意外と知られていない危機的状況の宗谷本線
その他あれこれ - 2022年11月24日 (木)
北海道は、原則として全てが赤字路線です。その中でも地方の路線ともなれば、赤字額は跳ね上がり、特に人口が元々少ない道北エリアの路線ともなれば、過去に廃止された路線もたくさんあれば、現状でも厳しい状況の路線が多いです。

その中でも特に危ないのが宗谷本線。将来的に全線廃止の方向で検討している留萌本線を除くと、道北エリアでは将来的な存続が次に危ないと言っても過言ではないでしょう。しかも留萌本線とは違って路線の距離が長く、特急列車も走ります。留萌本線をなくすとはまた意味合いが違ってきます。
ここで気づいてほしいのが、本線の存続が危ないということです。本州の人間からしたら、本線の存続が危ないというのは聞かないでしょう。
ですが北海道の場合、一部区間でありながら、留萌本線が既に廃止され、将来的には全線廃止の方向で調整しています。現在も不通となっており、存続を断念した根室本線の富良野〜新得間も根室本線です。小樽〜長万部間も函館本線です。これらの区間は以前の主要ルートであり、主要ルートの変更、短絡ルートが新たに設けられたことで、それ以降は普通列車しか走らないローカル線になってしまいました。
そして、国鉄分割民営化直後に廃止された名寄本線など、北海道で本線が廃止になることは珍しくないのです。
本線でありながら、宗谷本線が本当に危機的状況に直面しているという現状が我々に知れ渡ったのが2021年3月ダイヤ改正です。元々利用の僅少な駅を廃止するか、存続するかで自治体に判断を委ねていたわけですが、このダイヤ改正で存続する駅に関しては、自治体管理に移行する措置がとられました。
旅客駅としては存続したものの、言い換えれば、JR北海道からは戦力外となった駅です。これを自治体が救済しました。
ですが、救済した駅の中には、今年3月で廃止された歌内駅のように、自治体管理移行から僅か1年で廃止される駅も出てきました。歌内駅については、維持することが困難になったという理由ではなく、元々駅周辺住民から代替交通等に関して見通しが立てば廃止にするという方向で、決着がつき次第、旅客駅としての使命は終える予定でした。
宗谷本線は名寄駅を境に列車の本数が少なくなり、人口希薄地帯にもなります。車窓は何もない牧草地や山々を永遠とつづき、夜になれば街灯1つない真っ暗な中を永遠と走行します。
実際に乗ってみたり、沿線周辺の様子見るとわかりますが、鉄道路線があること自体すごいと感じることがたくさんあるでしょう。ローカル駅については、周辺に民家がポツリあるだけで、主要駅で少し賑やかというレベル。それでも列車が来ない時間帯に駅に人はおらず、もちろん歩いている人を見つけるのもやっとの状態です。
こんな状態の宗谷本線は、国鉄分割民営化までに、何度かにわたって旧仮乗降場から旅客駅に昇格した例がほとんどでした。実際にそうした駅は昨今まで概ね整理されており、この影響で旅客駅が減少しているのです。
10年前は旭川四条駅から駅数を数えると、稚内駅まで52駅ありました。それが今では39駅です。これだけを見ると旅客駅の整理ということを考えれば妥当な削減数かもしれませんが、ここから上述のとおり、自治体管理に移行した駅を含めないとすると、21駅まで減ります。
その中で、名寄以北だけに限定すれば、普通列車しか停車しない駅で自治体管理に移行していないのは智恵文駅と初野駅の2駅だけで、それ以外は全て特急の主要駅です。名寄以北に関しては、JR北海道として現状で必要な駅と判断されたのは10駅(名寄駅、智恵文駅、美深駅、初野駅、音威子府駅、天塩中川駅、幌延駅、豊富駅、南稚内駅、稚内駅)しかないのです。
名寄〜稚内間で実際の距離が200kmぐらいですから、10kmに1駅ある計算です。
日本最北の地へ続く路線として重要な役割を果たす一方、こうした現状に危機感を持たなければなりません。
以前複数の方からコメントをいただいていますが、宗谷本線は地理的上、国防の役割も果たすとされています。ただ、JRも収益が見込めなければ他の路線同様に廃止をせざるを得ない状況にもなります。
JR北海道としては、これ以上の廃止は現時点で予定していないものの、JR北海道で単独で維持することが困難な状況には引き続き変わりません。そこで、沿線自治体と存続に向けて動き出していかなければ、路線の存続は厳しい見方を示しています。
国防という観点が仮にあるとすれば、もちろん路線存続をしていくのであれば国が関与していくべきということは言うまでもありません。ただし、不採算路線へ税金を投入することは、国民への納得が得られるのかどうか。過去にJR北海道に対し、莫大な支援をした際も反対意見が山のようにありました。
鉄道の使命は大量輸送にあります。鉄道という領域だけで判断すれば、この大量輸送の役割は既に終えており、以前から何度も指摘しているとおり、北海道では高速道路網の拡充やマイカー需要が増えている以上、一方で利用が著しく減少した公共交通については役目を終え、その代替輸送手段に順次切り替えていくべきなのです。
これは宗谷本線以外にも当てはまってくることですが、現在はローカル駅のみが対象となっていますが、特急停車駅にも利用の僅少の駅はあります。今後は地方の人口減少でそうした傾向の駅はさらに出てくるでしょう。今後は特急停車駅についても、ある程度そうした判断が必要になってくるのではないでしょうか?
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その中でも特に危ないのが宗谷本線。将来的に全線廃止の方向で検討している留萌本線を除くと、道北エリアでは将来的な存続が次に危ないと言っても過言ではないでしょう。しかも留萌本線とは違って路線の距離が長く、特急列車も走ります。留萌本線をなくすとはまた意味合いが違ってきます。
ここで気づいてほしいのが、本線の存続が危ないということです。本州の人間からしたら、本線の存続が危ないというのは聞かないでしょう。
ですが北海道の場合、一部区間でありながら、留萌本線が既に廃止され、将来的には全線廃止の方向で調整しています。現在も不通となっており、存続を断念した根室本線の富良野〜新得間も根室本線です。小樽〜長万部間も函館本線です。これらの区間は以前の主要ルートであり、主要ルートの変更、短絡ルートが新たに設けられたことで、それ以降は普通列車しか走らないローカル線になってしまいました。
そして、国鉄分割民営化直後に廃止された名寄本線など、北海道で本線が廃止になることは珍しくないのです。
本線でありながら、宗谷本線が本当に危機的状況に直面しているという現状が我々に知れ渡ったのが2021年3月ダイヤ改正です。元々利用の僅少な駅を廃止するか、存続するかで自治体に判断を委ねていたわけですが、このダイヤ改正で存続する駅に関しては、自治体管理に移行する措置がとられました。
旅客駅としては存続したものの、言い換えれば、JR北海道からは戦力外となった駅です。これを自治体が救済しました。
ですが、救済した駅の中には、今年3月で廃止された歌内駅のように、自治体管理移行から僅か1年で廃止される駅も出てきました。歌内駅については、維持することが困難になったという理由ではなく、元々駅周辺住民から代替交通等に関して見通しが立てば廃止にするという方向で、決着がつき次第、旅客駅としての使命は終える予定でした。
宗谷本線は名寄駅を境に列車の本数が少なくなり、人口希薄地帯にもなります。車窓は何もない牧草地や山々を永遠とつづき、夜になれば街灯1つない真っ暗な中を永遠と走行します。
実際に乗ってみたり、沿線周辺の様子見るとわかりますが、鉄道路線があること自体すごいと感じることがたくさんあるでしょう。ローカル駅については、周辺に民家がポツリあるだけで、主要駅で少し賑やかというレベル。それでも列車が来ない時間帯に駅に人はおらず、もちろん歩いている人を見つけるのもやっとの状態です。
こんな状態の宗谷本線は、国鉄分割民営化までに、何度かにわたって旧仮乗降場から旅客駅に昇格した例がほとんどでした。実際にそうした駅は昨今まで概ね整理されており、この影響で旅客駅が減少しているのです。
10年前は旭川四条駅から駅数を数えると、稚内駅まで52駅ありました。それが今では39駅です。これだけを見ると旅客駅の整理ということを考えれば妥当な削減数かもしれませんが、ここから上述のとおり、自治体管理に移行した駅を含めないとすると、21駅まで減ります。
その中で、名寄以北だけに限定すれば、普通列車しか停車しない駅で自治体管理に移行していないのは智恵文駅と初野駅の2駅だけで、それ以外は全て特急の主要駅です。名寄以北に関しては、JR北海道として現状で必要な駅と判断されたのは10駅(名寄駅、智恵文駅、美深駅、初野駅、音威子府駅、天塩中川駅、幌延駅、豊富駅、南稚内駅、稚内駅)しかないのです。
名寄〜稚内間で実際の距離が200kmぐらいですから、10kmに1駅ある計算です。
日本最北の地へ続く路線として重要な役割を果たす一方、こうした現状に危機感を持たなければなりません。
以前複数の方からコメントをいただいていますが、宗谷本線は地理的上、国防の役割も果たすとされています。ただ、JRも収益が見込めなければ他の路線同様に廃止をせざるを得ない状況にもなります。
JR北海道としては、これ以上の廃止は現時点で予定していないものの、JR北海道で単独で維持することが困難な状況には引き続き変わりません。そこで、沿線自治体と存続に向けて動き出していかなければ、路線の存続は厳しい見方を示しています。
国防という観点が仮にあるとすれば、もちろん路線存続をしていくのであれば国が関与していくべきということは言うまでもありません。ただし、不採算路線へ税金を投入することは、国民への納得が得られるのかどうか。過去にJR北海道に対し、莫大な支援をした際も反対意見が山のようにありました。
鉄道の使命は大量輸送にあります。鉄道という領域だけで判断すれば、この大量輸送の役割は既に終えており、以前から何度も指摘しているとおり、北海道では高速道路網の拡充やマイカー需要が増えている以上、一方で利用が著しく減少した公共交通については役目を終え、その代替輸送手段に順次切り替えていくべきなのです。
これは宗谷本線以外にも当てはまってくることですが、現在はローカル駅のみが対象となっていますが、特急停車駅にも利用の僅少の駅はあります。今後は地方の人口減少でそうした傾向の駅はさらに出てくるでしょう。今後は特急停車駅についても、ある程度そうした判断が必要になってくるのではないでしょうか?
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