fc2ブログ

プロフィール

管理人

Author:管理人
北海道の鉄道の内容を中心に自身の知識も含めながらブログの記事を日々更新しています。札幌市在住のため、主に札幌圏を走行する列車についての話題です。

<公式Facebook>


<公式Twitter>


<公式Instagram>

Amazon.co.jp(鉄道雑誌その他)

RSS

【コラム】西九州新幹線が開業!北海道とは真逆の新幹線網の拡充

昨日、西九州新幹線(武雄温泉〜長崎間)が開業しました。

Twitterでその様子をリアルタイムで確認していると、このコロナ禍でも多くの人で賑わい、鉄道を楽しんでいる方々の様子が見えました。ファンのみならず、鉄道に目をむけているのは嬉しい限りです。

管理者も九州の鉄道は好きで、Instagramでは、九州の鉄道を撮影している方を複数人フォローしています。九州の好きなところは、かつての北海道のように、同じ列車でも複数の形式で運行されていることで、多彩な変化があり、時刻表を眺めるにしても楽しいことだらけなのです。

今回も新たに博多〜武雄温泉間の特急「リレーかもめ」、博多〜肥前鹿島間の特急「かささぎ」が登場しました。既存の車両が使用されるわけですが、使用車両が783系、787系、885系と複数にわたり、これもまたダイヤ改正前に発表された時刻表などから、どの列車にどの形式が入るかなど、予想を立てる楽しみがありました。また、特急「みどり」にも885系が久しぶりに充当されるようになり、充当列車は「白いみどり」という記載が新たにされています。

また、特急「みどり」については、一部列車が武雄温泉駅で新幹線「かもめ」と接続することから、接続列車については、「特急みどり(リレーかもめ)」となり、該当列車は行先表示に情報量が多くて大変みたいです。また、特急「ハウステンボス(リレーかもめ)」という列車もあるようで、凄く長い名前の特急列車が生まれています。

後者については、武雄温泉駅での新幹線アクセスとハウステンボスとのアクセスを両方担う列車であり、一つの列車で2つの場所あるいは列車にアクセスするという珍しい列車です。


今回も九州新幹線鹿児島ルート先行開業時の新八代駅のように、在来線と新幹線が同一ホームで接続できる体系が組まれ、このあたりは、前回の開業時に実施された方法が上手く反映され、接続列車や行先表示についても、同様の措置となっています。


ここから本題に入りますが、九州は昔言われていたJRの旅客鉄道の三島会社の中で、最も新幹線網が発展している旅客鉄道及びエリアです。九州新幹線開業時は部分開業という形で当初は孤立し、後に山陽新幹線と繋がって、九州と関西、あるいは関東、東北と一本で結ばれるようになりました。

いずれ西九州新幹線も既存の九州新幹線と繋がる計画だと思いますが、このあたり、北海道の新幹線網とは拡大の仕方が全く逆ですよね。

九州の場合は孤立した形で部分開業し、後に主要なルートと結ばれる流れなのに対し、北海道の場合は、主要ルートを延伸する形でようやく新函館北斗駅まで繋がりました。そして、2030年頃にはいよいよ札幌まで繋がる予定です。

北海道でも九州新幹線のように、先行して孤立して部分開業をする方法で新幹線網を拡充していけば、一体どのようになっていたのでしょうか?気になりますよね。

新幹線記事を探しても、実は北海道における部分開業の関連記事はなかなかないのです。実は一時期、札幌延伸開業を前に、道南側から倶知安まで部分開業する話があったのです。ですが、その記事を閲覧している中で、管理者としてもその部分開業については、実現するには難しいという見方でした。

倶知安駅に新幹線が設置される話が出た当初は、同駅に停車する本数が1日2往復程度しか考慮されていませんでした。その頃はまだ周辺がリゾートブームから程遠い頃の話で、実際に周辺の地価が高騰し、リゾートブームに乗り始めた頃に、倶知安までの先行開業の話が持ち上がったのです。理由はリゾートブームに乗っかって、新幹線を開業させることで観光需要における集客を期待できるというものでした。

実際に開業してみないとわかりませんが、いくら倶知安エリア周辺がリゾートブームで盛り上がっているとはいえ、現状の特急「北斗」や函館本線山線の実情を踏まえると、利用のメインは札幌と新函館北斗の利用になります。仮に倶知安まで先行開業したとしても、札幌までのアクセスをどうするか?という課題があります。

かつてのメインルートとはいえ、函館本線山線は速度制限を受けるため、リレー特急を設定して札幌までのアクセスを考慮しても所要時間短縮の効果は薄く、利便性によっては、まさかの新幹線が選ばれない可能性もあるのです。結局この話は公にあまり広がることなく、札幌まで一括延伸という形になりましたが、やはり札幌があっての北海道新幹線である以上、部分開業は難しい場合があるのです。

例えば、札幌〜長万部間や札幌〜新函館北斗間が先行して部分開業していたら一体どうなったのでしょうか?

前者の場合、並行在来線として小樽〜長万部間が経営分離されます。実際は三セク化もされずに廃止されてしまいますが、札幌〜長万部間が先行開業した場合というのは、在来線にとっても影響を少なくでき、かつ速達性を確保できるのです。

2012年の時点で道が未開業区間についての所要時間の想定を公表していますが、速達運転を想定した場合によると、札幌〜新小樽(仮称)間で約12分、新小樽(仮称)〜長万部間で約25分です。40分以内で札幌と長万部を結ぶことができます。現行では、最速の特急「北斗2号」で2時間08分、130km/h運転時代では、2時間を切るぐらいが最速でしたので、1時間以上所要時間を短縮することができます。

ただ欠点としては、新幹線が先行開業しても、引き続き長万部〜函館間の輸送は特急「北斗」によって確保しなければなりません。また、室蘭本線は並行在来線に該当しないため、つまり特急「北斗」は新幹線開業による廃止などの制約は受けないのです。新幹線が開業すれば在来線特急を廃止にできたり、長い距離や区間でJRの手から経営分離させることができますが、札幌〜長万部間を開業させるだけでは、その恩恵がないのです。


では後者の場合はどうなるか?

後者の場合だと、長万部〜新函館北斗間を経営分離することができます。所要時間は約1時間05分で、昨今において、新幹線開業後の対応について議論している区間です。JR貨物も単独で路線を維持することは不可能と言及しており、かといって特急を廃止した場合においての同区間のローカル輸送はもはや鉄道という大量輸送の使命を終えた状況になると言っても過言ではないでしょう。

ですが一方、同区間は貨物の主要ルートであり、道内と本州を結ぶ物流ルートとしては欠かせない区間です。また、道央エリアやその他道内のエリアへの例えば在来線車両の甲種輸送などの際も必要な区間です。こうした特殊な状況下に置かれているため、先日コメントをいただき、国も交えて協議を検討していくようです。


もちろん後者の方が新幹線開業効果が大きく、不採算路線あるいは区間をより多く手放すことができます。また、特急「北斗」の廃止で車両の転配も実施できます。経営難に陥っているJR北海道にとっては、本州から従来どおりに新幹線を延伸開業させる方法ではなく、九州のような離れ小島の部分開業という方法を選択し、早期に在来線を手放し、経営難を乗り越える方法の方が昨今のような苦境に立たされずに済んだのではないかと思ったりもします。

いくら北海道と本州が新幹線で結ばれ、所要時間短縮やそれに伴う通勤・通学輸送が東北と道南で双方で日帰りで行き来しやすくなったとはいえ、新幹線になったことで料金は高くなり、結局は単身赴任や単身住まいを選択した方がよいという場合もあるでしょう。如何せん引き続き移動に時間を要するため、いくら新幹線で所要時間が短くなったとしても、それは現実的ではないのです。また、道内と本州の行き来よりも札幌と函館の行き来の方が多く、このあたりも北海道側でひとまず部分開業した方がよかったのではないかと思ったりもします。

ただ北海道の場合、道内における用地買収や山間部を通すこともあり、新幹線開業には莫大なコストや時間、手間を必要とします。これらを早期に決着した場合は部分開業という方法が有利ですが、なかなかそうはいきません。西九州新幹線の部分開業を見ながら、改めてそう感じた次第です。


まもなく札幌駅周辺も北海道新幹線関連の本格的な工事が始まります。およそ10年後の札幌延伸ですが、待っていればそう遠くない未来なのでしょう。新幹線開業で北海道が大きく変わるといいですね。










↓ブログランキングにご協力お願いします↓


にほんブログ村

鉄道コム
関連記事
トラックバック
トラックバック送信先 :
コメント
11830: by 九州人 on 2022/09/24 at 22:22:59

仰ることはよく分かるのですが、そもそも1996年の時点で青函トンネルとの絡みで新青森から新函館までの手続きが先行しているのですよね。
なのでJR北の財政だ車両の都合だは札幌先行開業の論拠には成り得ないのですよね。当時は顕在化していない事情なので。
加えて整備新幹線の予算は毎年決まっている全国のパイを各地で奪い合う形なので、距離もあり予算もかかる札幌新函館の先行開業は非現実的だったのでは無いでしょうか。九州北陸の工事もありますから。
新八代先行開業は新幹線が熊本で止まっては困る鹿児島県と、時間短縮効果の大きいJR九州の利害が一致した結果のもので、そういう政治的な動きも必要です。
加えて新八代は路線全体のほぼ中間なので予算の都合も付けやすかったのでは無いでしょうか。
ともあれ一日も早く札幌に新幹線が繋がるのをお祈り申し上げます。長崎のようなものを造っても、仕方がないですからね。

11831: by ツナ缶 on 2022/09/24 at 23:14:59

リレー方式の欠点はやはり乗り換えです。西九州新幹線の場合、博多~武雄が約1時間で武雄~長崎が約30分でなかなか慌ただしいです。本文の「前者」を前提にすると、札幌から長万部まで約40分、長万部から函館まで現行で大体1時間半、乗り換え時間も入れて大体2時間15分辺りと想定します。丘珠~函館の飛行機が約40分ですが札幌駅~函館駅とすると2時間ぐらいでしょうか。定価だとリレー方式の鉄道がおそらく\11000程度、飛行機(HAC)の定価は\19950。バスだと時間は約5時間50分、定価は\4900。ちょうど飛行機とバスの真ん中のレベル(?)でしょうか。乗り換えがあるとは言え、現行と約50分違いますし、バスに比べ2倍以上の値段がしますが1/2以下の時間なので全然対抗できたのではないかと思います。「車内でゆっくり」はちょっと難しくなるのではと思います。人によってはその先の新函館北斗でまた乗り換える場合もあるので。

以下完全に私事で大変恐縮ですが、今月5日の記事のコメントにも返信してくださるとうれしいです。。

11832: by 江東の住人 on 2022/09/25 at 13:10:20

少々論点がズレるかもしれませんが、並行在来線について一言。

新函館北斗〜長万部をどうするかで、侃侃諤諤の議論になってますが、これはそもそもの制度設計(貨物の走る並行在来線の分離)が間違っていると思います。

この区間を国に委ねるとなったら他の並行在来線3セクとの整合性がとれなくなります。というかそんな性質の区間を3セク化するのが間違いなんです。
3セクには「廃業の自由」があるべきではないでしょうか。
典型例がふるさと銀河線です。結局赤字に耐えきれず廃業になりましたが、それは役目を終えたということで、あれはあれでよいのです。
でも貨物系並行在来線3セクにはこれは許されない。赤字に耐えられなくなったからといって廃業するわけにはいきません。貨物の通り道だからです。
もちろんその時は国が支援に乗り出すでしょうけど、それは3セク化を否定してるに等しい。

新函館北斗〜長万部に国が介入するのなら、他の貨物系並行在来線3セクも声を上げるべきでしょう。
具体的には浅虫温泉〜三沢、三戸〜沼宮内、糸魚川〜入善、八代〜川内とか旅客営業を廃止して国に委ねるべきかと。

11835:札幌長万部間 by ぼんすけ on 2022/09/26 at 18:02:58 (コメント編集)

民主党政権になるちょっと前に、自民党内で札幌長万部間のスーパー特急の構想があったことを記憶しています。ま、長万部以南の在来線が非電化な時点で実現可能性は低かったでしょうが、その時点で工事が始まっていれば開業が前倒しになったでしょうね。

11837: by 管理人 on 2022/09/28 at 23:15:55

>>九州人さん、コメントありがとうございます。

現時点で記事中の理想論を展開しても意味ないんですけどね。

仰るとおり、整備新幹線は予算の限度があり、北海道の場合は用地買収や大半の区間がトンネルということで、莫大な建設コストがかかります。費用対効果を考慮すると、北海道新幹線は大したことはなく、後回しにされるのも当然ですよね。

現在建設が進む、あるいは先日まで建設していた九州や北陸と比較してしまうと、後回しにされる理由というのが鉄道の歴史を見ても納得できます。首都圏と北陸は国鉄時代から優等列車で長時間かけて結ばれており、東京〜北陸の各地方の所要時間について意識されてきました。九州は首都圏ではなく関西エリアからの所要時間を意識しています。西九州新幹線開業時の新大阪〜長崎間の最速3時間59分の記載を見れば分かります。

対して北海道はというと、確かに豪華寝台列車が走り、青函トンネルがあって道内と本州を結べるようになった、あるいは新幹線ができて東京まで直通している事実はありますが、道内と本州の移動は新幹線が開業してもメインは航空機です。道央エリアからだと、まず函館まで行くのが億劫なんですよね。

たとえ開業したとしても、札幌と函館の移動以外は大したことはありません。ご心配ありがとうございます。

11838: by 管理人 on 2022/09/28 at 23:21:49

>>ツナ缶さん、コメントありがとうございます。

乗り換えは面倒ですよね。西九州新幹線でも新大阪〜長崎間の所要時間3時間59分と記載されていたと思いますが、それが博多で在来線乗り換えにおける数字なんですよね。でも新鳥栖まで直通しても一度は在来線に乗り換えるわけで、少なくとも2度乗り換えしますから、やはり直通運転をしてほしいところですよね。

それを考えると、やっぱり北海道でも部分開業は難しくなってきますよね。所要時間短縮だけに焦点を当てればいいですが、なかなか難しいですよね。

11839: by 管理人 on 2022/09/28 at 23:37:17

>>江東の住人さん、コメントありがとうございます。

北海道で道南いさりび鉄道が良き例なんです。

あれもローカル列車を走らせながら、実は貨物列車が頻繁に走り、線路使用料も受け取っています。同鉄道が廃止されても困るんですよね。仰っている「廃業の自由」には程遠いんですよ。

実際は国などが介入せずに赤字ながらも存続しています。一応五稜郭〜上磯間は函館近郊区間で、通勤・通学利用も多いので維持できているようなものです。

いさりび鉄道と長万部〜新函館北斗間の決定的な違いは路線の距離ですよね。しかも沿線は規模が小さい自治体のため、距離に応じた維持もできず、いさりび鉄道でさえ、線路使用料が貨物から発生しても赤字なのですから、同様に赤字になるのは必須なのです。

国が鉄道の問題に関与したくないのは明白で、北海道では(株)北海道高速鉄道開発が良き例です。直接国が関与すればよい話なのに、なぜか間に三セクを入れるんですよね。

個人的には何か問題が発生した場合に、責任を取らせるための囮としか思えません。逆に三セクがあるんだったら、三セクに路線を保有させるのも1つの手だと思っています。

11842: by 管理人 on 2022/09/28 at 23:53:10

>>ぼんすけさん、コメントありがとうございます。

だったらちょうど民主党の勢いが増しに増していた頃ですよね。でも自民党でその案が出ていたのは不思議なくらいです。

北海道は民主党は強いですから、そうした構想が政権交代後だとある程度納得するんですがそれは驚きです。

札幌〜長万部間に新幹線を通すだけで大幅な所要時間短縮になります。山線は速度制限を受け、室蘭本線は遠回りですからね。実現したらしたで面白かったと思います。

11843:札幌長万部間 参考 by ぼんすけ on 2022/09/29 at 17:45:35 (コメント編集)

この経緯については 「北海道新幹線をめぐる政治過程と並行在来線問題」で検索して出てくる角一典氏の論文に分かりやすく記載がありますので御参考まで。

11844: by 管理人 on 2022/09/30 at 22:22:25

>>ぼんすけさん、再度コメントありがとうございます。

詳細ありがとうございます。検索して読んでみますね。

11863: by 苗穂住民 on 2022/10/09 at 00:23:22

 こんばんは。

 北海道新幹線の誘致に関しては、まず(新青森から)新函館までという声が大きかったようです。建設区間148.8kmのうち青函トンネルを含む82.0kmは新幹線対応で建設済でしたので、これを生かせるというのが理由の一つだったと思います。

 時間短縮効果の大きい札幌~長万部間124.4kmを先行開業させていたらどうなっていたでしょう。車両基地は暫定で長万部、新幹線車両は1編成当たり10両も必要無く、在来線特急の運行区間や編成も変わっていたかもしれませんね。

 西九州新幹線も九州新幹線と同様、飛び地で開業しましたが、新八代~鹿児島中央間開業時とは事情が異なり、新鳥栖~武雄温泉間(在来線走行なら50.4km)は現時点で整備方針が決まっていないという状況です。新鳥栖~長崎間は120km前後で、本来なら直通で一気に開業する距離ですが、FGT開発の失敗で乗り継ぎになってしまっていると言えそうです。

11866: by 管理人 on 2022/10/12 at 22:05:53

>>苗穂住民さん、コメントありがとうございます。

どちらかというと、道内で完結する新幹線は道民の望む声は聞かなかったですよね。やはり、本州から新幹線がやってくるというのが夢のまた夢のような話で、それが6年前にようやく実現しました。

車両基地については道内は函館1か所のようで、札幌は留置線が設けられる程度です。札幌〜長万部間で開業したら長万部に設けるのは必須であ理、新幹線計画は現在のものより大きく変わっていたことでしょう。そうなっていた場合、九州の部分開業のように6両編成程度で十分です。

管理者はFGTには反対で、新幹線を設けるのであれば、全区間でフル規格にしないと効果は得られにくいです。

いずれは新鳥栖〜武雄温泉間も通すんでしょうが、整備方針すら決まっていなければ、何年先になるかわからない状況です。早めに直通運転を実施し、リレー方式を解消しないといつまで経っても不便なママですよね。

11869:JR貨物、貨物専用新幹線車両の設計を検討する方針を明言 by 龍 on 2022/10/14 at 02:09:50 (コメント編集)

2022年10月12日、JR貨物が『「今後の鉄道物流のあり方に関する検討会」中間とりまとめに対するKGI/KPIの設定(2025年度目標)について』というプレスリリースを発表しました。

https://www.jrfreight.co.jp/info/2022/files/20221012_04.pdf

この中には以下のような記述が明記されています。

課題…新幹線による貨物輸送の拡大に向けた検討の具体化
KPI(2025年度)…国が中心となった検討会への参画・貨物専用新幹線車両の設計検討

JR貨物社長の犬飼新氏は、同日の定例記者会見で「当社は新幹線の知見がなく、ほかのJR各社、車両メーカーの知見をフルに伝授していただくか、(それらの会社と)一緒に検討していくことになると思う」と述べ、これを受けてJR北海道社長の綿貫泰之氏も10月13日の定例記者会見で「今後検討が進んでいくことを期待している」と述べています。

既存の新幹線車両による貨客混載や、パレット方式による荷物輸送ではなく、貨物専用の新幹線車両の設計を検討する方針を明確に打ち出したことになります。どこまで実現可能なのか、貨物を積み替える技術や拠点整備など山積みの課題をクリアできるのかといった懸念はありますが、JR貨物としては本気で取り組むつもりであるということは確かのようです。まだ何も決まっていないとはいえ、これには本当に驚きました。

仮に貨物専用の新幹線車両が実用化されるとなると、真っ先に導入が考えられるのは東北・北海道新幹線ですが、これはJRから経営分離された並行在来線を引き継いだ第3セクター鉄道(IGRいわて銀河鉄道・青い森鉄道・道南いさりび鉄道)や、そもそも第3セクター鉄道への転換どころか鉄道路線としての存続自体が危ぶまれている函館本線にも関わることなので、今後の動向が注目されます。

11872: by 管理人 on 2022/10/17 at 00:05:19

>>龍さん、コメントありがとうございます。

貨物新幹線を実現するにあたっては、やはり大規模なヤードが必要です。既存の設備のままホームで荷物を積載する方式とするのであれば、ホーム柵を改良し、フォークリフトを配備、大型トラックで流行りの両側ウィングタイプの車体とし、パレットごと積載できるような方針とすれば、広大なヤードは必要ありません。

ただ、車両の建築限界の問題が浮上するようになり、現在の新幹線のボディをそのまま活用するにしても、空力などのために車高そのものが低いため、座席を全てなくすにしても輸送量が限られてしまいます。

しかしながら、貨物が新幹線の活用を前向きに考えるということは、特に道内と本州の物資輸送に大きな影響を与えると思います。これに伴う並行在来線の存廃問題にも大きく関わってくると思いますが、今後の進展に期待です。

11959: by 龍 on 2022/11/08 at 02:35:55 (コメント編集)

西九州新幹線は新鳥栖駅〜武雄温泉駅間の着工の目処が立たず、苦しい状況です。JR九州としては、西九州新幹線の全線(新鳥栖駅〜長崎駅間)フル規格での開通による山陽新幹線(新大阪駅〜博多駅間)・九州新幹線(博多駅〜新鳥栖駅間)との相互直通運転の実施に持っていきたいのです。車両の運用効率も良くなりますし、関西〜長崎間の直通需要も増やしたいですから。

前社長の青柳俊彦氏も2019年のインタビューで、「鉄道会社にとって、これからは新幹線の時代だと思う。高速道路網が充実し、地方では移動手段として、車より在来線が選ばれるという状況はあまりない。交通手段として生き残れるのは、都市間の大量輸送を担える新幹線の方だ」とハッキリ言い切っています。早い話、「在来線を今後いくら改良しようが小手先にしかならない。それなら、振り子をもってしても単線でこれ以上の高速化は望むべくもない在来線を捨てて、最初から複線でメンテナンスやさらなる高速化が効率的かつ容易で、なおかつ災害にも強い新幹線に切り替えた方がいい」と考えるのは確かに理に叶ってはいるのかなと。

また、「リレーかもめ」・「かささぎ」に使用している分を他線区に回し、長崎本線・佐世保線の在来線特急は「みどり」・「ハウステンボス」のみにしたいのでしょう。さすがに「みどり」・「ハウステンボス」を武雄温泉発着にするということはないと思いますが、フル規格で整備できるかどうかで在来線の特急形電車の置き換えなどにも大きく影響が出ます。余分な特急形電車を製造しなくて済むわけですからね。もちろん、佐賀県としてはそんな事情は知ったことではないというわけですが。

11961: by 管理人 on 2022/11/11 at 22:58:41

>>龍さん、再度コメントありがとうございます。

鉄道は航空機も高速道路も相手にしなければならないので大変です。そうなれば、対抗できるのは新幹線しかないのです。

在来線も地上設備上の制約や、車両側も性能の限界に達しています。現状維持が精一杯であり、これ以上のスピードアップは新幹線に委ねるしかないのです。

フリーゲージトレインなど、様々な話が出ていましたが、管理者としても全線フル規格で開業した方が利点も多いので、やはりフル規格で開業させるべきなのです。利用者側もその意見が多いはずです。

JR九州としても、10年位前の時点で、特急車両の今後について、新車などはしばらく投入せずに更新等で延命していく方針としていたはずです。このことからも、在来線については将来性があまり考慮されておらず、現在使用している車両たちが経年に達した際も、後継車両をどの程度製造すべきなのか等、難しい判断を迫られます。

九州は一見観光列車をバンバン走らせて華やかに見えますが、実は将来の見通しがわからない状況なので、やはり新幹線にある程度委ね、在来線の規模を縮小する方向へ持っていきたいというのが見えます。

関西方面から長崎へ行く際、新幹線、在来線、新幹線の乗り継ぎはやはり手間であり、早期改善を願います。

▼このエントリーにコメントを残す