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北海道の鉄道の内容を中心に自身の知識も含めながらブログの記事を日々更新しています。札幌市在住のため、主に札幌圏を走行する列車についての話題です。

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函館本線の長万部~余市間の廃止決定で活躍の場を追われるキハ201系

今回はキハ201系について。



写真右の赤ラインの列車なら札幌圏で腐るほど見かけると思いますが、左側のように青ラインの車両もあるのです。





しかもパンタグラフのない気動車です。特定の列車しか入らないので、狙わないとほぼほぼ乗れない車両です。

この車両は函館本線山線から札幌直通の所要時分短縮を目的に投入されましたが、山線区間の長万部~余市間の廃止が決まってしまい、キハ201系の活躍の場がなくなってしまいそうなのです。

現時点で小樽~余市間の廃止は決まっていませんが、小樽市としては、バス転換を推進する構えで、こちらが万が一廃止が決定してしまえば、キハ201系は投入当初の目的が完全に失われてしまうことになります。

元々は函館本線山線(倶知安方面)から札幌へ直通する際に所要時分短縮を目的に開発された車両です。投入前までは快速列車として運行していたようですが、各駅停車に変更したにも関わらず、所要時間短縮を果たしました。また、過密ダイヤとなる札幌圏での走行も視野に入れ、赤いラインの731系との動力協調運転を行い、単独で運行する際も札幌圏の近郊形電車と同等のダイヤで走行することができます。



もう5年ほど前に撮影した写真になりますが、動力協調運転時の写真です。先頭の3両はパンタグラフを有する電車で、後方3両が今回紹介している気動車です。パンタグラフがありません。同等の動力性能を有するので、協調運転ができます。

現在は朝の函館本線の小樽から札幌まで1本のみ実施されています。機器の稼働停止を防ぎ、定期的に稼働させるために実施しているようなものでしょう。以前は朝を中心に数本ありましたが、いずれも廃止されています。

電車と気動車による動力協調運転は、1989年~1992年までJR九州の485系(有明)+キハ183系1000番台(オランダ村特急)が日本で初めて営業列車として実施されました。

1992年3月にハウステンボスが開園されたのに伴い、特急「ハウステンボス」が運行を開始するとともに「オランダ村特急」の運転が終了したため、電車と気動車による協調運転は3年で終了しました。その後5年の空白期間を経て、今度は北海道で731系+キハ201系で動力協調運転が実現しました。


また、動力性能も凄く、外装は普通列車と変わりませんが、中身は特急気動車、それ以上のモンスターなのです。特急「宗谷」や特急「北斗」などで使用するキハ261系の普通列車版と思ってください。

全国的に特急気動車も年々進化してきて、従来のシャフトを介してエンジンから車輪へ動力を伝達する方式の車両も450ps級のエンジンを2基搭載し、高性能な電車の加速とほぼ負けない動力性能を手に入れました。それらさらなる高性能気動車の先駆けとなったのがキハ201系です。

搭載エンジンは、現在は重要機器取替工事施工に際し、N-DMF13HZL型(定格出力460 PS / 2100 rpm)に変わっています。1両に2基搭載しています。このエンジンはキハ261系1000番台の5次車(2015年度以降に増備)以降の車両と同型のエンジンです。

そして、このエンジンのパワーを引き立たせる軽い車体。キハ261系1000番台では1両あたり自重40t以上、最新のJR四国の2700系では自重50t程度ありますが、このキハ201系では中間車で自重35t程度しかなかったはずです。圧倒的な軽さによって、実はキハ261系や2700系などをはるかに上回る性能を秘めているのです。

理屈は簡単で、出力と自重の関係で1tあたりにどれぐらいの出力換算が可能かと計算したときに、車体が軽い方がその出力を得られるからです。

このように、外装は近郊形電車と変わらないですが、意外と凄い車両だったりするのです。



しかし、赤いラインの731系が大量に製造されたとは違い、青いラインのキハ201系は3両編成×4本しかありません。1997年に登場しましたが、当時としては製造費もバカ高の1両あたり4億円で、これが理由でその後増備されなかったという背景があります。インテリアやエクステリアは731系とほぼ共通ですが、動力協調設備や現在使われていない車体傾斜装置など、当時の最新設備も備わった車両なので、そこでおそらくコストがかけられているのでしょう。

この1両4億円というのは、実は新幹線1両あたりの製造費よりも高いのです。今でこそ「はやぶさ」で使用するE5系/H5系は1両あたり4.5億円ですが、北陸新幹線や上越新幹線で使用するE7系/W7系は2.7億円、今でも東海道新幹線などで活躍するN700Aで3億円です。



北海道で言えば、はまなす編成やラベンダー編成と製造費は同じ4億円です。

ただ、ここまで製造費をかけて投入したにも関わらず、次第に活躍の場が失われ、現在は電化区間での使用がメインとなっています。要はコストに見合った使用がされていないのです。

本来の目的の山線での使用は早朝と夕方以降しかありません。日中は予備で苗穂に待機している車両を含めて札幌圏で使用されます。2012年までは学園都市線の札幌~北海道医療大学間で一部の普通列車に充当されていましたが、同区間の列車が全て電車化されたことで営業運転から撤退しました。

一方、函館本線での運用が若干増え、日中は函館本線での使用に切り替わり、15時頃に札幌に戻ってきて苗穂に一旦入り、夕方以降、倶知安方面へ向かう準備をして出発していく流れです。運用から外れなければこれを繰り返します。

現在は予備車両確保の関係で日中稼働している編成は1編成のみとなりました。

仮に函館本線の山線が廃止されれば、早朝と深夜の運用がなくなってしまいます。その代替として函館本線などで使用してもいいですが、それでは完全に電化区間で使用することになり、今度は気動車の利点が生かされないのです。運用数も少なく、充当列車を考えれば、現状でもすぐに電車に置き換えられる状況です。実は函館本線山線の廃止で窮地に立たされる車両なのです。

営業運転開始から今年で25年が経過しました。そろそろ置き換えの時期だと思いますが、運用数が少ないことによる走行距離の関係や、上記のとおり、数年前に重要機器取替工事を施工したばかりでエンジンなどが新しいものに載せ替えられました。なので、函館本線山線の一部が廃止されたからといって、すぐに車両を廃車にはできない事情があります。

とはいえ、函館本線の山線は今後数年間は存続します。おそらく新幹線が札幌にやってくる前には廃止になりますが、それまでに転換されるバスの台数や乗務員の確保など、バス転換に向けた準備を実施する必要があるため、すぐに廃止とはなりません。廃止届を出すにも、営業を終了する1年前からと決められているのです。ですが、倶知安駅前とその周辺の再開発の関係で、そう長くは存続できないと予想し、節目となるのが2025年あたりになると思います。それまでは、キハ201系もかろうじて活躍の場が確保されます。


管理者としては、やはり他線区や他列車への転用が望ましく、以前から触れてきましたが、旭川~名寄間の快速「なよろ」への転用が車両を生かせられると思っています。ワンマン運転に対応していないため、車掌が乗務することになりますが、キハ261系が運行されていることで、転用に際してそこまで大きな変更なく対応可能だと思います。

そして、快速「なよろ」という列車の価値を高めることで、高速バスへの対抗、旭川駅において特急「ライラック」、特急「カムイ」との接続を図るようにすれば、キハ201系を最大限活用でき、尚且つ快速「なよろ」の列車としての価値も高めることができ、双方でメリットが得られると思います。

実際にこのようにはならず、おそらく札幌圏の電化区間で細々と使用されると思いますが、函館本線山線の廃止は、キハ201系にとっても大きな痛手になりそうです。そうなれば、特急気動車をも凌ぐ性能を誇るモンスターも1代限りで終わりそうです。











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コメント
11111:承認待ちコメント by on 2022/02/17 at 20:04:29

このコメントは管理者の承認待ちです

11112: by ナナッシー on 2022/02/17 at 20:05:47

こんばんは
一部報道では余市〜長万部が先行廃止し、余市〜小樽は札幌延伸までは現状維持のようです。

余市〜小樽までの区間ならキハ201系2運用あれば充分に賄えますし、小樽起点にして折り返し運転すれば効率が良いです。(この区間の無人駅は塩谷駅と蘭島駅のみです。)
そうなれば必然的にH100が転属になりますが、キハ54の置き換えに一役買いそうですね。

11113: by 管理人 on 2022/02/17 at 23:46:40

>>>>コメントNo,11111の方へ

せっかくなら他線区転用が望ましいです。山線が廃止されて引き続き苗穂在籍となれば、ほぼ電化区間での使用になりますから、気動車のメリットが生かされません。

性能を考えたら、高速化されている宗谷本線投入が望ましいです。

ハンドルネームがないので、コメントは非公開とさせていただきます。

11114: by 管理人 on 2022/02/17 at 23:53:12

>>「ナナッシー」さん、コメントありがとうございます。

逆に、それ以前に山線直通の利点が今でもあるのかどうかという点があります。20年経過すれば、利用にも大きく変化が見られるはずです。

管理者としては、快速ニセコライナーも札幌方面向かう際は早朝で通勤時間帯の中で3両編成で通過駅が発生する。しかも快速の利点があまり生かされないダイヤで、それは倶知安行きにも該当します。なので、現状のダイヤをみると、別に必ずしも設定しておく必要があるような列車とは思えないです。

ただ、小樽~余市は平日・休日問わず、利用が比較的多いので、やはりこの区間をどうするかが焦点です。山線の運行区間縮小・または廃止になれば、H100形は転用され、キハ54形、キハ150形などが置き換えられそうです。特に後者は非冷房車があるので、そこから置き換えられていくような雰囲気です。

11117:承認待ちコメント by on 2022/02/18 at 19:52:26

このコメントは管理者の承認待ちです

11119: by 南の虎 on 2022/02/19 at 19:22:01 (コメント編集)

キハ201は、車齢からするともう遅きに失するかもしれないですが、特急転用改造して「オホーツク」の暫定的取替に使用する手があったと思います。
ただし、全部で12両しかないこと・3両単位であることから使い勝手が悪いことが気になりますが、現在の需要からすると3両で足りると思います。
足回りは元気なので、思い切って上部構体自体を取り替えてしまうのも手かもしれません。

現在、「オホーツク」「大雪」系統は、運用数が3ですので、201系改造車3両×4本なら、全運用がまかなえます。
予備車はNREか、261系の余剰車両(減車中なので)で様子を見る手もあると考えます。

今の区間走らせていても宝の持ち腐れです。

11122:ハイスペック車両ですね by 千葉日台 on 2022/02/19 at 19:47:21

この車両をベースに宗谷本線特急キハ261を開発したと言います。キハ261はキハ400系で時速60kmぐらいであえいでいた塩狩峠を時速100kmで通過しました。車両が軽い分塩狩峠を超えることだけで見たらキハ261より性能が良いかも知れません。

転用するには微妙な車齢ですね。他には函館から新北斗迄を函館ライナー電車とつないで(改造は必要でしょうが)、そこから電車を切り離して大沼公園や時間帯によっては森まで行く列車とか。大沼公園辺りにはキハ183-7550番台が苦戦していたきつい勾配があります。

かなり高額な車両なので転用先は探したいのでしょうが・・・




11124: by 721系くん on 2022/02/20 at 20:05:11

宗谷本線の名寄~旭川間はキハ261系0代入線に伴い最高速度95km/hに強化されているのでもしキハ201系が快速なよろ号の運用に就くことができれば、ご自慢の高性能エンジンで高速運転が可能でキハ201系だけでなく宗谷本線の旭川~名寄間も有効活用できるので管理者さんのアイデアはとても現実的で良いと思いました。

11128: by 管理人 on 2022/02/20 at 23:42:04

>>「南の虎」さん、コメントありいがとうございます。

本当に宝の持ち腐れですよね。

ただ、大幅な改造はJR北海道の現状をみてもできないはずです。苗穂に所属して細々と電化区間メインで使用されていくと思います。

石北本線に転用するにしてもハイパワーという利点は生かせますが、そこでも最高速度は制限されます。管理者もやはり石北本線か宗谷本線が候補地になりますが、やはりよりキハ201系の利点を生かせる宗谷本線を最終的に選んでしまいます。

特別快速きたみも旭川側から日帰りできるようなダイヤを組んでくれると、便利になるんですけどね。実際にキハ201系を使ったら、どれくらいの速達性が確保できるのか、それはそれで興味あります。

やはり皆さんは宗谷本線とか石北本線が候補地になりますよね。

11130: by 管理人 on 2022/02/20 at 23:58:12

>>「千葉日台」さん、コメントありがとうございます。

新函館北斗駅までの函館市内からのアクセス列車の話が出たときに、キハ201系を転用するものだと思っていた方もけっこういるみたいです。結局電化されて733系になりましたけどね。

高額な車両であり、更新も終えたばかりなので活用はしたいのでしょうが、現状では厳しいと言わざるを得ません。やはり細々と札幌圏の電化区間メインで使用されて終えていくパターンでしょうか?

そういえば先日、駒ヶ岳でキハ261系が空転していましたね。ハイパワー車でも条件によっては空転するみたいです。後続のキハ281系北斗5号は何ともなかったみたいですけどね。

11132: by 管理人 on 2022/02/21 at 00:06:42

>>「721系くん」さん、コメントありがとうございます。

現在は120km/hまで出せます。性能を如何なく発揮できることや、キハ261系の入線実績があることを考慮すれば、快速「なよろ」が転用先としては良いのではないかと思っています。

ありがとうございます。

11136: by 777 on 2022/02/21 at 18:27:53 (コメント編集)

JR他社や、私鉄への売却の可能性はあるんでしょうか?
高スペックな車両なので、需要はあると思うのですが…

11143: by 管理人 on 2022/02/26 at 00:18:14

>>「777」さん、コメントありがとうございます。

譲渡の可能性はほぼないです。譲渡したところで、譲渡先は維持費に悩まされるでしょう。

車齢を考えたら、車両を新製した方がいいです。本州の450ps級の車両とはエンジンの形式が異なるので、実績のある機関を搭載していた方がメンテナンスも有利です。

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