函館本線の長万部~余市間がバス転換へ~早ければ札幌延伸前に廃止も
その他あれこれ - 2022年02月04日 (金)
先日、根室本線の富良野~新得間がバス転換で話が進められている内容をお伝えしましたが、また1つバス転換が進む路線があるようです。
それは・・・

函館本線の通称”山線”。そのうち、長万部~余市間(120.3km)を廃止し、バス転換が決まりました。
昨年末の時点では、態度を保留とした自治体もあり、山線の今後について結論が出ませんでした。小樽~長万部間は北海道新幹線の並行在来線区間にあたり、札幌まで延伸すると、沿線自治体を中心とした第三セクター鉄道への移管が決まっていました。しかし、30年鉄道を維持し続けた場合、道の試算で864億円超えの赤字が生じるということで、沿線9市町は三セク化以前に、鉄路を維持できるか否かで決断を迫られていました。
結果、今回廃止が決まった長万部~余市間については、蘭越町が最後まで態度を保留していましたが、最終的に存続を断念し、バス転換をする形で廃止が決まりました。
今回、小樽~余市間が含まれていませんが、小樽市については、住民説明会を実施していないという理由で引き続き態度を保留としていますが、バス転換を軸に検討を進めるようです。これで、鉄道を維持する姿勢を示しているのは余市町だけになりました。
新幹線開業により、在来線が廃止される例は、1997年の信越本線の横川~軽井沢間に次いで2例目となります。基本的にはこうして新幹線への引き継ぎが整った際に並行在来線が廃止となったり、JRから経営分離されて大きな変更を余儀なくされるものですが、函館本線山線については、新幹線開業前に廃止し、バス転換する方向でも検討しているようです。
理由は、倶知安町などでは新幹線関連工事に伴い、駅前の再開発が予定されています。北海道新幹線関連で在来線の対応で大きく変更を余儀なくされているのが倶知安駅で、駅ホームが移設され、新たに通路が設けられた関係で1線が行き止まりとなり、同駅で列車の交換ができなくなりました。従来の在来線ホームの場所には新幹線の高架が新たに設けられます。ここで在来線の設備があると工事の支障になってしまい、駅前の再開発の進ちょくに影響が出る場合があります。
そのため、廃止時期を北海道新幹線の札幌延伸時に合わせるのではなく、前倒し検討を行っているのです。前倒しされれば、この函館本線山線が開業前に在来線を廃止する初めての例になると思います。
また、今回の長万部~余市間の廃止は、JR北海道が単独で維持可能な路線から初めて廃止される路線・線区にもなります。2016年末にJR北海道が全道の鉄道路線において、JR北海道が単独で維持することができる路線とできない路線を、いわゆる仕分をして我々一般人に公表しました。
そこから今日まで一部路線が廃止されてバス転換が実施されましたが、それでも単独で維持することができない路線はまだあり、多くの課題を残しています。そのような中で、昨年度第2四半期(4月~9月)の小樽~長万部間の営業係数は管理費を含めて1,224となっており、道内だと宗谷本線の名寄~稚内間並みに赤字の路線です。しかし、こちらが単独で維持困難な路線に指定されているのに対し、小樽~長万部間は単独で維持可能な路線にしているのです。
理由は上記のとおり、新幹線が札幌まで延伸すると、JRが採算が合わないと判断した場合、経営分離を実施することができます。維持している際は赤字ですが、将来的に沿線自治体と存廃問題に触れずに確実に手放すことができ、当時批判に晒されていたJR北海道としてはとてもオイシイ話だったはずです。
また、最終的に沿線自治体が路線を何とかするだろうという責任転嫁的なところもあったのかもしれません。そうした理由で、数字的には単独で維持不可な区間を、単独可能とし、山岳路線ということもあり、非力なキハ40形を置き換えるべく、最新のH100形がいち早く投入された路線でもありました。
ですが、今年度になって話が急展開し、いきなり路線廃止ということで決定しました。小樽~余市間については不明ですが、小樽市がバス転換へ向けて動き出すのであれば、余市町の立場はかなり厳しくなり、一気にバス転換へ進む流れになると思います。
函館本線の山線について、特に今回廃止が決まった長万部~余市間では、長万部町と倶知安町が早期にバス転換の立場を表明していたことが大きかったと思います。双方の自治体ともに新幹線の駅が設けられます。特に長万部町については、同町の広報誌において、一部の利用者の少ない在来線の駅について、存続について後ろ向きな姿勢であり、新幹線の駅が設置されるとなれば、やはり新幹線を軸として交通体系に転換したい意思が見え、要は札幌と函館、室蘭へのアクセスが確保されれば、それ以外についてはあまり深く考えていない様子でした。それはそれでJR北海道としても経費削減に貢献するので、選択と集中という意味では、長万部町の判断は理にかなったものです。
また、先日の根室本線の富良野~新得間でもありましたが、やはり国と道から明確な回答が得られたことも大きいでしょう。JR北海道は国から莫大な支援を受けていますが、先日の根室本線の例を挙げると、国からは富良野~新得間のような不採算路線への支援は盛り込まれませんでした。また、道からは存続に向けた支援は実施せず、「新しい交通体系の確立に向けた支援を行う」とされ、こちらも鉄道路線の支援はせず、どちらかというと、鉄道路線廃止後の交通体系確立に向けたサポートを実施するという回答でした。
函館本線山線が第三セクター化されれば、超大赤字路線になることは必須であり、現時点の状況で国や道からも支援が得ることが難しい以上、もちろん将来的に支援が得られることは難しいと判断せざるを得ず、長万部~余市間についてはまずバス転換が決まりました。
明確な廃止時期は不明ですが、上記のとおり、新幹線が札幌に延伸する前に廃止される可能性もあり、このあたりは今後煮詰められることでしょう。
山線に投入されたH100形は他線区転用などで融通が利いても、倶知安駅新ホームもせっかく新たに設けられたのに数年で使われなくなる可能性もあり勿体ないです。また、キハ201系も重要機器取替工事を施工したばかりなのに、早くも活躍の場が奪われようとしています。同車に関しては後継車も必要ありませんが、寿命までどう使っていくつもりでしょう?不運な鉄道車両の仲間入りを果たしてしまいそうです。
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函館本線の通称”山線”。そのうち、長万部~余市間(120.3km)を廃止し、バス転換が決まりました。
昨年末の時点では、態度を保留とした自治体もあり、山線の今後について結論が出ませんでした。小樽~長万部間は北海道新幹線の並行在来線区間にあたり、札幌まで延伸すると、沿線自治体を中心とした第三セクター鉄道への移管が決まっていました。しかし、30年鉄道を維持し続けた場合、道の試算で864億円超えの赤字が生じるということで、沿線9市町は三セク化以前に、鉄路を維持できるか否かで決断を迫られていました。
結果、今回廃止が決まった長万部~余市間については、蘭越町が最後まで態度を保留していましたが、最終的に存続を断念し、バス転換をする形で廃止が決まりました。
今回、小樽~余市間が含まれていませんが、小樽市については、住民説明会を実施していないという理由で引き続き態度を保留としていますが、バス転換を軸に検討を進めるようです。これで、鉄道を維持する姿勢を示しているのは余市町だけになりました。
新幹線開業により、在来線が廃止される例は、1997年の信越本線の横川~軽井沢間に次いで2例目となります。基本的にはこうして新幹線への引き継ぎが整った際に並行在来線が廃止となったり、JRから経営分離されて大きな変更を余儀なくされるものですが、函館本線山線については、新幹線開業前に廃止し、バス転換する方向でも検討しているようです。
理由は、倶知安町などでは新幹線関連工事に伴い、駅前の再開発が予定されています。北海道新幹線関連で在来線の対応で大きく変更を余儀なくされているのが倶知安駅で、駅ホームが移設され、新たに通路が設けられた関係で1線が行き止まりとなり、同駅で列車の交換ができなくなりました。従来の在来線ホームの場所には新幹線の高架が新たに設けられます。ここで在来線の設備があると工事の支障になってしまい、駅前の再開発の進ちょくに影響が出る場合があります。
そのため、廃止時期を北海道新幹線の札幌延伸時に合わせるのではなく、前倒し検討を行っているのです。前倒しされれば、この函館本線山線が開業前に在来線を廃止する初めての例になると思います。
また、今回の長万部~余市間の廃止は、JR北海道が単独で維持可能な路線から初めて廃止される路線・線区にもなります。2016年末にJR北海道が全道の鉄道路線において、JR北海道が単独で維持することができる路線とできない路線を、いわゆる仕分をして我々一般人に公表しました。
そこから今日まで一部路線が廃止されてバス転換が実施されましたが、それでも単独で維持することができない路線はまだあり、多くの課題を残しています。そのような中で、昨年度第2四半期(4月~9月)の小樽~長万部間の営業係数は管理費を含めて1,224となっており、道内だと宗谷本線の名寄~稚内間並みに赤字の路線です。しかし、こちらが単独で維持困難な路線に指定されているのに対し、小樽~長万部間は単独で維持可能な路線にしているのです。
理由は上記のとおり、新幹線が札幌まで延伸すると、JRが採算が合わないと判断した場合、経営分離を実施することができます。維持している際は赤字ですが、将来的に沿線自治体と存廃問題に触れずに確実に手放すことができ、当時批判に晒されていたJR北海道としてはとてもオイシイ話だったはずです。
また、最終的に沿線自治体が路線を何とかするだろうという責任転嫁的なところもあったのかもしれません。そうした理由で、数字的には単独で維持不可な区間を、単独可能とし、山岳路線ということもあり、非力なキハ40形を置き換えるべく、最新のH100形がいち早く投入された路線でもありました。
ですが、今年度になって話が急展開し、いきなり路線廃止ということで決定しました。小樽~余市間については不明ですが、小樽市がバス転換へ向けて動き出すのであれば、余市町の立場はかなり厳しくなり、一気にバス転換へ進む流れになると思います。
函館本線の山線について、特に今回廃止が決まった長万部~余市間では、長万部町と倶知安町が早期にバス転換の立場を表明していたことが大きかったと思います。双方の自治体ともに新幹線の駅が設けられます。特に長万部町については、同町の広報誌において、一部の利用者の少ない在来線の駅について、存続について後ろ向きな姿勢であり、新幹線の駅が設置されるとなれば、やはり新幹線を軸として交通体系に転換したい意思が見え、要は札幌と函館、室蘭へのアクセスが確保されれば、それ以外についてはあまり深く考えていない様子でした。それはそれでJR北海道としても経費削減に貢献するので、選択と集中という意味では、長万部町の判断は理にかなったものです。
また、先日の根室本線の富良野~新得間でもありましたが、やはり国と道から明確な回答が得られたことも大きいでしょう。JR北海道は国から莫大な支援を受けていますが、先日の根室本線の例を挙げると、国からは富良野~新得間のような不採算路線への支援は盛り込まれませんでした。また、道からは存続に向けた支援は実施せず、「新しい交通体系の確立に向けた支援を行う」とされ、こちらも鉄道路線の支援はせず、どちらかというと、鉄道路線廃止後の交通体系確立に向けたサポートを実施するという回答でした。
函館本線山線が第三セクター化されれば、超大赤字路線になることは必須であり、現時点の状況で国や道からも支援が得ることが難しい以上、もちろん将来的に支援が得られることは難しいと判断せざるを得ず、長万部~余市間についてはまずバス転換が決まりました。
明確な廃止時期は不明ですが、上記のとおり、新幹線が札幌に延伸する前に廃止される可能性もあり、このあたりは今後煮詰められることでしょう。
山線に投入されたH100形は他線区転用などで融通が利いても、倶知安駅新ホームもせっかく新たに設けられたのに数年で使われなくなる可能性もあり勿体ないです。また、キハ201系も重要機器取替工事を施工したばかりなのに、早くも活躍の場が奪われようとしています。同車に関しては後継車も必要ありませんが、寿命までどう使っていくつもりでしょう?不運な鉄道車両の仲間入りを果たしてしまいそうです。
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