【コラム】石北本線とキハ283系
コラム - 2023年08月05日 (土)
長らく札幌〜釧路間で使用したのち、1年の転用改造期間を経て今年3月から新たに石北本線で使用を開始したキハ283系。
転用から来月で半年。すっかり見慣れた存在になりました。





残念ながら、従来連結されていたグリーン車は廃止されて3両編成となりました。利用状況に合わせて増結を実施していくとされ、7月中もハイシーズンではありませんが、増結が確認された日もあったようです。
やはり3両編成は輸送力が足りない日もあるようです。自由席が従来の半分程度に座席数を減らしたため、特に札幌〜旭川間では立客が出るほど満席になる場合もあるようです。
深夜を除いて、すぐに後続列車が設定されている場合があるので、このあたりはうまくカバーしているのでしょう。
キハ283系化に伴い、石北本線の停車駅では、大半がホームの嵩上げを実施しなければならなくなりました。床の位置はキハ283系の方が低いですが、キハ183系の場合はワンステップ構造で乗車する際に低い位置に一段あり、そこからもう一段上がって乗車する形でした。
キハ283系の場合はワンステップ構造ではありませんが、乗車する際にキハ183系でいう一段目の高さよりも高くなってしまうため、ホームを嵩上げすることで、乗降利便を新たに確保しています。
しかし、ホームの嵩上げが原則として基本となる3両分だけです。増結の際は一部の号車をドアカットして対応しています。あくまで必要最低限のホーム対応工事になっているようです。
キハ261系1000番台の製造費が1両3億円にもなり、石北本線分が用意できませんでした。そのため、キハ283系のうち、25両を使用可能と判断して石北本線へ転用しました。では、従来から引き続き、札幌〜釧路間で使用して新製したキハ261系1000番台を石北本線に回すという方法もあったと思いますが、札幌〜釧路間と石北本線で使用する決定的な違いは、車体を傾斜させる、いわゆる振り子式を作動させるか否か。こうして転用しているところをみると、やはり車体傾斜による車体への負荷というのは大きいのでしょう。1年間の転用改造を経たのち、石北本線へ転用されました。
また、石北本線内は最高速度が95km/hに制限されることもあり、車両への負荷を抑えられ、釧路方面で継続使用するよりも延命できると判断したのでしょう。
そんなキハ283系ですが、以前インスタグラムの方で気になったコメントがありました。
まず、一般的に用いられるようになった制御つき自然振り子式というのは、車両に搭載されたコンピュータと地上のセンサーで車体の傾斜角度や傾斜するタイミングなどを計測して動作させていますが、石北本線では地上側の設備を持たないため、キハ283系が可能としていた車体傾斜を行うことができません。
このシステムを石北本線転用に向けて停止させているほかに、傾斜する部分をテープで固定して物理的にも止めているようです。
なぜそのように二重に止める必要があるのかというと、不用意に車体を傾斜してしまうのを防ぐためだそうです。
なぜそうなるかというと、寒さ対策で振り子のベアリング内にグリスを大量に塗っています。塗らなければ、寒暖差で結露してしまい、水分で凍ってシャーベット状になってしまうからです。こうした理由からグリスを塗っており、物理的にも固定しなければ、ふとした時にズルっと滑って傾いてしまうそうなんです。
なので、システムだけ停止してもベアリングガイドだけは揺れる可能性があり、システムが停止している以上、制御が効かないので一度揺れ始めたら自然に止まるまで揺れ続けてしまうそうです。
こうして話を伺ったのち、管理者としても思う点もあり、過去にキハ283系などで見られた振り子エラーという、カーブも何もないところで車体が傾いていたりしていた現象も、システムに不具合が生じてしまい、そうなれば、ベアリングガイドだけが作動する自由な状態になっていますから、ズルッと滑って傾いたまま運行していたということになるのだと思います。
本州方面では、振り子エラーに関する話はあまり聞かず、キハ283系で結構見られたこの現象も、この法則なら北海道の車両だけ見られたということにも納得です。
実際にこうした話は車両の製造現場で携わる方でないと話を聞くことができず、鉄道雑誌でも書かれないような内容なので、その方とは長々とコメントをやりとりしていました。教えていただき、ありがとうございました。
キハ283系化に伴い、最高速度は低くなりましたが、それでも所要時間の短縮が図られた石北特急。ツイッターでは、8月11日の特急「オホーツク1号」で5両編成に増結されるという情報をキャッチし、キハ283系化以降の増結では最大両数となります。
3月に北見駅を確認してきたところ、特急列車が発着する1番線ホームでは、ホームの端が柵で封鎖されており、6両編成対応になっていました。なので、今後も繁忙期を中心に増結を実施する際は、基本編成の倍の6両編成までになるんでしょうね。
しばらくは活躍が見込まれるキハ283系。おそらく、北海道新幹線の札幌延伸までの繋ぎだと思いますが、なるべく長く活躍できることを期待します。
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転用から来月で半年。すっかり見慣れた存在になりました。





残念ながら、従来連結されていたグリーン車は廃止されて3両編成となりました。利用状況に合わせて増結を実施していくとされ、7月中もハイシーズンではありませんが、増結が確認された日もあったようです。
やはり3両編成は輸送力が足りない日もあるようです。自由席が従来の半分程度に座席数を減らしたため、特に札幌〜旭川間では立客が出るほど満席になる場合もあるようです。
深夜を除いて、すぐに後続列車が設定されている場合があるので、このあたりはうまくカバーしているのでしょう。
キハ283系化に伴い、石北本線の停車駅では、大半がホームの嵩上げを実施しなければならなくなりました。床の位置はキハ283系の方が低いですが、キハ183系の場合はワンステップ構造で乗車する際に低い位置に一段あり、そこからもう一段上がって乗車する形でした。
キハ283系の場合はワンステップ構造ではありませんが、乗車する際にキハ183系でいう一段目の高さよりも高くなってしまうため、ホームを嵩上げすることで、乗降利便を新たに確保しています。
しかし、ホームの嵩上げが原則として基本となる3両分だけです。増結の際は一部の号車をドアカットして対応しています。あくまで必要最低限のホーム対応工事になっているようです。
キハ261系1000番台の製造費が1両3億円にもなり、石北本線分が用意できませんでした。そのため、キハ283系のうち、25両を使用可能と判断して石北本線へ転用しました。では、従来から引き続き、札幌〜釧路間で使用して新製したキハ261系1000番台を石北本線に回すという方法もあったと思いますが、札幌〜釧路間と石北本線で使用する決定的な違いは、車体を傾斜させる、いわゆる振り子式を作動させるか否か。こうして転用しているところをみると、やはり車体傾斜による車体への負荷というのは大きいのでしょう。1年間の転用改造を経たのち、石北本線へ転用されました。
また、石北本線内は最高速度が95km/hに制限されることもあり、車両への負荷を抑えられ、釧路方面で継続使用するよりも延命できると判断したのでしょう。
そんなキハ283系ですが、以前インスタグラムの方で気になったコメントがありました。
まず、一般的に用いられるようになった制御つき自然振り子式というのは、車両に搭載されたコンピュータと地上のセンサーで車体の傾斜角度や傾斜するタイミングなどを計測して動作させていますが、石北本線では地上側の設備を持たないため、キハ283系が可能としていた車体傾斜を行うことができません。
このシステムを石北本線転用に向けて停止させているほかに、傾斜する部分をテープで固定して物理的にも止めているようです。
なぜそのように二重に止める必要があるのかというと、不用意に車体を傾斜してしまうのを防ぐためだそうです。
なぜそうなるかというと、寒さ対策で振り子のベアリング内にグリスを大量に塗っています。塗らなければ、寒暖差で結露してしまい、水分で凍ってシャーベット状になってしまうからです。こうした理由からグリスを塗っており、物理的にも固定しなければ、ふとした時にズルっと滑って傾いてしまうそうなんです。
なので、システムだけ停止してもベアリングガイドだけは揺れる可能性があり、システムが停止している以上、制御が効かないので一度揺れ始めたら自然に止まるまで揺れ続けてしまうそうです。
こうして話を伺ったのち、管理者としても思う点もあり、過去にキハ283系などで見られた振り子エラーという、カーブも何もないところで車体が傾いていたりしていた現象も、システムに不具合が生じてしまい、そうなれば、ベアリングガイドだけが作動する自由な状態になっていますから、ズルッと滑って傾いたまま運行していたということになるのだと思います。
本州方面では、振り子エラーに関する話はあまり聞かず、キハ283系で結構見られたこの現象も、この法則なら北海道の車両だけ見られたということにも納得です。
実際にこうした話は車両の製造現場で携わる方でないと話を聞くことができず、鉄道雑誌でも書かれないような内容なので、その方とは長々とコメントをやりとりしていました。教えていただき、ありがとうございました。
キハ283系化に伴い、最高速度は低くなりましたが、それでも所要時間の短縮が図られた石北特急。ツイッターでは、8月11日の特急「オホーツク1号」で5両編成に増結されるという情報をキャッチし、キハ283系化以降の増結では最大両数となります。
3月に北見駅を確認してきたところ、特急列車が発着する1番線ホームでは、ホームの端が柵で封鎖されており、6両編成対応になっていました。なので、今後も繁忙期を中心に増結を実施する際は、基本編成の倍の6両編成までになるんでしょうね。
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