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北海道の鉄道の内容を中心に自身の知識も含めながらブログの記事を日々更新しています。札幌市在住のため、主に札幌圏を走行する列車についての話題です。

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意外と知られていない危機的状況の宗谷本線

北海道は、原則として全てが赤字路線です。その中でも地方の路線ともなれば、赤字額は跳ね上がり、特に人口が元々少ない道北エリアの路線ともなれば、過去に廃止された路線もたくさんあれば、現状でも厳しい状況の路線が多いです。



その中でも特に危ないのが宗谷本線。将来的に全線廃止の方向で検討している留萌本線を除くと、道北エリアでは将来的な存続が次に危ないと言っても過言ではないでしょう。しかも留萌本線とは違って路線の距離が長く、特急列車も走ります。留萌本線をなくすとはまた意味合いが違ってきます。

ここで気づいてほしいのが、本線の存続が危ないということです。本州の人間からしたら、本線の存続が危ないというのは聞かないでしょう。

ですが北海道の場合、一部区間でありながら、留萌本線が既に廃止され、将来的には全線廃止の方向で調整しています。現在も不通となっており、存続を断念した根室本線の富良野〜新得間も根室本線です。小樽〜長万部間も函館本線です。これらの区間は以前の主要ルートであり、主要ルートの変更、短絡ルートが新たに設けられたことで、それ以降は普通列車しか走らないローカル線になってしまいました。

そして、国鉄分割民営化直後に廃止された名寄本線など、北海道で本線が廃止になることは珍しくないのです。


本線でありながら、宗谷本線が本当に危機的状況に直面しているという現状が我々に知れ渡ったのが2021年3月ダイヤ改正です。元々利用の僅少な駅を廃止するか、存続するかで自治体に判断を委ねていたわけですが、このダイヤ改正で存続する駅に関しては、自治体管理に移行する措置がとられました。

旅客駅としては存続したものの、言い換えれば、JR北海道からは戦力外となった駅です。これを自治体が救済しました。

ですが、救済した駅の中には、今年3月で廃止された歌内駅のように、自治体管理移行から僅か1年で廃止される駅も出てきました。歌内駅については、維持することが困難になったという理由ではなく、元々駅周辺住民から代替交通等に関して見通しが立てば廃止にするという方向で、決着がつき次第、旅客駅としての使命は終える予定でした。

宗谷本線は名寄駅を境に列車の本数が少なくなり、人口希薄地帯にもなります。車窓は何もない牧草地や山々を永遠とつづき、夜になれば街灯1つない真っ暗な中を永遠と走行します。

実際に乗ってみたり、沿線周辺の様子見るとわかりますが、鉄道路線があること自体すごいと感じることがたくさんあるでしょう。ローカル駅については、周辺に民家がポツリあるだけで、主要駅で少し賑やかというレベル。それでも列車が来ない時間帯に駅に人はおらず、もちろん歩いている人を見つけるのもやっとの状態です。

こんな状態の宗谷本線は、国鉄分割民営化までに、何度かにわたって旧仮乗降場から旅客駅に昇格した例がほとんどでした。実際にそうした駅は昨今まで概ね整理されており、この影響で旅客駅が減少しているのです。

10年前は旭川四条駅から駅数を数えると、稚内駅まで52駅ありました。それが今では39駅です。これだけを見ると旅客駅の整理ということを考えれば妥当な削減数かもしれませんが、ここから上述のとおり、自治体管理に移行した駅を含めないとすると、21駅まで減ります。

その中で、名寄以北だけに限定すれば、普通列車しか停車しない駅で自治体管理に移行していないのは智恵文駅と初野駅の2駅だけで、それ以外は全て特急の主要駅です。名寄以北に関しては、JR北海道として現状で必要な駅と判断されたのは10駅(名寄駅、智恵文駅、美深駅、初野駅、音威子府駅、天塩中川駅、幌延駅、豊富駅、南稚内駅、稚内駅)しかないのです。

名寄〜稚内間で実際の距離が200kmぐらいですから、10kmに1駅ある計算です。

日本最北の地へ続く路線として重要な役割を果たす一方、こうした現状に危機感を持たなければなりません。

以前複数の方からコメントをいただいていますが、宗谷本線は地理的上、国防の役割も果たすとされています。ただ、JRも収益が見込めなければ他の路線同様に廃止をせざるを得ない状況にもなります。

JR北海道としては、これ以上の廃止は現時点で予定していないものの、JR北海道で単独で維持することが困難な状況には引き続き変わりません。そこで、沿線自治体と存続に向けて動き出していかなければ、路線の存続は厳しい見方を示しています。

国防という観点が仮にあるとすれば、もちろん路線存続をしていくのであれば国が関与していくべきということは言うまでもありません。ただし、不採算路線へ税金を投入することは、国民への納得が得られるのかどうか。過去にJR北海道に対し、莫大な支援をした際も反対意見が山のようにありました。

鉄道の使命は大量輸送にあります。鉄道という領域だけで判断すれば、この大量輸送の役割は既に終えており、以前から何度も指摘しているとおり、北海道では高速道路網の拡充やマイカー需要が増えている以上、一方で利用が著しく減少した公共交通については役目を終え、その代替輸送手段に順次切り替えていくべきなのです。


これは宗谷本線以外にも当てはまってくることですが、現在はローカル駅のみが対象となっていますが、特急停車駅にも利用の僅少の駅はあります。今後は地方の人口減少でそうした傾向の駅はさらに出てくるでしょう。今後は特急停車駅についても、ある程度そうした判断が必要になってくるのではないでしょうか?










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コメント
12003: by ふみ on 2022/11/24 at 23:14:40

「有事」「国防」に宗谷本線は必要だという意見はときどき見られますが、ではその有事の際に宗谷本線は役立つのでしょうか。甚だ疑問です。名寄以北は見るからに古びた橋梁が多数ありますし、長年貨物輸送もされていません。軍事のことはあまり詳しくありませんが、国道40号とそのバイパス的な道路をさらに強化する方が理にかなっている可能性は大でしょう。

また長期的な国防上の観点で、道北の人口を維持するという目的でも同様で、道北に現在住んでいる人たちにとっては、やっぱり道路を強化してくれる方が間違いなくうれしいはずです。

残された北海道の鉄道は、国がより戦略的な視点で判断をすべきだとは思いますが、その際に「鉄道を残す」が合理的な判断にならない可能性の方が高いです。たとえそうだとしても、象徴的な意味合いで、現状の北海道の鉄道を残すという方向もありと言えばありで否定はしないのですが(鉄道ファンとしてはそうなった方が当然うれしい)、その場合はまさに今やっているように最低限のラインを模索しながらの現状維持になるのだろうなと想像しています。

12004: by 旭アサ on 2022/11/25 at 02:36:08

鉄道路線の名称は国鉄時代に決めたものであり、それが本線なのか線なのかは今となっては特別な意味合いはありません。そういう小さなことにこだわるのが鉄ヲタのさがなのかもしれませんね。管理人さんも、意外と器の小さな人だという印象を持ちました。
だからといって、このブログへの信頼は1ミリも揺らぐことは無いのですけどね。

12005: by 釧ヒク on 2022/11/25 at 10:12:08

国防という役割、しばしば花咲線などでも触れられますけど、実際どうなんですかね。おそらく名寄以北も花咲線も、もしかしたら北旭川以北もDF200は入れないでしょう“函館山線にも入れないのであれば)。そうなると有事に北方・東方に物資を輸送するのは結局道路しか手段がないでしょう。それに、線路を残すのが国土である象徴になるのに、国道ではその役割は担えないというのは疑問です。実際問題使い物にならない&表象的意義も固有のものではない、というのが私の見解ですが、如何でしょう。
もしそうであるなら、実際の住民の必要性を主軸に考えるべきだと思います。そしてこの観点からは、少なくとも名寄以北は不要となるでしょう。オタクとては残念ですが、国道整備の方がよほど福利は大きいでしょうから。
あとは、路線名称は整理できないのですかね。実態に見合っていない「本線」ばかりですし、ついでに地方交通線との区分も見直せば、少しはまともな料金が取れそうな気がするのですが。例えば札幌から室蘭・長万部まで室蘭本線として、岩見沢沼ノ端を地方交通線「岩苫線」とでもすれば、加算分で雀の涙くらいの増収は…見込めても意味なさそうですね。

また最近の粘着コメントとのやりとりですが、コメントも返信もどちらも見ていて気持ちの良いものではないです。管理人様としては、公開・非公開が恣意的にならないよう、基準をハンドルネームの有無だけに絞っておられるようであり、それ自体は良いと思うのですが、それが彼/彼女を付け上がらせているのも確かでしょう。もちろん管理人様のブログなのでどうするもこうするも自由ではありますが、コメント欄での議論も楽しみにしている一読者の感想として、少しく考慮いただけると幸いです。

12008: by 管理人 on 2022/11/28 at 00:06:13

>>ふみさん、コメントありがとうございます。

稀に国防のため・・・みたいな話を聞きますが、管理者もほぼ単線の線路を残しているからといって特別な意味はなさないと思っています。

ここまで道路が発達してしまうと、やはり自家用車での移動の方が利便が高く、JRやバスは需要に応じて本数が少なくなっていますから、行きたいときに行ける、着きたいときに着けるが難しくなります。制約の少なさは自家用車ですよね。

鉄路に関しては、今後も現状維持から更なる規模縮小で維持していくと思います。道内でじわじわと波紋が広がっている走行距離税の導入。こうして自家用車を有利にしてきた反面、今度は税の徴収という点では、これ以上に都合の良い分野はありませんから、ここで自家用車に関わる税の徴収を引き上げるまたは増やしていけば、公共交通がまた見直される時期が来るのかもしれませんね。

12009: by 管理人 on 2022/11/28 at 00:08:08

>>旭アサさん、コメントありがとうございます。

以前コメントで素人と仰っていたと思いますが、その割には現状における本線の意味合いをよくご存知なんですね。

12011: by 管理人 on 2022/11/28 at 00:22:07

>>釧ヒクさん、コメントありがとうございます。

鉄道の有無で国防については、管理者はあまり関係ないと思っています。

ただ、空港や鉄路があるだけで、最北の地や最東の地が少なからず賑わっている様子は表に出せますよね。

結局は人口を増やして賑わいを見せれば、国防も何も関係ないです。人口を増やすことに力を入れず、観光ばかりに頼っているから、こういうことになるんです。

路線名については、北海道は今後、地名とミスマッチの路線が出てきます。函館本線も将来的に分断させられるし、根室本線も富良野側で孤立しています。日高本線も大半が廃止されたことで、胆振東部線状態です。

わかりやすさを考えれば、路線名は変更した方がよいですが、歴史を振り返ったときに、後世にもそれを何らかの形で残していくという目的もあれば、路線名をそのまま維持していくべきだし、このあたりは難しいところです。

コメントの件ですが、経験上、ボロが出たり、穴があったりするものです。やろうと思えば迷惑コメントにすぐにできますが、そういうのも対処できる大人な対応の練習相手として、もう少し様子を見させてもらえませんか?

12014: by 龍 on 2022/11/28 at 01:12:52 (コメント編集)

宗谷本線は全区間が国道40号と並行しており、士別市〜名寄市〜天塩郡幌延町間は天塩川に沿って線路が敷かれています。後から完成した国道40号の方が、川岸ギリギリを通る宗谷本線よりも走りやすいでしょうか(他の路線・線区も似たようなものですが)。サロベツ原野を通る区間に至っては、トンネルではなくても電波が届かず携帯電話が圏外で繋がらない箇所も多いという課題もあります。

この他、これらに並行して高速自動車国道の「北海道縦貫自動車道」の一部(道央自動車道)、もしくは「北海道縦貫自動車道」に並行する一般国道の自動車専用道路として、国道40号のバイパス道路が断続的に整備されつつあります。なお、以下の高速自動車国道のうち、有料区間は旭川鷹栖IC〜士別剣淵IC/TB間のみで、新直轄方式の区間と国道40号のバイパス道路は全て無料区間です。

・道央自動車道:旭川鷹栖IC〜比布JCT〜【和寒IC〜士別剣淵IC/TB】間(暫定2車線/70km/h)
・(事業中・新直轄方式):士別剣淵IC/TB〜士別市多寄町〜名寄IC間(暫定2車線)
・国道40号 名寄美深道路:名寄IC〜美深IC間(暫定2車線/100km/h)
・国道40号 名寄美深道路:美深IC〜美深北IC間(完成2車線/80km/h)
・(予定路線区間):美深北IC〜音威子府IC(仮称)間
・国道40号 音威子府バイパス(事業中・2025年度開通予定):音威子府IC(仮称)〜中川IC(仮称)間(完成2車線/80km/h)
・(予定路線区間・計画段階評価手続き中):中川IC(仮称)〜天塩町間
・(予定路線区間):天塩町〜幌延IC間
・国道40号 幌富バイパス:幌延IC〜豊富サロベツIC間(暫定2車線/100km/h)
・国道40号 豊富バイパス:豊富サロベツIC〜豊富北IC間(暫定2車線/100km/h)
・(予定路線区間):豊富北IC〜稚内市間

【】:暫定2車線区間のうち、 2019年9月4日に国土交通省が「10〜15年後を目処に4車線化する優先整備区間」に選定した区間。

12020: by 管理人 on 2022/11/29 at 00:18:44

>>龍さん、コメントありがとうございます。

詳しい情報をありがとうございます。道北方面はバイパスと一般道で乗ったり降りたりを繰り返して少々面倒ですよね。

これが1本に繋がれば便利な反面、JRはますます不利になります。ただしこの影に走行距離税の投入が検討されていますから、個人的には複雑な心境です。

これら予定区間を含めて繋がれば、今まで経由していた拠点も通過点に変わります。これは旭川紋別自動車道の延伸の際も実際にあったことで、延伸で従来の拠点が通過点になり、一部地域で人の往来が少なくなった経緯もあります。

なので、国道40号線の沿線の自治体も、バイパスの開業・延伸で一喜一憂することでしょう。場合によっては過疎化を加速させることが世に浸透してほしいです。

12024:私鉄の車両をJRにWet Lease by THEある日 on 2022/11/30 at 15:50:09

 この鉄道路線を有事に役立てそうではないからですね。

> 「有事」「国防」に宗谷本線は必要だという意見はときどき見られますが、ではその有事の際に宗谷本線は役立つのでしょうか。
                ↓てんぽく
 それすら、役立つもないので、天北線を宗谷本線の代替経路になってません。

> 鉄道路線の名称は国鉄時代に決めたものであり、それが本線なのか線なのかは今となっては特別な意味合いはありません。

 それは鉄道は役立つもないので、意味合いはありません。

> 国防という役割、しばしば花咲線などでも触れられますけど、実際どうなんですかね。おそらく名寄以北も花咲線も、もしかしたら北旭川以北もDF200は入れないでしょう“函館山線にも入れないのであれば)。そうなると有事に北方・東方に物資を輸送するのは結局道路しか手段がないでしょう。

 それはJR北海道が「事実上の機関車である気動車列車」をすれば維持しやすそうで、宗谷本線を維持ではなくて、機関車や同じような車両です。

> この他、これらに並行して高速自動車国道の「北海道縦貫自動車道」の一部(道央自動車道)、もしくは「北海道縦貫自動車道」に並行する一般国道の自動車専用道路として、国道40号のバイパス道路が断続的に整備されつつあります。

 そこまで整備で充分になりそうですね。
 そこまで整備は根室に道路もなって、根室本線の花咲線区間も需要が少なくなってます。
 なるべく安い経費で、根室本線や釧網本線や石北本線を維持するのは、遊覧列車専門の鉄道の「りくべつ」の車両がJR北海道の鉄道路線で動いてみませんか。
                              ↓ウェットリース
 それはJR北海道の鉄道路線をりくべつ鉄道に移管ではなくて、Wet Leaseをして、JRの鉄道路線を維持しやすくなりませんか。
                    ↓おしゃまんべ
 それを維持しやすそうなら、室蘭本線を長万部付近も私鉄(第3セクター)がWet Leaseで安く抑えると、それも新幹線と乗継の需要もあって、追分付近以外の室蘭本線を維持されると、室蘭市は最寄新幹線駅の長万部に鉄道路線を維持されます。
 少し需要が多くなっても、経費が高い、宗谷本線を維持は並大抵になりません。

12026: by on 2022/11/30 at 23:27:24

>>THEある日さん、コメントありがとうございます。

車両のみのリースということであれば、ドライ・リースということになると思います。日本ではこちらの例があり、パチンコ業界の会社がこの手の手法でリース業界に参入していたはずです。

ただ、りくべつ鉄道級の会社でそれが成り立つのか?ウェットリースは海外では国を巻き込むほどの大きな事業ですが、それが北海道で通用するのか気になります。

まずは貸し出す側にも車両を保有できる力がないといけません。国が車両を保有するぐらいのことをしないと成り立たないと思います。それか北海道高速鉄道開発をもっと有効活用するかですね。

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