福島県沖地震で脱線したH5系H2編成が廃車へ
北海道新幹線 - 2022年04月29日 (金)
昨日、JR北海道グループの昨年度の決算が公表されました。
その中で、興味深い資料が・・・

3月に福島県沖で発生した地震の影響で、脱線したH5系H2編成。東北新幹線内の「やまびこ223号」充当中に、福島県沖で地震が発生しました。
地震当時、E6系とペアを組んで17両編成で運行していましたが、そのうち、13号車を除いて16両が脱線しました。H5系に至っては、片側だけを含む10両全てが脱線し、その被害状況が大きく報道されていました。
地震の影響で新幹線車両が脱線に至ったケースといえば、2004年の新潟県中越地震で、当時使用されていた200系新幹線が大きく脱線し、修繕されることなく廃車となりました。
今回の地震で、報道によれば、残念ながら廃車になるようです。特別損失として14億円を計上しているので、これはほぼ事実でしょう。
資料で被害状況をみると、車体の歪みや曲がり、床下機器カバーの曲がり、台車部品の曲がり、モーター破損など、最高速度で運行していなかったとはいえ、脱線によって車両に大きな負荷がかかりました。しかし、新潟県中越地震の脱線事故を教訓に開発されたレール転落防止装置からなる安全機構によって車両の転覆は免れました。
その結果、車両そのものは今回犠牲になりましたが、乗客乗員に怪我がなかったということで、日本の新幹線技術は凄いと改めて感じた瞬間でした。
今回は天災ということで、被害も大きく、廃車は免れなかったと思いますが、車体の構造上の関係もあると思いますが、修繕することは難しいようです。
日本の昨今の新幹線車両は、主に車体構造がアルミニウム合金製です。この材質はダイヤ改正前も少し話題になりました。そう、小田急電鉄のロマンスカーVSEと同じ材質です。
JR北海道の在来線では、営業列車としては735系のみが該当します。
アルミニウム合金製車体は、車体外板・内部構体ともに耐食性アルミ合金を使用するため、オールステンレス車両同様に腐食に強いです。また、普通鋼製の車体に比べ大幅な軽量化を実現できます。
例えば、H5系の自重は、先頭車や中間車もあって一概には言えませんが、新幹線という大柄な車体を採用しているにも関わらず、キハ281系やキハ283系とさほど自重が変わらないのです。また、新幹線車両で比較した場合、山形新幹線で使用されていた400系は、鋼製車体で編成全体の自重である318tしかわかりませんでしたが、1両あたりの平均自重はおよそ45tであり、新在直通で新幹線車両としては一回り小さい車両と比較しても、アルミという軽量素材を使っていることで、車体はH5系やE5系の方が軽いのです。
もちろん、軽ければいいというわけではありませんが、アルミニウム合金を採用する他の利点としては、連続溶接ができるため、車体の気密保持が充分に確保することができます。高速走行する新幹線では気密性は特に重要であり、このあたりも、新幹線車両にアルミニウム合金が採用される理由です。
一方、ロマンスカーVSEの早期定期営業運転撤退のニュースでもあったとおり、材質の関係上、製造費用が高価になりやすく、補修や修繕が非常に困難であり、修理を実施するにも高度な技術を要します。今回の場合、車体の歪みや曲がり、台車部品の曲がりということで、アルミニウム合金製の車体でなくても、修理不可と判断せざるを得ない箇所が数カ所あります。車体や台車が曲がったり、歪んだりしてしまえば、走行時に大きな影響を与えます。場合によっては大事故に繋がりかねません。
JR北海道の過去の例だと、2010年に函館本線を走行中のL特急「スーパーカムイ24号」がダンプカーに衝突し、前面が大破しました。前面のみならず、車体や台車の歪みも生じたということで、後に廃車となっています。やはり、車体や台車に大きなダメージを負ったら、比較的新しい車両であろうと助かる可能性は低いのです。
あまりにも年度末の急な出来事だったので、今後については現段階では不明ですが、従来からH5系は4編成あり、そのうち1日に稼働しているのが2編成でした。
なので、その間に稼働していない車両が2本ありました。今回1編成を失ったことで、検査時の予備車両はなくなりますが、例えばJR東日本のE5系を代走で充てる等の措置をとれば、現状のまま運行することは可能です。
しかし、JR北海道が導入した4編成というのは、東北新幹線と北海道新幹線の比率、運用に関しても走行距離の関係を理由に組まれており、ここで当初の比率から狂うわけですから、天災という特別な事情があるとはいえ、このまま推移していくのか気になります。
過去の事例として、2019年10月に台風19号の影響で長野新幹線車両センターが浸水し、E7系8編成、W7系2編成が廃車となりました。W7系については、その代替として2編成を投入するとしています。
北陸新幹線はJR東日本の区間とJR西日本の区間があります。これも北海道新幹線と東北新幹線と似たような関係で、自社の比率によって投入する車両数も決定します。北海道新幹線の場合、過去の予備車両不足という教訓から、多めに車両を製造していたと思いますが、もしかすると、今後H5系についても代替新造について発表があるのかもしれません。
ただ、E5系及びH5系の製造費用は1両あたりおよそ4.5億円であり、1編成になれば45億円になります。車両の保険も未加入という状況でしたが、果たしてどうなるのでしょうか??

思わぬ形でJR北海道の新幹線車両1本が早期に廃車となってしまいました。写真を探していると、過去に一度だけ撮影していました。
何も変哲もなく撮影しましたが、この車両が3月に福島で脱線したあの車両と思うと、今でも信じられない気分です。
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その中で、興味深い資料が・・・

3月に福島県沖で発生した地震の影響で、脱線したH5系H2編成。東北新幹線内の「やまびこ223号」充当中に、福島県沖で地震が発生しました。
地震当時、E6系とペアを組んで17両編成で運行していましたが、そのうち、13号車を除いて16両が脱線しました。H5系に至っては、片側だけを含む10両全てが脱線し、その被害状況が大きく報道されていました。
地震の影響で新幹線車両が脱線に至ったケースといえば、2004年の新潟県中越地震で、当時使用されていた200系新幹線が大きく脱線し、修繕されることなく廃車となりました。
今回の地震で、報道によれば、残念ながら廃車になるようです。特別損失として14億円を計上しているので、これはほぼ事実でしょう。
資料で被害状況をみると、車体の歪みや曲がり、床下機器カバーの曲がり、台車部品の曲がり、モーター破損など、最高速度で運行していなかったとはいえ、脱線によって車両に大きな負荷がかかりました。しかし、新潟県中越地震の脱線事故を教訓に開発されたレール転落防止装置からなる安全機構によって車両の転覆は免れました。
その結果、車両そのものは今回犠牲になりましたが、乗客乗員に怪我がなかったということで、日本の新幹線技術は凄いと改めて感じた瞬間でした。
今回は天災ということで、被害も大きく、廃車は免れなかったと思いますが、車体の構造上の関係もあると思いますが、修繕することは難しいようです。
日本の昨今の新幹線車両は、主に車体構造がアルミニウム合金製です。この材質はダイヤ改正前も少し話題になりました。そう、小田急電鉄のロマンスカーVSEと同じ材質です。
JR北海道の在来線では、営業列車としては735系のみが該当します。
アルミニウム合金製車体は、車体外板・内部構体ともに耐食性アルミ合金を使用するため、オールステンレス車両同様に腐食に強いです。また、普通鋼製の車体に比べ大幅な軽量化を実現できます。
例えば、H5系の自重は、先頭車や中間車もあって一概には言えませんが、新幹線という大柄な車体を採用しているにも関わらず、キハ281系やキハ283系とさほど自重が変わらないのです。また、新幹線車両で比較した場合、山形新幹線で使用されていた400系は、鋼製車体で編成全体の自重である318tしかわかりませんでしたが、1両あたりの平均自重はおよそ45tであり、新在直通で新幹線車両としては一回り小さい車両と比較しても、アルミという軽量素材を使っていることで、車体はH5系やE5系の方が軽いのです。
もちろん、軽ければいいというわけではありませんが、アルミニウム合金を採用する他の利点としては、連続溶接ができるため、車体の気密保持が充分に確保することができます。高速走行する新幹線では気密性は特に重要であり、このあたりも、新幹線車両にアルミニウム合金が採用される理由です。
一方、ロマンスカーVSEの早期定期営業運転撤退のニュースでもあったとおり、材質の関係上、製造費用が高価になりやすく、補修や修繕が非常に困難であり、修理を実施するにも高度な技術を要します。今回の場合、車体の歪みや曲がり、台車部品の曲がりということで、アルミニウム合金製の車体でなくても、修理不可と判断せざるを得ない箇所が数カ所あります。車体や台車が曲がったり、歪んだりしてしまえば、走行時に大きな影響を与えます。場合によっては大事故に繋がりかねません。
JR北海道の過去の例だと、2010年に函館本線を走行中のL特急「スーパーカムイ24号」がダンプカーに衝突し、前面が大破しました。前面のみならず、車体や台車の歪みも生じたということで、後に廃車となっています。やはり、車体や台車に大きなダメージを負ったら、比較的新しい車両であろうと助かる可能性は低いのです。
あまりにも年度末の急な出来事だったので、今後については現段階では不明ですが、従来からH5系は4編成あり、そのうち1日に稼働しているのが2編成でした。
なので、その間に稼働していない車両が2本ありました。今回1編成を失ったことで、検査時の予備車両はなくなりますが、例えばJR東日本のE5系を代走で充てる等の措置をとれば、現状のまま運行することは可能です。
しかし、JR北海道が導入した4編成というのは、東北新幹線と北海道新幹線の比率、運用に関しても走行距離の関係を理由に組まれており、ここで当初の比率から狂うわけですから、天災という特別な事情があるとはいえ、このまま推移していくのか気になります。
過去の事例として、2019年10月に台風19号の影響で長野新幹線車両センターが浸水し、E7系8編成、W7系2編成が廃車となりました。W7系については、その代替として2編成を投入するとしています。
北陸新幹線はJR東日本の区間とJR西日本の区間があります。これも北海道新幹線と東北新幹線と似たような関係で、自社の比率によって投入する車両数も決定します。北海道新幹線の場合、過去の予備車両不足という教訓から、多めに車両を製造していたと思いますが、もしかすると、今後H5系についても代替新造について発表があるのかもしれません。
ただ、E5系及びH5系の製造費用は1両あたりおよそ4.5億円であり、1編成になれば45億円になります。車両の保険も未加入という状況でしたが、果たしてどうなるのでしょうか??

思わぬ形でJR北海道の新幹線車両1本が早期に廃車となってしまいました。写真を探していると、過去に一度だけ撮影していました。
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