートを設置しています。かつて高速運転によって車体に付着した氷塊が走行中に落下し、跳ね上げたバラストが側窓を破損する事故がありました。これを防止するため、2001年頃からポリカーボネート板を外側に取り付ける側窓保護改造を実施しました。キハ283系やキハ261系0番台などでは特に、登場時と現在で側面の見た目は大きく変化しています。
当初は最高運転速度120km/h以上で走行する車両が対象でしたが、後に110km/h運転を実施するキハ183系0・200番台にも取りつけられました。
わかりづらいと思いますが、7枚目の写真は右側を客室とみた際の窓枠の大まかな断面図を作成してみました。北海道の特急車両だと大まかに分けて3種類あり、
・789系0番台のような2重窓にポリカ板を取り付けた3層ユニット窓
・キハ261系1000番台や789系1000番台のようなガラスの役割をもつポリカ板にさらに外側をポリカ板を取り付けた2層ユニット窓
・キハ281系のような既存の窓ガラスの外側からポリカ板を取り付けたカバー工法
主にこれら3タイプがあります。
一般的なポリカーボネートの役割としては、落としても簡単に壊れない強い耐衝撃性が求められます。日常生活で一番身近なものといえば、カメラやメガネのフレームなどが該当します。ほかにも、自宅のカーポートの屋根などもポリカ―ボネードが使用されていることが多く、やはり年数が経過すると黄色く変色しているものも多いです。また、自動車のヘッドライトもポリカ―ボネード製も多く、これも年数が経過すれば徐々に黄ばんできます。ポリカ―ボネードの劣化は内部ではなく外側から始まるので、ヘッドライトの黄ばみを除去する方法もたくさん紹介されています。このように、我々の生活圏でポリカーボネートが多用されているようです。
ポリカーボネートの利点としては、
・透明性が高い
・耐衝撃性が高い
・耐熱性が高い
・軽量
・加工しやすい
などがありますが、一方で・・・
・耐候性に弱い
・変色・劣化しやすい
・傷がつきやすい
・高温高湿度の環境に弱い
これらの欠点があります。鉄道車両の場合は耐結露防止や断熱効果など、窓ガラス破損対策という役割のほかにも厳冬期の北海道で鉄道車両を安全に運行することができるさまざまな役割があるようです。
写真の黄ばみの原因は汚れも多少はありますが、主に紫外線による表面の劣化や走行中の傷によるものが大きいです。なので、単に洗剤をつけて拭いただけでは残念ながらこの黄ばみは取れないのです。
上記のとおり、この黄ばみの原因は主に日常の太陽光による紫外線です。表面には耐候性や紫外線から守るためにコーティングを実施していることもあるようですが、時間が経過すればそのコーティングも雨風によって剥がれていき、やはり劣化症状を引き起こします。
キハ261系1000番台の新車などはまだこのような傾向はなく、昨今ではキハ201系も綺麗な窓ガラスになりました。稚内方面で使用するキハ261系0番台と同様、重要機器取替工事施工を機に、窓ガラスも一緒に綺麗にしたり、窓枠の一部をブラック加工して質感を高めています。
では、どうやったら綺麗になるのかというと、表面を薄く削ることで綺麗に・透明になります。但しこれは、日常の点検では時間が足りないので、やはり全般検査など、1カ月以上かかる大がかりな検査時などに一緒に実施しなければ綺麗にすることは難しいと思います。
なので、黄ばんでいる車両が多く確認されているとしても、全般検査等を実施しない限り、黄ばんだまま使用し続けるしかないのです。これが安全輸送の欠如には該当しませんが、やはり一般利用者からは「汚い」と認識されやすく、キハ183系などの車体の劣化同様、決して良い気分にはなりません。
同じ日本国内とはいえ、やはり北海道で鉄道車両を運行するとなると、さまざまな弊害が立ちはだかります。それを長年の経験などを基に試行錯誤で安全輸送へと結びつけていくしかないのです。金の制約がなければ、技術力に関しては、やはり北海道は優れているものがあると思いますよ。
今は今まで放置してきたものを整理し、且つ立て直すために莫大なお金を使い、そのために技術力が停滞していますが、いずれこうした他社とは違う技術力やノウハウというのを発掘し、安全輸送につなげてもらいたいと思います。
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