【コラム】西九州新幹線が開業!北海道とは真逆の新幹線網の拡充
北海道新幹線 - 2022年09月24日 (土)
昨日、西九州新幹線(武雄温泉〜長崎間)が開業しました。
Twitterでその様子をリアルタイムで確認していると、このコロナ禍でも多くの人で賑わい、鉄道を楽しんでいる方々の様子が見えました。ファンのみならず、鉄道に目をむけているのは嬉しい限りです。
管理者も九州の鉄道は好きで、Instagramでは、九州の鉄道を撮影している方を複数人フォローしています。九州の好きなところは、かつての北海道のように、同じ列車でも複数の形式で運行されていることで、多彩な変化があり、時刻表を眺めるにしても楽しいことだらけなのです。
今回も新たに博多〜武雄温泉間の特急「リレーかもめ」、博多〜肥前鹿島間の特急「かささぎ」が登場しました。既存の車両が使用されるわけですが、使用車両が783系、787系、885系と複数にわたり、これもまたダイヤ改正前に発表された時刻表などから、どの列車にどの形式が入るかなど、予想を立てる楽しみがありました。また、特急「みどり」にも885系が久しぶりに充当されるようになり、充当列車は「白いみどり」という記載が新たにされています。
また、特急「みどり」については、一部列車が武雄温泉駅で新幹線「かもめ」と接続することから、接続列車については、「特急みどり(リレーかもめ)」となり、該当列車は行先表示に情報量が多くて大変みたいです。また、特急「ハウステンボス(リレーかもめ)」という列車もあるようで、凄く長い名前の特急列車が生まれています。
後者については、武雄温泉駅での新幹線アクセスとハウステンボスとのアクセスを両方担う列車であり、一つの列車で2つの場所あるいは列車にアクセスするという珍しい列車です。
今回も九州新幹線鹿児島ルート先行開業時の新八代駅のように、在来線と新幹線が同一ホームで接続できる体系が組まれ、このあたりは、前回の開業時に実施された方法が上手く反映され、接続列車や行先表示についても、同様の措置となっています。
ここから本題に入りますが、九州は昔言われていたJRの旅客鉄道の三島会社の中で、最も新幹線網が発展している旅客鉄道及びエリアです。九州新幹線開業時は部分開業という形で当初は孤立し、後に山陽新幹線と繋がって、九州と関西、あるいは関東、東北と一本で結ばれるようになりました。
いずれ西九州新幹線も既存の九州新幹線と繋がる計画だと思いますが、このあたり、北海道の新幹線網とは拡大の仕方が全く逆ですよね。
九州の場合は孤立した形で部分開業し、後に主要なルートと結ばれる流れなのに対し、北海道の場合は、主要ルートを延伸する形でようやく新函館北斗駅まで繋がりました。そして、2030年頃にはいよいよ札幌まで繋がる予定です。
北海道でも九州新幹線のように、先行して孤立して部分開業をする方法で新幹線網を拡充していけば、一体どのようになっていたのでしょうか?気になりますよね。
新幹線記事を探しても、実は北海道における部分開業の関連記事はなかなかないのです。実は一時期、札幌延伸開業を前に、道南側から倶知安まで部分開業する話があったのです。ですが、その記事を閲覧している中で、管理者としてもその部分開業については、実現するには難しいという見方でした。
倶知安駅に新幹線が設置される話が出た当初は、同駅に停車する本数が1日2往復程度しか考慮されていませんでした。その頃はまだ周辺がリゾートブームから程遠い頃の話で、実際に周辺の地価が高騰し、リゾートブームに乗り始めた頃に、倶知安までの先行開業の話が持ち上がったのです。理由はリゾートブームに乗っかって、新幹線を開業させることで観光需要における集客を期待できるというものでした。
実際に開業してみないとわかりませんが、いくら倶知安エリア周辺がリゾートブームで盛り上がっているとはいえ、現状の特急「北斗」や函館本線山線の実情を踏まえると、利用のメインは札幌と新函館北斗の利用になります。仮に倶知安まで先行開業したとしても、札幌までのアクセスをどうするか?という課題があります。
かつてのメインルートとはいえ、函館本線山線は速度制限を受けるため、リレー特急を設定して札幌までのアクセスを考慮しても所要時間短縮の効果は薄く、利便性によっては、まさかの新幹線が選ばれない可能性もあるのです。結局この話は公にあまり広がることなく、札幌まで一括延伸という形になりましたが、やはり札幌があっての北海道新幹線である以上、部分開業は難しい場合があるのです。
例えば、札幌〜長万部間や札幌〜新函館北斗間が先行して部分開業していたら一体どうなったのでしょうか?
前者の場合、並行在来線として小樽〜長万部間が経営分離されます。実際は三セク化もされずに廃止されてしまいますが、札幌〜長万部間が先行開業した場合というのは、在来線にとっても影響を少なくでき、かつ速達性を確保できるのです。
2012年の時点で道が未開業区間についての所要時間の想定を公表していますが、速達運転を想定した場合によると、札幌〜新小樽(仮称)間で約12分、新小樽(仮称)〜長万部間で約25分です。40分以内で札幌と長万部を結ぶことができます。現行では、最速の特急「北斗2号」で2時間08分、130km/h運転時代では、2時間を切るぐらいが最速でしたので、1時間以上所要時間を短縮することができます。
ただ欠点としては、新幹線が先行開業しても、引き続き長万部〜函館間の輸送は特急「北斗」によって確保しなければなりません。また、室蘭本線は並行在来線に該当しないため、つまり特急「北斗」は新幹線開業による廃止などの制約は受けないのです。新幹線が開業すれば在来線特急を廃止にできたり、長い距離や区間でJRの手から経営分離させることができますが、札幌〜長万部間を開業させるだけでは、その恩恵がないのです。
では後者の場合はどうなるか?
後者の場合だと、長万部〜新函館北斗間を経営分離することができます。所要時間は約1時間05分で、昨今において、新幹線開業後の対応について議論している区間です。JR貨物も単独で路線を維持することは不可能と言及しており、かといって特急を廃止した場合においての同区間のローカル輸送はもはや鉄道という大量輸送の使命を終えた状況になると言っても過言ではないでしょう。
ですが一方、同区間は貨物の主要ルートであり、道内と本州を結ぶ物流ルートとしては欠かせない区間です。また、道央エリアやその他道内のエリアへの例えば在来線車両の甲種輸送などの際も必要な区間です。こうした特殊な状況下に置かれているため、先日コメントをいただき、国も交えて協議を検討していくようです。
もちろん後者の方が新幹線開業効果が大きく、不採算路線あるいは区間をより多く手放すことができます。また、特急「北斗」の廃止で車両の転配も実施できます。経営難に陥っているJR北海道にとっては、本州から従来どおりに新幹線を延伸開業させる方法ではなく、九州のような離れ小島の部分開業という方法を選択し、早期に在来線を手放し、経営難を乗り越える方法の方が昨今のような苦境に立たされずに済んだのではないかと思ったりもします。
いくら北海道と本州が新幹線で結ばれ、所要時間短縮やそれに伴う通勤・通学輸送が東北と道南で双方で日帰りで行き来しやすくなったとはいえ、新幹線になったことで料金は高くなり、結局は単身赴任や単身住まいを選択した方がよいという場合もあるでしょう。如何せん引き続き移動に時間を要するため、いくら新幹線で所要時間が短くなったとしても、それは現実的ではないのです。また、道内と本州の行き来よりも札幌と函館の行き来の方が多く、このあたりも北海道側でひとまず部分開業した方がよかったのではないかと思ったりもします。
ただ北海道の場合、道内における用地買収や山間部を通すこともあり、新幹線開業には莫大なコストや時間、手間を必要とします。これらを早期に決着した場合は部分開業という方法が有利ですが、なかなかそうはいきません。西九州新幹線の部分開業を見ながら、改めてそう感じた次第です。
まもなく札幌駅周辺も北海道新幹線関連の本格的な工事が始まります。およそ10年後の札幌延伸ですが、待っていればそう遠くない未来なのでしょう。新幹線開業で北海道が大きく変わるといいですね。
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Twitterでその様子をリアルタイムで確認していると、このコロナ禍でも多くの人で賑わい、鉄道を楽しんでいる方々の様子が見えました。ファンのみならず、鉄道に目をむけているのは嬉しい限りです。
管理者も九州の鉄道は好きで、Instagramでは、九州の鉄道を撮影している方を複数人フォローしています。九州の好きなところは、かつての北海道のように、同じ列車でも複数の形式で運行されていることで、多彩な変化があり、時刻表を眺めるにしても楽しいことだらけなのです。
今回も新たに博多〜武雄温泉間の特急「リレーかもめ」、博多〜肥前鹿島間の特急「かささぎ」が登場しました。既存の車両が使用されるわけですが、使用車両が783系、787系、885系と複数にわたり、これもまたダイヤ改正前に発表された時刻表などから、どの列車にどの形式が入るかなど、予想を立てる楽しみがありました。また、特急「みどり」にも885系が久しぶりに充当されるようになり、充当列車は「白いみどり」という記載が新たにされています。
また、特急「みどり」については、一部列車が武雄温泉駅で新幹線「かもめ」と接続することから、接続列車については、「特急みどり(リレーかもめ)」となり、該当列車は行先表示に情報量が多くて大変みたいです。また、特急「ハウステンボス(リレーかもめ)」という列車もあるようで、凄く長い名前の特急列車が生まれています。
後者については、武雄温泉駅での新幹線アクセスとハウステンボスとのアクセスを両方担う列車であり、一つの列車で2つの場所あるいは列車にアクセスするという珍しい列車です。
今回も九州新幹線鹿児島ルート先行開業時の新八代駅のように、在来線と新幹線が同一ホームで接続できる体系が組まれ、このあたりは、前回の開業時に実施された方法が上手く反映され、接続列車や行先表示についても、同様の措置となっています。
ここから本題に入りますが、九州は昔言われていたJRの旅客鉄道の三島会社の中で、最も新幹線網が発展している旅客鉄道及びエリアです。九州新幹線開業時は部分開業という形で当初は孤立し、後に山陽新幹線と繋がって、九州と関西、あるいは関東、東北と一本で結ばれるようになりました。
いずれ西九州新幹線も既存の九州新幹線と繋がる計画だと思いますが、このあたり、北海道の新幹線網とは拡大の仕方が全く逆ですよね。
九州の場合は孤立した形で部分開業し、後に主要なルートと結ばれる流れなのに対し、北海道の場合は、主要ルートを延伸する形でようやく新函館北斗駅まで繋がりました。そして、2030年頃にはいよいよ札幌まで繋がる予定です。
北海道でも九州新幹線のように、先行して孤立して部分開業をする方法で新幹線網を拡充していけば、一体どのようになっていたのでしょうか?気になりますよね。
新幹線記事を探しても、実は北海道における部分開業の関連記事はなかなかないのです。実は一時期、札幌延伸開業を前に、道南側から倶知安まで部分開業する話があったのです。ですが、その記事を閲覧している中で、管理者としてもその部分開業については、実現するには難しいという見方でした。
倶知安駅に新幹線が設置される話が出た当初は、同駅に停車する本数が1日2往復程度しか考慮されていませんでした。その頃はまだ周辺がリゾートブームから程遠い頃の話で、実際に周辺の地価が高騰し、リゾートブームに乗り始めた頃に、倶知安までの先行開業の話が持ち上がったのです。理由はリゾートブームに乗っかって、新幹線を開業させることで観光需要における集客を期待できるというものでした。
実際に開業してみないとわかりませんが、いくら倶知安エリア周辺がリゾートブームで盛り上がっているとはいえ、現状の特急「北斗」や函館本線山線の実情を踏まえると、利用のメインは札幌と新函館北斗の利用になります。仮に倶知安まで先行開業したとしても、札幌までのアクセスをどうするか?という課題があります。
かつてのメインルートとはいえ、函館本線山線は速度制限を受けるため、リレー特急を設定して札幌までのアクセスを考慮しても所要時間短縮の効果は薄く、利便性によっては、まさかの新幹線が選ばれない可能性もあるのです。結局この話は公にあまり広がることなく、札幌まで一括延伸という形になりましたが、やはり札幌があっての北海道新幹線である以上、部分開業は難しい場合があるのです。
例えば、札幌〜長万部間や札幌〜新函館北斗間が先行して部分開業していたら一体どうなったのでしょうか?
前者の場合、並行在来線として小樽〜長万部間が経営分離されます。実際は三セク化もされずに廃止されてしまいますが、札幌〜長万部間が先行開業した場合というのは、在来線にとっても影響を少なくでき、かつ速達性を確保できるのです。
2012年の時点で道が未開業区間についての所要時間の想定を公表していますが、速達運転を想定した場合によると、札幌〜新小樽(仮称)間で約12分、新小樽(仮称)〜長万部間で約25分です。40分以内で札幌と長万部を結ぶことができます。現行では、最速の特急「北斗2号」で2時間08分、130km/h運転時代では、2時間を切るぐらいが最速でしたので、1時間以上所要時間を短縮することができます。
ただ欠点としては、新幹線が先行開業しても、引き続き長万部〜函館間の輸送は特急「北斗」によって確保しなければなりません。また、室蘭本線は並行在来線に該当しないため、つまり特急「北斗」は新幹線開業による廃止などの制約は受けないのです。新幹線が開業すれば在来線特急を廃止にできたり、長い距離や区間でJRの手から経営分離させることができますが、札幌〜長万部間を開業させるだけでは、その恩恵がないのです。
では後者の場合はどうなるか?
後者の場合だと、長万部〜新函館北斗間を経営分離することができます。所要時間は約1時間05分で、昨今において、新幹線開業後の対応について議論している区間です。JR貨物も単独で路線を維持することは不可能と言及しており、かといって特急を廃止した場合においての同区間のローカル輸送はもはや鉄道という大量輸送の使命を終えた状況になると言っても過言ではないでしょう。
ですが一方、同区間は貨物の主要ルートであり、道内と本州を結ぶ物流ルートとしては欠かせない区間です。また、道央エリアやその他道内のエリアへの例えば在来線車両の甲種輸送などの際も必要な区間です。こうした特殊な状況下に置かれているため、先日コメントをいただき、国も交えて協議を検討していくようです。
もちろん後者の方が新幹線開業効果が大きく、不採算路線あるいは区間をより多く手放すことができます。また、特急「北斗」の廃止で車両の転配も実施できます。経営難に陥っているJR北海道にとっては、本州から従来どおりに新幹線を延伸開業させる方法ではなく、九州のような離れ小島の部分開業という方法を選択し、早期に在来線を手放し、経営難を乗り越える方法の方が昨今のような苦境に立たされずに済んだのではないかと思ったりもします。
いくら北海道と本州が新幹線で結ばれ、所要時間短縮やそれに伴う通勤・通学輸送が東北と道南で双方で日帰りで行き来しやすくなったとはいえ、新幹線になったことで料金は高くなり、結局は単身赴任や単身住まいを選択した方がよいという場合もあるでしょう。如何せん引き続き移動に時間を要するため、いくら新幹線で所要時間が短くなったとしても、それは現実的ではないのです。また、道内と本州の行き来よりも札幌と函館の行き来の方が多く、このあたりも北海道側でひとまず部分開業した方がよかったのではないかと思ったりもします。
ただ北海道の場合、道内における用地買収や山間部を通すこともあり、新幹線開業には莫大なコストや時間、手間を必要とします。これらを早期に決着した場合は部分開業という方法が有利ですが、なかなかそうはいきません。西九州新幹線の部分開業を見ながら、改めてそう感じた次第です。
まもなく札幌駅周辺も北海道新幹線関連の本格的な工事が始まります。およそ10年後の札幌延伸ですが、待っていればそう遠くない未来なのでしょう。新幹線開業で北海道が大きく変わるといいですね。
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