"HET183"から"FURICO283"へ〜2023年春、キハ283系が石北へ
キハ283系 - 2022年10月21日 (金)
苗穂運転所(札ナホ)転属となっているキハ283系。




長らくその動向が注目されていましたが、今年7月に正式に発表されたとおり、キハ183系を置き換えるべく、石北特急に転用されることになりました。
時期は2023年春。来年3月のダイヤ改正を機に、置き換えられることになるでしょう。
今現在でわかっていることは、比較的製造年が新しい残っている25両を継続使用します。

特急「おおぞら」ではグリーン車も4両残っていましたが、既に廃車・解体されています。先日報道でもありましたが、キハ281系引退後について、保有する27両は全て廃車になるということで、一部で憶測が流れていたキハ281系のグリーン車、キロ280形のグリーン車のみ転用する可能性もなくなりました。
石北特急転用に際し、特段大きな改造等は実施されず、塗装変更なども実施しません。キハ283系は振り子式車両ですが、これも使用しない方針です。
昨今、石北本線で試運転が実施されていますが、現在のキハ183系の編成より1両少ない3両編成となっています。単純にグリーン車だけ減車した形ですが、特急「オホーツク」充当時は札幌直通のため、札幌〜旭川間における自由席主体利用などの問題が生じてきますが、3両編成を基本編成とした場合、このあたりの対応をどうするのか気になります。
製造費用の高額が理由なのか知りませんが、JR北海道においても、石北特急に使用するキハ261系を確保することができず、このキハ283系の転用は苦渋の決断でした。現存するキハ283系を使用可能と判断したという経緯から、元々はやはり転用する方針はなかったのでしょう。
キハ261系の最終製造数および発注数は数年前の時点で既に確定しており、この時点でキハ283系の転用がJR北海道社内内部で決められていたと思います。それが実際に現実になったわけですが、日本国内において、在来線において制御つき自然振り子式車両の転用は前例がなく、振り子の使用の有無に関わらず、実現すれば初の事例となります。
振り子式車両は特定の路線や線区向けに対し、高速化によってその威力を発揮しますが、特化した設備ゆえ、ランニングコストや整備の手間がかかり、汎用性に乏しく、転用等が難しいのが現状です。
JR東日本で「スーパーあずさ」として使用していたE351系は転用されることなく廃車になり、JR四国の2000系も先に登場したキハ185系を置き換えることなく廃車になりました。一部は残存し、定期列車では「あしずり」、「宇和海」で活躍しており、繁忙期になれば、「しまんと」にも代走で使用します。
話題が逸れてしまいましたが、既存の車両を活用せざるを得ないということは、それだけ苦しい状況が伺えます。石北本線はJR北海道で言う黄色線区に指定されており、将来的な展望が見えない状況。不採算路線については、来年度中にアクションプランの成果から検証を行い、今後の方向性が示されます。
収支改善で成果を挙げるか、沿線自治体も一部負担したうえで穴埋めをしていかなければ、今後廃止する路線や区間を増やさざるを得なくなります。
そのような状況下で、石北本線向けに車両を新たに用意することは現実的ではなく、比較的製造年の新しい中古車を転用する形で使用していかざるを得ない状況ということになります。
ちなみに、石北線のアクションプランについて、同線における必要な更新車両数は47両にものぼり、そのうち特急用車両が20両です。キハ261系を新製するのであれば、遠軽方、札幌方または網走方のユニットが5本ずつの20両という計算です。車両更新費用は全部で114億円で、特急用車両はそのうちの60億円です。普通列車用はH100形を想定した費用となっています。
そのような厳しい状況の中で、キハ183系を置き換えて、キハ283系が石北特急として再出発します。事前に伺った話によれば、キハ283系化されることで性能は向上しているものの、あくまでキハ183系の置き換えを念頭に置いているものであり、置き換えによって特段高速化されるということはないようです。ただ、全車両が2エンジン搭載となっており、キハ183系の一部車両のような1軸駆動の車両とは異なり、駆動軸が自動的に最低2本確保されることで、急勾配区間における登板性能及び、空転対策という点においては、キハ283系の方が優れているということは言うまでもありません。絶対に空転しないわけではありませんが、空転で勾配区間を走行できずに引き返すということはほぼなくなるでしょう。

キハ283系デビュー時、誰しもが想定しなかった石北特急への転用。長くてもおそらく、北海道新幹線の札幌延伸までの期間になるでしょう。老体に鞭打つキハ283系。なかなか休ませてくれそうにありませんね。
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長らくその動向が注目されていましたが、今年7月に正式に発表されたとおり、キハ183系を置き換えるべく、石北特急に転用されることになりました。
時期は2023年春。来年3月のダイヤ改正を機に、置き換えられることになるでしょう。
今現在でわかっていることは、比較的製造年が新しい残っている25両を継続使用します。

特急「おおぞら」ではグリーン車も4両残っていましたが、既に廃車・解体されています。先日報道でもありましたが、キハ281系引退後について、保有する27両は全て廃車になるということで、一部で憶測が流れていたキハ281系のグリーン車、キロ280形のグリーン車のみ転用する可能性もなくなりました。
石北特急転用に際し、特段大きな改造等は実施されず、塗装変更なども実施しません。キハ283系は振り子式車両ですが、これも使用しない方針です。
昨今、石北本線で試運転が実施されていますが、現在のキハ183系の編成より1両少ない3両編成となっています。単純にグリーン車だけ減車した形ですが、特急「オホーツク」充当時は札幌直通のため、札幌〜旭川間における自由席主体利用などの問題が生じてきますが、3両編成を基本編成とした場合、このあたりの対応をどうするのか気になります。
製造費用の高額が理由なのか知りませんが、JR北海道においても、石北特急に使用するキハ261系を確保することができず、このキハ283系の転用は苦渋の決断でした。現存するキハ283系を使用可能と判断したという経緯から、元々はやはり転用する方針はなかったのでしょう。
キハ261系の最終製造数および発注数は数年前の時点で既に確定しており、この時点でキハ283系の転用がJR北海道社内内部で決められていたと思います。それが実際に現実になったわけですが、日本国内において、在来線において制御つき自然振り子式車両の転用は前例がなく、振り子の使用の有無に関わらず、実現すれば初の事例となります。
振り子式車両は特定の路線や線区向けに対し、高速化によってその威力を発揮しますが、特化した設備ゆえ、ランニングコストや整備の手間がかかり、汎用性に乏しく、転用等が難しいのが現状です。
JR東日本で「スーパーあずさ」として使用していたE351系は転用されることなく廃車になり、JR四国の2000系も先に登場したキハ185系を置き換えることなく廃車になりました。一部は残存し、定期列車では「あしずり」、「宇和海」で活躍しており、繁忙期になれば、「しまんと」にも代走で使用します。
話題が逸れてしまいましたが、既存の車両を活用せざるを得ないということは、それだけ苦しい状況が伺えます。石北本線はJR北海道で言う黄色線区に指定されており、将来的な展望が見えない状況。不採算路線については、来年度中にアクションプランの成果から検証を行い、今後の方向性が示されます。
収支改善で成果を挙げるか、沿線自治体も一部負担したうえで穴埋めをしていかなければ、今後廃止する路線や区間を増やさざるを得なくなります。
そのような状況下で、石北本線向けに車両を新たに用意することは現実的ではなく、比較的製造年の新しい中古車を転用する形で使用していかざるを得ない状況ということになります。
ちなみに、石北線のアクションプランについて、同線における必要な更新車両数は47両にものぼり、そのうち特急用車両が20両です。キハ261系を新製するのであれば、遠軽方、札幌方または網走方のユニットが5本ずつの20両という計算です。車両更新費用は全部で114億円で、特急用車両はそのうちの60億円です。普通列車用はH100形を想定した費用となっています。
そのような厳しい状況の中で、キハ183系を置き換えて、キハ283系が石北特急として再出発します。事前に伺った話によれば、キハ283系化されることで性能は向上しているものの、あくまでキハ183系の置き換えを念頭に置いているものであり、置き換えによって特段高速化されるということはないようです。ただ、全車両が2エンジン搭載となっており、キハ183系の一部車両のような1軸駆動の車両とは異なり、駆動軸が自動的に最低2本確保されることで、急勾配区間における登板性能及び、空転対策という点においては、キハ283系の方が優れているということは言うまでもありません。絶対に空転しないわけではありませんが、空転で勾配区間を走行できずに引き返すということはほぼなくなるでしょう。

キハ283系デビュー時、誰しもが想定しなかった石北特急への転用。長くてもおそらく、北海道新幹線の札幌延伸までの期間になるでしょう。老体に鞭打つキハ283系。なかなか休ませてくれそうにありませんね。
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