fc2ブログ

プロフィール

管理人

Author:管理人
北海道の鉄道の内容を中心に自身の知識も含めながらブログの記事を日々更新しています。札幌市在住のため、主に札幌圏を走行する列車についての話題です。

<公式Facebook>


<公式Twitter>


<公式Instagram>

Amazon.co.jp(鉄道雑誌その他)

RSS

北海道新幹線の札幌〜新函館北斗間の開業時期を「白紙」へ

今回は残念なニュース。

先日全国報道にもなった北海道新幹線関連の話題。残念ながら、札幌〜新函館北斗間の開業時期が「白紙」になってしまいました。



写真の撮影場所は新函館北斗駅。2016年3月についに新幹線が道南までやってきました。北海道新幹線はやはり札幌まで延伸しないと効果を発揮しません。

理由は、いくら本州から新幹線が北海道にやってきた、東京と北海道が新幹線で一本で結ばれたとはいえ、その移動が現実的ではないからです。北海道の場合だと、やはり札幌と新函館北斗のシェアの方が圧倒的に多くなることが予想されます。

そうして、札幌延伸開業が待ち遠しい昨今ですが、残念ながら、物価の上昇や工事の難航により、現時点で既に数年程度の遅れが発生しているのです。

予定では、2030年度末の延伸開業を目指していますが、工区によっては3〜4年程度の遅れも発生していることから、早くても2035年ぐらいになってしまうのではないでしょうか?


一番の問題が事業費の大幅な増加であり、当初の1兆6700億円から6450億円増加とあります。これは、物価上昇と消費税の増税、発生土運搬処理や地質不良箇所の補強、設計基準や工事ガイドライン、労務環境変化対応、環境設備等の対応が事業費増加の主な理由です。

一方工程面では、倶知安付近の羊蹄トンネルにおいて、シールドマシンが巨大岩塊にぶち当たり、岩塊を砕くために回り込んで別のトンネルを掘って作業をしたり、発生土の受け入れ確保が難航し、これによって工事自体も遅延しています。


こうした状況から、確定的に工期を見通すことは難しいという判断です。


札幌〜新函館北斗間のルートは、多岐にわたって噴火を繰り返す有珠山を回避するためのルートです。また、現在の特急「北斗」のように、苫小牧や室蘭を経由するルートになれば、地形はよく、おそらく工事も順調に進むでしょう。ただし距離が増えてしまい、所要時間も増えてしまいます。有珠山を回避し、且つ最短ルートで札幌を結ぶには現在建設中のルートしかないのです。

これによって、札幌〜新函館北斗間は、所要時間が速達タイプの新幹線で1時間05分程度とされています。過去の「スーパー北斗」の速達タイプの列車よりもおよそ2時間程度早い計算です。

そうなると、費用という問題を除けば、他の公共交通を圧倒し、シェアNo,1になるでしょう。北海道新幹線は札幌延伸で威力を発揮するだけに、ここでの「白紙」は大きなダメージです。

2018年の北海道胆振東部地震の際も、いち早く北海道新幹線は復旧し、新幹線が道内と本州のほぼ全ての旅客輸送をカバーしました。災害にも強いということがここで証明され、北海道の場合は冬季における輸送においても、航空機が軒並み欠航になった際も新幹線の必要性を強く感じました。

単に道内と本州を結ぶ移動手段ではなく、移動手段の可能性の拡大、災害時における輸送の確保等、北海道新幹線には担うべき使命があります。工期の延期等は仕方ありませんが、必ずや札幌延伸は実現してほしいと思います。










↓ブログランキングにご協力お願いします↓


にほんブログ村

鉄道コム
関連記事
トラックバック
トラックバック送信先 :
コメント
12078: by 龍 on 2022/12/13 at 03:33:49 (コメント編集)

一口に「新幹線」といっても、「整備新幹線として建設された区間」と「それ以前に建設された区間」では、全く事情が異なります。後者は東海道新幹線などのように、「増大した輸送量を捌ききれなくなった在来線を線増する」という形で建設されました。しかし前者、つまり整備新幹線は言ってしまえば「競合する自動車や航空機との差別化が困難になった在来線(狭軌の旧線)を新幹線(標準軌の高速新線)に作り替える」という表現の方が正しいです。

最高速度200〜300km/h台での高速運転を可能にすることで、ようやく最高速度100km/h前後の自動車(高速道路)との差別化ができ、また航空機とは異なり途中停車駅があるため、こちらも差別化ができる。

もちろん、在来線から新幹線に切り替わったことで鉄道の停車駅から外れる地域もありますが、これは致し方ない部分もあるのです。在来線が建設された当時の技術では妥協せざるを得なかったボトルネック(スイッチバックや急曲線・急勾配など)の解消が実現すれば、その駅を経由・停車する必要性が薄れます。スイッチバックや補機の連結作業、単線区間での行き違いなどがなければ、一部の列車は通過してもいい駅や、そもそも停車する必要すらない駅もあります。

在来線を見てみると、広域輸送は旅客が自家用車やバス、貨物はトラックと、どちらもほぼ自動車(高速道路)に取って代わられました。地域輸送は都道府県庁の所在地・政令指定都市やその周辺以外は激減したか、もしくは元々鉄道の需要が大きくなかった地域です。鉄道事業における主な収入源の一つと見込んだはずの都市間輸送を担う在来線特急は、車両性能や地上設備を改良する余地がなくなり、高速化が頭打ちになってしまいました。これでは同じ陸運を担う自動車(高速道路)との差別化ができず、さらに空運(航空機)や海運(船)もあるので、現状維持ではもはやジリ貧です。貨物にしても、「道東からずっと貨物列車で本州まで運ぶ(旅客列車が優先なので札幌や函館などで長時間待たされる)より、釧路や帯広から船で直接運んだ方が車からの載せ替えもスムーズだし手っ取り早いのでは」とも思えます。

むしろ、新幹線の開通で都市間輸送を強化し、在来線は地域ごとの輸送量に合わせて再編する。これが最適解なのではないかと考えます。鉄道はあくまでも「陸運業」の形態の一つであって、ノスタルジーのために「等身大の模型」を走らせ、空気輸送の路線の維持を強いられることではないので。

12079: by かいおう on 2022/12/13 at 23:09:43

こういう事態になってしまったら、長万部先行開業は、検討してもらいたいものですね。。。
長万部先行開業ができれば、ニセコまでの利用も期待できますし、南千歳駅からの飛行機の代替案としての機能もできると思うのです。また長万部からの洞爺、室蘭、登別、白老、苫小牧の観光呼び起こしもできるのではと思います。

倶知安先行開業だと、倶知安~小樽間にリレー列車ができると平行在来線の問題も呼び起こしてしまうので、長万部先行開業だとその問題もクリアできますので、是非検討してもらいたいものです。。。

12086: by 管理人 on 2022/12/15 at 23:57:30

>>龍さん、コメントありがとうございます。

整備新幹線はどちらかというと、ライバルとの競合で在来線で対応できなくなった輸送を肩代わりするような役目を持っていますよね。

仰るとおり、在来線の設備を含め、高速化は既に頭打ちでそれ以上の高速化は新幹線に・・・、というのが昨今の流れです。在来線も無理な高速化は避け、利便向上のためにこまめに停車するようになりました。

旅客輸送に関しては、地域ごとの輸送体系に再編すべきです。また、貨物新幹線の実現が難しい状況では、在来線の貨物列車が重宝されます。新幹線へシフトすれば在来線のキャパが上がるので、トラックドライバー不足という問題を貨物列車である程度対応できる方法等を考えてほしいと思います。

12087: by 管理人 on 2022/12/16 at 00:02:32

>>かいおうさん、コメントありがとうございます。

先行開業すれば長万部までが妥当です。倶知安まで先行開業を目指す話も過去にありましたが、リレー列車などの体系を構築しなければならないので面倒です。

ただ、在来線の長万部〜新函館北斗間をどうするのかまだ検討が始まったばかりですよね。ここで先行開業を目指してしまうと、在来線の処遇がいい加減になってしまう可能性があるので、難しいところでもあります。もっと早くから並行在来線については議論すべきだったんですけどね。

12100: by 苗穂住民 on 2022/12/18 at 00:44:10

 北海道新幹線(新函館北斗・札幌間)の整備に関する有識者会議(第4回)
の報告書(2022/12/7)
https://www.mlit.go.jp/tetudo/tetudo_tk9_000040.html
では「相当の事業期間が残っており、工程の工夫について各受注者と協議中であること等から、現時点で工期を見通すことは困難。」ということでした。上記報告書から「開業時期は「白紙」に」としている報道もあります。

 まだ8年あるということで、2030年度末開業の目標はそのままのようですが、UHBニュース(12月8日)では、国交省担当者の見解として「厳しい状況」と伝えています。工期、事業費共増えそうですね。今後、精査した結果が出てくるのでしょう。

 北陸新幹線敦賀駅工区で工事が遅延したことにより、同様の施工条件となる札幌車両基地の工事はECI方式が採用されました。現在は技術協力業務期間(12カ月間)で、着工は来年5月頃になるとみられます。

12109: by 管理人 on 2022/12/19 at 01:19:41

>>苗穂住民さん、コメントありがとうございます。

開業時期が先送りされるのはほぼ間違いなさそうですよね。

まだ8年あるのでなんとも言えませんが、新幹線が延伸しなければ並行在来線の問題、既存の車両の寿命等も影響が出てきます。

工期と事業費については、増税が今後さらに実施されてくると思うので、先日の報道よりもさらに跳ね上がると思います。これからの時代は工期が長くなるとこうした問題が発生してくるので考えものですね。

12204:新幹線と医療 by 龍 on 2023/01/07 at 20:25:21 (コメント編集)

2016年3月26日に開通した北海道新幹線の新青森駅〜新函館北斗駅間。医療関係の仕事もその恩恵を大きく受けています。

函館市で函館新都市病院を運営する医療法人雄心会は、2017年5月1日に姉妹病院として青森新都市病院を開設しました。この病院は開設当時から24時間体制の救急医療・脳疾患の治療に取り組み、青森市の二次救急指定医療機関として大役を担っています。新青森駅から徒歩3分の場所にあるため東北新幹線で東京にも直結し、2017年からは病院内に青森大学の研究施設「青森大学 脳と健康科学研究センター」を併設することで、首都圏から客員教授として高い技術を持つ医師を受け入れることができるようになりました。人材や医療機器が限られる地方で、高速性と定時制に優れる交通機関を使ってこれらを輸送できるという意味で、新幹線は今や青森市・函館市の医療機関に欠かせない存在になっています。午前に函館で診察を終えた医師が、午後に新幹線で青森に移動して手術、夜に新幹線で函館に戻ってくるといった行程も組まれています。

北海道内においても、北海道大学病院(札幌市)からの派遣として各地の病院へ恒常的な医師の出張が行われています。例えば、八雲総合病院(八雲町)や長万部町立病院(長万部町)は現地の医師だけではやりくりできず、特定の曜日ごとに特急「北斗2号」や「北斗4号」で北海道大学病院の医師が札幌から出張して対応し、それが終わったら「北斗」で札幌へ帰っているのが実情です。現状、「北斗」では片道2時間以上はかかりますが、新函館北斗駅〜札幌駅間の開通でこれらの地域は簡単に札幌から日帰りできるようになります。

北海道以外にも、九州新幹線の沿線ではくまもと県北病院(新玉名駅から徒歩8分)、九州国際重粒子線がん治療センター(新鳥栖駅から徒歩数分)などが新幹線の開通後に開設され、新幹線を活用した広域医療(医師の出張など)を行っています。2022年9月23日に武雄温泉駅〜長崎駅間が開通した西九州新幹線の沿線でも、2019年6月4日に国立病院機構嬉野医療センターが嬉野温泉駅(この駅は新幹線の開通に伴い新設)の隣接地に新築移転しました。

新幹線の停車駅の近隣に大規模な医療施設がある場合、「救急車やドクターヘリの他に新幹線での患者の搬送も検討するべきだ」という指摘もあります。救急車は急患以外にも転院などのための搬送にも使われますが、例えば函館から札幌へ患者を転院させるために函館の救急車が1台出動すると、当然その救急車は函館と札幌を長時間かけて往復することになります。この間に函館で事故や災害が発生して出動要請が出た場合、救急車が1台少ない状態で対応せざるを得なくなります。ドクターヘリも数が多いわけではないので、「だったら新幹線の車両や駅のエレベーターにストレッチャーを搭載できるようにして、患者を搬送できないか。救急車より速く移動できて揺れも少なく、夜間搬送や悪天候にも対応できる。何より救急車が広範囲を長時間かけて行き来せずに済む」というわけです。

これらの取り組みからは、「せっかく新幹線が開通するのだから、活用しない手はない」という姿勢を感じます。診療や手術はテレワークや在宅勤務ではできませんし、人命にも関わる緊急の対応ですからとても重要です。「現地に医師も看護師も足りない」「患者を病院まで搬送したり、医療機器を輸送したりする手段がない」といった状況をいかに減らせるか。新幹線が苦しい地域医療の在り方を大きく変える存在になれるのか、注目されます。

12207: by 管理人 on 2023/01/08 at 23:42:42

>>龍さん、再度コメントありがとうございます。

詳しい情報をありがとうございます。医療の出張外来の話は以前聞いたことがあります。後志管内でも注目されているみたいですね。

新幹線が開通することによって、それが期待されています。特に後志管内では鉄道だと時間がかかるし、高規格道路も繋がっているわけではありません。新幹線である程度拠点まで高速で移動できることで、出張外来の時間帯の拡大や回数の拡大が期待されています。

医療と新幹線の結びつきを強くするのであれば、新幹線の駅に隣接して総合病院を設けることが最良の方法ではないかと思います。出張外来はもちろん、緊急時においても、新幹線を活用することで人命を救うことができるのではないでしょうか?

新幹線ができる、駅のデザインも決まったバンザーイではなく、新幹線を活用するために、ある程度自治体の機能を集約する必要性を強く感じます。

▼このエントリーにコメントを残す