根室本線の富良野~新得間の復旧断念へ
その他あれこれ - 2022年01月30日 (日)
北海道の鉄道からまた一部の区間が消えることになります。
根室本線は2016年の台風被害の影響で寸断された状態が続き、列車の運行ができない東鹿越~新得間では、バスによる代行輸送が続いていますが、この度、沿線自治体が復旧を断念し、富良野~新得間においてバス転換の方針を進めていくこととしました。
2016年秋に北海道を直撃した台風は、北海道の鉄道に大きな影響を与えたことはもちろん、北海道産のじゃがいもにも大きな影響を受け、スーパーやコンビニのお菓子売り場から国産のポテトチップスが消えた年です。前代未聞の事態で、一時はじゃがいもが高級品になりましたよね。
そのときに東鹿越~新得間では列車の運行ができない状況になり、復旧にも莫大な費用がかかることから、当該区間は半ば放置され、列車の運行はできないものの、JR北海道の根室本線として今日まで存続してきました。
昨年10月に富良野市、南富良野町、新得町、占冠村の4市町村は路線存続を求める要望書を道に提出しました。しかし、道からは存続に向けた支援は実施せず、「新しい交通体系の確立に向けた支援を行う」回答がなされ、実質4市町村は見放されました。
そして、JR北海道は国から莫大な支援を受けていますが、国土交通省が示した支援策に根室本線の富良野~新得間の支援が盛り込まれず、国からも見放された形になりました。
昨今でもJR北海道は莫大な支援を受けているのに対し、なぜ路線廃止・駅廃止を進めるのか、というコメントをいただきますが、国からの莫大な支援にはカラクリがあり、国からの支援の対象となるのは、既存車からH100形などへの車両の更新費用であったり、設備の維持・修繕に主に充てられます。ただしこの設備の維持・修繕というのは単独で維持することが可能な路線が主に該当しており、単独で維持することができない路線については、国からの支援対象とはならず、原則JR北海道のサイフから捻出しているのです。
なので、H100形は石北本線を除いては、単独で維持することができない路線への投入は原則されておらず、経営がひっ迫している最中、快速エアポートの大増発とともに、千歳線で信号機の増設などの設備投資が可能なわけです。なので、勘違いしてはならないのは、我々の税金が赤字垂れ流し路線に直接投資しているわけではないのです。
話題は戻りますが、今後20年間にける同区間の設備の維持更新に約22億円かかり、これもJR北海道が沿線自治体が負担するように求めていました。さらに、国や道から見放され、沿線自治体が年間10.9億円の運行費を負担することは不可能と判断。
北海道の自治体はどこも財政が厳しいですから、そんな莫大な費用を拠出できるわけもなく、残念ながら富良野~新得間の復旧は断念し、バス転換に向けて動き出すようです。バス転換に伴い、JR北海道は初期費用と運行にかかる赤字を18年分補填する提案をしています。
一方、滝川~富良野間は存続しますが、根室に到達しない根室本線になります。北海道ではそうした路線が増えてきました。日高エリアまで行かない日高本線や、札沼線も石狩沼田まで行かずに存続しています。ですがこちらは、どちらかというと学園都市線という名の方が札幌圏では通っています。
このほか、留萌本線も石狩沼田あたりまで最低でも存続を目指していたはずですから、留萌に行かない留萌本線や将来的に北海道新幹線が札幌まで延伸すると、途中の区間はバス転換なり、第三セクター化されるはずなので、少なくとも小樽~旭川間は函館に行かない函館本線を名乗るようになります。
こう考えると、北海道における路線廃止は、いずれ北海道の鉄道の歴史やその沿線の歴史を振り返ることができなくなる可能性があります。ただ、その歴史のために赤字を垂れ流すわけにはいかないので、やはる鉄道の使命である大量輸送の役目をある程度果たしたのであれば、新たな交通ネットワークを構築していく必要があります。
こうした不採算路線の整理は北海道だけではありません。JR西日本も中国地方の一部路線で同じような動きが出てきました。従来、新幹線や大都市圏の輸送が主な収入源で、地方のローカル線は赤字であったものの、その収益である程度カバーして目をつぶってきました。しかし、コロナ禍で利用が大きく減少すると、そのカラクリがもろに出て、やはり本州の大きな鉄道会社でも不採算路線の維持について「待った」をかけるわけです。
今後は北海道のように、協議と言いながら沿線自治体とJR西日本でバチバチやり合うのかもしれませんが、決して北海道のような廃線までの流れはあってはなりません。
この廃線までの流れというのは、北海道ではとにかく無駄な時間がかかりすぎているという点です。2016年の時点でJR北海道が当時の全ての路線や区間に対して、維持することができるのか、できないのかを発表しました。その時点で莫大な復旧費用の捻出が難しく、既に未来が見えないとわかりきっていた路線もありました。根拠もあって数字もしっかり出ているのです。ですが、「廃止反対」という流れをつくり、数年にわたって放置されたケースもあるのです。
当初、廃止の流れに持っていくJR北海道に対して暴挙だと批判し、マスコミやバス転換を求めた沿線自治体からJR北海道は悪者扱いされました。加えて、一般の方々もまだJR北海道の仕組みがよくわかっておらず、特に鉄道ファンからも廃止を進めようとするJR北海道を批判していました。
もちろん管理者はJR北海道の不採算路線廃止推進に賛成派でしたから、当然たくさん批判を受けました。
ですが、月日が流れて「JR北海道の体制がヤバい!!」と全国的に取り上げられるようになると、やはり地元のマスコミのように自治体が有利になるような偏った内容を報道するのではなく、平等の立場の視点から結論を出す全国ニュースには感謝しかありませんでした。
例えば、地元のマスコミが沿線自治体の首長に取材し、利用があるからと言って残すべきと主張するのです。しかし、全国ニュースでは、実際の利用者であろう住民に対して取材するのです。これが決定的な違いなのです。結果はやはり答えが双方で違うのです。住民は利用していないという答えが多かったのです。
これは実際に営業係数や輸送密度が数字として出ていたので、答えが全く違うというのは事前に予想できていました。
ここから徐々に流れが変わり、地元のマスコミも以前に比べて沿線自治体を味方するような偏った内容の報道は減りました。しかし依然として続いていますが、これはまさしく全国と全道の違いですよね。「忖度」としか考えられないです。
全国ニュースは取り上げる内容も多岐にわたるため、北海道の赤字路線の沿線のショボい自治体を味方するような内容で報道しても意味がないわけです。別に取材を拒否されても痛くも痒くもないわけです。対して、地元のマスコミとなれば、そうした小さなことでもときには報道しなければなりませんから、情報を得るためにも自治体とは上手く付き合っていかなければなりません。これがJR北海道の問題にまで影響しているんですよ。
なので、どんなに規模が小さな自治体でも、北海道では自治体様様です。これも地元のマスコミが悪いんですけどね。
また、今回の流れをみてもわかるとおり、不採算だからといってJR北海道が単独で廃止という流れはつくれないのです。国も道も廃止すべきとは言えないのです。ネット上で批判されるのです。沿線自治体が今回のように復旧を断念したり、バス転換を容認して初めて、路線廃止に向けてGOサインを出せるのです。自治体様様ですよね。
先にJR北海道がそれを進めようとしたら、猛批判を喰らうのです。沿線自治体が鉄道での復旧や存続を諦めて初めてGOサインを出せるのです。それまでは、昨今はSNSの普及もあり、関係のない人間や、鉄道ファンから非難されるのです。鉄道はあくまで移動手段であり、年に数回しか乗らない、写真を撮影するために走っているのではありません。そういう人間からのコメントなんて無視してもOKだと思いますが、年々そうはいかなくなる風潮のようなものがあります。
以前、廃止前提で話を進めようとするJR北海道が猛批判を喰らい、取材陣の前で謝罪させるという、管理者は「公開処刑」と呼んでいますが、そんなこともありました。どれもこれも自治体側に偏った内容でしか報道しない道内のマスコミがこの体系をつくった影響なんです。
ですが面白いのは、今回は最初に「国や道からは支援しませんよ」という流れでバス転換まで話を持っていくと、批判的な内容ではなく、復旧断念について残念な内容しか報道しないのです。これが「JR北海道からは支援しませんよ」となると、批判的な内容で報道するのです。要は「弱いものいじめ」なのです。これが影響してか、JR北海道もマスコミに対し、例えば今後の方針であるとか、ダイヤ改正内容の事前リークなどはほとんどなくなりました。今回のダイヤ改正は特にそうですよね。
JR北海道側で先にリークされたくないというのも理解でき、溝が深まるのも当たり前です。
こういう体系を正すことは難しいです。ただ、報道の傾向を踏まえると、国や道が推進することには忠実というか、言うことを聞く傾向にあります。このJR北海道の不採算路線の存廃問題に関しては、国も道もJR北海道も各々で保身に走っている結果、なかなか話が進展しないのです。国や道がもっとリーダーシップを切って話を進めれば、ここまで苦労することなく、時間をかけることなく、整理にこぎつけられるのです。自治体側も国や道の方針には忠実であることは今回の報道をみても明らかであり、やはり「弱いものいじめ」なんです。
今回バス転換の方針が固まりつつある富良野~新得間は、現時点で北海道で収益が最も低い路線・区間であり、今年度の第2四半期(4月~9月)の利用状況では、輸送密度が52、管理費を含む営業係数が2,942でした。ちなみに営業係数とは、100円の営業収入を得るのに、どれだけの営業費用を必要とするかを表す指数です。数字が100未満なら黒字、100以上の数字なら赤字になります。富良野~新得間の場合、100円の収入を得るには、2,942円必要となる計算です。
ちなみに北海道で、営業係数が100未満の路線はありません。大都市札幌周辺の千歳線も函館本線も学園都市線も、そして本州では莫大な収益を生む新幹線ですら北海道は赤字なのです。
今のところ、不採算路線の存廃問題が浮上しているのは、残りは留萌本線(深川~留萌)です。輸送密度は96、営業係数は営業費を含めて1,668で、道内ワースト2位です。
留萌市はバス転換を容認の構えだったはずで、現在は部分存続に向けて深川市、秩父別町、沼田町で3者協議を続けています。ですが報道を確認している限りでは、残すことに意欲を示しているのが秩父別町、沼田町だけです。深川市としては、留萌本線を残してもあまり利点はありません。深川留萌自動車道があり、留萌方面へのアクセスが確保できていることや、要は札幌と旭川とのアクセスができる函館本線や道央自動車道があればいいわけで、3者協議でも目立つ存在ではないです。昔は特定地方交通線廃止時に沿線自治体が受け取れる転換交付金とも呼ばれましたが、現在は単に補助金という扱いなのかもしれません。これを受け取るために参加だけしている感じだと思います。
今回は道内でワースト1位の路線・区間においてバス転換への準備が進みつつありますが、今回「国や道からは支援しませんよ」という事例をつくった以上、留萌本線についても、国や道からの支援は期待できません。JR北海道も存続について難色を示しており、路線を維持するには、沿線自治体が莫大な運行経費を支払っていくしか方法はないのです。しかし、沿線自治体に莫大な運行経費を拠出できるわけがありませんから、こちらも時間の問題だと思います。
管理者が報道内容をみて一番印象に残ったのがJR北海道が「きょう、あるべき交通体系に向けて、大変、大きな判断をいただきましたことに感謝申し上げます」というコメント。
一連の流れによって「廃止したい」と思ってもできないのです。この言葉の重みを我々は理解しなければなりません。涙が出そうになるようなコメントです。
長々と記載してきましたが、最後に写真でも。


特に現役の鉄道路線にも関わらず、廃線感が漂っていた落合駅。この先はトンネル内にある上落合信号場を経て石勝線と合流して新得へ向かいます。2枚目の写真は幾寅方を向いて撮影しています。

そして、代行バスとの乗り継ぎの拠点となっていた東鹿越駅。周辺は何もなく、ほぼ乗り継ぎの利用客で賑わう駅でした。一時的にある意味で乗降が増えた同駅も、役目を終える日が近づいています。
今後の予定としては、北海道のまん延防止等重点措置が終了次第、住民に対して説明会が開催されます。これまでの様子をみていると、夏や秋に廃止されることはなく、早くて来春か来年の秋、冬前あたりに正式に廃止されると予想しています。
Instagramでかなやま湖の写真がたくさん流れており、管理者も気になっています。四季折々の写真が撮影できるようで、管理者も今春以降マニュアルのおもちゃも走らせなければならないし、ぜひ行ってみたいところです。
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根室本線は2016年の台風被害の影響で寸断された状態が続き、列車の運行ができない東鹿越~新得間では、バスによる代行輸送が続いていますが、この度、沿線自治体が復旧を断念し、富良野~新得間においてバス転換の方針を進めていくこととしました。
2016年秋に北海道を直撃した台風は、北海道の鉄道に大きな影響を与えたことはもちろん、北海道産のじゃがいもにも大きな影響を受け、スーパーやコンビニのお菓子売り場から国産のポテトチップスが消えた年です。前代未聞の事態で、一時はじゃがいもが高級品になりましたよね。
そのときに東鹿越~新得間では列車の運行ができない状況になり、復旧にも莫大な費用がかかることから、当該区間は半ば放置され、列車の運行はできないものの、JR北海道の根室本線として今日まで存続してきました。
昨年10月に富良野市、南富良野町、新得町、占冠村の4市町村は路線存続を求める要望書を道に提出しました。しかし、道からは存続に向けた支援は実施せず、「新しい交通体系の確立に向けた支援を行う」回答がなされ、実質4市町村は見放されました。
そして、JR北海道は国から莫大な支援を受けていますが、国土交通省が示した支援策に根室本線の富良野~新得間の支援が盛り込まれず、国からも見放された形になりました。
昨今でもJR北海道は莫大な支援を受けているのに対し、なぜ路線廃止・駅廃止を進めるのか、というコメントをいただきますが、国からの莫大な支援にはカラクリがあり、国からの支援の対象となるのは、既存車からH100形などへの車両の更新費用であったり、設備の維持・修繕に主に充てられます。ただしこの設備の維持・修繕というのは単独で維持することが可能な路線が主に該当しており、単独で維持することができない路線については、国からの支援対象とはならず、原則JR北海道のサイフから捻出しているのです。
なので、H100形は石北本線を除いては、単独で維持することができない路線への投入は原則されておらず、経営がひっ迫している最中、快速エアポートの大増発とともに、千歳線で信号機の増設などの設備投資が可能なわけです。なので、勘違いしてはならないのは、我々の税金が赤字垂れ流し路線に直接投資しているわけではないのです。
話題は戻りますが、今後20年間にける同区間の設備の維持更新に約22億円かかり、これもJR北海道が沿線自治体が負担するように求めていました。さらに、国や道から見放され、沿線自治体が年間10.9億円の運行費を負担することは不可能と判断。
北海道の自治体はどこも財政が厳しいですから、そんな莫大な費用を拠出できるわけもなく、残念ながら富良野~新得間の復旧は断念し、バス転換に向けて動き出すようです。バス転換に伴い、JR北海道は初期費用と運行にかかる赤字を18年分補填する提案をしています。
一方、滝川~富良野間は存続しますが、根室に到達しない根室本線になります。北海道ではそうした路線が増えてきました。日高エリアまで行かない日高本線や、札沼線も石狩沼田まで行かずに存続しています。ですがこちらは、どちらかというと学園都市線という名の方が札幌圏では通っています。
このほか、留萌本線も石狩沼田あたりまで最低でも存続を目指していたはずですから、留萌に行かない留萌本線や将来的に北海道新幹線が札幌まで延伸すると、途中の区間はバス転換なり、第三セクター化されるはずなので、少なくとも小樽~旭川間は函館に行かない函館本線を名乗るようになります。
こう考えると、北海道における路線廃止は、いずれ北海道の鉄道の歴史やその沿線の歴史を振り返ることができなくなる可能性があります。ただ、その歴史のために赤字を垂れ流すわけにはいかないので、やはる鉄道の使命である大量輸送の役目をある程度果たしたのであれば、新たな交通ネットワークを構築していく必要があります。
こうした不採算路線の整理は北海道だけではありません。JR西日本も中国地方の一部路線で同じような動きが出てきました。従来、新幹線や大都市圏の輸送が主な収入源で、地方のローカル線は赤字であったものの、その収益である程度カバーして目をつぶってきました。しかし、コロナ禍で利用が大きく減少すると、そのカラクリがもろに出て、やはり本州の大きな鉄道会社でも不採算路線の維持について「待った」をかけるわけです。
今後は北海道のように、協議と言いながら沿線自治体とJR西日本でバチバチやり合うのかもしれませんが、決して北海道のような廃線までの流れはあってはなりません。
この廃線までの流れというのは、北海道ではとにかく無駄な時間がかかりすぎているという点です。2016年の時点でJR北海道が当時の全ての路線や区間に対して、維持することができるのか、できないのかを発表しました。その時点で莫大な復旧費用の捻出が難しく、既に未来が見えないとわかりきっていた路線もありました。根拠もあって数字もしっかり出ているのです。ですが、「廃止反対」という流れをつくり、数年にわたって放置されたケースもあるのです。
当初、廃止の流れに持っていくJR北海道に対して暴挙だと批判し、マスコミやバス転換を求めた沿線自治体からJR北海道は悪者扱いされました。加えて、一般の方々もまだJR北海道の仕組みがよくわかっておらず、特に鉄道ファンからも廃止を進めようとするJR北海道を批判していました。
もちろん管理者はJR北海道の不採算路線廃止推進に賛成派でしたから、当然たくさん批判を受けました。
ですが、月日が流れて「JR北海道の体制がヤバい!!」と全国的に取り上げられるようになると、やはり地元のマスコミのように自治体が有利になるような偏った内容を報道するのではなく、平等の立場の視点から結論を出す全国ニュースには感謝しかありませんでした。
例えば、地元のマスコミが沿線自治体の首長に取材し、利用があるからと言って残すべきと主張するのです。しかし、全国ニュースでは、実際の利用者であろう住民に対して取材するのです。これが決定的な違いなのです。結果はやはり答えが双方で違うのです。住民は利用していないという答えが多かったのです。
これは実際に営業係数や輸送密度が数字として出ていたので、答えが全く違うというのは事前に予想できていました。
ここから徐々に流れが変わり、地元のマスコミも以前に比べて沿線自治体を味方するような偏った内容の報道は減りました。しかし依然として続いていますが、これはまさしく全国と全道の違いですよね。「忖度」としか考えられないです。
全国ニュースは取り上げる内容も多岐にわたるため、北海道の赤字路線の沿線のショボい自治体を味方するような内容で報道しても意味がないわけです。別に取材を拒否されても痛くも痒くもないわけです。対して、地元のマスコミとなれば、そうした小さなことでもときには報道しなければなりませんから、情報を得るためにも自治体とは上手く付き合っていかなければなりません。これがJR北海道の問題にまで影響しているんですよ。
なので、どんなに規模が小さな自治体でも、北海道では自治体様様です。これも地元のマスコミが悪いんですけどね。
また、今回の流れをみてもわかるとおり、不採算だからといってJR北海道が単独で廃止という流れはつくれないのです。国も道も廃止すべきとは言えないのです。ネット上で批判されるのです。沿線自治体が今回のように復旧を断念したり、バス転換を容認して初めて、路線廃止に向けてGOサインを出せるのです。自治体様様ですよね。
先にJR北海道がそれを進めようとしたら、猛批判を喰らうのです。沿線自治体が鉄道での復旧や存続を諦めて初めてGOサインを出せるのです。それまでは、昨今はSNSの普及もあり、関係のない人間や、鉄道ファンから非難されるのです。鉄道はあくまで移動手段であり、年に数回しか乗らない、写真を撮影するために走っているのではありません。そういう人間からのコメントなんて無視してもOKだと思いますが、年々そうはいかなくなる風潮のようなものがあります。
以前、廃止前提で話を進めようとするJR北海道が猛批判を喰らい、取材陣の前で謝罪させるという、管理者は「公開処刑」と呼んでいますが、そんなこともありました。どれもこれも自治体側に偏った内容でしか報道しない道内のマスコミがこの体系をつくった影響なんです。
ですが面白いのは、今回は最初に「国や道からは支援しませんよ」という流れでバス転換まで話を持っていくと、批判的な内容ではなく、復旧断念について残念な内容しか報道しないのです。これが「JR北海道からは支援しませんよ」となると、批判的な内容で報道するのです。要は「弱いものいじめ」なのです。これが影響してか、JR北海道もマスコミに対し、例えば今後の方針であるとか、ダイヤ改正内容の事前リークなどはほとんどなくなりました。今回のダイヤ改正は特にそうですよね。
JR北海道側で先にリークされたくないというのも理解でき、溝が深まるのも当たり前です。
こういう体系を正すことは難しいです。ただ、報道の傾向を踏まえると、国や道が推進することには忠実というか、言うことを聞く傾向にあります。このJR北海道の不採算路線の存廃問題に関しては、国も道もJR北海道も各々で保身に走っている結果、なかなか話が進展しないのです。国や道がもっとリーダーシップを切って話を進めれば、ここまで苦労することなく、時間をかけることなく、整理にこぎつけられるのです。自治体側も国や道の方針には忠実であることは今回の報道をみても明らかであり、やはり「弱いものいじめ」なんです。
今回バス転換の方針が固まりつつある富良野~新得間は、現時点で北海道で収益が最も低い路線・区間であり、今年度の第2四半期(4月~9月)の利用状況では、輸送密度が52、管理費を含む営業係数が2,942でした。ちなみに営業係数とは、100円の営業収入を得るのに、どれだけの営業費用を必要とするかを表す指数です。数字が100未満なら黒字、100以上の数字なら赤字になります。富良野~新得間の場合、100円の収入を得るには、2,942円必要となる計算です。
ちなみに北海道で、営業係数が100未満の路線はありません。大都市札幌周辺の千歳線も函館本線も学園都市線も、そして本州では莫大な収益を生む新幹線ですら北海道は赤字なのです。
今のところ、不採算路線の存廃問題が浮上しているのは、残りは留萌本線(深川~留萌)です。輸送密度は96、営業係数は営業費を含めて1,668で、道内ワースト2位です。
留萌市はバス転換を容認の構えだったはずで、現在は部分存続に向けて深川市、秩父別町、沼田町で3者協議を続けています。ですが報道を確認している限りでは、残すことに意欲を示しているのが秩父別町、沼田町だけです。深川市としては、留萌本線を残してもあまり利点はありません。深川留萌自動車道があり、留萌方面へのアクセスが確保できていることや、要は札幌と旭川とのアクセスができる函館本線や道央自動車道があればいいわけで、3者協議でも目立つ存在ではないです。昔は特定地方交通線廃止時に沿線自治体が受け取れる転換交付金とも呼ばれましたが、現在は単に補助金という扱いなのかもしれません。これを受け取るために参加だけしている感じだと思います。
今回は道内でワースト1位の路線・区間においてバス転換への準備が進みつつありますが、今回「国や道からは支援しませんよ」という事例をつくった以上、留萌本線についても、国や道からの支援は期待できません。JR北海道も存続について難色を示しており、路線を維持するには、沿線自治体が莫大な運行経費を支払っていくしか方法はないのです。しかし、沿線自治体に莫大な運行経費を拠出できるわけがありませんから、こちらも時間の問題だと思います。
管理者が報道内容をみて一番印象に残ったのがJR北海道が「きょう、あるべき交通体系に向けて、大変、大きな判断をいただきましたことに感謝申し上げます」というコメント。
一連の流れによって「廃止したい」と思ってもできないのです。この言葉の重みを我々は理解しなければなりません。涙が出そうになるようなコメントです。
長々と記載してきましたが、最後に写真でも。


特に現役の鉄道路線にも関わらず、廃線感が漂っていた落合駅。この先はトンネル内にある上落合信号場を経て石勝線と合流して新得へ向かいます。2枚目の写真は幾寅方を向いて撮影しています。

そして、代行バスとの乗り継ぎの拠点となっていた東鹿越駅。周辺は何もなく、ほぼ乗り継ぎの利用客で賑わう駅でした。一時的にある意味で乗降が増えた同駅も、役目を終える日が近づいています。
今後の予定としては、北海道のまん延防止等重点措置が終了次第、住民に対して説明会が開催されます。これまでの様子をみていると、夏や秋に廃止されることはなく、早くて来春か来年の秋、冬前あたりに正式に廃止されると予想しています。
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