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北海道の鉄道の内容を中心に自身の知識も含めながらブログの記事を日々更新しています。札幌市在住のため、主に札幌圏を走行する列車についての話題です。

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【コラム】車上型制御付き自然振り子式

今回はJR西日本から発表された資料から。



いよいよ特急「やくも」に新型車両が投入されるようです。時期は2024年春ということで2年後です。管理者としてもドキドキ・ワクワクするような車両です。

実は、管理者としては早くこうした車両が出てきてほしい!と願っていた車両です。それがようやく実現しました。題名のとおりですが、「車上型制御付き自然振り子式」です。

キハ261系も触れていくので、当ブログでも西日本の車両について取り上げていきます。


この「車上型制御付き自然振り子式」について、端的に言えば、国鉄分割民営化以降、およそ30年にわたって高速化のために制御付き自然振り子式や車体傾斜装置などの技術が投入されてきましたが、それらの技術を全て車両側にぶち込んだ次世代の振り子式車両です。JR西日本、川崎車輛、鉄道総研の共同開発で生まれました。


現在使用している381系から振り子式車両が正式に営業列車として使用されていくわけですが、乗り心地等の関係から、時代は制御付き自然振り子式へとシフトしていきます。

381系で採用されているのは、自然振り子式です。カーブを通過する際に遠心力を利用して車体を傾けて高速でカーブを走行する仕組みです。機構もシンプルでこれも車両側だけの設備で完結します。ただ、車体傾斜を制御しているわけではないので、どうしても振り遅れや戻る際に時間差が生じてしまい、結果的に乗り心地が悪く、人によっては乗り物酔い現象を起こしてしまいます。

それを克服するために制御付き自然振り子式というものが登場します。JR四国の2000系から登場し、JR北海道のキハ281系やキハ283系、最新の四国の2700系も採用されています。

仕組みは、あらかじめ線路上の曲線部ごとのカント等のすべての地上データの情報を車上装置へ記録しておき、そこで記録された曲線情報は、地上にあるATS地上子を使用して位置情報と速度情報を基に、曲線区間における適切な車体傾斜角度を計算します。

そこで得られた傾斜角情報に従い、搭載されている振子指令装置へ伝送され、曲線進入前からあらかじめ車体を徐々に傾斜させていきます。曲線区間通過後も同様の方法で車体傾斜を復元させます。これにより、緩和曲線区間で発生する過渡的な振動を抑制しています。

この制御付き自然振り子式がJR化以降各社で普及していきますが、台車が通常の車両と比べて特殊な構造になったり、部品数が多くなったりと、車両メンテナンスの観点から決して優位な車両ではありません。

そこで、振り子式とまではいかなくても、車体を傾斜させて遠心力を打ち消す車体傾斜装置を搭載した車両が登場します。現在はこちらが主流になりつつあります。

日本で営業列車で初めて搭載したのがJR北海道のキハ201系です。後にまもなくして使用停止になりますが、そのノウハウを受け継いだキハ261系が2014年まで使用していました。

空気ばねによる車体傾斜装置ですが、仕組みは先頭車に搭載しているジャイロセンサー(角速度センサー)によって曲線に差しかかった際に車体の角速度と走行速度を検知し、次に制御装置でそれらから曲線の方向と角度を求め、搭載されている加速度センサーで左右加速度を求めて傾斜角度を決定します。

これを採用したことにより、石勝線や根室本線ではキハ283系と同等の走行性能を得ることができましたが、曲線に差しかかってから車体を傾斜させる準備に入るので、どうしても曲線に進入した際に振り遅れが生じてしまいます。これを克服しているのがJR四国の8600系です。


8600系でも車体傾斜装置を搭載していますが、これはどちらかというと、制御付き自然振り子式に近いシステムです。地上の路線データなどをあらかじめ記録しておき、ATS地上子により自車の位置を検知して曲線区間の手前から車体を傾斜させる方法です。マップ式と呼ばれます。

ただしこの方式は、誤って曲線外軌側へ車体を傾斜させることが考えられ、制御中止時に曲線通過速度を落とさざるを得なくなります。そのため、センサ式をバックアップとして用いています。このセンサ式というのがキハ261系などと同じく、ジャイロセンサーと加速度計から曲率を求めて加速度計の値が目標値となるまで車体を傾斜させる方式で、上記のとおり、曲線に進入してから車体傾斜の準備に入るので振り遅れが生じてしまいます。通常はマップ式を用いるので、振り遅れは生じません。

ただし、マップ式による制御指令とセンサ方式による曲線検知情報の整合性が取れない場合、自動的にセンサ方式による車体傾斜に移行します。

量産先行車を投入し、走行試験の結果、曲線が連続する区間で元空気溜圧が想定以上に低下する事象が発生しました。このため量産車では、車体傾斜を行う曲線の見直しや、制御を行う区間の見直し、空気タンクを1両あたり330リットル710リットルに増設しています。量産先行車についても同様の改修が実施されています。

この車体傾斜装置搭載車両というのは、振り子式車両と比べて、ランニングコストや複雑な車両メンテナンスを抑制できるメリットがあります。例えば台車にしても、振り子式車両の場合は複雑でほぼ専用設計なのに対し、車体傾斜装置搭載車両となれば、ほぼ通常の車両と同等の台車で対応することが可能なのです。

車体傾斜の方法は、振り子式車両はリンクやコロなどを使用しますが、車体傾斜装置は車体と台車の間に備えた空気ばねの高さを変えて車体を左右に傾けます。その車体を傾ける際に空気を必要とするので、コストやメンテナンス効率に優れる分、急曲線が連続する区間では、空気容量が不足してしまうこともあるのです。その例がJR四国の2600系で、土讃線試運転時に曲線が連続するため、空気容量が確保できず、車両は高徳線の特急「うずしお」で限定運用となりました。結果的に2000系の後継車両は、従来の制御付き自然振り子式を採用した2700系になりました。


8600系は2017年頃に山陽本線や伯備線で試運転を実施しました。おそらく、特急「やくも」への新型車両への投入に際し、参考データを得るための走行試験だったと思います。8600系で山陽本線や伯備線で試運転を実施した際も、おそらく同じような問題にぶち当たったと思います。しかも地上設備がないため、マップ式による営業運転時の車体傾斜を使用できず、おそらく車体傾斜の試験も実施したとすれば、センサ式で実施されたと思います。そこから幾度となく置き換えの話は出ていましたが、後継車両が登場する気配はなく・・・。そしてようやく「車上型制御付き自然振り子式」の後継車273系が登場することになります。

仕組みは、車上の曲線データと走行地点のデータを連続して照合し、適切なタイミングで車体を傾斜させる方式が採用されます。なので、従来の制御付き自然振り子式に、しかも車両側の設備だけで適切に車体を傾斜させるという従来の技術の集大成とも言うべきシステムです。

従来は上記に記載してきたとおり、列車の位置情報はATSの地上子を使用せざるを得ませんでした。伯備線では長年381系が使用されていただけに、この地上側の設備がないはずです。JR西日本では特急「くろしお」に使われているオーシャンアロー用車両が制御付き自然振り子式ですが、後継車両として投入するには、地上側の設備も改良しなければ振り子式車両として性能を発揮することができないのです。

283系も伯備線での運用を見越して耐寒・耐雪構造となっているようですが、結局実現することはなく、製造も18両で打ち切られました。現状をみても、振り子式車両だからといって速達性は乏しく、これが381系の「ゆったりやくも」への大規模リニューアル・延命化の背景の1つになったと思います。

なので、新たに振り子式車両を投入するにしても、車両側で設備が完結する振り子式車両または車体傾斜装置搭載の車両が必要でした。見事に今回前者が選ばれ、新型「やくも」として2年後に投入されます。

現状、381系が66両なのに対し、273系は4両編成×11編成の計44両投入されます。両数が少なくなりますが、最大で1日上下合わせて30本程度の本数は維持できるようです。昨今は新型コロナウィルスの影響もあり、将来的にコロナ禍前の利用水準に戻らないとすれば、両数減は妥当な判断かもしれません。仮に利用が増加傾向にあれば、増備すればいいだけの話です。

費用は160億円。1編成あたり14.5億円、1両あたり3.6億円です。JR四国の2700系よりも高額です。年々車両の製造費は高くなっていきます。この先どうなってしまうのでしょう?


管理者としては今後の展開が楽しみです。今後の展開とは、同じく西日本エリアで活躍する智頭急行のHOT7000系の置き換えもそろそろ迫っています。「スーパーはくと」で使用し、こちらも制御付き自然振り子式車両です。車両の保有は智頭急行ですが、車両の整備はJR西日本へ委託しています。今回新たに「車上型制御付き自然振り子式」が開発されたことで、今後は気動車への搭載が可能なのかどうかも楽しみになってきます。

また、将来的にはキハ187系の置き換えも控えているので、西日本としては車体傾斜装置よりも「車上型制御付き自然振り子式」が普及していくと予想しています。

正直な話をすると、この「車上型制御付き自然振り子式」は北海道でも欲しいです。地上側の設備が一部で不要になるので、コスト削減に大きく貢献すると思います。将来的に北海道は、振り子式を含めて高速気動車が必要なのは主に帯広・釧路方面だけになります。1つの方面だけに振り子式や車体傾斜装置搭載車を投入するのは合理的ではありません。

それよりも、線形が良く、逆にアップダウンが激しいことを考慮すれば、大出力モーターを積んで最高速度まで瞬時に出る気動車とした方が合理的です。逆にそうして高速化した例がないので、そういう鉄道車両が登場しても面白いと思います。



今回は道外の話題をメインに記事を作成しました。西日本エリアの鉄道ブログに匹敵する内容になっているでしょうか??間違い等があればコメントにて指摘してください。よろしくお願いします。











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コメント
11115:承認待ちコメント by on 2022/02/18 at 00:03:10

このコメントは管理者の承認待ちです

11116: by 若潮 on 2022/02/18 at 03:38:48 (コメント編集)

こんばんは。
やくもも「北陸新幹線敦賀開業で余った681/683系を使うのがほぼ間違いないでしょう」などと既成事実のように書いている文献が多数見られましたが、681は廃車の時期ですし、敦賀までは引き続き使うので683も全ては回せません。何より、くろしおでは小幅なスピードダウンで済みましたが、やくもでは大幅なスピードダウンを余儀なくされます。
空気バネ車体傾斜にならなかったのは管理人様の仰いますように、土讃線と同様の問題があったからだろうと考えられますね。あと、空気バネ車体傾斜+ATS位置データ照査式という方式は、JR四国8600系より先に、名鉄1600系が採用していたと思います。

地上側への投資を抑制できるとなると、「距離は近いが線形が悪い」ルートがクローズアップされますね。博多~大分間の久大線経由や、JR西日本でも、本来なら当初から「北近畿」に381系が入るはずだった福知山線も該当します (キハ181系時代は播但線経由のほうが速かった) 。函館本線山線もそうかもしれませんが、今さらですね。

11118: by さっぽろこころのふるさと on 2022/02/19 at 16:09:35

やくもの代替の話は前から出ていましたが振り子車両はもう出てこないと思っていたので少々意外ですね、てっきり同線を試験走行させていた四国の8600をベースにした車体傾斜だと思っていました。

一つ気になったのは本文中の記載で
速達性に乏しくとの記載がありますが
国鉄振り子381と新型287では和歌山〜白浜の100キロの区間だけで5分、かつての最速列車より全区間だと30分遅くなっているので、加速が向上しても打ち消せないかなりの差があると思いますよ
振り子を新規導入できないのは283の運用含めたトラブルや自治体との関係から来る別の理由かと思います。

11125: by 管理人 on 2022/02/20 at 22:40:25

>>コメントNo,11115の方へ

詳しく教えていただき、ありがとうございます。今後の記事作成のためにメモしておきました。

ハンドルネームがないので、コメントは非公開とさせていただきます。

11126: by 管理人 on 2022/02/20 at 22:50:07

>>「若潮」さん、コメントありがとうございます。

一部で681系は残ると思います。サンダーバードの付属編成でリニューアルした編成はあるので、それは今後も使用を想定しているのではないでしょうか?

特急が敦賀まで入線しなくなるとすれば、そうした681系や683系の付属編成と6両編成については「しらさぎ」に回り、サンダーバードは9両固定の4000番台に統一されそうな気がします。一応681系の置き換え計画はコロナの影響?で白紙というか記載が削除されたみたいですが、敦賀までなら681系も残しておく必要がなく、米原発着のしらさぎも走行距離的に必要なのかどうかのレベルになってくると思います。

1600系への採用は知りませんでした。調べたら、後の2000系ミュースカイへの試験目的と書かれていました。

ただ、線形が悪くて速度の抑制が大きければ振り子式車両の効果は発揮されにくいです。「はまかぜ」と「スーパーはくと」も同じだと思います。

11127: by 管理人 on 2022/02/20 at 23:11:43

>>「さっぽろこころのふるさと」さん、コメントありがとうございます。

「速達性が乏しく」と記載したのは、283系と381系を比較した際です。お金がかかっているのに、381系に対して大幅な所要時間短縮は果たせませんでした。線形による影響が大きいですよね。

現在は287系や289系がメインですが、283系も引き続き使用しています。しかし、所要時間が以前よりも大幅に延びました。白浜~新宮間あたりは速いですが、どちらかというと名称も統一されて代走などに備えた場合の汎用性の高いダイヤになっています。

決して失敗作ではありませんが、当時はちょうど阪和自動車道延伸や紀勢本線は観光路線であり、速達化で停車駅を減らしたはずですが、集客が当初の予定より下回った経緯があります。また、その頃381系も製造から20年経過しておらず、置き換えにはまだ早いことから、製造が18両で打ち切られたようですね。

在来線の高速化というのは、案外沿線自治体との連携も関わってきますよね。西日本で言えば山陰本線も確かそうですよね。キハ187系製造も沿線自治体の高速化費用から捻出されていたはずです。但し、台車に費用をかけすぎて車体側でコスト削減を余儀なくされて先頭部が中間車然とした形状になってしまいましたね。

8600系のような車体傾斜車両とならなかったのは、おそらく空気容量の確保が困難なためではないでしょうか?それ以外は思いつきません。

11160:線路曲率を利用した位置検出のようです by 苗穂住民 on 2022/03/01 at 18:30:59

 こんばんは。

 273系では「車上の曲線データと走行地点のデータを連続して照合し」となっていますが、走行地点のデータをどのように取得しているのか具体的には書いていません。少し検索して見ると、鉄道総研のサイト

https://www.rtri.or.jp/rd/news/vehicle/vehicle_202107.html
https://bunken.rtri.or.jp/doc/fileDown.jsp?RairacID=0004007387

にありました。車輪回転数に基づく移動距離も使用しますが、ATS地上子を使用することなく正確な位置特定ができ、正確な振子動作ができそうです。

 伯備線にもATS(自動列車停止装置)地上子はあるはずで、381系の振子動作に
ATS地上子は必要ないということではないでしょうか。制御付き自然振子車両を
導入する場合は車上データとして新たにATS地上子からの曲線の位置と形状を
新たに作成することになるのだと思います。

11173: by 管理人 on 2022/03/04 at 23:51:01

>>「苗穂住民」さん、コメントありがとうございます。

ソースありがとうございます。

381系の場合はATS地上子を必要としません。曲線通過時に遠心力で車体を傾けるので、それこそ車両側だけの設備で済んでしまいます。ただ、カーブに突入してから遠心力が発生するので、振り遅れによるタイムラグは生じてしまいます。それをATS地上子からのデータを基に車体を適正なタイミングで傾けています。

273系はそうしたこれまでの技術を全て車体側で取り入れているので、381系を制御つき自然振り子式にしたようなものです。一見この車上型制御付き自然振り子式はシステムとしてあまり注目されていませんが、管理者としては凄い技術だと思います。

車両という限られたスペースの中にそうした機器を搭載できるということは、これもシステムをコンパクト化できる昨今ならではの技術の進歩だと思います。カーボンニュートラルだの、バイオ燃料だの言う前に、こうした技術の進展を望みたいです。

返信が遅くなり、申し訳ありませんでした。

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