来年春に引退となるノースレインボーエクスプレス
キハ183系 - 2022年08月26日 (金)
キハ183系5200番台ノースレインボーエクスプレス。残念ながら、来年春で引退が決まりました。








北海道の6番目のリゾート気動車として1992年に登場しました。先に登場したニセコエクスプレスやクリスタルエクスプレスと同様、苗穂工場で自社製造されました。
今となれば、苗穂工場で自社で車両の製造ができる、JR北海道はホントに凄い鉄道会社だったんですね。
同車は元々は北海道の初代リゾートトレイン、アルファコンチネンタルエクスプレスの置き換え用として登場しました。登場後もアルファコンチネンタルエクスプレスはしばらく残ったと記憶しています。当初は2階建車両を有しない3両編成でしたが、後に現在の5両編成に増強されています。
団体臨時列車や多客臨として長年使用されてきましたが、後にこれらの需要が激減していきます。しかしながら、ニセコエクスプレスやクリスタルエクスプレスが所属先の苗穂運転所(札ナホ)で遊休している状態が続いている中、ノースレインボーエクスプレスについては、車両の性能及び定員数の関係から、予備車両の少ない宗谷線特急の代走という新たな役割を担うようになります。
同車のおかげで、宗谷線特急が予備車両不足で窮地に陥った際も、何とか車両をやり繰りしてきましたが、今度はノースレインボーエクスプレスで車両の老朽化が進行し、走行中に乗降扉の不具合や、昨年の特急「ニセコ号」に至っては、冷房機器の故障が発生しました。
検査周期からして、通常のキハ183系よりも長く残るものと思われていましたが、残念ながら、ときを同じくしてノースレインボーエクスプレスについても、来年春で引退が決まりました。

後継車両はキハ261系5000番台のはまなす編成とラベンダー編成です。

はまなす編成とラベンダー編成は、先に引退したクリスタルエクスプレスとともに後継車の役割で、多客臨のみならず、今後は定期列車としても使用し、運行しない時期の遊休状態を防ぐとともに、予備車両が少ない宗谷線特急の代走もカバーしていくことになります。
上述のとおり、検査周期の関係で同車はまだ残るものと思われていました。以前コメントにて教えていただきましたが、前回の全般検査実施が2016年の3月でした。全般検査は8年ごとに実施します。もちろん、8年未満で実施しても構いません。鉄道車両にとって一番大きな検査であり、検査後はほぼ新車状態に戻しているぐらい大きなレベルの検査です。
次に大きな検査というのが重要部検査です。こちらは4年以内または走行距離が50万キロのいずれかに達するまでに実施します。ブレーキや駆動装置、台車などの主要部分を解体し、細部まで点検・整備する検査です。昨年5月までノースレインボーエクスプレスは苗穂工場に入場していました。その際に実施した検査がこちらです。
例えば、走行距離ではなく、年数で重要部検査を実施していたとしても、主に車両の転換期となる全般検査実施または車検切れまで、少なくとも残り2年を有します。走行距離で考えても、全般検査までは走行距離は関係ありませんから、走らそうと思えば、まだまだ走らせることができる車両なのです。
これが上述のとおり、管理者が通常のキハ183系よりも残る理由として考えていたことです。この1年での稼働といえば、特急「ニセコ号」と宗谷線特急への代走に数回登板したぐらいです。
昨年の重要部検査を通過させた時点で、その当時はまだ次回までの全般検査あるいは、それに近い時期まで残す予定だったのでしょう。でなければ、わざわざこのような特殊な古い車両を検査までして残す必要がありません。
ということは、重要部検査から昨今に至るまでに、方針転換されたということなのでしょう。
以下の2点が考えられます。
【①冷房機器、その他箇所の不具合】
重要部検査を実施したばかりなのにも関わらず、昨年の特急「ニセコ号」運行時に発覚した一部車両での冷房機器の不具合。これが原因なのか、冷房機器を必要とする時期の運行はしなくなりました。例えば、今シーズンはラベンダー編成の不具合ではまなす編成が特急「フラノラベンダーエクスプレス」の代走に入りましたが、その間に遊休状態だったノースレインボーエクスプレスが登板する様子はなく、2回のうち1回は、宗谷線特急にキハ183系一般車が代走に入る結果に。
この辺りは、晩年同じ症状を抱えていたニセコエクスプレスと似ています。修理して対応すればよい話ですが、通常車両とは異なるワンオフのものであれば、修理対応が難しい場合もあります。
また、数年前に宗谷線特急充当時に発生した乗降扉の不具合。ガムテープで応急処置をする痛々しい姿でドアカットまでして無理やり運行していましたが、こうした箇所で不具合がみられる以上、多客臨が縮小傾向で後継車が登場したことで、今後長きにわたる使用は不可能と判断したのでしょう。
【②函館本線山線(小樽〜長万部間)の廃止決定】
この1年のノースレインボーエクスプレスの稼働状況をみると、上記のように多客臨としての使用は特急「ニセコ号」のみで、そのほかは宗谷線特急の代走に数回登板するだけでした。稼働状況からして、もはや不要と判断せざるを得ません。加えて、特急「ニセコ号」は、以前からあった特急「ヌプリ」や特急「ワッカ」同様、将来的に北海道新幹線が札幌まで延伸する際までのいわば準備列車でした。
言い換えれば、新たに新幹線開業に伴う、あるいは山線が三セク化された際、鉄道とともに地域振興を実施していくうえでのモニタリングを担う役割で、停車駅や車内サービスで山線を盛り上げていました。
しかし、この1年で将来的に山線の廃止が正式に決まりました。時期詳細は不明ながら、倶知安駅周辺の再開発の関係で、在来線の使用継続は困難という見方から、新幹線延伸を前に廃止される可能性が高くなっています。
山線廃止となれば、鉄道とともに地域振興を模索していくうえで、各沿線自治体も力を入れる必要はなくなります。加えて、ノースレインボーエクスプレスも特急「ニセコ号」ぐらいでしか稼働していない現状から、山線廃止決定も管理者としては大きな理由の1つになったという見方をしています。
昨年の同時期には、はまなす編成は特急「とかち」などで使用されており、たとえ来年度以降も廃止まで運行を継続するにしても、同車などが1編成あれば十分でな状況です。
数年前まで必要な存在であったノースレインボーエクスプレスも、昨今ではほぼ邪魔者のような感じになっています。
先日発表されたとおり、特急「ニセコ号」のみならず、かつてノースレインボーエクスプレスが充当された多客臨を復活させて、今後道内各方面を走ります。ラストラン企画のような設定ですが、走行距離や次回の全般検査までの年数を考慮した場合、最後の最後まで使い倒してほしいというのが正直なところです。
冬季における宗谷線特急の代走や、流氷観光シーズンにおける「流氷特急オホーツクの風」の設定、あるいは今年のラベンダー編成とともに、定期列車に混じって特急「オホーツク」・特急「大雪」で使用し、老朽化が著しく、引退が迫るキハ183系一般車をサポートする役割を与えてもよいのかなと思っています。
引退は残念ですが、稼働状況や車齢を考えれば仕方のないことです。キハ281系、キハ183系の引退とともに、今年度は引退する列車がたくさんあり、一気に寂しくなりそうですね。
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北海道の6番目のリゾート気動車として1992年に登場しました。先に登場したニセコエクスプレスやクリスタルエクスプレスと同様、苗穂工場で自社製造されました。
今となれば、苗穂工場で自社で車両の製造ができる、JR北海道はホントに凄い鉄道会社だったんですね。
同車は元々は北海道の初代リゾートトレイン、アルファコンチネンタルエクスプレスの置き換え用として登場しました。登場後もアルファコンチネンタルエクスプレスはしばらく残ったと記憶しています。当初は2階建車両を有しない3両編成でしたが、後に現在の5両編成に増強されています。
団体臨時列車や多客臨として長年使用されてきましたが、後にこれらの需要が激減していきます。しかしながら、ニセコエクスプレスやクリスタルエクスプレスが所属先の苗穂運転所(札ナホ)で遊休している状態が続いている中、ノースレインボーエクスプレスについては、車両の性能及び定員数の関係から、予備車両の少ない宗谷線特急の代走という新たな役割を担うようになります。
同車のおかげで、宗谷線特急が予備車両不足で窮地に陥った際も、何とか車両をやり繰りしてきましたが、今度はノースレインボーエクスプレスで車両の老朽化が進行し、走行中に乗降扉の不具合や、昨年の特急「ニセコ号」に至っては、冷房機器の故障が発生しました。
検査周期からして、通常のキハ183系よりも長く残るものと思われていましたが、残念ながら、ときを同じくしてノースレインボーエクスプレスについても、来年春で引退が決まりました。

後継車両はキハ261系5000番台のはまなす編成とラベンダー編成です。

はまなす編成とラベンダー編成は、先に引退したクリスタルエクスプレスとともに後継車の役割で、多客臨のみならず、今後は定期列車としても使用し、運行しない時期の遊休状態を防ぐとともに、予備車両が少ない宗谷線特急の代走もカバーしていくことになります。
上述のとおり、検査周期の関係で同車はまだ残るものと思われていました。以前コメントにて教えていただきましたが、前回の全般検査実施が2016年の3月でした。全般検査は8年ごとに実施します。もちろん、8年未満で実施しても構いません。鉄道車両にとって一番大きな検査であり、検査後はほぼ新車状態に戻しているぐらい大きなレベルの検査です。
次に大きな検査というのが重要部検査です。こちらは4年以内または走行距離が50万キロのいずれかに達するまでに実施します。ブレーキや駆動装置、台車などの主要部分を解体し、細部まで点検・整備する検査です。昨年5月までノースレインボーエクスプレスは苗穂工場に入場していました。その際に実施した検査がこちらです。
例えば、走行距離ではなく、年数で重要部検査を実施していたとしても、主に車両の転換期となる全般検査実施または車検切れまで、少なくとも残り2年を有します。走行距離で考えても、全般検査までは走行距離は関係ありませんから、走らそうと思えば、まだまだ走らせることができる車両なのです。
これが上述のとおり、管理者が通常のキハ183系よりも残る理由として考えていたことです。この1年での稼働といえば、特急「ニセコ号」と宗谷線特急への代走に数回登板したぐらいです。
昨年の重要部検査を通過させた時点で、その当時はまだ次回までの全般検査あるいは、それに近い時期まで残す予定だったのでしょう。でなければ、わざわざこのような特殊な古い車両を検査までして残す必要がありません。
ということは、重要部検査から昨今に至るまでに、方針転換されたということなのでしょう。
以下の2点が考えられます。
【①冷房機器、その他箇所の不具合】
重要部検査を実施したばかりなのにも関わらず、昨年の特急「ニセコ号」運行時に発覚した一部車両での冷房機器の不具合。これが原因なのか、冷房機器を必要とする時期の運行はしなくなりました。例えば、今シーズンはラベンダー編成の不具合ではまなす編成が特急「フラノラベンダーエクスプレス」の代走に入りましたが、その間に遊休状態だったノースレインボーエクスプレスが登板する様子はなく、2回のうち1回は、宗谷線特急にキハ183系一般車が代走に入る結果に。
この辺りは、晩年同じ症状を抱えていたニセコエクスプレスと似ています。修理して対応すればよい話ですが、通常車両とは異なるワンオフのものであれば、修理対応が難しい場合もあります。
また、数年前に宗谷線特急充当時に発生した乗降扉の不具合。ガムテープで応急処置をする痛々しい姿でドアカットまでして無理やり運行していましたが、こうした箇所で不具合がみられる以上、多客臨が縮小傾向で後継車が登場したことで、今後長きにわたる使用は不可能と判断したのでしょう。
【②函館本線山線(小樽〜長万部間)の廃止決定】
この1年のノースレインボーエクスプレスの稼働状況をみると、上記のように多客臨としての使用は特急「ニセコ号」のみで、そのほかは宗谷線特急の代走に数回登板するだけでした。稼働状況からして、もはや不要と判断せざるを得ません。加えて、特急「ニセコ号」は、以前からあった特急「ヌプリ」や特急「ワッカ」同様、将来的に北海道新幹線が札幌まで延伸する際までのいわば準備列車でした。
言い換えれば、新たに新幹線開業に伴う、あるいは山線が三セク化された際、鉄道とともに地域振興を実施していくうえでのモニタリングを担う役割で、停車駅や車内サービスで山線を盛り上げていました。
しかし、この1年で将来的に山線の廃止が正式に決まりました。時期詳細は不明ながら、倶知安駅周辺の再開発の関係で、在来線の使用継続は困難という見方から、新幹線延伸を前に廃止される可能性が高くなっています。
山線廃止となれば、鉄道とともに地域振興を模索していくうえで、各沿線自治体も力を入れる必要はなくなります。加えて、ノースレインボーエクスプレスも特急「ニセコ号」ぐらいでしか稼働していない現状から、山線廃止決定も管理者としては大きな理由の1つになったという見方をしています。
昨年の同時期には、はまなす編成は特急「とかち」などで使用されており、たとえ来年度以降も廃止まで運行を継続するにしても、同車などが1編成あれば十分でな状況です。
数年前まで必要な存在であったノースレインボーエクスプレスも、昨今ではほぼ邪魔者のような感じになっています。
先日発表されたとおり、特急「ニセコ号」のみならず、かつてノースレインボーエクスプレスが充当された多客臨を復活させて、今後道内各方面を走ります。ラストラン企画のような設定ですが、走行距離や次回の全般検査までの年数を考慮した場合、最後の最後まで使い倒してほしいというのが正直なところです。
冬季における宗谷線特急の代走や、流氷観光シーズンにおける「流氷特急オホーツクの風」の設定、あるいは今年のラベンダー編成とともに、定期列車に混じって特急「オホーツク」・特急「大雪」で使用し、老朽化が著しく、引退が迫るキハ183系一般車をサポートする役割を与えてもよいのかなと思っています。
引退は残念ですが、稼働状況や車齢を考えれば仕方のないことです。キハ281系、キハ183系の引退とともに、今年度は引退する列車がたくさんあり、一気に寂しくなりそうですね。
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