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留萌本線の石狩沼田〜留萌間の鉄道事業が終了

本日3月31日、留萌本線の石狩沼田〜留萌間の鉄道営業が終了しました。

昨年の9月9日にJR北海道が国交省へ石狩沼田〜留萌間の鉄道事業廃止届出を提出しました。本来廃止予定日は今年の9月30日となっていましたが、4月1日に繰り上げの届出が受理されたことを受け、最終営業日が3月31日、明日4月1日付で廃止されます。

今頃、石狩沼田〜留萌間では、鉄道事業終了に合わせて、各設備の一時的な使用停止措置、線路内の立ち入り禁止の柵が設置されていることでしょう。

最終日となった今日、定期列車は4両編成で運行されました。











両方向の先頭車にオリジナルのヘッドマークも装着されました。事前の資料では、編成はキハ54形1両にキハ150形を3両の4両編成で運行するとのことでしたが、最終日はいずれの運用もキハ150形2両をキハ54形で挟み込む4両編成で運行されました。

ただし、中間のキハ150形は、一方の運用は緑帯と紫帯が1両ずつ連結され、カラフルな編成になっていました。

留萌本線は元々留萌港への石炭や木材、海産物等の輸送のための予定線として建設されたのが始まりです。不採算路線について、廃止反対を唱える方は、こうした北海道の鉄道路線がどういった経緯で敷設されたのかをまず把握すべきです。

北海道の場合、人を運ぶよりもまず、石炭や木材、海産物、農産物といった貨物輸送がメインで設けられ他のがほとんどで、確かに旅客列車も設定されてはいたものの、その輸送量は当時から僅かなものでした。

貨物輸送で支えられていた路線が、道路の整備やエネルギー転換に伴う炭坑の閉山により、貨物輸送がなくなると、今度は旅客輸送をメインとしなければならなくなります。元々が僅少な旅客輸送ですから、それだけで採算がとれるわけがないのです。ここにたまたま僅かながら利用者がいる、学生利用があるというだけなのです。

国鉄時代から北海道では鉄道路線の廃止が進められましたが、長大4線などの特殊な路線については、廃止が先送りされました。その間に国鉄は分割民営化されてJR北海道に。不採算路線の処理をJR北海道に託した反面、莫大な経営安定基金を設け、当時の高金利の中で上手く運用していくはずでした。

しかし、金利は下げられ、不採算路線の整理はそっちのけで、JR北海道は高速化の道へ進みます。都市間輸送の強化で不採算路線の赤字をカバーするねらいがあったのでしょう。一方、不採算路線の整理は疎かになり、ローカル輸送も車両が老朽化、何故か旧仮乗降場もそのほとんどを旅客駅に昇格したことで、維持費も跳ね上がりました。

後に、道路が整備されて高速道路の延伸が進むと、都市間輸送でも利用者が落ち込み始めます。そして、2011年5月の石勝線脱線事故を皮切りに、JR北海道は窮地に陥っていきます。財政状況からも、不採算路線や利用僅少な駅の整理に着手せざるを得なくなりました。

留萌本線については、今年度の事業計画にもあるとおり、早期にバス転換を目指すとしており、JR北海道としても維持する気がないことは明白でした。2016年12月に先に留萌〜増毛間が廃止され、この度石狩沼田〜留萌間が廃止されます。そして、3年後をめどに残る深川〜石狩沼田間の廃止が予定されています。

本来であれば、留萌本線の残る区間を全て廃止にする予定でしたが、主に通学需要を有するということで秩父別町と沼田町が廃止に難色を示していました。

一方、末端の留萌市については、既に廃止を容認していたことから、今回石狩沼田〜留萌間を先に廃止し、3年後に残る深川〜石狩沼田間の廃止の予定としました。本来、路線の維持費を自治体側の負担も要請していましたが、これについては取り下げられており、その代わりに3年の猶予を与えられた形になります。


明日から新たな体系で運行される留萌本線。「本線」を名乗るJR路線としては最も短い路線となります。また、夕張市線のように、完全に棒線化されて、交換設備がなくなります。既にダイヤも発表されていますが、一部の時間帯については大幅に変更されるようです。これは次回の記事でお伝えしましょう。










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コメント
12523: by ツナ缶 on 2023/04/01 at 01:14:37

深川を除いた留萌本線各駅で利用者が1番多いのが石狩沼田、2番目は留萌、3番目は秩父別と、当たり前ですが比較的深川寄りに人が集まっています。JR北海道が出している資料によると、単独駅11駅中5駅が平均1人/日以下。10人以上は上位3駅だけという有様です。また、赤色の駅が宗谷本線と留萌本線に集中していることもわかります。...1人以下ですよね...。これは廃線になってもおかしくはありません。正直な話、過激な思想ですが、この資料で色がついている駅(黄色に黒文字を除く)は全て廃止にしていいような気がします。こんなことやったら、名寄以北の宗谷線なんかは特急しか走らなくなりそうですが...。でもこれが本来あるべきの鉄道の姿なんですよね。「大量」輸送が主な目的なので。

12525: by 管理人 on 2023/04/01 at 23:32:26

>>ツナ缶さん、コメントありがとうございます。

通学利用が多いということで、秩父別や石狩沼田が主に利用の多い駅だと思います。それ以外の駅は特に駅前は何もなく、小集落があるだけです。

留萌本線の中でも、全ての列車が停車するのは、深川駅と留萌駅を除くと、石狩沼田駅と峠下駅のみです。後者については交換を実施することもあって停車するのでしょうが、そう考えたら、石狩沼田以外は普通列車すら通過する駅なんですよね。

石狩沼田〜留萌間廃止以降、石狩沼田行きの始発列車は、途中無停車列車となります。部分的に残ったとはいえ、残りの区間においても、利用は著しく少ないようです。

鉄道の使命は大量輸送です。ここまでの利用であれば、バス転換が相当です。バス転換されると、いずれ減便などを実施するので嫌がる人間もいますが、小回りの利くバスですらそうなるのですから、鉄道が残っていること自体不思議なのです。

廃止反対を唱える人間は、北海道の鉄道がどういった経緯でできていったのかを知る必要があると思います。

12527:結局は・・・ by NS on 2023/04/02 at 09:22:49 (コメント編集)

結局のところ、深川~石狩沼田間のみならず、かつての長大4線や旧仮乗降場由来の各駅についても、当面の存廃がどう決まるのかについては「公共の現実的な代替輸送手段が確保されたか否か」に尽きると感じています。

元々道内の鉄道は貨客一体の利用がメインで、各路線の沿線の未開の土地にも人が住み、その中での集住地の近くに駅や仮乗降場を設けることで北海道自体も発展してきました。
モータリゼーションの発達に伴って貨物輸送はトラックがメインとなり、僅少な旅客輸送だけでは持ちこたえられない路線が増えたとはいえ、公共の現実的な代替輸送手段が十分に確保出来るようになったとは言い難い地域も少なからずあり、そういう地域にとっては当面の鉄道存続論も相応の意義がある(あった)と言わざるを得ないと感じています。

そういう地域に対して並行道路や実用的なバスダイヤの設定など、沿線自治体が主導して行わざるを得ない公共の現実的な代替輸送手段の確保をどう支援していくかは、JR北海道にとって今後も大きな課題でしょう。

12529: by 管理人 on 2023/04/05 at 16:45:12

>>NSさん、コメントありがとうございます。

「公共の現実的な代替輸送手段」は非常に難しいですよね。僅かな利用のために、表向きは将来的な利用の見通しがなくても、一応は確保しなければならないのですから。

廃線は合理化の1つと考えています。合理化は経営という面では有利になりますが、基本的に何かが失われます。鉄道の廃線で言えば、利便性です。便利になる可能性もゼロではありませんが、基本的に不便になることの方が多いです。特に所要時間の面ですよね。

不便になる分、協議をしてJRとの合意に至ります。JRも廃線後の支援を実施するので、ここで鉄道を残すという一本の選択肢ではなく、自治体側ももっと広い視野を持つべきなのです。

たとえば、早期決着すれば、いい支援条件を提案できるのです。それで得た条件で今後の振興に役立ててくれればと思います。

ただ、早期決着といっても、代替手段も厳しい状況です。まずは利用云々ではなく、乗務員の確保が難しいことで代替先の難航等があります。仰るとおり、ここが自治体としてもJR北海道にとって今後も大きな課題になってくると思います。

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